■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第10回(パーティーレベル6) チャプター1 ラダラス ウーイァン6 ランデック スカウト6 ブレイズ ダスクブレード6 シアン ナイト5/アリストクラート1 ルカ フェイヴァード・ソウル6 テキストの密度が異様でキモいです。 ルカ「謝ることはない。罠が巧妙に隠されていたのだろう。調べても発見できなかったのなら、仕方ない。おまえも好きで穴に落ちたわけではあるまいに、そんなに気に病むな」 ランデック「あ、あぁ……そ、そういってくれると……(はったりロール大失敗)」 ルカ「……ん? 貴様、まさか……」 ランデック「じ、実は……弓を……失いたくなくて……わざと落ちて……てへ」 発覚。思いっきりぶん殴られるランデックであった。 ルカ「危険な先導役のお前を、仲間の誰をも、自分の非力で失うようなことはもうしたくないんだ……頼むよ」 ストーンシンガーを売却しても、シュリンク・アイテムのポーション代が倍額で銀貨1500枚と洒落にならないハイプライス。このまま酒保商人シュプリック商会から他も倍額で購入しては最低限の装備すら整えられない現実が明白となり、往復三日ほどかけて近くの街まで買い出しに行くことになる。 ルカ「安価な一般装備品に遠慮はするな。だが銀の武器まで来ると難しい。晩酌はほどほどにな。打ったり買ったりは諦めてくれ」 ちなみに銀の武器も魔法の武器の20分の1以下と非常に安価な部類に入るのだが……全部貧乏が悪いんだぁぁぁぁぁぁ!! DM「君達が野営をしていると、シュプリックから呼集が掛かった。集まった残余のクーゲルに対し、彼は粛々とこう告げる」 クーゲルとは剣と魔法がバランスよく編成された、諸兵化連合な少数精鋭傭兵部隊の俗称。正式には独立混成傭兵。 冒険者スタイルとも言われているが、この世界では冒険者と傭兵は明確に区別されています。民間人の感覚的には大差無い扱いの場合が多々在るものの、雇用主側としては(笑) シュプリック「先程領主様より手紙が届きまして……」 DM「大仰に溜め息をつき、残念そうにする」 シュプリック「既に二ヶ月以上が経過し、領主様が現在の複数クーゲル競合による討伐を中止されることになりました。これまでに得られた利益をもとに、おそらくより上位のクーゲルが派遣されることでしょう。まぁこれはあくまで私見でありますが。なにはともあれ皆様、おつかれさまでした。私共も明日早々に引き払いますので、今宵が共に過す最後の夜となることでしょう」 ルカ「戦勝神の寵児よと持て囃され、勇者を気取って戦ってきた。自らが規範となる戦いを世に示すと、息巻いてやってきた結果がこのざまか……」 ブレイズ「……冷や水を浴びせられたように激しいショックを受け、後悔と反省の最中にいますよ。シアンの資金を使ってまでも、任務の成功を優先すべきであったかもしれないと。競争相手がいる中で、自分の力を発揮することと誇示に気を取られてしまった。これでは師に追いつくどころか、その名声に傷を付けかねない……」 ルカ「シュプリック殿、我々は不案内ゆえ、一つ確認させて欲しい。明朝あなた方が引き払ってから、新たなクーゲルが到着するまで、この洞窟はどうなるのだ? 魔物が移動したり飛び出すような危険はないだろうか?」 シュプリック「正直どうしようもありませんね。残念ながら。それは貴方達も御存知でしょう?」 DM「といって肩を竦める」 シュプリック「入口は飾りなんです。山全部を監視なんて出来ない以上、我々にできることは限られますよ。この場所に陣取り、毎日攻撃を続けて『外に出る余裕を失くす』ようにするのが精一杯じゃないですかね。撤退を追撃して来たところを撃退したことはありますが、野営地が入口以外の場所から出現した敵に奇襲を受けたことはありません。まぁ、そもそもそんな必要が無いからかもしれませんけれど」 DM「サラッと言ってのける」 シュプリック「我々がいなくなった途端、ここぞとばかりに入口から溢れ出る必要……どのくらいあると思いますか?」 シアン(つまり、敵の“残党”が立て籠る洞窟の制圧競争ではなくて、総力戦で戦力を削りとるのが目的のミッションだったのですね……。そして、その過程で得た戦利品を資金とすることで、本命となる上位クーゲル雇う。すなわち、私たちは最初から殲滅を期待されてなどいない露払いだった……) 基本的にPCの()内台詞は独白。キャラには聞こえてないけどプレイヤーやDMには聞こえている場合や、後から「さっきどんなこと考えてたの?」と質問して判明したりもする。一方のDMの()内台詞は思ってるだけで口にしておらず、プレイヤーはレポを読んで初めて知るケースが大半。残りはプレイ終了後の感想トーク時であろうか。 シアン「シュプリック殿、私も一つ聞きたい事があるのですが。我々はここに竜側の勢力が立てこもり続けているという話を聞いてやってきました。では、その勢力達がなぜこのような場所に立てこもる事になったのかの経緯なりを、契約発生当初からこの野営地を取り仕切られているあなたは知っているのでしょうか? 初めから予想される戦力では倒しきる事が出来ず、かつそこから外部への襲撃がないと言い切れる……ここに巣食う者達の正体を、あなたは知っているというのですか?」 ちなみにラングからの手紙には「詳しいことは現地で聞いてくれ」と書いてあったのだが、実際に到着してから詳しい経緯を確認するようなことは無かった。 シュプリック「ふむ……なるほど……『自分達が敵を倒せないのは、そもそも敵が強過ぎたからだ』、そう仰しゃりたいので? それと私がいつ『外部への襲撃が無い』と断言しましたか?」 DM「他のクーゲル達があからさまに嘲笑う」 外野「おいおい、騎士様御一行が遂に逆ギレかぁ!?」 外野「あたくちたちじゃ敵のことわからないからおちえてほちいでちゅー」 外野「そりゃ毎度あんだけお早いお帰りじゃ無理もねぇ!!」 シアン「失礼、『野営地が奇襲を受ける必要が無い』と仰られたので、何かその根拠があるのかと思い伺ったのです。敵が強過ぎた、というよりかは、ここにいる我々全員の目的が最初から制圧ではなかった、と言う事の確認をしたかっただけです」 シュプリック「シュティークロート卿はなにか誤解をされていらっしゃる……私は決して今回の件に携わった傭兵の皆様を愚弄するつもりは無かったのですが……シュティークロート卿の『自らに落ち度は無かった。最初から“我々”の実力では無理な話だったのだ』というが如きお言葉は、些か看過し難い暴言で御座いますな。他のクーゲルが、皆貴女方の様にこの場と街を往復していたわけでは無いのですから。口にされるのは自嘲だけに留めておく方がよろしいかと」 そしてシュプリックさん、「今さらなにを言ってるんだ? そんなことも把握してないのか?」という感情から、敢えて刺々しい「やり返し」をしております。 ルカ「シュティークロート卿! 貴女の気持ちは察する。私とて、無念でならないのだ。だが、貴女は一方的に言葉の意図を断定し、それを糾弾しようとしている」 ブレイズ「シアン、落ち着いてくれ。自分たちの失態の焦りをぶつけても何もならない」 シアン「……皆さん……すみません、私も取り乱していたようです。疲れを言い訳になど出来ませんね。まだ私も未熟です……。シュプリック殿、改めて申し訳ない。私が誤解した事であなたを侮辱してしまった事を謝罪します」 ルカ「シアン、謝るのはシュプリック殿だけでいいのか?」 ブレイズ「君の言葉はまわりにも影響を及ぼしているのだぞ? まわりを見てみろ」 シアン「きょろきょろ…………なんか皆さん殺気立ってらっしゃいますね」 ブレイズ「ヤバい、イラッと来る(笑)」 ランデック「とりあえず周りの人にも謝っとけ?」 シアン「まぁ……そうですね……一緒に侮辱してしまったようですし……」 外野「とっとと失せろビッチがーっ!」 外野「これだから騎士様は口先だけでなにもできねぇんだよ!!」 シアン「むぅっ!?」 ブレイズ「シアン、挑発に乗るんじゃないぞ」 外野「シュティークロート家かぁ! 憶えとくぜ! ヘ・タ・レ・の・家・系、だってなぁ!!」 ランデック「今は抑えろ、今は抑えるんだ! 武器に手をかけちゃダメだ!!(笑)」 ブレイズ「こんな安い挑発に乗るんじゃない!」 シアン「私のことはともかく、家を愚弄するのは!!」 ルカ「家名を背負っている自覚が無いのか……。騎士としてそれを自覚しなさい」 ブレイズ「私がなにをしようと家とは関係無い、とはいかないんだぞ(笑)」 窘めに過ぎなかったこの言葉の重みを、彼らは後に嫌というほど思い知ることになる。 険悪な空気の中解散し、テントに戻る。 シアン「皆さん! もうタイムアップなのでしょうか? 今夜、最後の挑戦をしてはいけないのでしょうか? まだ間に合いませんか?」 ランデック「俺もその意見に賛成だ。奴らに一矢報いないと来た価値が無い! 洞窟の中なら昼でも夜でも大差無いしな!」 ブレイズ「今ならばまだ間に合うかもしれない。だが、我々は着いたばかりで、休息を必要としているのもまた事実。危険は前回の比ではないが、皆はどう思う?」 ルカ「他のクーゲルは二ヶ月にわたってこの洞窟に挑んできた。後発の我々がしたことは何か? 未だに入り口付近でうろうろし、無様に数回の撤退を繰り返しただけだ。装備どころか体調すら万全ではないこの状態で、既に後任に託される事となったこの任務にあと1回挑みたいという。その意図と勝算、それはどこにあるのか、問いたい」 シアン「さきほど話を聞いた限り、周囲への危険は少ないようですね。確かに気にはなりますが、今の我々の状態から無理をする事は皆さんを再び危険に晒す事になる以上、私は最後の挑戦に賛成出来かねます……」 ブレイズ「なん……だと……!?(唖然)」 DM(自分から言い出したのにーっ!? ガガーン!! さすがシアン!!) ブレイズ「私は師の名を貶めるような行為をしてしまった……。今更だとしても、できることがあるのなら帰る訳にはいかない。自己満足かもしれないが、気付いた以上は行動したいんだ」 ランデック「まず意図。我々の資金は底をついている。このまま次の冒険に行っても準備ができず、危険度が増す事が容易に想像できる。少なくとも次の冒険の資金を溜めるまでここで戦うのもいいのではないか? オレ自身もこのダンジョンに一矢報いたい所だしな。そして勝算。まったく未知のダンジョンに踏み込むより、多少構造の分かったこの洞窟を探索する方が、安全度が上だとは言えないか? 今までの敵を見ても、倒せないほどではない。もちろん次に倒せないような強敵が出ない保証は無いが」 ラダラス「今の状態であと1回で制圧できると思うほど楽観的じゃない。やはり命が大事だ。竜を倒すのも俺のなかではかなり大事だが、それも上位のクーゲルがくるなら問題ないだろう」 ルカ「結論から言おう。領主は既に任務の終了を我々に告げたと考えている。この戦いは終わったのだ。なおも洞窟に挑む……それは勝手働きとなろう。何が起きても、それは我らが責を取らねばならない」 シアン「そうですよ。領主様の意向に反します」 ルカ「我々の資金は底をついている。次の任務の準備は不十分になろう。それは今現在もすでに不十分だということなのではないか」 しあ〜ん。 シアン「確かにもうお金は無いですね……」 ルカ「勝てない相手ではない。だがそれは、うまくやれなければ負ける相手だということだろう。装備を失う前の段階ですら、三度挑戦して三度甚大な被害を出して撤退している。この状況を鑑みた上で、任務の続行が安全度が高いと判断するお前の言い分を私は理解できん」 ランデック「いや、しかしだな……オレがヘマしてなきゃどうにかなってた相手だと思うぜ?」 ルカ「この場に留まり、万が一に備え洞窟を見張る。その気持ちは理解する。だが魔物の来襲に怯える村は、ここにだけあるのではない。全てを守ることが出来ない以上、人は順位をつけて動くしかない。1人でも多くの民を守るべく務めるのは為政者の義務」 シアン「そのとおりです! 騎士の務めです!!」 ルカ「常に戦場にあり、最も困難な任務にあたり、成し遂げることこそ、我らの責務。私は自らが独立混成傭兵たることに誇りを持っている。我らは、我らにしかできないことを為すために力を集えているのではないのか?」 ブレイズ「……シアンは考え直したようだが、私はできることなら新たなクーゲルが到着するまでの間、敵が外に出る余裕を作らないようにしたい。可能性は少ないとはいえ、付近住民の安全を脅かさないとも限らない。具体的には入り口付近で警戒をする。今の我々の戦力ではそれが精一杯だろう。だが、自己満足で終わるかもしれない上に、予想以上の敵が現れた時に壊滅しかねないのもまた事実。私としての意見は述べたが、皆の意見に強硬に反対してまで実行するつもりはない」 シアン「いえ、ルカの言うとおりです。私としてもこの状況は己の未熟さが招いた結果。どうにかしたい気持ちはあります。しかし、それだからといって皆をこのまま行かせる訳にはいきません。傭兵たる者、危険は付き物。私も傭兵である以上、それをやめろとは言いません。そうであって皆を守る事が私の役目なのですから。でも今は状況が違う。シュプリック殿の話を聞いた限り、今が明らかに不利な状況で確証の低い行動に出る時とは思えません。焦りや責任で全てを背負い込もうとしてはいけません……残念ですけど、私達は万能ではないのです……」 ブレイズ「シアン、お前はもう黙っててくれ!! 自分で言い出したことをまるで最初から反対していたかのように! 話し合いの中で意見を翻すなとは言わん! だがお前のその態度は余りにも軽薄で、自身の言葉に対する自覚も責任も無い!!」 シアン「えええ!?」 ランデック「オレは次の敵が勝てる相手だと思い、ルカは勝てる見込みの少ない敵だと思った。次の敵が分からないので、これ以上は水掛け論。説得はムリか。やはり今回の失敗のおかげで説得力が欠けているのだな。せめて次の敵が分かってればなぁ。勝てる公算があるかが判断できるのに」 ラダラス「敵がどんなのかわかってれば圧倒的にこっちが有利だが、それを基準に考えるのは無理がある」 ブレイズ「シアンのことはともかく………………失敗に気を取られ、功を焦っていた。危うく皆を今まで以上の危険に巻き込むところだった。済まなかった。我々にしかできないことを成して、初めて名もついて来るというのにな」 というわけで、大人しく引き上げる事に決定。続く! ●プレイヤーズコメント ・ラダラス ・ランデック 再度アタック組はブレイズ、オレ、シアン。 撤退組はルカ、ウィーアン。 多数決で押し切れると思っていた時代がオレにもありました。 突然のシアンの謀反で窮地に立たされる涙目の二人!(笑) プレイヤーは大爆笑だったから問題ないけどね! この議論の勝敗を分けたのは、「天然」の一言だったのかも知れない……。 しかしこの洞窟ともおさらばか。 せめて一矢報いたかったがしかたない。 金は次の冒険でも稼げるし、失った信用も次に取り戻せばいいさ。 ・ブレイズ 功を焦るとろくなことは無い。 今回の依頼で自分の脆さが露呈してしまった……。 目的と手段を見誤ってはいけないのだ。 このままでは師に合わせる顔がない。 より一層精進せねば。 シアンは! ……いや、あれだけ見事な手の平返しをされては、もう怒る気力も失せた。 「期待しなければ、絶望することもない」 今、私の脳裏にはこの言葉が浮かんでは消えている。 ・シアン う〜ん……なぜかブレイズからの評価が下がってしまったようです……。 何故このようなことになってしまったのでしょう? 私は皆さんの意見を確認しようと思っただけで、まだ自分の意見を言ったつもりではなかったのですが、聞き方が紛らわしかったんですかねぇ、やはり。 シュプリック殿の件といい、本当にまだまだ未熟です……。 ・ルカ 不退転の決意で戦いに挑む勇気こそが至高のもの。 己の内から湧く、戦いの衝動が神の意志なのだと信じて戦ってきた。 だが自分は戦いそのものにとらわれ、戦う意味を顧みてこなかった。 戦いの先にあるものを見ていないから、ただ戦いの様式美に酔っていられたのだ。 この任務でも、そんな己の満足のために、一切の情報収集を放棄した。 そうやって勝利のための努力を怠ってきたことが、この結果なのだ。 私が誇る勇気は、匹夫の勇に過ぎなかった。 ……なんと愚かであったことか。 単なる熱血勇者からの成長を固く誓うルカであった。 |
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■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第10回(パーティーレベル6) チャプター2 実はチャプター1は前回終了後のやり取りで、こっちが本来のスタート。 ラダラスは仕事の都合で遅刻です。 DM「最寄りの小さな町に到着し、宿屋の食堂で食事中の君達。一人の客がやって来る」 男「この中に……特にチーム名も無いから代表者の名前かな」 ルカ「シアンと愉快な仲間達?」 DM「いや、愉快なシアンと、その仲間達だろうなぁ」 ブレイズ「そうそう、そっちそっち」 DM「まぁキミらが何かを自称しているわけではないが、今回の仕事での働きぶりから、それを見た他の傭兵達の間じゃ“ネイキッド・ブーメラン”とか呼ばれてるに違いない」 ランデック「ネイキッド?」 DM「つまり、裸ブーメラン。いつも入っては壊滅してすぐ戻って来て、結局一ヶ月の間に三日間くらいしかあの場所にいなかった。しかも最後は三人が服を溶かされてご帰還……ということでな(笑)」 ルカ「なんという……なんという不本意な……!!」 DM「で、この中の代表者としては古参二人(ラダラスとルカ)の内、年長者なラダラスが無難だろうね。つまり、ラダラス隊として登録しているのだろう」 ブレイズ「もう二度とその隊名で呼ばれることはないのか……(苦笑)」 ルカ「まだ噂が広まりきる前なら!!」 ブレイズ「時間の問題……(苦笑)」 男「ここにラダラス隊の方はいらっしゃいますか?」 ブレイズ「おお、名指し?」 ルカ「我々だ」 男「おお。お手紙を預かって参りました。どうぞお受け取り下さい」 DM「見れば男はファヴの伝令だね」 ルカ「こーいうのってよくあることなんですか?」 DM「無い。わざわざ捜し出してまで手紙を届けるなんて、余程の緊急事態」 ざわ……ざわ……。 ルカ「どちらからの手紙で?」 伝令「ブレスラウの支部から参りました」 ルカ「よくここにいるとわかりましたね」 伝令「いやいや、色々行ったり来たりしてようやくなんですよ」 ルカ「ああ、それはご苦労様です(笑)」 シアン「それは何日前に出された手紙なのですか?」 伝令「緊急とのことでファントム・スティードを駆って参りましたので、1週間ほどでどうにか」 普通の馬の倍以上速い魔法の馬です。 ルカ「それをわざわざ使うなんて、たしかに緊急だ」 ランデック「誰からの手紙ですか?」 伝令「差出人はシュティークロート子爵様ですね」 シアン「ぐうっ!? ああああああああ…………」 顔色を変えてキョドりはじめるシアン。 DM「手紙は魔導で封印されていて、蜜蝋部分にシュティークロート家の印章指輪を当てることによって開封出来る仕組みだね」 シアン「じゃあ当てます……」 DM「幻のように蜜蝋部分が消える。で、文面は『可及的速やかに帰城せよ』と一言だけ」 シアン「ひぎぃぃぃぃぃぃぃ!!」 ルカ「どうしたシアン?」 シアン「帰って……こいとの……ことです」 ランデック「どうする?」 シアン「すいませんが……行ってもよろしいでしょうか……?」 ルカ「お見合い話かな? それとも遂に悪名が届いてしまったか?(笑)」 ブレイズ「行ってみるか……」 ランデック「シアンがこってりと搾られてしまうのか。身を固めるのか。面白そうじゃないか!」 というわけで1週間ほどかけてシュティークロート領に入る国境の関所に到着。 DM「着きましたよ。シュティークロート領に」 ルカ「ほー、初めて来るが〜」 ブレイズ「良いところじゃないか〜」 シアン「うううううう……(プルプルプル)」 ブレイズ「落ち着かないな?(笑)」 兵士「シアン様! よくぞご無事で!!」 DM「まぁ皆にはこの『よくぞご無事で』が言葉通りの意味以外にも取れるわけだが」 ブレイズ「この兵士、よくわかってるじゃないか……」 シアン「皆に変わりはありませんか?」 兵士「と、とにかく一刻も早くお城へ……(しどろもどろ)」 DM「ちなみにこの国境の町に暮らす領民達の、シアンへの眼差しが気のせいか妙に冷たい」 シアン「えええええ!?」 ランデック「あれ、ここシアンの故郷だよな?」 ルカ「おかしいな。お姫様が帰ってきたのに……なんか。お前、人望無いのか?」 ブレイズ「いつもはどうだったんだ?」 DM「いつもはこんなことなかったね。生暖かく見守られていた。無論今も全員が全員ではなく、シアン様お帰りなさい〜って人達もいるが、冷たい人が不自然に多い。城下町に移動しても、同じ。皆視認を」 ランデック「視認34!」 DM「じゃあ幼い子供が『ママ〜これ拾ったよ〜』と紙を親に見せ、それを『そんなの出すんじゃありません!』と取り上げ、そそくさと立ち去ろうとする」 ランデック「ん〜と……。『私ここで別行動とる。どっかで落ち会おう』と言おう」 ブレイズ「思いっきり不自然なこと言い出したぞ(笑)」 当然こんなはったりが通用するまでもなく、総突っ込み。 ルカ「お前はいったい何を言ってるんだ?」 ランデック「えっとね……さっきね……」 ルカ「またなにか隠しているのか……?」 スカウト(笑) ランデック「不審な行動が見えたんだ。子供が拾った紙を親が隠した。私はそれの正体を確認したいかったんだ」 DM「このやりとりの間にその親子は見えなくなっている」 ルカ「中傷ビラでもバラ撒かれてるんじゃないのか? この冷たい視線と関係があるかもしれん」 ランデック「面白そうな話になるかもしれないじゃないか」 シアン「殴っていいですか?」 ルカ「情報収集したいところだが、可及的速やかにと言われてる状況でそんなことする暇は無いな」 DM「キミらが到着してるのは向こうにも知れてるだろうしね」 ランデックだけ別行動するのも今は止めておこうと諦め、城に到着。 旅の汚れを落とし、謁見の間に。 シアン「お父様、御機嫌麗しゅうございます……」 子爵「麗しゅうない!!」 シアン「あうぅぅぅぅぅ!!」 ランデック「バッサリと(笑)」 シアン「お父様、手紙が来たのですがいったい何用でしょうか?」 子爵「シアン……お前の活躍によって我々が支払うことになったホルストマン家々中の者への賠償金の総額……聞きたいであろう?」 シアン「あうあうあう……!」 ルカ「たくさん人居るんですよね? 重臣とか。男爵なんかも」 DM「いるよ〜。シアンが見ると『あ、あのお方も』とかいう感じで、領内の重臣が勢揃いって感じ」 シアン「嫌ぁぁぁぁぁぁ……!!」 ランデック「これ完全に公開処刑じゃん!?」 DM「十傑集裁判が(笑)」 ルカ「こりゃ只事じゃねぇ!? 男爵までいるって普通無いぞ!?」 ブレイズ「普段は自分の領地に居るはずだから、わざわざ呼び寄せたのか……」 シアン「い、幾等でございましょうか……?」 子爵「うむ……細かいところは省こう。ざっと銀貨13万枚だ」 シアン「うはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 ブレイズ「高ぇっ!」 ルカ「じゅう! さん! まん! まい! プレート・アーマーが90着ぐらい……」 子爵「しかもだ。まだ終わったわけではないのだぞ」 シアン「まだなにかあるのですか?」 子爵「この賠償が、この程度の額で完全に手打ちとなったわけではないのだ、と言っている」 シアン「……と、申されますと?」 ルカとブレイズ、苦笑い。 DM「と、申されますと?なんて言っちゃうのね? じゃあ手招きされるよ」 シアン「…………? 近付きます」 DM「思いっきりぶん殴られて吹っ飛び、うずくまったところを顔面キックされる」 ルカ「お、お父さんが!? 殴り飛ばしたあとさらに追っかけて来て!?」 シアン「相変わらずアグレッシヴですお父様……」 子爵「貴様のその無自覚が…………くぅ!」 DM「それ以上怒りのあまり言葉を接げない、みたいな(笑)」 ブレイズ「いったいこの娘は誰に似たんだ?(笑)」 俺としても摩訶不思議過ぎます。続く! ●プレイヤーズコメント ・ブレイズ シュティークロート子爵、聞いていた以上に凄い人だ。 あんなに激しい叱責。貴族の一般的な親子関係は知らないが、厳しい世界だな。 シアンが恐れるのも分かる。 冷たいようだがシアンよ、少しは身をもって己の行為を反省するといい……。 それにしても13万枚。しかも終わりじゃない! 想像もつかない金額ですよ。 ・シアン 久しぶりに故郷に帰ってみたものの……このようなことになっていようとは。 ラング卿、しっかり請求する物は請求してたんですね……。 ・ルカ 勝手気ままのご乱心姫さま珍道中。 そんなシアンにもついに年貢の納め時。 特別大きくも豊かでもないであろうこの子爵家に対しての賠償金の額。 私も彼女の行為の代償の大きさを目の当たりにし、呆然とするばかり。 事態はもう俺の生きる世界の範疇を超えている……。 |
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■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第10回(パーティーレベル6) チャプター3 ルカ「子爵様はゴツいんですか?」 DM「武人タイプだね。ロールヴァーゲ家の家臣として、すぐ北の最前線でバーン帝国と戦い続けてるだけある」 ロールヴァーゲ侯爵家は、王国屈指の武家です。 ランデック「完全に呑まれてるよ俺(笑)」 ルカ「『といいますと』は無いだろうと内心思ってはいたが! あの発言に対してはこれくらいしないと回りが納得しなさそうだ(笑)」 DM「顔への蹴りは女扱いしてない証明って感じかもね」 ルカ「制裁によって示しは付けたものの、それでもシアンへの家臣達からの評価がガクンと下がった……」 シアン「い、言っちゃダメだったんですか今の……?」 DM「そして子爵が召使いに合図を送ると、シアンに1枚の紙を差し出す。ランデックはさっき街でのやりとりで見た紙に似てると思った」 ランデック「お、見覚えある気がするな」 子爵「読んでみよ」 シアン「は、はい……」 紙「此度の臨時徴税は、シュティークロート家の愚劣なる放蕩娘が、他家での祝宴で狼藉を働いたことで課せられた賠償金を支払う為のもの也」 ランデック「あー……はいはいはいはいはい」 ルカ「告発文が!!」 紙「この様な貴族の尻ぬぐいに民衆の生活が圧迫されることは許し難い。ゆえに我々はそのような横暴に鉄槌を下す。ノイエ・エイファス」 ・ノイエ・エイファス ヴィーリオン王国内で活動している反政府組織。義賊を自称する。 王都ファイハイトの西(至永久の森)から北(至北海)にかけての極めて広大な地域で活動。 その組織名は“解放者”エイファスから由来するのは明白で、構成員も普段は単に「エイファス」と呼称している。 (エイファスとは、700年ほど昔に人間を竜の支配から解放した大魔導師です) 活動内容は「貴族、商人に対する襲撃、及び財産の略奪」を主とする。 世間に対しての名目としては「圧政者への反逆」「悪徳な商人への制裁」となっており、民衆の味方、代弁者を標榜。 一度“彼らの価値観”によって「悪」と認めた存在に対しては徹底的な攻撃を加えることで知られ、襲われた商家は逆らう者は皆殺し、あらゆる財産の略奪、家屋への放火と容赦が無い。さらに女子供は奴隷目的で誘拐されることも、珍しいことではない。 為政者側としては、彼らによって奪われた財産の補填として再び民衆から徴税しなければならない状況が往々に起こる。ゆえに「貴様達が奪えば奪うだけ民衆に皺寄せがいくのだぞ」と諭そうとする者は多い。 しかしそれに対する彼らの返答は「圧政を改めればいい」「貴族や商人が民衆を食い物にして不当な利益を得なくなるまで、何度でも奪う」である。 これは私腹を肥やす意図がなく、純然たるアクシデントを乗りきる為の徴税のつもりでも、それに耳を貸すことは稀で、結果として果てることのない抗争に発展する。もっとも、多額の私財を切り崩せば臨時徴税に頼らずとも賄えるケースも往々にしてあるのだが……。 構成員は圧政者と悪徳商人を根絶する為なら命も捨てると言われている。 その中でも一部の精鋭戦闘部隊は極めて危険で、クーゲル(少数精鋭の冒険者スタイル傭兵)の如く統率された戦術を駆使し、術者をも擁する。 これらは明らかに訓練された者の動きであり、術者の数も高位の魔導師が私的に教える限度を超えている(術者としての技量は然程高くなく、幅も偏っているとはされているものの)。 ヴィーリオン王国は調査の結果「バーンが教官となる人材や設備を提供している」とし、その活動資金の供給源も同様と断定している。が、ノイエ・エイファスはそれを否定し、あくまで自らの意志で民衆の為に立ち上がっていると主張。当然バーン帝国も関与を公言することはない。 また、民衆の味方を標榜するだけに、下記活動も行なっている。 ・一般市民に害をなす生物の討伐。 ・竜の勢力への敵対。 組織を挙げて積極的に討伐軍を繰り出す、といった規模には至らず(そんなこと非現実的でもある)、各地の支部単位での活動。 ヴィーリオン王国の見解としては「民衆に対する人気取り」でしかない。だが過激な活動内容にも関らず支持者が多いという現実は、動かしようがないのも事実である。 DM「ちなみにシアンが良くも悪くも感情的な性格なのは領民にも広く知られていることであり、そう言った意味で『余所で狼藉を働いた』というのは……」 DM「人によっては『いつかやるとは思っていました……』的ニュースではある」 ルカ「なるほどねぇ。これは確かに標的にされちゃうわ」 シアン「私が狙われている!?」 子爵「この意味がわかるか……?」 シアン「とんでもないことをしてしまったようですね……私を狙ってきているということでしょうか」 子爵「貴様を殺して話が収まるのならば、今この場で斬る!!」 ブレイズ「そのとおりだお父さん!(笑)」 ランデック「徴税したのはお父さんだもんなぁ。娘の命惜しさにやらかしたって解釈されてもしょうがない。きっかけはシアンだとしても」 ルカ「別に親心からとかそーいうわけでもなんでもなく、貴族の責任を取る外交として行なったに過ぎないのに」 DM「大事なのは賠償金だから、シアン処刑しても向こうは収まらないわなー」 子爵「民達の貴様への態度、見たであろう……。これが根も葉もない噂であったのならよかったのだがな……」 シアン「そうですね……」 ルカ「シアン頑張れ。強く生きるんだ(プレイヤー、トイレへ)」 子爵「この紙に書かれていること、すべて真実なのだな……?」 シアン「はい……誠に遺憾ながら……」 言い方が他人事だな!?(笑) 子爵「ホルストマン家の家臣団の前で、告発した末に抜刀して襲いかかろうとしたと」 シアン「詳細は違いますが……概ねその通りで御座います……」 ブレイズ「シアン、憔悴してるなぁ……(苦笑)」 子爵「(賠償請求に際しての説明で、事情は知っているつもりではあるが)確認の為、貴様の口から改めて聞こうではないか……。なぜそのようなことをした……?」 ブレイズ「それは俺達も思っていた……!」 ルカ「いやぁ。やらかしたことの割にはずいぶんお気楽に過してたけど、やっぱりそれで良いわけがなかったんだなぁ(笑)」 DM「命の価値は。シアン、魂の正座」 シアン「ラング卿に謀反の疑いがあるという話を聞きまして……その……なんというかうっかり喋ってしまったと言いますか……それが告発したことになってしまい……それで他の貴族にも疑いをかけたことに……」 子爵「宴の場で、そのような噂を口にしたのだな、貴様は……」 シアン「はいぃぃぃぃ(涙)」 子爵「先代当主が戦死し、内情不安定なホルストマン子爵領の家中、戦勝に沸き立つ宴の場で……貴様はそのようなことを口にしたと!!」 シアン「はい……その通りでございますぅぅぅ(ぷるぷるぷる)」 子爵「貴様は新しき秩序の萌芽を摘み取りに来た間者か!?」 ブレイズ「お父さん、その通りです!!」 シアン「そのようなことは決して……!!」 子爵「まんまと乗せられただけではないか!!」 シアン「まったくその通りでございます……!!」 子爵「あまつさえ……抜刀……(ブルブルブル)」 シアン「決してラング卿に抜刀したわけでは!?」 ルカ「同じだ!」 ブレイズ「同じことでは!?」 もはやお約束になっている、この言い訳と突っ込みのやり取り(笑) 子爵「…………もう一度訊こう。何を考えていた?」 シアン「悪は許せなかっただけです……!(オドオド)」 子爵「貴様が悪になってどうする!! 貴族にとって秩序を乱す者、それは即ち悪だ!!」 DM「そして今度は仲間達の方をギロッと睨んで」 ランデック「ビクッ! 目を逸らそう……」 子爵「此奴の言葉、相違ないか?」 ルカ「まったくもってその通りで御座います」 子爵「そうか…………政を知らぬそなた達に責は無い。恐らく此奴がどれ程のことをしでかしたのか、今こうして話を聞くまで想像もつかなかったのであろう。それは致し方ないことだ。だが、以後同じようなことがあれば、斬れ。許す」 ブレイズ「ハッ……しかと承りました……」 ルカ「ヤバいな、もう時間の問題だぞ……斬るの……」 ブレイズ「これは……ショイフェーレの件、含んでないもんね?」 ルカ「どうしよう……? あれ? あれ?」 子爵「どうした? なにかあるのか?(ギロリ)」 ルカ「ヤバいっ! どうする!? ここでゲロっちまうのか?」 ランデック「俺は嫌だぞ!?(笑)」 ブレイズ「ヤバい!」 DM「じゃあ皆はったりを振ろうか(笑)」 ランデック「…………0!!」 ブレイズ「ランデックがめちゃめちゃ狼狽えてるーっ!? こっちは20だったけど!」 ルカ「ここで隠してどうなるんだ……ってことではあるが……」 なんかもう色々とイッパイイッパイのまま続く! ●プレイヤーズコメント ・ランデック ここでショイフェーレの事をパパに教えると、シアンが即刻打ち首になりそうな気がする! ここははったりで押し通そうとするも、ダイスの目は非情であった……。 ダイスの女神様は本当にいるのだなとプレイヤーは思い、一般の人は一生入れない場所で空気に呑まれたとキャラクターは思った。 確かに隠してどうなるってものでもないけど。 まさかあの抜刀事件がここまでの祭り……、もとい緊急事態になるとは。 こうして歴史は作られていくんだな、と変な感慨を持ってしまった。 これで国が滅びたりしたら、オレ達は歴史の目撃者になるんだ! ↑ 心の底から他人事 ・ブレイズ ノイエ・エイファス……。 ラング卿への告発&抜刀がこんな形で領内に影響を及ぼすとは、誰が想像しただろうか。 同じ隊の仲間として何も策を講じることができなかったのが、悔しい。 知らないで済まされることではないな。 ・シアン うぅ、良かれと思ってしたはずだったのに、何故このような事になってしまったのでしょう……。 やっぱり、抜刀がまずかったですかねぇ、抜刀が……。 ・ルカ シアンの抜刀事件、そのあらましは第5回にある! さてシアンは針のむしろだが、決してプレイヤーが責められているわけではない。 キャラクターの行動が知らないうちにこの世界の流れを変えていた稀有な事例を目の当たりにしているのだ、今君はキャンペーンの主役なのだ、がんばれ! シアンと共に行動していた我々への問責はなかった。 政治のことなどわからないのだから仕方ない、ということだ。 だが、我らとて、シアンの行動が暴走であることはわかっていた。 それを防げなかったことが、子爵や領民に及ぼした影響を考えると、悔恨の情を覚えずにはいられない……。 |
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■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第10回(パーティーレベル6) チャプター4 ルカ「シアン、まだ語るべきことがあるのではないか……?」 シアン「うぅぅ……ブレイズはどう思ってるんですか?」 救いを求めるように。 ブレイズ「ルカと同意見なんだ。よく言ったって感じ。今までだったら庇ったのかもしれんが、この前の手の平返しがあったからな……」 シアン「手の平返したつもりないんですよ!?(涙)」 ブレイズ「一度くらいお灸を据えてもらった方がいいかなぁと」 シアン「ブレイズ、そのお灸は致死です!」 ブレイズ「まぁここで庇ったところで無益なんだよ」 ルカ「もう俺達の判断でどうにかなるレベルではない!」 シアン「べ、別に隠すつもりはなかったですよっ!」 ルカ「さぁ、まだ語るべきことがあるよな……?」 シアン「……シュプリック殿に暴言を吐いたことですね」 ルカ「そっちじゃないだろぉぉぉぉぉぉ!!!」 ブレイズ「お前……なんでその話題なんだよ……」 ランデック「逃げ道の確保をしたいんですけど……」 シアン「ご、ごめんなさいごめんなさい!!(涙)」 子爵「シュプリック……?」 シアン「…………………………あうあうあう!」 DM「跪いているシアンを胸ぐら掴んで立ち上がらせ、思いっきり殴りつける」 子爵「『誰だ』と訊いている」 DM「ルカのことをギロリと睨む」 ルカ「シュプリックとは……関係無い商人の名前ですって言うのか?」 シアン「あわわあわわ……」 ブレイズ「前回の仕事で世話になった商人の名前で御座います」 子爵「それに暴言を吐いて、どうしたというのだ?」 ルカ「それは事実ではありますが、彼女が話すべきことはそんなことではありません!」 子爵「ほう……関係が無い?」 ルカ「もっと酷いことなのです」 シアン「実は……ラング卿が謀反を企てた証拠があるという男爵に協力を要請され、血判状にサインをしてしまいました……」 子爵「……その男爵とは誰だ?」 シアン「ショイフェーレ男爵でございます…………おそらく」 ランデック「一言余計だーっ!?」 子爵「おそらく?」 ブレイズ「『おそらく』って聞き返すよ、お父さん。そりゃ! 当たり前だよ!(笑)」 シアン「誰かはわかりません、とは言えなくて!!(涙)」 DM「シアン、面白いなぁ……(笑)」 子爵「おそらく!?」 シアン「はい! 誰かわかりませんでしたーっ!!(ヤケ)」 子爵「誰かはわからない……? どういうことだ?」 DM「父さんさっぱりわからないわ!」 シアン「私が知らない名前の男爵でありました……」 子爵「つまり、何処の誰ともわからない相手との血判状にサインをしたと?」 シアン「はい……もう覚悟完了です(涙)」 子爵(黙って剣を抜く) ランデック「業物なのかなぁ……(笑)」 DM「そりゃ魔法の光放ってるよ」 子爵「貴様はシュティークロート家の名を、誰とも知れぬ者との契約に使ったというのか?」 シアン「はい……!」 子爵「……ラング卿に敵対するのだな。我がシュティークロート家は」 シアン「いえ、私個人の問題です……」 DM「剣の腹の部分で思いっきり横っ面を殴打され体勢を崩した所へ、間髪入れずに腹部キック」 シアン「痛いぃぃぃぃ(涙)」 子爵「それで済めば話は早いわぁぁぁ!」 ルカ「それで済むなら抜刀した時点で斬り殺されてるな……」 子爵「私が全ての責任を取って死にます、はな……それだけの責任能力が在る者だけが使える言葉だ!! 責任能力の無い者が命を張ったところで何の意味も無い! こうなった以上、その責任は我がシュティークロート家にかかってくるのだ! 望むと望まざるとに関らず、今後我々はその正体も定まらぬ男爵に協力をしなければならない! 無論、当主でなく娘が勝手にしたことだと『シュティークロート家の責任能力の無さを世に喧伝しつつシラを切り、貴様は契約反故で死ぬに任せる』ことも可能ではあるが……血判した事実は重いぞ……とてつもなくな……!!」 ブレイズ「ほんと酷い……でも打ち明けられてよかった……」 シアン「言い訳のしようもありません……」 子爵「何処の誰とも知れぬ相手との血判など……聞いたこともないわ!! それでも貴様なりに信念と確信を持っての行動ならば……!! 独断専行が過ぎるとはいえ評価すべきところを見出し、力を貸そうという気にもなったかもしれぬが、それも無い……!!」 暫しの沈黙。 子爵「…………血判相手の可能性が高い男爵となれば恐らくショイフェーレ男爵であろうな……彼からは賠償金の請求が無い」 ランデック「あの場にいた全員に請求権があったのか……」 ルカ「この中にいる、って言ってたからなぁ……」 子爵「だが我々の方から血判をした確認を取るわけにはいかん」 ブレイズ「取引先になんて恥ずかしい電話を(笑)」 子爵「よいかシアン。状況は我がシュティークロート家だけに留まらない。それはわかっているのか?」 シアン「我が家だけで済まないとは……?」 子爵「我々が動くということは、我が主君ロールヴァーゲ侯も動かねばならないということだ!!」 シアン「ええええっ!?」 子爵「我がシュティークロート家はあくまでもロールヴァーゲ侯爵家の家臣。貴様の尻ぬぐいを私がするように、私の尻ぬぐいはロールヴァーゲ侯がされるのだ!」 ブレイズ「どんどん話が大きく!」 子爵「そしてラング卿の主はホルストマン家、その主君であるビューリンゲン伯爵家……よいか、下手をすればこの二つの家全体の争いに発展する可能性すらあるのだぞ!!」 シアン「そこまでは……考えが及ばず……」 子爵「ホルストマン子爵家の内紛に、ロールヴァーゲ侯爵家が介入するのだ」 ルカ「しかも主流派じゃない」 子爵「最悪の場合、ロールヴァーゲ侯爵家がすべて裏で糸を引いていたと解釈されかねんのだぞ!」 シアン「ヤバいですーっ! 洒落になりませーんっ!!」 ロールヴァーゲ侯爵領とビューリンゲン伯爵領は隣接しています。 そして内心完全にラング派なルカはというと……。 ルカ「ラング男爵の専横そして内通の疑惑に対し、ショイフェーレ男爵が決起を企てている。その決起に、シュティークロート子爵、ひいてはロールヴァーゲ侯爵が協力する可能性が極めて高い……。これは、ラング男爵絶体絶命の危機……!」 子爵「シアン、今後はその血判状に従い、助勢を請われた場合は尽力するのだ。お前達も良いな?」 ルカ「そのお言葉には従えません」 子爵「何故だ? 血判状の件を知った上でシアンと行動を共にしているということは、そういうことではないのか?」 ルカ「私はラング男爵の力になる、そう約束いたしました。戦勝神の信徒として、この言葉を違えるなど、考えられません」 戦勝神は、戦に関る「約束」はたとえそれが口約束であろうと信義を貫くことをよしとしています。つまり、モンスター相手に降伏勧告でテキトーなこといってとにかく降伏させ、バッサリなんてのも禁則事項。 子爵「何故ラング男爵に忠誠を尽くす?」 ルカ「ラング男爵の為人、主家への忠義をこの目でしかと見ました。武人として誇り高き男爵が主家を、人を裏切り竜と与するなど、考えられません。私はこの事態を、ショイフェーレ男爵の誤解か謀略によるもの、あるいは、第三者の陰謀、つまりショイフェーレ男爵の使いと名乗る者が真っ赤な偽物である……そう考えています」 子爵「なるほど、ではお前はショイフェーレ男爵の為人については、どのように判断を下した?」 ルカ「……ショイフェーレ男爵については、拝謁したこともなく、通り一遍の評判を得たのみ、です……」 実際のプレイでいうと、達成値の低い情報収集ロール1回。表面的なことすら不確かという結果。 子爵「ふむ……お前のいう戦勝神の信仰というのは、物事の一側面だけを見て、他を処断することだというのか?」 ルカ「それは……」 子爵「自らの行ない全てが正しいわけではない。間違っている部分もある……。そう承知のうえで、敢えて大局的な目的に向けて信念を貫くことを否定はせん。我ら為政者は無邪気に善の大義のみで動けるわけではないし、お前達信仰の徒も、立場や目的こそ違えど、他者を導く責務を負うという意味では為政者と同様だろう。だが、今のお前は自分がそうであると言い切れるのか? その目には何が映っている?」 DM「先程までの厳しい『睨み』の形相は失せ、諭すようになっている」 ルカ「私は信仰を言い訳に、己の目と耳を塞ぎ、自らが動いて状況を判断すること、真実を追求することを放棄していた……」 子爵「我らが忌むべきは無知なる独善よ。…………シアンと共に働くがよい。事の重大性に手をこまねき、放り出している今よりは見えることは多かろう。その上で、為すべき事を為すというのなら、それもよかろう」 ルカ「はっ……! 全力を尽くします」 子爵「己の信仰と向き合い、悩むがいい。大いに結構なことだ。ただし、袂をわかつ時には一言告げてからにしてからにして欲しいがな(呵呵と笑う)」 ルカ「…………心得ました!」 子爵「なぁに。我らとて竜に与する者と結託するつもりは毛頭無い。ゆえにこのまま唯々諾々と血判の責務だけをこなしたりはせぬわ。…………さて、騎士シアン、命を与える。お前の仲間と共に、領内に巣くうノイエ・エイファスを殲滅せよ。自ら撒いた種は自ら刈り取るがよい。一切の容赦はせず、徹底的に根を絶やせ」 ブレイズ「ず、ずいぶんと過激だな……」 黒の騎士団を殲滅せよ!(違 続く! とりあえず出発前の着替えでボコボコにされたところを確認してみたりする。腋汗。 ●プレイヤーズコメント ・ランデック シアンがシュプリックの話をした瞬間、オレは直感した。 この調子で今まで起こしたトラブルを全て報告すると、とんでもない事になる。 このままではオレも打ち首にされると。 逃げなければ! 光よりも早く! と思って逃げ道を探したけど、最早オレの首とかそんな状況ではなく。 まさか国家レベルの陰謀に巻き込まれるとは! こんな「その時、歴史が動いた」場面に出くわすとは、オレは超絶運がいいのか悪いのかどっちなんだ!(笑) 前回、領内で済んでいた話が一気に領土間の陰謀に! シアンの首を切っただけでは解決出来なくなってきたなぁ。規模的に。 これでロールヴァーゲもしくはビューリンゲンが取り潰しになれば、シアンの名前は歴史に刻まれる事になるのであろう……。 (プレイヤーとしては)いいぞもっとやれ。(笑) ・ブレイズ シュプリック殿の話題は関係ないだろう、シアンよ! これでも、お前の潔さと頑なな姿勢は買っているんだっ!! あまりのことに混乱しての発言だと信じたい。 しかし、貴族というものは想像以上に大変なのだな。 シアンの行動が巡り巡って主君に及び、隣国との戦争にも発展しかねないとは……。 私も師を目指す以上、反省だけでなく色々と学ばねばならないな。 ・シアン いえ、別に男爵の件を忘れていたとかそういう訳ではなく、シュプリック殿の件も言うべきかと思っただけで、断じて言うのが怖くてワンクッション置こうとした訳では!? ……しかし、私の行動が発端となって、両家の主君同士の争いにまで発展しかねないことになろうとは……。 自分の成すべき事と成せる事、少し考え直すべきですかねぇ……。 ・ルカ ショイフェーレ男爵との血判状については8回の中・後編を御参照ください。 事の重大性をもてあまし、また、パーティー分裂の危機を回避するのににてんやわんやだった当時。 シナリオが進展すればいろいろわかってくることもあろう……と、事態を放り出す形で次の仕事に旅立ってしまった。 もちろん、自分達で動かない受け身の姿勢では進展などしようはずもなく! 子爵殿に諭される形でようやく、取るべき道がはっきりした回でした。 ありがとうシアンパパ。 |
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■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第10回(パーティーレベル6) チャプター5 ノイエ・エイファスの支部壊滅に乗り出した傭兵隊。 もはや傭兵ではなくシアンの直属部隊といった扱いだが。 最近の被害として、アメルハウザー男爵が民から納められた農作物等を商人に引き渡したのだが、その帰路を襲われたとのこと。 男爵側は急な取り引きに対して往復の護衛を約束しており、兵士50人を派遣していた。しかし呪文を自在に操るノイエ・エイファスの攻撃に手も足も出ず完敗したという。 DM「賊の数は七人。一人も倒せないまま、護衛部隊は壊乱したとのこと。まぁ、複数の魔導師を擁する相手に1レベルのウォリアーがどれだけいても相手にならないことは、君達もよくわかってると思う」 ルカ「そうだな……兵士に勝ち目はない」 アメルハウザー「対魔導師戦もこなす十分な護衛を手配しなかったのは、私の手落ちです。奴らをみくびっていました……」 まぁ元々ノイエ・エイファス相手を想定してなかった&状況的に予算不足もあるんだけどね。そんなの口に出せないから〜。 ブレイズ「使って来た呪文はどのような?」 DM「確認されているのはスリープ、グリース、ウェヴといったところ。他にも使っていたかもしれないけど、兵士の証言から判断するのはこれが限界」 とにかく現場に行ってみようぜぇと、アメルハウザー男爵居城の城下町に移動する。領内の移動ゆえに近いのだが、そもそも到着時刻が遅かったので時刻はすっかり夜である。 ここで遅刻していたラダラス到着。 DM「やはり民衆の反応は温度差が激しい。宿屋に着いても、あからさまに舌打ちをしてから店を出ていったり、部屋に上がっていってしまう客がいる」 ルカ「しまったな。こんなフル装備で町に入ったのは失敗だ……。情報収集しようにも、姫の一行として目立ちまくりだよ」 ブレイズ「何の策も講じずノコノコ入って来てしまった……」 DM「シアン・シュティークロートの失態で追加徴税をしようとしている。これを嫌っている領民は山ほどいる。姫様一行が調査に行けば、一般人がガードしちまうのさ」(ブライト風 シアン「嫌われたもんですねぇ……暴君ですねぇ……」 ブレイズ「さっきからシアン(のプレイヤー)が砂時計ばっか見ている……」 シアン「今なら雪歩の気持ちがわかります……」 DM「穴を掘って埋まりたいのか……」 別に発言に時間制限があるわけではなく、本当に「ただジッと」見ているだけです(笑) 店主「これはこれはシアン姫!! お泊りがこのような荒屋でよろしいのですか!?」 シアン「いえ、私のしたことと比べればそのようなこと……申し訳なく……」 DM「真意看破振って15以上の人はわかる。店主の顔がこわばった」 ルカ「あああ……バカ正直に告発は真実ですって肯定しちゃったよ……」 シアン「ですが嘘をついて誤魔化すわけには」 ブレイズ「黙ってるのは嘘じゃないだろう」 ランデック「疑惑なのと確定じゃ大違いか……」 ルカ「聞かれてもいないのにぶっちゃけて、民心を惑わしてどうするんだ」 シアン「あうあう……」 いきなりのうっかりに出鼻をくじかれる傭兵隊。いや、予め釘を刺しておかなかった手落ちだな!(笑) ルカ「過日起きた襲撃事件について調べにきたのだが、なにか御存知ではないだろうか」 店主「いえ、特に……」 ルカ「そうか……ノイエ・エイファスについてなにか知っていることは?」 店主「悪魔のような残忍さの盗賊集団……と聞き及んでいたのですが……果たして本当にそうなのでしょうか」 ランデック「あああ……」 ブレイズ「さっきのぶっちゃけで感情が向こう寄りに……」 ルカ「人殺しの山賊が悪い奴でないわけがないのだ!! 他の客にも聞いてみるか。さっきのぶっちゃけ聞かれちゃってますか?」 DM「まずシアンが店に入った時点でシーンと静まり返ってたんで、筒抜け」 ルカ「うーむ……だが仕方ない。『我々はノイエ・エイファスについての情報を求めている! なにか知っている者はいないか!?』と、酒場の客一人一人に聞いて回ります」 DM「最初の一人に聞き始めた時点で、残っていた客もドンドンと会計済ませて立ち去ろうとするね」 ルカ「む、むぅ…………我々はノイエ・エイファスの情報を求めている! 諸君らの協力も必要だ! なにか知っていることがあれば我々のところへ遠慮無く申し出て欲しい!!」 ブレイズ「物凄い営業妨害に……(苦笑)」 ルカ「しまったなぁ……」 時間も時間だしでこれ以上の情報収集は無理と判断し、部屋に移動。 ランデック「そういや例の銀貨2000枚……」 DM「うむ。結局黙ったまま持って来ちゃってるね」 ルカ「また『なんで言わなかったんだ』って怒られるのか……はぁぁぁぁぁぁ……」 ルカのプレイヤーは、海洋キャンペーンのウィザードです(笑) ブレイズ「ルカそんな落ち込まないでくれ!」 DM「金のことを告白するのはシアンの責任であって、仲間達には関係無いのだ」 シアン「あ、すっかり忘れてました」 そして翌朝。 DM「君達が出発すると、街角にはまたもノイエ・エイファスの告発文が書かれた紙が」 告発文「愚劣なるシアン・シュティークロートが暴挙を断行すべく我々エイファスを討伐に動き出した! 民衆の証言によれば、奴は自らの罪状を認めたという! その上で押し通すという、恐るべき厚顔無恥! 決戦の時は近いが、正義は決して負けはしない!」 ランデック「筒抜けじゃん!」 ラダラス「こりゃ完全に見張られてるな」 ブレイズ「一晩で失言の噂が広まってる感じですか?」 DM「明らかに民衆の視線の冷たさが昨日よりも格段に増しているね」 シアン「ど、どうしましょう……」 犯行現場に移動し、調査。 荷馬車の轍を追いかけると、川で途切れている。 上流、下流ともに調べてみるが、どっちも領外に至る場所までなにも手がかり無し。 日も暮れたので町に戻り、夜目が利くブレイズランデックを向かいの民家の屋根に伏せ、怪しい動きがないか見張ることに。 DM「隠れ身が無いから、相手が警戒してるとバレバレだけどOK?」 ランデック「俺が隠れていたいけど、夜目が無いからなぁ……」 ブレイズ「苦肉の策です」 DM「店内に入ると、さらに激しい温度差がお出迎えする」 他のメンツは部屋に移動することに。 DM「じゃあ昨日と同じ部屋を割り当てられ、入るとテーブルの上に紙がある」 ランデックが捜索して罠を警戒しつつ読むと……。 DM「シュティークロート領の大雑把な地図で、一点に印が付いてるね。山のある場所だ」 ルカ「我々の呼び掛けに民衆が応えてくれたのだな!!」 シアン「ありがたいことですね」 ラダラス「罠だな」 ランデック「罠だね」 ルカ「わかってる……わかってるんだ……でもちょっと言ってみたかっただけなんだ……」 ランデック「とりあえず作戦会議するならブレイズも呼んで来よう」 部屋を出たランデック、民家の壁を登攀し始める。 ルカ「あ、そうか。窓から手を振って呼びます」 ブレイズ「スウィフト・フライで飛んで部屋に戻ります」 ランデック「あっれー!?」 悲しみの壁面放置。 DM「ブレイズに紙のことを説明していると、ドアがノックされる」 ルカ「誰だろう。出よう」 衛兵「シアン姫、失礼致します。実は民家を登っている不審者がいるという通報があったのですが、心当たりは御座いませんでしょうか?」 ランデック「通報されちゃったよ(笑)」 シアン「いえ、そのような者は知りません(さらっと)」 DM「それは庇う為の嘘だよね? はったりロール振って〜」 シアン「え、違いますよ。嘘じゃないです」 DM「なん……だと……? いや、え、ブレイズやランデックが屋根の上に登ってたのは知ってるよね?」 シアン「はい。ですが不審者ではないので、違いますよね?」 ルカ「…………!?」 DM「わ、わかった……。シアンはマジでそんな人知らないと思っている」 衛兵「そうでありますか。お時間を取らせて……」 ルカ「いやいやいや! すまない、それは彼らだ。賊の活動に対して見張りを行なっていたのだ」 衛兵「…………いや、しかしシアン姫はそのような者は知らないと今?」 シアン「ええ、確かに仲間が民家の屋根に登っていたのは事実ですが、彼らは不審者ではありませんから」 衛兵「…………(深い溜め息)わかりました。この様なことを申し上げたくはないのですが、シアン姫が行なったことは犯罪です。法を守るべき立場におられる方がそれを破られては困ります。以後お気をつけ下さい……それでは失礼致します」 退室する衛兵。 シアン「…………? なにを怒っていられたんでしょう?」 DM「…………確認しよう。ロールプレイ?」 シアン「え……? だって不審者じゃなかったですよ?」 シアンはいつも本物です!! 続く!! ●プレイヤーズコメント ・ランデック これはブレイズとルカの仕組んだ巧妙な罠だ! オレは悪くない! 悪くないんだーーー!! って感じで衛兵に連行されなくて良かった……。 今回はホームゲームのはずなのに、シアンのナイスオウンゴールで何故かアウェーの空気に。 逆転大勝利を収めれば、この空気も緩和されるに違いない! そ、そうだったらいいな! ・ブレイズ あれだけのことがあったというのに、口を滑らし無用の混乱を招くとは……。 銀貨2000枚もすっかり忘れていたというし。 不審者の件は、まあ結果オーライとしても。 シアン、どうやらお前を見くびっていたようだ。 大人にならなければならないのは私の方かもしれない。 ・シアン やはりあのような事があれば領民の皆さんからの目も冷たいわけですね……。 どうにかしてこの下がりきった信頼を取り戻せるように頑張らなければ! ・ルカ ノイエ・エイファスの襲撃による隊商と兵士50人の死傷。 この件で我々が直接にも間接にも責を問われることは決してない。 だが……兵士はすなわち領民であり、彼らの家族にとって、憎むべきは賊だろうか、あるいは……我らであろうか。 さて、調査とな……。 我ながらひどい、こんなやり方で情報を得られるわけがない! ショイフェーレ男爵の件でも街の噂一つ集められないダメっぷりを実感していたが、なんという情報弱者パーティー。 そして、衛兵との会話シーン。 私は衛兵に謝罪しながらも、「全て上官たる私の責任です」というシアンの言葉が続くものと期待していた。 私は、これまで行動を共にしてきて、それでも、シアンを信じていたのだなぁ……。 |
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■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第10回(パーティーレベル6) チャプター6 で、準備を済ませた翌日。 DM「というわけで印があった山を登ると洞窟への入口を見つけた」 全員「はやっ!!」 DM「時間押してるからサクサクいくよ!!」 DM「遠目から見ても立てつけのあまり良くなさそうな、隙間だらけの粗末な木戸があるね」 ランデック「よし、罠捜索しよう」 DM「ドアに近付くとアラームが作動して音が鳴る」 ちなみにこれはディテクト・マジックで存在を看過し、ディスペル・マジック(当たりをつけて盲打ちでもいいけど)みたいな手順が必要。 ランデック「捜索! 14!!」 DM「じゃあ反応セーヴ」 DM「ドアが物凄い勢いで開いたけど、どうにか飛び退いて回避出来た」 ランデック「あっぶねええええ!! っていやいや、おーい皆、ドアを開けたぞ!!」 ブレイズ「なんだか思いっきり不自然な開き方をしていたようだが……」 ランデック「気のせい気のせい!!」 ルカ「中は暗い?」 DM「暗いね」 ランデック「よし、陽光棒を取り出して……」 DM「ドアが勝手に閉まった」 ランデック「明かりを付けます……って閉まってる!?」 ブレイズ「余所見して鞄の中から取り出してる内に(笑)」 ラダラス「……開けたんじゃなかったのか?」 ランデック「しょ、しょうがない。解錠を試みます」 DM「じゃあまたドアがバターンと開いた。反応セーヴ」 ルカ「まだ罠解除してないだろ!?」 ランデック「ええええ!? …………1だ!!」 DM「ファンブルかよ(笑) 14ダメージと、ランダムで……背負い袋が吹き飛んだね」 ランデック「ぐはっ!! 痛ぇっ!!」 幸い?ゼラチネスキューヴ戦で全裸になった直後だったので、金目のものが入っていなかった。 ランデック「無理だ! このドアは俺の手に負えない!!」 全員「他に誰がやるんだよ! いいからとっととやれ!!」 ランデック「こ、今度こそちゃんと……捜索を……15」 DM「またドカーンと開いたよ。反応セーヴ……失敗だね。13ダメージ」 ルカ「なんでテイク10しないんだ!?」 ちなみにランデックの捜索技能修正値は13。テイク10すれば23となる。 ランデック「い、いやぁ……ハハハ……て、テイク10で捜索します」 DM「罠と鍵があるね」 ランデック「装置無力化します。28!! そして解錠は……ファンブル!!」 DM「ピックが折れて鍵穴が塞がったね」 ランデック「ど、どーしよ?」 ルカ「だからテイク10……」 馬耳東風。 ラダラス「もう力任せに壊すしかないか」 DM「簡単に壊せそうだね」 シアン「では筋力判定で壊します。えい!!」 DM「うむ。あっさり外れてバターンと倒れた。ていうかここまで強固な障害になる予定が全然無かったぞ!?(笑)」 スカウト(笑) 続く!! ●プレイヤーズコメント ・ランデック せっかくTRPGやってるんだから、常に行っている行為(聞き耳や視認など)以外のダイスロールチャンスではダイスを振りたい所。 この結果もダイスの女神が導いた演出と言わざるを得ない! 小さな障害もドラマティックなトラップになったりするからTRPGは面白いね! あれ? ルカからの視線が冷たい……? ・ブレイズ ランデック、さすがは我が隊の2枚看板の1人(何のだ)。 この場面、冒険者の間で大ウケのコントになりそうだ。 シアンに代わって、スカウト(笑)劇場の開幕か! まあ、前回の「呼びに行って、行き違い」から始まっていた気もするが(笑) ・シアン 私は罠解除とか解錠とかはさっぱりなんですが……。 なにやら今日はランデックが一人で大変そうでしたねぇ。 え、本来はあんなに手こずらないはずなんですか? ・ルカ ランデックのターン! 「扉に罠が仕掛けられていたが、解除して奥へ進んだ」 これだけのことをチャプター1つまで膨らませるとは……ランデック、恐ろしい子……。 |
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■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第10回(パーティーレベル6) チャプター7 ランデック「奥にもまた扉があるな……」 DM「聞き耳では中から慌ただしく走り回る足音が聞こえる」 ランデック「中に敵がいるみたいだぞ!!」 後続と合流し。 ランデック「捜索します。ダイス目13で達成値26」 DM「罠は無いが、鍵はかかっている」 ルカ「戦闘準備だな。シアンとブレイズにシールド・オヴ・フェイス」 ラダラス「シアンにレジスタンス」 ランデック「準備OK? じゃあ解錠!」 DM「開いた」 ランデック「じゃあシアン、後は頼んだ」 シアン「了解でーす。開けますよ〜」(ここで写真の状況) DM「部屋はこんな感じで、敵の姿は見えない」 シアン「視認しまーす……1ですね。皆さん、誰もいないようですよ〜」 ルカ「入口に落とし穴があるパターンじゃないの?(笑)」 ラダラス「中も入る前に調べたほうがいいな」 ランデック「だな。捜索します……ダイス目8で18」 ルカ「なんでテイク10じゃなくて振るんだ……」 DM「罠は無いと思ったよ」 ランデック「OK。罠は無いみたいだ」 シアン「それでは入ります」 DM「じゃあ反応セーヴ」 全員「うっ!?」 DM「……は失敗だね。床は在る筈なのに、スポッと通り抜けて落ちた(笑)」 全員「やっぱりそうなるのかぁぁぁぁ!!」 ルカ「…………おかしい! ランデックはなんであれだけ言われてテイク10しないんだ!? ていうかさっきの捜索達成値18? ダイス目幾つだったっけ?」 ブレイズ「ダイス目は8だったね」 ルカ「捜索の基準値13だよね? それでなんで18!?」 ランデック「あちゃー……計算ミスってたか……」 DM「ちなみに捜索の目標値は20だった」 ラダラス「シアンも反応セーヴにレジスタンスの1ちゃんと足してた? 大丈夫?」 シアン「…………あ! 足し忘れてました!!」 ラダラス(恐る恐るDMの方を見る) DM「レジスタンス分の1高かったら、セーヴ成功してたね。キミら数値的には成功してても穴に落ちずにはいられないのか!?(笑)」 ラダラス「マジか! おい!」 ルカ「いやもう、マジ勘弁……」 ブレイズ「呪いでもかかってるんじゃ……」 ランデック「テイク10! テイク10! 覚えた! 次からはそうする!!」 DM「で、落ちたシアンのことは別処理するとして、どうする?」 ブレイズ「穴を覗きます」 DM「70フィート地点で斜めの穴になってて、そこから先は視界外だね」 相談開始で、ゲーム内時間3ラウンド目で結論。 ブレイズ「自分がスウィフト・フライで飛び込みます」 DM「では降りていくと……途中で無音空間に踏み込んだ」 ブレイズ「サイレンスか!? 移動力の限り降ります」 DM「では70フィート降りた所で終了。シアンが蜘蛛のスウォームにたかられてるのが見える(笑)」 シアン「蜘蛛ですかぁぁぁ!?」 ブレイズ「スウォームか!!」 DM「というわけでシアンの処理を落ちた直後から始めよう。まず落下ダメージがデカい。29ダメージ。そして蜘蛛からのダメージやら毒やわずらわしへの頑健セーヴやら……」 シアン「あいたたた……蜘蛛嫌です」 これがまぁ毒の頑健セーヴ値は大したことないし、ダメージも1D6とショボいのだが……。 シアン「剣を捨てて、背負い袋を取り出して……」 蜘蛛のターン。 シアン「松明と火起こし棒を取り出して……」 火起こし棒はマッチみたいなもんです。 DM「右手しか空いてないから二つ同時には持てないよ」 シアン「あう。じゃあ盾を外して……」 DM「じゃあ今取り出したモノをどうにかして右手を開けないと」 シアン「あうあう。背負い袋に戻します」 蜘蛛のターン。 シアン「では今度こそ盾を外して、フリーアクションで落として、背負い袋から松明を取り出して……」 蜘蛛のターン。 ここでようやくブレイズが降下し、穴を転げ落ちるように合流する。 DM「穴の底に二人なんで窮屈状態だ。松明で攻撃する時は代用武器で-4、窮屈で-2の合計-6ペナルティね」 ブレイズ「起き上がって松明を取り出します」 シアン「火起こし棒で付けましょうか?」 ブレイズ「いいよ、自分の火起こし棒で付けられるから」 シアン「でも急いだほうがいいですから付けちゃいます! えい!!」 DM(ホステスが煙草にライター差し出すみたいな……) ちなみにサイレンスによる無音空間なので、実際には会話出来ないけど大目に見た(笑) で、松明を振り回して焼き払おうとするのだが、蜘蛛スウォームのACはそれなりにある。高くもないが極端に低くもないのだ。その状態で攻撃に-6なので、一発しか当らないまま3ラウンド経過。 ルカ「おかしいな……なにも反応がない。状況報告すら無いぞ」 ラダラス「中でなにかあったと考えるべきだな……」 ランデック「よし、俺なら身軽だから登攀で降りて調べて来るぜ!!」 DM「じゃあ登攀してもらおう。難易度は15だ」 ランデック「よし、テイク10で降りるぞ!!」 DM「戦闘中はテイク10できないよ」 ランデック「しまった! そうか! じゃあ振るしかない! ダイス目6! 登攀修正値3だから9」 ルカ「落ちたね」 DM「5以上差失敗だから落ちたなぁ……っていうか、それテイク10だと失敗じゃねーか(笑)」 ランデック「あらーっ!?」 また足し算ミスか! ルカ「よくそれで『登攀できるぜ』みたいなことが!? 身軽なだけだろ!(笑)」 その真相は、他の重装鎧組が絶望的なことになってるのに対し、「彼は成功率がある」だけマシという意味でした。 (実際にはここに10000匹の蜘蛛がたかっています) DM「というわけであっさり足を踏み外して落っこちた。落下ダメージは31。穴の底はさらに窮屈になり、窮屈ペナルティは-4だ」 シアン「なんか落ちて来ましたーっ!」 ブレイズ「な、なんだってー!?」 DM「そしてラダラスとルカは、『うわぁぁぁぁぁ!』というランデックの悲鳴が不自然に唐突に途絶えた」 ラダラス「悲鳴が消えた! サイレンスか!!」 この時点で延々と蜘蛛にたかられ続けていたシアンのHPは残り一桁。死への秒読み段階だが、ルカはそれを知らないので、プレイヤーも「知らないふり」である。 ルカ「くそっ! 俺が飛び込むしかないのか!? でもスウォーム相手に攻撃手段無いんだよなぁ……。しかし中にスウォームがいるなんてキャラは知らないからなぁ……ここで突入を嫌がる性格でも無い……飛び込みます! とおっ!!」 まぁ君が治癒に飛び込まないとそのまま皆死にますがな。 DM「さらに四人目が落ちて来た〜。落下で28ダメージ。もう窮屈過ぎて身動き不可状態。動作要素がある呪文は無理で、音声要素だけのも組みつき中と同様の精神集中判定」 ブレイズ「うあああああ!! どうなるんだこれ!?」 DM「サイレンスあるの知ってたんだから、降りる前にキュア唱えてチャージ保持しとくんだったねぇ」 ルカ「そうだ! くそっ! 失敗した!」 キュア(に限らず色んな接触呪文)は発動してから、誰かに触るまでは手に保持しておくことが可能な場合が多いです。 DM「いやほんと予想外に猛威奮い過ぎだろこの罠!? 蜘蛛の脅威度1だぞ!?」 ラダラス「落とし穴の脅威度は我々にとって測り知れない……」 DM「どうなるんだこれ(笑)」 ●プレイヤーズコメント ・ランデック ダイスロールチャンスでは、できるだけダイスを振りたい。 そう思っていた時がオレにもありました……。 さすがに脅威度1のモンスター相手に、レベル6パーティーが壊滅の危機になるのはまずいだろ! 例えるなら、戦隊ヒーロー5人が敵ザコ1体に完敗とかそんな感じ。 今後はこんな悲惨な事故を起こさないためにも、テイク10を適度に駆使して無難に探索するよ! (PL自称)ヘッポコレーダーとしては寂しい限りだけど(苦笑 計算間違いに関しては……。正直悪かった! 穴に落ちた時にオレが見たもの。 それは狭い場所で体を寄せ合うシアンとブレイズの姿だった(窮屈状態 見詰め合う二人に言葉は要らない(サイレンス 目と目を合わせるだけでお互いの気持ちが確認できる(火をつける時の意思疎通 そして二人の間に燃え上がる真っ赤な炎(たいまつ 二人の夜はまだ始まったばかりだ(蜘蛛に1撃しか与えていない あ、シアンとブレイズが睨んでるので妄想劇場はこれにて閉幕と言う事で(笑 ・ブレイズ ランデックの独擅場は許さないとばかりに、落とし穴に吸い込まれるシアン。 この2人「モーストデンジャラスコンビ」かっ! 計算ミスは死を招くというのに。 その後の泥沼展開も実に酷かった……。 そしてラダラス、上手いこと言った(笑) ・シアン もう、落とし穴も蜘蛛も嫌いです! 誰ですか、こんな陰険な罠を仕掛けた人は……以前はリザードマンでしたが、今回は人ですよね。 ところで、この状況でラダラスまで落ちてきたら……あ〜、考えたくないですねぇ……。 ・ルカ ランデックは言った。罠はない、と。 だがその地面は魔法による幻影で、ぽっかり空いた穴を隠していた。 ……何故気付けない!? このランデック……、いや、まずは落ちたシアンだ。 無数の蜘蛛にたかられる仲間達。 蜘蛛のスウォームに武器は全く効かないので、火で焼き払ったり、範囲攻撃呪文で対処するしかない前衛泣かせの敵。 だが、狭い空間に折り重なり、身動きが取れず、サイレンスで呪文も使えない……。 冗談抜きでこのままでは全滅……!? |
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■パーティーデータ(第10回終了時) ハウスルールの導入により、公式ルールとの矛盾・差違が発生した場合は本記述を優先します。 |
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