■“赤き森”キャンペーン 第2回(パーティーレベル5) チャプター1

 初めての戦利品らしい戦利品を担いで帰って来た冒険者達。

 
 そこへ先日、新参者で右も左もわからない上、不名誉印を刻んだ騎士まで連れて世間体の悪さたるや甚だしいパーティーに対し、唯一気さくに色々なことを教えてくれた先輩冒険者の伊達男トアス(第1回の酒場シーンの写真で右に居る人)が、待ちかねたとばかりに駆け寄ってくる。
トアス「おうお前ら。まーた微妙な猟果だったろうが、今回ばかりはとっとと帰ってきて正解だったぜ」
 
DM「そう言ってバンバンと前衛から叩いてまわり、アストリッドとイオの肩に手を回す」
トアス「時はまさにボーナスステージ。つまり儲け話だ。なぁお前ら、フォアサイトって地方は知ってるか? まぁ知ってようが知ってまいがどっちでもいい。この山(街の東)越えた向こう側にある子爵領なんだけどな。どうやらそこに魔獣が現われた。それも結構な量がだ」
 魔獣料理人を自称するソルカーを見てニヤリと笑う。
DM「知識地理を振るのだ」
アストリッド「11なので名前程度かな? 黙って手を退けて、威嚇ししつつ『フォアサイトなら聞いたことあるけど、どういうこと?』。馴れ馴れしい態度に少々ご立腹です(笑)」
DM「まぁ冒険者のノリとしては挨拶みたいなもんだけど、アストリッドは都会育ちな上に引き篭りだったからなぁ(笑)」

・パーティー全員の知識判定で判明した情報
 バーン(PC達の住んでる国です)独立戦争時の終盤あたりにヴィーリオン(敵対する超大国です)から離叛した、譜代の中では最新参。これといって派手な戦功があるわけではないが、堅実に国境の兵站を支えている。
 現当主はヘンリー・フォアサイト子爵で、子供は長男、次男、長女の三人。
 長男は騎士として父を補佐し、次男も騎士だが現在本国勤務。長女は魔導師で、修行の旅に出ている。

トアス「おいおい。せっかく稀代のお人よしが商売敵に儲け話を持ってきてやってるんだから、サービス精神ってのを発揮しといた方が世の中上手く渡っていけるってもんだぜ?(笑)」
イオ「魔獣が? それはただ事じゃあないわね? 詳しい話を聞かせてくれるのかしら?」(キュピーン
カッセル「魔獣を倒して勝ち名乗りを上げるアストリッドとストール、絵になるなぁ……とか妄想中(笑)」
アストリッド「……それで、フォアサイトがどうしたのよ?(不機嫌そうに」
トアス「そうだな。銀貨500枚ってところで手を打とうじゃないか。それで俺の持ってる情報、全部吐き出していいぜ?」
DM「皆は真意看破を振るとよい」
アストリッド「へえ、500枚ってことは結構な儲け話なのかも……と思ってます。なぜなら、真意看破4です」
イオ「新参の冒険者に親しげに近寄ってくる情報通ね……。このパーティー、世間ずれしてないのが一目瞭然なだけに、困っちゃうわ。彼の為人についても調べておくべきだったわねー」
 そんな彼女の真意看破はダイスが20の達成値28。
イオ「ただまぁ、最初の取引としては、妥当な案件、ってところかしら。これより安いと役不足。私達が話にのる意味がない。高いと逆に事件が大きすぎるし、お互いの信用が足りない。あとはま、安定していた子爵領に魔獣があふれ出すってのも興味深いところ」
DM「達成値が23だったカッセルは『どうもひっかかる。明確な悪意までは感じないが』で、イオは『同様に悪意は感じないのだが、手放しの誠意も感じられない。全部が嘘ということはないが、なにかしらこちらを引っ掛けようとしている感じ』と思った」
アストリッド「私は聞いても構わないわ。ソルカーもすっかりその気みたいだし」
ストール「ふむ。相場というものはよくわからないが、二人がそう言うのであれば良いのではないか」
イオ「うん、聞いてみたくはあるのだけどねー。よくよく考えると懐事情が非常に厳しいのよね。戦利品がイノシシとカマキリじゃぁやっぱりねぇ……(ため息」
DM「ほんと、野生生物の単なる肉塊として売ったようなもんだからぁ(笑)」
イオ「やっぱり一日待ってくれないかしら? 本当に今の私たちに必要な事件か調べた上で、情報を買うかどうかは皆で相談してきめたいわ。ごめんなさいね、でも『儲け話があるんだ。500でどうだ』って話に『はい、今すぐ買います!』とは答えられないのはわかってもらえますよね。みんなもそれでいい?」
トアス「おいおい。情報ってのは時間が経てば経つほど価値が減ってくもんなんだ。一日も待ってたらこっちの大損だぜ。ただでさえ俺はわざわざお前たちが帰ってくるのを待っててやったってのに、そりゃないんじゃないのか?」
DM「よくよく姿を見れば、今まさに旅に出ますという格好である」
トアス「仲間の手前これ以上ここで足踏みしているわけにもいかねぇよ」
ソルカー「そもそも乗り気なので困った表情をするものの、前回収穫との差額の穴埋め分にも困窮するレベルの懐事情に黙って座します」
ストール「行くのであれば情報は必須だろう。何らかの利を得ようとするならなおさらだ。聞いてみてもいいのでは。大量の魔獣が現れたという事は、フォアサイトの方々は困っているのではないか。そうであるなら、私は是非行きたい」
カッセル「オレも話を聞くのに賛成だ。あとはフォアサイトについて貴方が持っている情報が欲しい。情報屋なら一般人が知らないような情報を知ってるんじゃないの? もしくは魔獣の種類とか知らない? 性急に結論を求めるのだから、それくらいはサービスしてもらいたいな」
イオ「わかった、わかったわ。まぁ座って。すぐ決めちゃうから」
 元より危険な話は大好きなイオであった。
イオ「皆がいいのなら、実のところ、私も話を聞いてみたいってのが本音なのよね」
トアス「これで、三度目だな……」
DM「と、ぽつりと呟き、そのまま席に戻ることなくカッセルに近付いて、グイッと顔を近づけます」
トアス「いいかルーキー。世の中の善意って奴を勝手に信じ込んでる分には自由だがな……身の程をわきまえないで図に乗ってると痛い目も見るんだぜ?」
DM「普通なら胸ぐらでも掴んでそうな雰囲気である」
トアス「サービスしろだ? さっきも言ったとおり、俺はわざわざお前たちを待ってやったんだぜ? ろくに親しくもないお前たちをだ。それをなんだ? 当たり前か? 勝手に待ってた奴に感謝の必要はありませんってか?」
DM「ジロリと全員を一瞥」
トアス「まぁそれでもいいだろうさ。そう、確かに親しくないからな。疑うことも大切だ。なんでも鵜呑みにする奴は馬鹿を見るってもんだ。そこは評価しとくぜ」
DM「そう言って、背中を向けて出口へ向かうよ」
ストール「トアス殿。すまない、礼を失していたようだ」
 頭を下げるストール。
ストール「わざわざ時間を取らせてしまって申し訳ない。とても感謝している。そして、君がもたらしてくれようとした情報は、我々にとって必要なもののようだ。是非聞かせて欲しい。もし適わないのであれば、せめて君達の武運と此度の冒険の成功を祈らせてくれ。私のような身の上では、気味悪がるかも知れないが、今後もよろしくしてくれないか」
 そう言って右手を差し出すのだが……。
イオ「……ごめんなさい、私がどうかしていたわ。あなたの好意を嘘だと決めつけたのもそうだけど、その上に人としての礼儀を失しているようじゃ、信用に値しない人間だと自ら放言しているようなもの。見放されて当然ね。非礼を働いたことお詫びするわ」
 あえてトアスが警戒されるような話の切り出し方をしてきたのは、こちらの反応を試すためだったんだと判断しているイオ。
イオ「私たちにはあなたの話を聞かせて貰う資格はないかもしれない。だから(トアスに話を聞かせてもらえなくても)自分たちだけでも、フォアサイトに行ってみるつもり。うちには困ってる人がいたら放っておけない人たちがいるから。人の役に立てることはいっぱいあると思うのよね。今日、声をかけてくれたこと、今では嬉しく思ってる。せっかく待っていて貰ったのに、本当にごめんなさい。少しはましな人間になれるように努力するわ」
トアス「ま、お前ら二人がダンマリ決め込んでる奴らよりはマシだったってことは覚えとくわ。『素直に謝れば許してやったのによ』なんてこたぁ言わねぇ。だがこーいう稼業、沈黙は何の金にもならないってことを覚えといた方がいいぜ」
DM「振り返らずに店を立ち去るね〜」
 ドンヨリへこむイオとストール、無表情のアストリッド、「ま、しょうがないか」と然程気にしてる様子の無いソルカー&カッセルであった。
DM「全員視認振って〜。…………では、その数値だと特になにも気にならないな。ただ、なにやら酒場のマスターが大きな溜め息を吐いたのが聞こえた」

 気を取り直して準備し、他の冒険者の様子も調査しようとするが。
DM「君達はまだこの街に来て数日だから、顔ぶれの違いとか判断するにはまだ日が浅いね」
 仕方無いので、山脈越えでフォアサイト領に向けて出発進行。金が無いので徒歩だ!
 巨大な山脈なので、宿場を経由しつつ十日の行程となる予定である。
 途中の宿屋でも情報収集すると、最近姿は見かけなくなったのだが、半年くらい前までは獣人で構成された山賊団が多数の隊商を襲いまくり、猛威をふるっていたことを知る。
DM「ではワンダリングのD100を振って下さい」
ストール「ウェーイ……2!!」
カッセル「2?」
全員「あらーっ!?(爆笑」
ソルカー「振っちまったよヤバい数字を!!」
アストリッド「2を出しましたね……」
DM「2かぁ……(苦笑)」
アストリッド「山を越えられないかもしれない!!(笑)」
ソルカー「残念! 私たちの冒険はここで終わってしまった!になってしまう!(笑)」

 
DM「目の前の街道上に、こんなのが仁王立ちしています」
アストリッド「手がいっぱいあるよ」
DM「手じゃなくて尻尾で持ってるね」
アストリッド「あ、三本目は尻尾なの」
イオ「どう見ても獣人さんですね」
DM「ワーラットです」
アストリッド「病気の感染力高そう……」
DM「山道の稜線抜けたら、居た(笑)」
イオ「ええっと……こんにちはってわけじゃなさそうね(苦笑)」
ワーラット「問おう。貴様達は隊商の先鋒か?」
イオ「単独の冒険者だわ」
ワーラット「そうか……ならば用は無い。行け」
ソルカー「おっ?」
イオ「行けということは、通っていいということかしら?」
ワーラット「無論だ」
DM「そう言ってさっさと茂みの奥へ消えるね」
ストール「私が先頭を歩こう」
ソルカー「周囲を警戒しつつ抜ける」
 そそくさと通り抜ける冒険者達。
ソルカー「ああ〜怖ぇ(笑)」
カッセル「とりあえず『ありがとう』とお礼を言おう(笑)」
アストリッド「えええ〜!?(笑) そんなバカな……。私はいいけれど……(苦笑)」
カッセル「戦闘にならなかったのなら、それが一番いい」
イオ「今のは山賊だったと思うんだけどなぁ……と内心思いながらいるわけですが(苦笑)」
アストリッド「うんうん(苦笑)」
ソルカー「…………そうか!! 山賊を退治する意志がこのパーティーにあるかどうかって大事じゃね!?」
アストリッド「私は別に関らなくていいけど(笑)」
ソルカー「俺もいいけど(笑)」
イオ「私も……(笑)」

 乾いた笑いを浮かべつつ、カッセルと、対話において終始無言だったストールを見つめるイオとアストリッド。この視線の意味するトコロとは!? 続く!!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 気のいい兄ちゃんトアス。
 プレイヤー的には好きなタイプですが、キャラクターは思いっきり引いてます(笑)
 馴れ馴れしく体に触るなんて……。

 でも、人間関係に無頓着なのも考え物。



・カッセル
 トアスの話はどうにも引っかかる。
 大部分は正しいのだろうが、すべてを鵜呑みにするのは危険かもしれない。
 その人となりが分かっていればまだ対応も変わっていたかも知れないが……。
 昔から、知らない人の甘い言葉には気をつけろって言われてたからな。
 ただ、気をつけすぎたのかも知れない。今後はもう少し気をつけなければ。
 しかし、それよりもヤバかったのは山賊だ(苦笑
 まさかこの時した返答が元で、あんな事になるとは……。



・イオ
 トアスとは、真意看破の結果が疑心暗鬼につながり、自爆してしまいました。
「恩着せがましい言い方は、情報屋の常套手段ね。はいはい、みんなそういうのよね、と受け流して、お礼も敢えて言わないでおこう。生き馬の目を抜く時代だからしっかり用心……」
 賢しく振る舞おうとしているのが、逆に器を露呈してしまったというか……。

 こういう失敗をすると、プレイヤーである自分は落ち込むんですね。
 でも、そのたびに「これが正解、これが不正解とかなんてないから、自由にやればいいよ」と言ったDMの言葉を思い出して、前向きにがんばろう、という気持ちが沸いてくるんです。



・ストール
 ここで話を聞いていたら、今ごろどういう状況だったのだろう。現実以上に、ついifに思いをはせてしまう。そんなのも電源ゲームのRPG、AVGでは味わえない楽しいところですが。そして振ってしまった魔の数字。もう進み続けるしかないぜ!?



・ソルカー
 アホの子は知識判定であまり活躍所が無くて暇だな。
 今回は得意分野のはずの戦闘も回避の方向で動いてますけど(笑)

 体は丈夫でも病気は怖いよ!

■“赤き森”キャンペーン 第2回(パーティーレベル5) チャプター2

カッセル「今の目的は魔獣だから!」
ソルカー「先を急いだというわけか」
ストール「一応こちらに危害を加える気が無い相手に攻撃は……」
イオ「いやそれは……(苦笑)」
ソルカー「いいんですか? それ神様に仕える身としてはいいんですか?(笑)」
カッセル「誰彼構わず喧嘩売っていいわけじゃないし」
イオ「じゃあ二人の行動としてそれでいいのね? 今のは山賊だと思うけど?」
ストールカッセル「OK」
DM「ではストールとカッセルは、自分から神の加護が失われていくのを感じた」
ソルカー「やっぱりダメなのか(笑)」
アストリッドイオ(そりゃそうよね……)
DM「数多の商人達を襲って暴れてたっていう凶悪な噂を聞き及んでいた山賊を『自分達を襲う気が無いから』といった理由で、戦の神のパラディンとクレリックが見逃しちゃ、いかんよ」
 この世界の戦の神は、非戦闘員が戦いに巻込まれることから護ることも教義の一つです。
イオ「私が『山賊だと思うけど』って確認した時点で翻意してたら……?」
DM「間に合ったね」
イオ「パラディンが『山賊が襲って来なかったから見逃しました』ってのは、宗教やパラディンの規範に対する解釈の問題以前な気が……(苦笑)」
カッセル「ぶっちゃけ、信仰のことなんも考えてないで素だった……(汗)」
ソルカー「俺のキャラ自体は、この状況のヤバさをなんもわかってない(笑)(知力6」
カッセル「しまった……」
イオ「流れ的にはストール達が『いや待て!!』ってなる展開かと(笑)」
アストリッド「また面倒な事に……宗教ってこれだから……って台詞を準備してたのに(笑)」
ストール「すいませんあわあわ……」
DM「教義の解釈に左右される微妙な判断だったら、意地悪するつもりもないんで『ここでそうすると神は怒るかもよ』とか教えてあげたろうけど、今回はあまりにも明白だったからなぁ……」
ソルカー「まぁ俺もパラディンがこれはヤバいとは思う(笑)」
イオ「しかも見逃してくれたことにお礼まで言っちゃってたしねぇ」
カッセル「完全にダメだ……ダメなことに完全に納得した……マスター意地悪とかまったく思わない……」
DM「まぁでもストールとカッセルとしては『今は山賊よりも、魔獣に襲われている人々を助けることが大事だと苦渋の決断をした』という説明をつけることもできる」
ストール「ええ、自分としてもそのつもりでいました」
イオ「ただし大きな正義のために小さな悪を見逃したことも事実で、パラディンはそれが許されない辛いクラスなのよね」
DM「まぁ小さな悪だったかどうかはさておき、神様としては『目の前の悪を見逃してまで優先した以上、パラディンとしての力を失ったとしてもその目的を果たしてみせるがよい。その時、私はお前を赦すだろう』って感じかなぁ」
ストール「がんばります……!!」
 結局、ストールはその特殊能力を喪失。カッセルは呪文の威力を決める際の術者レベルが1下がることになった。カッセルのペナルティが大幅に軽いのは、パラディンほど規範が厳しくないから……以前の問題で、呪文発動能力そのものを弱体化させると、シナリオそのものがクリア出来なくなるからというのが大きい(笑)
DM「(素だったカッセルはともかく)ストール、お前は今『損ができる男』になったんだ。あとは目的を達成すればいいだけだ。まぁ失敗したら『大損する男』になるが! 民衆を守るという大義を選んだことを俺は責める気は無いぞ!」
 ワンダリングでの遭遇確率3%にしてた山賊団、まさか出番があるとは……。

ソルカー「まぁ帰る時にまだ山賊が討伐されてなかったとしたら、その時またどうするか考えよう」
ストール「どうかなアストリッド。我々は君を中心に集まったパーティー。つまり君がリーダーだ」
アストリッド「私の責任だっていうの?」
DM「下の者の不祥事は上の者が責任取らないとなってことか(笑)」
カッセル「山狩りしていいかどうかってことだよっ(笑)」
アストリッド「帰りにやるっていうなら、別にいいんじゃない」
 深刻な事態ではあったが、あまり気にした風もないアストリッド。
 だがそれは途中の宿場で山賊団が復活したことを警告した時までのことであった。
店主「パラディンが山賊を見逃したってことか!? 道理で不名誉印なんて付けてるわけだぜ!!」
 山賊復活の報は即座に早馬によって広められたのだが……。
DM「君達の噂も一緒になって広まり、行く先々の宿屋で冷や飯と汚い部屋しか用意して貰えなくなったね。当然お湯も無理で、身体を拭きたかったら冬の冷水だ」
 
アストリッド「…………冗談じゃないわよ!! これだから宗教って!!(笑)」
 ストールはかつて身内を失ったショックで道を見失い、仕えていた貴族からリストラされた過去があるのです。その辺の細かい設定とかも読みたいという酔狂な人はこっちだ越前!!

 そんなこんなでどうにか山を越え、フォアサイト子爵領の西の玄関口であるアイゲートはもうすぐだ!
DM「山道を抜けて視界が開けると、どうやら東の空、かなり遠くで空中戦が行われているようだ」
ソルカー「空中戦!?」
 
DM「なんか地表に向けてブレス吐いてる大型で三つ首のドラゴンみたいなのがいる。そしてそれに対してやっぱり空を飛んで立ち向かってる複数の人影も」
ソルカー「えええ!? なんか尻込みしたくなってきたぜ!? 3頭首? キングギドラじゃないですか!!」
DM「知識ロールの結果は『なんでワイヴァーンが首三つもあってしかもブレスまで吐いてるの?』って思った」
イオ「ワイヴァーン……っぽいんだけど……」
カッセル「…………我々の目的は人命救助だな(半笑)」
イオ「アレを倒せば当然人命救助よ(笑)」
カッセル「倒せればね!?(汗)」
ソルカー「敵はあれだけとは限らない!」
イオ「要するにもっと小物を相手にしようっていうの?(笑)」
ソルカー「ほら、襲われてる人にとっては敵が強いも弱いもないわけで……」
アストリッド「勝ち目の無さそうな相手に戦いを挑むより、着実にいきたいわね」
DM「かぁなわぁぬ敵ぃにも〜♪」
全員「ひとまずあ〜た〜れ〜!?」
 全員爆笑しつつ……。
ストール「我々は……飛べない」
 アストリッドはフライの呪文を使えるだけのレベルではあるが、今その準備は無いのだ。
 結局、とにかく話は到着してからだとなり、関所にゴール。
 例によって山賊スルーに起因する冷遇に切なくなりつつ、情報収集。
DM「どうもさっきの戦いはこの領地のお姫様が率いる一隊が行なっていたというのが、領民達の認識の様だ。魔法のプリンセスときめく予感」

イオ「それにしてもお姫様は凄いわねぇ」
衛兵「うむ。まだお若いのにご立派な事だ。フォアサイト領の未来は安泰だな」
 街の声も聞いてみよう。
市民A「確かに魔獣が発生しているが、姫様が帰って来てくれたんだ。すぐに一掃されるさ」
市民B「この前の時もそうだったんだ、今回だって楽勝さ」

アストリッド「大人気ね」
イオ「魔獣の発生が短期間で2回あって、前回はお姫様が退治したけど、今回は数が多過ぎて倒しきれないから私たちにもチャンスが回って来たってとこかしら」
カッセル「英雄マニアの血が騒ぐ!!」
ストール「困ってる人々を早く助けに行こう!!」
イオ「まずは城下町に行きましょう」

 
 その道中に遭遇したのはチョコボ……ではなく。
DM「なにやら西の方から猛ダッシュで突っ込んでくる大型の生物が。知識判定の結果、アケイライだとわかるね。高速戦闘と毒ガスを武器とする魔の鳥だ。飛べないけど」
カッセル「毒か! ディレイ・ポイズンのワンドならあるぜ!!」
 自前ではないので、パーティー全員にかけると銀貨1000枚近い出費(公式と価格計算違います)だが、大事をとって使用する。幸いなことに視界が開けてることでエンゲージまでに十分な時間があった。
 自慢の高速戦闘で右へ左へと前衛が振り回されつつも、強力な毒ガスが完全に防御されたとあっては決定打に欠けるアケイライに勝ち目は無く、時間こそかかったが撃破。
ソルカー「魔獣料理人としては料理したいところだが……さすがに毒ガス放出する奴の肉は危険過ぎるから我慢するぜ……」

 キャンペーン第2回にしていきなりパラディンが堕ちてしまう緊急事態! どうするどうするどうする!? 君ならどうする!? デンジマンはいないが後編に続く!!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 ストールとカッセルの堕落……。
 プレイヤーとしては分かっていただけに切ない!
 人間関係に無頓着&宗教嫌いのコンボが見事に決まってしまった。

 キャラクターとしては「気にしていない」のですが、やっぱり気になるよ!
 しかも、「宗教って面倒」と余計嫌いになってるはず……。
 何とかしたいものです。



・カッセル
 完全にやっちまった!
 英雄候補たるストールを騎士に復帰させるのが冒険の目的の一つのはずなのに!
 だが、これは完全に私のミス。我が神(戦勝神)は当然の事をされただけだ。
 堕ちたパラディンが特殊能力まで失う……。
 まさにどん底だが、英雄ならばここから復活できる!
 いや、復活するのが英雄なのだ!
 私はそれを手助けするのが役目。英雄が誕生する瞬間をこの目で!
 しかしワイヴァーンがブレス吐いてるのは泣けてくる(苦笑
 これを倒して英雄に……。今の我々では、死ぬ気で挑んでも倒すのは無理か。
 ならば当初の予定通り、人命救助を主にやっていこう。
 そして生きた英雄である姫様登場!
 可能であれば姫様をこの目で拝見したい。英雄譚をお聞きしたい。
 英雄好きの血が騒ぐ展開だぜ!!



・イオ
 なんか、ストールが堕ちたのは自分の監督不行届。指導者失格だ! みたいな口ぶりだけど、「襲わないでくれてありがとう」ってお礼を言ったのはカッセル、貴方よ。
 本来ならその咎、ストールよりももっと重いことを自覚なさい(笑)

 さて、トアスの掴んでいた情報は気になるものの、私たちもフォアサイトに到着。
 魔物の徘徊するこの地で私たちを待っているのはどんな事件?
 でも、空飛ぶドラゴンだけは勘弁ね!



・ストール
 ぐはっ。と言うわけで、見事に堕ちてしまいました……。この判断に至るまで主に3つぐらいの事が脳内を駆巡っていたのですが、結果について弁明できる点は全く無いです……。設定鑑みても……という、アレっぷり。反省。もうしないよ! たぶん! パラ道も日々勉強です。
 気取った語り口で責任なすり付け、すごくかっこわるい!(笑 そんなつもりは無かったんですよ。ほんとに。そして、宿屋の冷遇は悲しみの連鎖。自分が招いた事だからそれ自体はしかたないですが、仲間も思いっきり巻き込んでいるのが申し訳なく……。
 到着したと思えば、まさかの空中戦。正にレベルが違う戦いに度肝を抜かれました。状態的には、航空ショーでスモーク噴いてるのを見てすげえて言ってるようなもの。
 さて、明日はどっちでしょうか。



・ソルカー
 ストールが堕ちて一番の影響は聖獣メロスが呼べなくなったことなんだ……と前衛アタッカーは後に語る。
 がんばれ(元)パラディン!応援してるぞ。(他人事

 しかし前編の最後といい、空中戦を見たときの発言といい、筋力に似合わぬチキンハートを披露しすぎだ(笑
 それもこれも強そうに見えるフィギュアが悪いんじゃよー!
 敵わぬ敵にはステータスを上げてから挑むべし、と恋愛大将も言っていた(誰

■“赤き森”キャンペーン 第2回(パーティーレベル5) チャプター3

 城で現状の説明を受けると、現在周辺の冒険者が魔獣目当てに集まってきており、各パーティーがこぞって討伐している状態とのこと。
 領主も通常戦力以外に噂の姫様率いる部隊も出撃しており、獲物は早い者勝ち状態なのでよろしくメカドック。
DM「倒した魔獣の死体を持って来れば色付けて買い取る……つまり褒賞金を渡すとも言う」
ソルカー「なにぃ! 俺が料理できんじゃないか!!」
イオ「首とか、部分的はダメなのかしら?」
DM「魔獣は複数の動物の特徴を備えているものが多いし、未知の魔獣だった場合にも適正な褒賞金算定に必要だから、一部だと大幅に価値を下落させるとさ」
イオ「まぁたしかにキメラ倒してヤギの首だけ持って来られても困るでしょうねぇ……」
アストリッド「シュリンクアイテム必須ね」

 持ち込んだ魔獣の褒賞査定が終わるのは翌朝なので、次は城下町で情報収集。
イオ「この土地の正規軍は戦ってるのかしら?」
DM「噂の姫様達が機動戦力として東奔西走しているらしい」
イオ「他に戦力はいないの?」
DM「フォアサイト領を南に抜けてヴィーリオンとの国境に面している帝国直轄領まで行けば、最前線ということもあって、独立第501重呪甲装兵大隊という精鋭部隊なんかも含む騎士軍集団が駐留している。まぁフォアサイト領存亡の危機とかにまで発展したら、それが出張ってくるのかもしれないね(笑)」
ストール「騎士団がいるのか……」
イオ「つまり、あんまり南に行き過ぎても帝国直轄部隊が治安維持してるから無駄足ってことね」

 こんな感じの基礎情報は伝えた後、聞き込みロールプレイ。

イオ「今日フォアサイト領についたばかりなんだけど、まだ魔物はいるかしらね?」
衛兵「……残念ながらな」
イオ「た、たしかにちょっと不謹慎だったわ(苦笑)」
DM「ムッとしてるね(笑)」
イオ「ごめんなさい! …………第一印象最悪だわ」
 全員爆笑。
イオ「お姫様は大活躍らしいけれど、彼女たちの手が回らないような場所はどの辺にあるかしらね?」
衛兵「そもそも俺が姫様の行動を把握しているわけないだろ」
イオ「そりゃそうよねぇ……(苦笑)」
 単なる下っ端兵士である。
イオ「なんでこんなことになっちゃったのかしらねぇ?」
衛兵「……だから今ソレを姫様ががんばって調べて解決してくださっているんだろう!」
アストリッド「やっぱりなんでも『姫様』ねぇ……」

 南の森でデカいドラゴンが大暴れしたという情報を入手。さらには他の冒険者にも聞き込みをすると……。
イオ「魔物はそんなにタチが悪いの?」
冒険者「ああそうだな。もう何組も全滅しているらしいぜ。悪いこたぁ言わねぇ、とっとと帰りな」
イオ「私たちくらいじゃえーとその……」
アストリッド「いつになく弱気な(笑)」
カッセル「情報役がんばってくれよ(笑)」
DM「しょうがないって。プレイヤーはプロじゃないんだから。スラスラ出てこなくても、実際にはそんなことないって考慮しないとね(笑)」
イオ「あら私たちじゃ力不足だっていうの?」
冒険者「さっきの空中戦、お前らも見たんだろう? あれを倒すたぁここの姫様とやらも大したもんだな」
イオ「ええ、そうね。いきなりの大立ち回りにビックリしたわ」
冒険者「ま、今回のヤマで稼ごうと思ったらそれに見合った腕も必要ってことだ。お前ら、そこんところ大丈夫なのか?」
イオ「そうねぇ……見合った腕っていうのは具体的にどのくらいかしらね?」
冒険者「そうだなぁ。ま、あの戦いを見てビビらないくらいじゃないとな」
イオ「なるほどね(うち、二人くらい思いっきり尻込みしてたわね……)」

 他に選択肢も無いので、一抹の不安を覚えながらも森に分け入っていく。

 
 しばらく進むとなにやら遠くにふよふよ浮かぶ怪しい球体。一部のプレイヤーから上がる悲鳴(笑)
DM「こっちの不意討ちなんで、目からビーム!!」
 基本的に重装鎧着て隠れ身技能も無い重戦士と団体行動しているので、通常は一方的に接近を察知され、待ち伏せする意図がある敵にはまずもって不意討ちされるという。それを回避するにはローグ役が先行偵察すればいいのだが、それでも敵に探知されて単独行道中に襲われる危険を考えると、怖くてなかなかできないのだ(時にはそれでもやるべき状況はあるわけだが)。
 無論、呪文に頼れば幾らでも対策は取れるのがファンタジーのポテンシャル。だが直接戦闘能力とのトレードオフゆえ匙加減の見極めが必要だし、使い捨てのスクロールやポーションの投入にはコスト・パフォーマンスという壁が立ち塞がる。
ソルカー「なんだ!? 急に息が切れたぜ!! つーか装備の重さを支えきれないから倒れる!」
DM「過労光線の威力を見たか! 続いて目からビーム! 目からビーム! 目からビームにょ!!」
 合計4発のビームが照射され、パーティーを襲う!!
 ちなみに過労状態は筋力と移動力が下がるので、重戦士なんかは荷物の重さに耐え切れなくなる場合が往々にしてある。
イオ「幻影の壁を作って視界を遮るわ!!」
 ガウスの眼前に密集した木々の幻を創り出す。
DM「ふっふっふっ。アストリッドの遠距離火力が一番の恐怖だったが、これで助かったぜ!!」
 と、敢えて「やっちゃった」ことを伝える優しさを発揮しつつ(えー
DM「移動アクションで幻影の端からフリーアクションでビームビーム。標準アクションで幻影の遮蔽に退避」
イオ「うっ……」
DM「目からビーム目からビーム目からビィィィィィィム!!!」
 数ラウンド後、不利を認めたイオが幻影を解いた頃には前衛が無力化され、間合いを詰めて来たガウスがアストリッドに集中砲火。驚異的なダイス目の良さでどうにか耐え凌いで反撃の攻撃呪文を叩き込むが、時既に遅し。

 
 アストリッドが過労+麻痺というにっちもさっちもどーにもブルドックな状況。
 いやもう彼女だけではない、既にパーティーは過労するか麻痺するか、どっちもかってな状態で壊滅しており、誰の目から見ても敗色濃厚。逃げることすら不可能な為、玉砕覚悟で戦い続けるしかない状況であった。
 なお、知識判定にはそれなりに成功していた。
DM「奴の名はガウス。魔眼の暴君ビホルダーの下位種であり、ビホルダーほどではないが様々な光線を放つ厄介な敵だ。この種族は自尊心と残虐性の高さでも知られる」
 脅威度は6と、レベルを考えたら手頃な敵の筈なのだが……遭遇時にあがった悲鳴は、他のキャンペーンでボコボコにされたプレイヤーのものである(笑)

 
 そんな壊滅に至る過程。
DM「熱線ビームをイオに! 13ダメージ!!」
イオ「こ、昏倒……」
カッセル「今助けるぞ! キュアだ!!」
イオ「いや、あの私を回復してくれても、特に有効な手段残って無いわよ?」
DM「麻痺ビームをイオに!!」
カッセル「最後のリムーヴ・パラリシスだ!! イオを癒すぞ!!」
イオ「だから期待されても困るんだけど……それでアストリッド回復した方が……」
DM「邪魔なカッセルにも麻痺ビーム!!」
カッセル「セーヴ失敗。そ、それでやられたぜ……!!」
イオ「私を助けてもどうにもならないって言ってたでしょ!?」
カッセル「イオ助けるしかないと思ったんだよぉっ!」
DM「君には聞く耳が無いのか(苦笑)」

 最早行動可能なのはイオのみ!
ソルカー「あれ〜? 俺今日一発も殴ってなくね〜?(笑)」
 全員麻痺か寝るか過労で事実上無力化状態。

 かように壊滅するまでにガウスにもかなりの深手を負わせているが、イオは次攻撃されたらかなりヤバい絶体絶命のピンチ。そして彼女にはもう無駄を承知でライトクロスボウを撃つくらいしか、出来ることがない。
ガウス「そろそろ終いというところか? なかなかの退屈しのぎであった」
DM「一応大陸語を喋っているんだけど、キャラクターが聞いている分には物凄く古い言い回しだと脳内変換してくれ。知識歴史がある程度無いと理解しきれないくらい」
イオ「退屈しのぎで殺されたくはないわね……」
ガウス「で、あろうな。いいだろう。愉しませてくれた褒美だ。見逃してやろうではないか」
イオ「……お礼は言わないわ」
ガウス「不遜だな……では死ね」
ソルカー「えええええ!?」
カッセル「ハハハハハハ……」
ソルカー「マジで!?」
DM「ガウスは自尊心が凄く高いからね」
(でもガウスが慈悲深いのは珍しく、ここで見逃すのは『かなり不自然』な状況。ぶっちゃけ伏線)
イオ「しまった……しまった……かっこよく決めようとしたら!!」
DM「まぁ今すぐ音速土下座すれば間に合うよ(笑)」
イオ「しません!
ソルカー「あええええ!?」
 その時他のプレイヤー達の顔、お見せしたい(笑)
 何が起きたかわからないって感じで、唖然となっていたよ!

DM「ああ、じゃあ死ぬんだ……?」
イオ「あーあ……」
DM「それでは熱線……命中で14点」
イオ「ミスったかなぁ……」
 仲間達、物凄い苦笑い(笑)
DM「二発目のビーム……で、命乞いする気になった?」
イオ「しますさせてください音速土下座!!!」

 危うく美人薄命(どころか仲間も道連れ)になるところだったイオ! 他のプレイヤーに平謝りだった!(笑)


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 どうしたのイオ!!
 ガウスとのやり取りは……なんていうか、その……。
 当時、現場にいた人しか分からないってレベルでもなく、不可解でした(笑)

 この後しばらくイオの行動が話題になったのは当然として、陰に隠れて酷いことしているカッセル……。
 私を治療しなさいよ!

 何もそんな所まで地味で無くてもいいのに(笑)



・カッセル
 今回はイオ回でしたな(笑
 聞き込みの時は、多少助言できたかも……。と反省。
 # 話し合いの場にいないと、具体的な指示(「こう聞いて!」とか)を出せないのだ!
 この回の最大の問題は……ガウスだな(苦笑
 空飛んで通常攻撃と戦闘補助を使い分けられる時点で(今の我々では)強敵決定。
 倒せればそこそこ名声は上がったかも。
 次回見つけたら正々堂々と倒してやるぜ!



・イオ
 イオの本領、情報収集! ……のはずなのだけど、どうも裏目。
 とりあえず、あてもなく周辺を調べるくらいしか選択肢がない。
 わくわく魔獣ランドでの冒険は、こんな賞金稼ぎで終わるようなはずでは……。

 寛大なガウス。
 それなら、お約束を決めても問題ないよね。

「……礼は言わないわ」
「では死ね」

 ……あれ? あれれ?
 どうして!?

 ついかっとなってやった。今は反省している。



・ストール
 >元パラディン
 否、確かに堕ちてしまいましたが、心はパラディン! 人々のために戦うぜぇ〜。
 立ちはだかるはガウス! たしかに遠距離火力は封じられてしまったが、それはお互いの事。間合いが詰めて行けば何とかならないことも無いっ……と思っていた時期が、私にもありました。
 そして、敵対する相手へ礼は言わないその意気は良しなイオ。たしかにこのやり取りはカッコイイ、ですが相手が悪かった。
 ちなみにこれがパラディンであれば、脅威においそれと折れる訳にはいかない心と、仲間の命を見捨てるわけには行かない心で悩ましい事になります。いまだに答は出ず。



・ソルカー
 交渉上手でパーティの顔として、時に引き、時に突っ張るその駆け引きで非常に心強い存在であるイオ。
 でもさすがに命の天秤にはそれなりの引きで対応してくれよ……、心からそう思った。

 そしてこんな時にこそ、演じない素の言葉が最高のロールプレイとなる。

『あー、死ぬかと思った』(安堵の笑い