■“赤き森”キャンペーン 第1回(パーティーレベル5)

 上手くすれば月二回位はやれそうなTRPG部の暇人余裕のある人対象で立ち上げた新キャンペーン。
 ……の筈なのだがさすがに年末は色々アレで次回のプレイは来年だがな!

 以下こんな感じのオリジナル世界(=オナニー)における設定解説がプレイヤーになされつつ……。
 かつてリュートリオンと呼ばれた現フリューゲルベルク伯爵領。その中でももっとも南部に位置する、まだ建設されて二年ほどしか経過していない小城塞都市ロートヴァルト。ヴィーリオンとも隣接するそこは、まさに竜と人双方への最前線であった……。
 今回の特徴としては「今までは『キャラクター性は後から付いてくるよ』と」と事前のキャラ設定構築は深く突っ込まなかったのに対し「キッチリと今日に至るまでの背景を設定しようぜ」とかなりあーだこーだ話合っている点が挙げられる。最終的にかなりの文量になった!
 が、これを読んでる人にそんなの延々解説するのもアレなんで割愛だ!(えー

ソルカー ファイター4/レンジャー1 グレートソードを携えたスタンダード戦士。趣味はモンスター料理。知力6。
ストール パラディン5 ハルバードを愛用する戦の神の聖騎士。呪文能力を捨てた判断力6。
イオ バード3/スカウト2 脅威のポイントバイ60越えパラメータを誇る天才。一番低いのは耐久の12だ!
カッセル クレリック5 戦の神を信仰するが、己の地味さの反動で英雄に対する憧れに生きる。
アストリッド ウィザード5 ロストテクノロジーの復活を夢見る眼鏡の愛書狂。炎の呪文を得意とする力術専門家。

 
 竜が支配する広大なる樹海に好奇心から足を踏み入れたパーティー。ソルカーは「魔獣を料理出来るチャンスだぜ!」と鼻息も荒く、イオは「未知の世界って素敵だわ」とウットリ。
DM「ではランダムエンカウントを振るがよい……いきなりキツい目出すねぇ」
 というわけで現われたのは妖しい樹、
DM「接近してきたストールに霜がまとわりついてダメージを与える」
ストール「くぅ、寒いぜ!」
ソルカー「レンジャーでもあるんで知識ロールに成功! 皆、気をつけろ! こいつは冷気を操るぞ!」
全員「もう知ってるよ!!」
DM「妖樹を中心にエンタングルが発動する。反応セーヴだ!」
 絡めとられる前衛達。ただでさえ不整地である密林で移動力が低下している中、セーヴに成功しててすら絡みつく蔦によって移動力は半分になる。ぶっちゃけ重装鎧組は全力移動ですら2マスしか進めない。
DM「んじゃこっちは5フィートステップで下がる」
全員「動けるんかい!!」
DM「動けるんだよ! こういった地形ならキミらよりもよっぽど軽快にな!」
アストリッド「でも氷のモンスターなら、炎に弱いはず! 呪文焦熱化したケルゴアズ・ファイアー・ボルト!!」
DM「察しのとおり炎に脆弱だから、ダメージ1.5倍で……35点!? 熱いぜ熱くて死ぬぜ!!」
 さすがは炎の呪文に特化していると謳うだけあるぜ。しかも一人だけ最後尾ゆえにエンタングルの継続的な絡みつかれ範囲から脱出できてた為、呪文をフリーハンドで使用可能。
カッセル「絡みつかれから脱出を試みる……も失敗」
アストリッド「今度はファイアボール。反応セーヴどうぞ」
DM「なんせ樹だからな……失敗」
 敵を攻撃するどころか身動きもままならない前衛が、凍死寸前まで追い詰められて絶望的な足掻きをする中、連打される爆炎攻撃!
DM「うむ。敵は撤退します。このままじゃ薪にされる」
イオ「どうにか凌いだけれど……消耗し過ぎたから撤退しかない」

 結局最初の遭遇でUターン。

DM「ところでさ……アストリッドはそのフィギュアなのに『一人だけ絡みつかれない』ってのはどんだけ空気が読めてないんだよ! おかしいだろ!」

 
 翌日のランダムエンカウント。一回目は何事もなく、二回目で……。
DM「いま98と申したか? 98と?」
 というわけでセットされたのは画像のフィギュア。
イオ「知識ロール……パーティーの最大で12」
DM「えええ。いやまぁそれでもドラゴンであることぐらいは知ってていいよ。こちらは視認および隠れ身が非常に高いので、結構近くまで待ち伏せが……視認20? じゃあもうブレスの射程範囲に踏み込んでる」
全員「ひぃぃぃぃ!!」
 吹き荒れる吹雪のブレスに大ダメージを被る冒険者達。
 こりゃヤバいだろ! 勝てないだろ! でも逃げれないだろ! もうどうしよう!?
 そんな阿鼻叫喚の右往左往ぶりを発揮しつつ、時間切れ。
 明確な方針も定まらないまま、ドラゴンが自ら白兵戦を挑んできたのでなしくずし的に突入。
ソルカー「いきなりドラゴンステーキを作れるチャンスが巡って来たぜ! ぶった斬る!!」
 DM的にもこれは勝てない戦いであった。火炎を得意とするアストリッドが攻撃呪文を連発し、ドラゴンがHP半分ほど削られたら「大事をとって撤退する」という流れを想定して用意したエンカウントである。
 しかしそんな同情めいた痛み分けなど神は望まなかったようだ。
 この戦闘においてソルカーが叩き出した攻撃ロールのダイス目は……「18、19、17、20、15、18」であり、脅威の5回命中。ヘイストによって攻撃回数が二回になっていたことから、攻撃呪文と合わせて僅か3ラウンドで100ダメージ以上を叩き込まれるに至る。
DM「ヤベェ! このままブレス吐けばアストリッドを筆頭に何人か殺せるだろうし、次の攻撃がそうそう当たってたまるかとも思うのだが! ダイス目なんてわからんからな! 恐ろしい確率で自分に有効打を与えてくる戦士相手にこれ以上踏んばっても分が悪過ぎると判断して、撤退だ!」
仲間達「凄いぜソルカー! なんて頼れる男なんだ! ドラゴン相手に凄い斬撃!!」
ソルカー(ふぅ……なんか妙に調子が良くて自分でも怖いが否定はしないでおくぜ……)
 なんせキャラクターもダイス目なんてわからんからな(笑)

 で、ドラゴン側も「単身」であり「呪文による強化も最低限」という実に「全力全開」とは程遠い状態だったとはいえ、ここまで追い詰められるとは本気で予想外。見せて貰ったぜ。人間の可能性って奴をな!

 
 ドラゴン戦で完全に燃え尽きた三日目。トロール兄弟の縄張りに足を踏み入れる冒険者。
アストリッド「近づかれる前に削ります! ファイアボール発射!」
 号砲一発、カッセルをバックアップに斬り込んだソルカーを挟撃が襲う!
DM「ようこそ、殺し間へ。挟撃ボーナス+2で三回攻撃だ! 爪二回命中! かきむしり発動で追加ダメージ! 9、8、17ダメージ! 噛み付きは外れ!」(左写真)
ソルカー「大ダメージだ! …………しかもこの間合い、攻撃する為にどう動いても機会攻撃!?」
アストリッド「あとトロル二体をファイアボールに捉えようと思ったら、絶対にソルカーを巻込んじゃうよっ!」
DM「ふっふっふっ。なんかこいつらそこまで賢くないから『てきとーに一番近く挟撃できる位置』に移動したら理想的なポジショニングになったぜ!」
イオ「深く考えないで突出させ過ぎちゃったかも!」
 カッセルの掩護も虚しく、あえなく昏倒してしまうソルカー。
 後衛から駆け付けたストールが決死の戦線維持を試みるも、集中ではなくダメージが分散する戦い方に加え、機動力を殺される戦場において間合いの長いロングハルバードは容易に間合を詰められてしまう為、思うように戦うことができない。肉薄されての組み付きにエンラージパーソンで巨大化して対抗し、スパイクドガントレットで応戦するが限界なのは誰の目にも明らかであった。
ストール「くそっ! このままでは負ける! メロスを召喚します!」
 そう、パラディンである彼は「特別な乗騎」として聖なる軍馬を天界より召喚できるのだ! その名もメロス!
メロス「苦戦しているようだな、主よ。我が力が必要か」(右写真)
DM「と、大塚明夫ボイスで」
アストリッド「また凄いカッコイイキャラになっちゃってるよ!?」
メロス「なんなら倒してしまって構わんのだろう?」
アストリッド「どうぞどうぞ!!」
メロス「我が聖なる蹄を喰らえ!! 必殺、悪を討つ一撃!!」
 というわけで組み付かれて瀕死の主を救わんと放った特殊能力を乗せた一撃は、なんとクリティカルヒット。強力な再生能力を持つゆえに一向に倒れる気配が無かったトロルに対し、三回攻撃のことごとくを命中させる。次の手番もコンスタントにダメージを与え、昏倒に追いやる。
全員「つ、つええ! 凄いぞ、馬!!」
 が、もう一体のフリーな弟トロルによってストールは昏倒。
イオ「倒れたトロルに錬金術の炎を投げ付けます」
 トロルは炎や酸以外の攻撃は非致傷ダメージになってしまうのだ。
トロル「こ、これ以上あんちゃんを焼くな! 焼くならそこに倒れてる奴を殺すぞ!!」
 そう。ストールは弟トロルの「トドメの一撃」範囲内で昏倒しているのだ。
イオ「ううう、やっぱりこのパターンかぁ……」
 そう。ワダツミマスタリングにおいて「敵が絶対に勝ち目がないのに死ぬまで戦い続ける」ことは稀で、特に「ここで退いたところで致命的な問題にならない」状況においては逃げるなり取り引きなりを持ちかけるのが通例なのである。
 既に昏倒してからだいぶ時間が経ち、いつ出血多量で死ぬやも知れないソルカー。そして同様に出血を続けているストールがいる現状で……。
DM「長考するとラウンド経過させるので、そのつもりで交渉してね」
イオ「こ、ここはお互い痛み分けということで手を引いてもらえないかしら?」
トロル「お前ら俺達の縄張りに入ってきた! なにもしてないのに火の玉飛ばして来た! お前ら悪い!」
イオ「そっちが襲ってきたんでしょ!? 取り引きに応じないならまたファイアボールで吹き飛ばすわよ!」
トロル「俺達縄張りに入って来た奴に近付いただけ! なのに火の玉! お前ら悪い!」
アストリッド「武器構えて近付いて来たら襲われるって思うわよ!」
DM「あ、巨人語喋れないならイオに通訳してもらわないとダメだよ」
イオ「くぅぅぅ。頭が悪いと自分のこと棚上げてる自覚もないから取り引きにならないわ! じゃあどうすれば許してもらえるわけ!?」
DM(いやまぁキミらが他者の生活圏に土足で踏み込んでるのは事実なのだが……(笑))
トロル「貢物として宝石をよこせ」
 要求に対してあーだこーだ相談するイオ、アストリッド、カッセル。宝石なんて持っていないからどうしたもんかと。
トロル「宝石が無いなら金貨でもいいぞ」
(この世界の基本通貨は銀貨で、金貨はその100倍の価値。プレートアーマーは銀貨1500枚で、+1の武器は銀貨2300枚くらい。普通のロングソードなら銀貨15枚)
アストリッド「プレスティディジテイションで偽物作って渡せばいいんじゃない?」
イオ「宝石なんて無いしね……しょうがないか……」
アストリッド「じゃあプレスティディジテイションを唱えます」
DM「呪文の詠唱が聞こえるや否や、ストールは殺された……けど?」
アストリッド「…………え?」
DM「呪文の見分けなんて付かないから、ファイアボール唱えられると思ったんだろうね。金貨持ってるのに〜」
イオ「…………えええ? いやいや金貨!? え、持ってたの!?」
DM「アストリッド、持ってるよね? で、それをケチったってことなんじゃ?」
アストリッド「そうですねぇ……」
イオ「あああえーとえーとゴメン! 『金貨でもいい』って台詞聞いてなかった! キャラ的にはそれを通訳してる筈なんで、絶対知ってるんだけどプレイヤーが聞いてなかった! 金貨でいいなら、魔法で誤魔化そうとなんてしないで払わせてた!」
DM「(暫し考え)……んー、それでキャラが死んでも嫌だろうし、俺もキャラが死んで楽しいことなんて無いしね。OK。巻き戻そう」
 結果、金貨一枚とカッセルの持っていた銀の槍を戦利品に手打ちとなるのであった。

「宝石がない時点で、こちらから『これはどうだ』と、何か提案するべきなので、『金貨でもいい』を聞いてなかったのはいいわけにならないんのよね〜」
 とはこのレポートを読んだあとでのプレイヤーの弁。

 
 ランダムエンカウントのダイス目の尖がり具合がハンパではなく、DMの想定を上回るデンジャラスゾーンぶりで襲いかかる森の仲間達。
 当然キャラ達はそんな不運さなど知る由もなく、「話に聞くのと実際では大違いだ!」と戦慄する(笑)
 酒場で先人達にこれまでのことを話し、情報を集めるのであった。
 そしてそしてピントが後ろのメンツになってるのにショックを受けるワダツミであった(えー
 ほんとは屋内用のミニチュアもあるんだけど、時間が押してたので涙の仮設。
 情報収集の結果、運が悪かっただけのようだという結論に達して「明日からは獲物を仕留められるさ!」と前向きに就寝。

 
 ダイアボアや巨大カマキリと戦い、その日のプレイは終了したのであった。
「ボタン鍋を作るぜ!」と意気揚々な料理ファイターのダイス目は次のプレイまでおあずけだ!