■“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター0

 ダンジョンズ&ドラゴンズ3.5版をベースに「オリジナル世界設定」「ハウスルール色々」「禁止呪文・特技・アイテム多数」「モンスターデータ改造しまくり」の独自環境なので、運用や裁定が公式ルールと矛盾した場合も仕様です。厳密なことはあまり深く考えないで読むと幸せ。
 また、プレイ内容で色々と「気に入らないこと」があったとしても、プレイグループ内では合意を得て楽しんでいるものとご理解頂けると幸いです。



 何度も復活をほのめかせてはフェードアウトしていく放蕩TRPG部ですが、今回はマジだ!! マジなんだ!!!
 続きが再開するわけではないのは申し訳ないのだが、続投しているプレイヤーはちゃんといるので!!!
 あと臆面もなく「作業メッチャ大変なんで、リアクション欲しいです!!」と主張することを躊躇しない! よろしく勇気!!!

 というわけで今回はチャプター0として、各PCのハンドアウトからキャラ設定部分を先行公開。
 だいたい数行程度のキャラ設定をワダツミに投げると、色々世界設定に落とし込んでこの文量になって「こんなキャラでどう?」と返ってきます(笑)

  ●アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル騎士爵 712〜
 魔導師(ウィザード)4レベル 真なる中立
 STR13 DEX14 CON16 INT18 WIS14 CHA14

 ヴィーリオン王国ヴォルフェンビュッテル子爵家三男。
 幼い頃から神童と讃えられた結果、調子に乗りに乗りまくって絶対無敵の万能感を疑わなずに自分のやりたいことをやればそれすなわち正義である主義者に育った。
 だが恵まれた家庭環境の中で挫折らしい挫折を経験せずに育った結果、想定外の事態や、下に見ている相手に強く出られることに弱い。
 一方で上に見ている人間の意見と自分の意見が食い違う場合には、「間違ってると思ってても我慢して従う」というよりも「実は自分もそうは思っていたのだが、際どいところで最終選考から外れた意見だったんだよね、それって。わかるわーそれわかっちゃうわー天才としての視野の広さに我ながら困っちゃうわー」といった風に自然と考えるので、忍従のストレスに晒された経験も少ない。
 人生最大にして唯一無二の挫折を味わったのは、10歳の頃、割と目を背けてきてたのがいよいよもって明らかに妹が自分よりも天才なことを認めざるを得なかった時なのだが、翌朝には「だが物理魔導の才能に関しては私のほうが上だしな」と、劣等感の炎の中から不死鳥の如く復活した。
 ゆえに今に至るも「お嬢様育ちで世間知らずな妹め、ハハハ」といった目線で精神的優位を保っている。なお、アルブレヒトも別段市井に通じているわけではなく、本で知った知識が殆である。馬謖。
 ヴォルフェンビュッテル家はヴィーリオン貴族としては実に主流な戦勝神を信じる家系なのだが、家族親族の中で唯一叡智神を「天才は人と違っちゃうんだよねー。親不孝で困るわー。天才ですまん」と信仰している。
 三男というポジションは家督相続の目が普通にあるのだが、親の意思に反して叡智神に改宗&魔導学院への入学を認めさせる為、上の兄に「私ほどではないにせよ聡明なる兄上のことですから、この天才が将来の政敵として立ち塞がる恐ろしさは既に十分危惧しておられましょう。いや口に出さずとも結構。出してしまえば困る言葉があることはこの天才、完璧に察しておりますゆえ。そしてご安心下さい。兄上はこの天才を味方につけることが出来るのです」と、別にそこまで恐れてはいなかった兄の口添えを取り付けることに成功した。
 以降、学院を卒業して帰郷後も積極的に政務から逃げ回って魔導に傾倒し「兄上、この天才は決して約定を違えませぬぞ」と自分の義理堅さに感動しつつ生きている。

 ある日、南の交易都市ラッヘンライゼの書店に前々から目をつけていた書物が入荷したという情報を得たアルブレヒトは、「今日は伯爵様が来られるので、絶対に城を出ないように」という長兄アルノーの言葉を持ち前の義理堅さで振り切らんと、監視網をインビジヴィリティやディスガイズ等の呪文を駆使して華麗に突破し、足取りも軽く旅立つのであった。

  ●モニカ・ヴォルフェンビュッテル聖騎士爵 715〜
 神寵者(フェイヴァード・ソウル)4レベル 秩序にして善
 STR18 DEX14 CON17 INT16 WIS17 CHA18

 ヴィーリオン王国子爵家長女。
 神童を謳われた兄を軽くぶち抜くレベルの才能を引っさげて爆誕した。
 誕生前夜には母に対して神のお告げがあるわ、出産の瞬間は城の上空に天使が降臨し祝福したという伝説がある。
 圧倒的な神の加護を受けまくったその力は、齢一桁の時点で既に並の大人の身体能力を凌駕しており、ただでさえチートな存在である神寵者の中でも白眉であることは誰の目にも明らかであった(アルブレヒト10歳、7歳の妹に腕相撲と木登りで完敗を喫する)。
 無論、神霊魔導の才能に関しては言うまでもない(アルブレヒト10歳、魔導学院入学を前に、妹が呪文を使う)。
 これで性別が男だったら完全に兄から恐れ慄かれるヤバさなのだが、幸か不幸か基本的には女性の家督相続は行われないのがヴィーリオン貴族。生まれ持った愛されキャラのカリスマオーラもあり、家族親族総出で蝶よ花よと育てられる。
 本来なら16歳で成人して爵位を得るところを、1年前倒して叙勲。神寵者にして騎士である聖騎士爵となる。

 聖騎士が教会に所属した上で召命される役職なのに対し、神寵者は当人や家に聖職者となる意志の有無に関わらず突然召命される為、もし神寵者となった時点で自動的かつ強制的に聖職者とされてしまうと、様々な問題を引き起こし、領主と教会の対立の火種となりかねない。そこで例外的に貴族でありながら聖職者である聖爵位を得ることが可能となる。
 神寵者を輩出したとなればそれだけで一族の誉れとなり、代々語り継がれるレベルなので、それをわざわざ手放す家は殆ど存在しないと言っていい。もちろん当人の意志が無視されるわけではないのだが、神は教会への滅私奉公を望みはしないし、神寵者も一族に多大な機会損失を与えてまで教会に所属したがるケースは稀である。たとえそれが流動神の神寵者だろうと、少なくとも名目上は家に所属を残すことを選ぶ。
 教会としても、地元に神寵者が召命されただけでドヤ顔イベントなので、家を捨て教会を選ばなかったからといって突き放すようなことはなく、可能な限りの協力関係を築こうとする為、権力利用を巡って揉めることもないはないのだが、概ね良好な関係となり、人材を出向させたり受け入れて、適宜共同活動をすることが殆ど。

●レーグネン 713〜
 神官戦士(クレリック)4レベル 秩序にして善
 STR16 DEX13 CON15 INT14 WIS16 CHA13

 ヴォルフェンビュッテル家の将軍の1人、ザメトレイター男爵家四男。
 幼少期は英雄物語に憧れる正統派貴族ボーイであり、何事もなければ順当に騎士となるはずであったが、モニカの比類なき才能を知るに連れ「英雄従士に、俺はなる!」と決意し、戦勝神の神官戦士の道を選ぶ。四男ということもあり、家としても「一人ぐらい教会に縁を持つのもいいだろう」と親は快諾する。

 こういった場合、通常は自分の家の城下にある戦勝神殿に所属するものなのだが、モニカを直接補佐するべく領都シュテルケモルゲンロートの教会を志望する。だが同じことを考えたライバルは数多く、人生最大級に熾烈なモニカ杯争奪戦に参加。努力と根性と家柄を駆使して驚異的な競争率を突破する。

 貴族から聖職者を目指すケースは、国全体の総数としては決して少なくないのだが、局地的な相対数としては少ないということもあり、戦勝神殿内に於いてはモニカの先輩として近い距離で共に修練を積んだ。計画通り……!!
 正式な神官戦士となってからは、再び父のコネを駆使することを一切躊躇せずに、モニカ付きの座を掴んでいる。

 正式な立場上は騎士叙勲を受けてないのもあり、既に貴族ではない。が、聖職者の中でも正規の神官戦士、更には神寵者付きともなればエリート真っ只中とあって、社会的地位で言えば大差無い。

  ●クラウス 713〜
 魂刃士(ソウルナイフ)4レベル 秩序にして善
 STR18 DEX16 CON16 INT12 WIS13 CHA14

 ヴォルフェンビュッテル家の執事の息子。ゆえに執事ではなく、見習い。
 希少な存在である魂刃士として将来を嘱望される身ゆえに、まだ未熟ながらも特例的に近衛の末席に加えられている。これは才能を認められての採用ながら、平民ながらも忠節を尽くし信頼される父親のコネに依るところが極めて大。ヴィーリオンに於いて才能だけでいきなりエリート職に取り立てて貰えるのは神寵者くらいである。
 そもそもは将来に対して「父のような(普通の)執事」になるものだと特に疑問も持たずに(現実の近代以前もフローラントの今も家業を継ぐのが普通である)いたのだが、“大征伐”に小姓として従軍した際、偶々ロイヒトゥン家の軍と近い位置に布陣した時に目にしたロタールの働きぶりに感銘を受け、魂刃士との二足のわらじを志すことになり、幸いにも魂ドライヴの才能に恵まれて今に至る。
 主はあくまでヴォルフェンビュッテル家当主であり、アルブレヒト、モニカと直接的な主従関係にはないが、まぁそりゃフィクションに出てくる執事キャラやメイドさんだってお姫様に直接使えてるんじゃなくて、親から給料貰ってるもんね。ロタールだってノアじゃなくてパパの執事だしな。

  ●ダスティ 713〜
 巧者(ローグ)4レベル 真なる中立
 STR12 DEX17 CON14 INT15 WIS13 CHA9

 ヴィーリオンとバーン国境で行われる密貿易、いわゆる「皇帝の分前」の駆け出しブローカー。
 元々はロートヴァルトを根城に活動する中規模の密貿易組織「マッドストライダー」に人身売買によって売られてきた孤児で、更なる出自としては経営破綻して崩壊した教会孤児院出身の戦災孤児。マッドストライダーでは若手の有望株筆頭で、特別目をかけられたことで巧者としての専門的な教育を受ける。
 プロの技術を体得してからは組織の歯車として日々の仕事に勤しんでいたのだが、ある日皇帝の分前に従事する組織の天敵として常に目の上のたんこぶだった山賊団「風鳴」との抗争が激化。マッドストライダーは最終的に(よせばいいのに)風鳴との正面対決を選び、見るも無残な壊滅を喫し、前線部隊は皆殺しでボス以下主だった武闘派幹部の大半が戦死。後方で活動していたメンバーは生き残った幹部同士による跡目争いの内戦が勃発、消耗を重ねた末にそれぞれが様々な既存組織へ吸収されることになった。
 その中でダスティは独立して活動することを選んだのがつい最近だが、将来有望だったとしてもそれは今ではなく未来であり、現実はまだまだ未熟なアウトロー。加えて人間関係の柵は完全に消えたわけではないので、組織を抜けて活動するにしても完全な個人では色んな意味で楽じゃないなーと思い知る日々であった。ぶっちゃけ密貿易ブローカーを舐めていた。

 フローラント大陸ヴィーリオン王国北西国境地帯簡略図 解放歴730年度版
 

 Don't give up justice, I want to get truth!

 次回更新から連載開始!!
■“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター1

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4


DM「では、アルブレヒトお兄様、ドラクエVの冒頭みたいに起きてください。テーレーテーレーテッテッテー♪」
アルブレヒト「ん、もう朝か……」
DM「そうすると、召使いが君に手紙を持って来る。アルブレヒト様、さきほどこのようなお手紙が」
アルブレヒト「おっ、もしやこれは……!」

 
DM「馴染みの本屋からの、君が注文していた本が近日入荷することを伝える手紙だ」
アルブレヒト「おお、ついに!」
DM「ちなみにお兄様がいつも注文している本屋はこの町にはない。待っていればそのうち届くけど」
アルブレヒト「むぅ、すぐは読めないのか……!」
DM「配本予定は2週間後になりますと、そんなことを伝える速達の手紙だったわけだ」
アルブレヒト「2週間なんて、とても我慢できない……。すぐに買いに行かねばっ」
DM「なおアルブレヒトは『今日は大事なお客様が来るから、絶対に出かけてくれるなよ』と上の兄からきつく言いつけられている。絶対にだぞ!」
アルブレヒト「ふんふんふーん♪」
レーグネン「意に介してない」
モニカ「絶対にだぞ!」
クラウス「ホワンホワンホワン〜な」
DM「もしかしたら、ホワンホワンホワンすらないかもしれん(笑) そのくらいの勢いかもね」
アルブレヒト「とうとうこの知らせが! この新刊を1年待ったんだ! 今すぐ読みたい!」
DM「レジェンド・オヴ・エイファス第8巻!」
モニカ「続きもの?」
スポット参加プレイヤー「続きものなんだ(笑)」

 今回のプレイだけ参加の人が一人混じっています(笑)

アルブレヒト「1日でも早く読んで堪能したい、自慢したい! 誰かそんな同好の士はいるのかな?(笑)」
DM「レーグネンはレジェンド・オヴ・エイファス好きかもよ」
レーグネン「……コロコロ(ダイスロール)」
DM「お前は今、なんの判定をしたんだ(笑)」
レーグネン「いやぁ、レジェンド・オヴ・エイファス知ってるのかなと思って」
アルブレヒト「もしかしたら前の巻とかを貸しているかもしれない!」
DM「布教(笑)」
アルブレヒト「あ、でも2人は知り合いだったっけ?」
DM「ヴォルフェンビュッテル家の家臣なんだから顔見知りってレベルじゃない(笑)」
レーグネン「なるほど」
DM「ノリ的にはヒストリエの主人公かな。本屋に何度も何度も通っては『アナバシスの新刊届いた? 届いた?』って聞いては届いてないねーってやり取りしてて(笑)」

 
 こんなんです(笑)

アルブレヒト「では早速着替えよう」
DM「旅装に(笑)」
アルブレヒト「『レジェンド・オヴ・エイファス』だっけ」
DM「歴史書というよりは伝記小説だね」

 プレイのときは英語のタイトルにしてしまったが、今思えばここはドイツ語だろうにゃー。「リーゲンデ・フォン・エイファス」。舞台であるヴィーリオン王国はドイツ語圏なのだ。

アルブレヒト「明日には着くかな? よし、道中に読む本も持ったし完璧だ」
DM「というわけで……道中用の本!? まぁそうだよねぇ。そういうわけでアルブレヒトは本屋に行くことになるわけで。その本自体は南の方から届くんだ。なので、流通経路に先回りして受け取ろうとしているわけだ、この人は。宅配便の流通センターに行っちゃうような。配達待ちなんてしてられっかー」
ダスティ「……そこまで(笑)」
DM「原本は都会の方の作家さんとかが書いていて、ここはだいぶ離れているからね。えっちらおっちら運ばれてくるんだけど」
アルブレヒト「本屋へ先回りして入荷の馬車を待ち構えよう(笑)」
DM「ところでアルブレヒトは移動用の馬を持っているの? 途中で本読むって言ってたから馬車に乗るのか」
アルブレヒト「移動中に本を読みたいから、馬車だね」
DM「酔いそうだけどね。サスペンションもないからダイレクトに揺れるし」
レーグネン「お兄様の鍛えられた三半規管が」
DM「冒険者たるもの、頑健セーヴに成功すればよい、と。頑健低いウィザードだけど」
ダスティ「道がものすごく整備されていれば……」
DM「されてないよ!」
ダスティ「そりゃそうですね」
アルブレヒト「追加サプリにスカラーズ・タッチっていう、本を一瞬で読めるって呪文があるんだけど……」
スポット参加プレイヤー「じゃぁ、本持っていかなくてもいいんじゃ?」
アルブレヒト「本に手を置くと頭に内容が入ってくるって、読書の楽しみを台無しにする呪文だからねぇ(笑)」
DM「この世界にそんな野暮な呪文は無いよ! ダーク・シュナイダーだって本読むからね。あいつなにげに一度ならず本読んで勉強してるシーンあるからね」

 スカラーズ・タッチが掲載されているのは日本語環境最後期のサプリメントで、インフレして強い追加ルールばっか掲載されていた時期なので、サプリメント自体が「原則導入しませんが、ロールプレイ上必要な場合はご相談下さい。許可する場合もあります」扱いなのだ。

アルブレヒト「学術書とかならともかく、小説だとどうなんだろうね」
DM「ドキドキもワクワクも一瞬で通り過ぎるから面白くないと思うよ(笑)」
アルブレヒト「……あ、もう読み終わった。いろいろもったいないな」
DM「内容を知っている、って結果を得るだけで、本を読んでいる体感時間が時間圧縮される効果じゃないだろうからね」
アルブレヒト「それじゃ、やはり本を選んで荷物に詰めて、早速出発だ。乗合馬車組合に行ってビジネスクラスの馬車に乗るぞ」
DM「手慣れたものだね(笑)」
アルブレヒト「誰かに見咎められないよう、インヴィジビリティと、正体がばれないようにディスガイズ・セルフを」
レーグネン「魔法を使ってまで出ていくってことは、ちょっとは悪いと思っているので?」
アルブレヒト「いや、悪いとは思ってない」
DM「効率がいい、と(笑)」
スポット参加プレイヤー「だいじ、だいじ」
アルブレヒト「止められたら元も子もないからね」
モニカ「『しょうがないじゃん!』って(笑)」
アルブレヒト「まぁ、私が客の歓迎に出てしまうと、兄の影が薄くなってしまうからね、丁度いいのだよ」

 彼は100億%本気でそう思っています。

DM「それでは……お客さんをお迎えする時間になったので、クラウスはお兄様を迎えに行ってください」
クラウス「アルブレヒト様、時間ですよー(ドンドン)」
DM「シーン……」
クラウス「アルブレヒト様ー……。ドアの前に守衛とかいるんですか?」
DM「いるよ。衛兵というか、この場合は見張り。アルブレヒトの兄が見張らせているんだけど、あの人もう逃げてったから……」
スポット参加プレイヤー「衛兵さんかわいそう……。窓からカーテン結んでとか?」
DM「いや、窓からレヴィテートの呪文とかで降りてるでしょ(笑)」
アルブレヒト「普段はドアの前までは衛兵はいないんだろうけど、『今日は絶対に逃がすな!』と(笑)」
クラウス「じゃ、衛兵に……」
スポット参加プレイヤー「わたし衛兵やります!」
クラウス「アルブレヒト様は外に出られたのか?」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「いえ、ここは人っ子一人通っておりません!」
クラウス「ドンドンドンドン! アルブレヒト様! アルブレヒト様!」
DM「ここは警察じゃないよぉ〜」(わかる人にだけわかる)
クラウス「……まさか! ドアを開けます! ガチャ」
DM「多分呪文でロックが掛かってるよ(笑)」
クラウス「ガチャガチャ……!」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「……開かないっ! なんて小賢しい!」
クラウス「ま、まさか……いつものか!」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「またやられたー!」
DM「ドアは開かない。まぁ、やりようはいくらでもあるんで頑張って(笑)」
クラウス「では、衛兵と一緒にいつもの逃走経路をおさえに」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「わかりました! ……いつものって(笑)」
クラウス「アルブレヒト様が逃げた!」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「また、アルブレヒト様が逃げたぞー!! またですー!」
アルブレヒト「あ、机の上に手紙置いてあるから」
スポット参加プレイヤー「そういう気は遣ってくれるんですね」
DM「まだ部屋には入ってないからわからんけどね」
スポット参加プレイヤー「入れない……姑息な(笑)」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「2人がかりでドアを破りますか」
クラウス「衛兵には窓の下を見てきてもらうよう言って、自分は隣の部屋の窓からこっちに入れないか試します」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「わかりましたー!」
DM「さすがにバルコニーってわけではないので、窓から隣の窓へ跳ぶのは無理だね。壁走りの特技とか使えば?」
クラウス「チュートリアルプレイ後に調整したので、その特技は違うのに変わってて(笑)」

 
 今回はアルブレヒト(傭兵隊のルカの中の人)と、レーグネン(海洋/彷徨のダスの中の人)以外の3人が未経験かそれに近い初心者ということで、チュートリアルとしてダンジョンを一つくぐり抜けて貰っています。
 突破するのに3度のプレイ、トータル24時間超えてる気がする死闘を経てのレベル4スタートなのです。

DM「そうかー、じゃぁその時手に入れた、空中に固定出来るロッドとかを足場にすれば……って、お兄様が持っているのか」

 
 宝箱の中身は全部財宝ロールのガチャだったので、普通なら意図的に出すことはないであろうこの「空中に固定することが出来るロッド」を1本持ってるんですよ。ええ、1本。レヴィテートのスクロールが150、フライのスクロールが375、ディメンション・ドアのスクロールが700で買えるんですが、このロッドは1本5000です。そりゃ使い減りはしないけど。
 ……たけーよホセ!!! なんだよ1本5000て! 複数手に入れてこうやって使いましょう、じゃねーよ!!!(笑)
 空間に固定される効果はそりゃ色々と使い道が思いつきそうだが、それにしたって5000て! +1の武器とプレートアーマーが一組買えてしまう!!
 というわけで半ばというかほぼ「半額の2500で売れる金の延べ棒」みたいな扱いでキープされているのであった。


クラウス「では……お兄様の部屋は何階ですか?」
DM「何階がいい?」
アルブレヒト「日光避けに地下ってわけにはいかないだろうから……」
クラウス「まさかの地下!(笑)」
DM「この地下は湿気まみれでジメジメしてるからなー」

 家屋設備に投資しまくるタイプな貴族の城館だとその限りではない。魔導空調みたいなのはある。

アルブレヒト「本の保存を考えると、湿気よりは日光のほうがまだいいかー」
DM「窓も最小限にね。『ヤメロ、本が傷む!』って」
アルブレヒト「じゃぁ、高いほうがいいかな?」
DM「3階くらいってことにしておこう」(あまり高くなかった))
クラウス「何フィートくらいです?」
スポット参加プレイヤー「……何をしようと?」
クラウス「得意のジャンプで……」
スポット参加プレイヤー「ジャンプ!」
DM「うーん、城だから造りは結構高い。〈跳躍〉では厳しい。〈登攀〉で?」
クラウス「〈登攀〉!」
スポット参加プレイヤー「いいねー」
DM「鈎つきロープとかでシュッと」
スポット参加プレイヤー「ルパンみたいでいいですね」
モニカ「うんうん」
クラウス「うーん……」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「クラウス様、いつもの鈎つきロープを用意してきました!」
DM「〈縄使い〉の技能はどう?」
クラウス「あります……ランクは1」
DM「まぁ、最低限だね。身軽に見えて、高いところは案外苦手っぽい(笑)」
スポット参加プレイヤー「ふふ……ギャップ(笑)」
DM「ロープはとりあえず引っ掛かった。判定は……こちらで振るので数値は秘密」
クラウス「まずはぐっと引っ張ってみます。大丈夫そうですか?」
DM「腕力で引っ張る力には耐えられている。実際に登ってみないと、体重を支えきれるかどうかまではわからない」
クラウス「じゃ、登ります」
DM「無事に3階窓まで登れた」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「クラウスさまー! いかがですかー?」
クラウス「アルブレヒト様! 窓から部屋に入って……居ない!(笑)」
衛兵(スポット参加プレイヤー)「やっぱりですか!」
クラウス「やっぱり!」
DM「居ない!」
クラウス「じゃ、部屋を目星で」
スポット参加プレイヤー「あははは」
DM「それはクトゥルフRPGだから!(笑)」

 ネットで見かけた話題に「部屋に入ったら、KPとしては机の引き出しを調べるとか本棚を調べるとか宣言して貰いたいのに、思考停止で『取り敢えず〈目星〉で』と宣言する雑なプレイが問題だ」みたいなのがあって、その流れのネタ(笑)
 D&Dでは〈視認〉から然程大きな情報は得られず、1.5平方メートルの平面毎に6秒かけて〈捜索〉しないと「部屋全体を調べる」ディティールは得られないので、総当り的な捜索を常に行うと時間経過が無視出来なくなる。

クラウス「では、机の周囲などを見回して脱出の理由などを探します。どこに行ったのか」
DM「机の上に手紙が広げてあるのが見つかる」
クラウス「本を買いに行った! いつもの! また我慢できなかったんですね、アルブレヒト様は!」
モニカ「7巻のときもね(笑)」
DM「『こうしちゃおれん』と出ていく姿が、君にはありありと思い浮かぶ(笑)」
スポット参加プレイヤー「これまで7回あったんですね」
DM「7回どころじゃないと思うよ(笑)」
アルブレヒト「他のシリーズでも同じことしてるよ(笑)」
クラウス「衛兵にそれを伝えて、馬を確認しに厩舎に向かいます」



DM「それではモニカ。なにやら衛兵やクラウス達が大騒ぎしているよ」
モニカ「クラウスを見かけて『何をしているの?』と聞きます」
クラウス「モニカ様! アルブレヒト様が、いつものです!」
モニカ「まぁ……!」
クラウス「どうやら、数ヶ月前に続き、本を買いに、あれ、いつでしたっけ」
アルブレヒト「んー、3ヶ月、いや……先月だな」
クラウス「先月出た本の続きを買いに……!」
DM「先月出た本の続きが今月て。週刊漫画の単行本よりハイペース(笑)」
アルブレヒト「他の本を買いにいってるってことで」
DM「何かしらの本を買うのに月イチくらいで勝手に抜け出してんだよ(笑)」

 
クラウス「また本を買いに抜け出したようです」
モニカ「まぁ……いつもの事ですわねぇ」
ダスティ「動じない」
クラウス「動じないですね。では今から自分は追いますので」
DM「『絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に居ろ』ってお兄様が言われているのをモニカは知っているよ」
モニカ「……そうでしたね。そういえば絶対に居なくてはいけないんですよね」
クラウス「結構ほんわり系ですね」
DM「判断力に不安が(笑)」
モニカ「……判断力は17あります(笑)
スポット参加プレイヤー「察し過ぎて悟っちゃっているんです」
DM「動揺してないよね(笑)」
レーグネン「能力値が高過ぎて紙一重に(笑)」
モニカ「では、連れ戻しに行かねばなりませんねぇ!」
クラウス「今から行ってまいります!」
モニカ「ひとりで? これはお父様に知られてはなりませんよね……いつ頃出られたか判りますか?」
DM「まだ温かい……! 遠くへは行っていない! とか?(笑) ……どうなんだろう、そんなついさっきとかじゃないと思うんだよね」
モニカ「朝食には来ていたんですよね? 朝には居たってことになりますか」
DM「普通は一同に会して食べるからね」
アルブレヒト「夜ふかしして本を読んでたりしてて、寝坊の常習犯だったりするかも(笑)」
DM「引きこもりみたいに部屋の前にお盆にのった食事が(笑)」
モニカ「お兄様は大丈夫なはずです!」
DM「じゃ、今朝は食事に出た?」
アルブレヒト「うーん……どうかなぁ」
モニカ「居ました! 居たってことでいいですよね!」
DM「まぁ普通、朝食前の時間に手紙は来ないと思うしね」
モニカ「今って何時なんですか?」
DM「恐ろしいことに……もう午後なんですよね。15時」
モニカ「夜の絶対にいなくってはいけない時間というのは……」
DM「夕食の時間なのですよ。今から2時間、限界まで引っ張っても3時間しかないわけですよ(笑)」
モニカ「この時代って、お昼は食べるんですか?」
DM「普通は朝夕の二食」
モニカ「じゃぁ……連れ戻さないといけませんね」
クラウス「今から馬番に何時頃発ったか聞きに行きます」
DM「まさか、昼食で一同に会さないことがこんな事態を引き起こしてしまうとは……(笑)」
レーグネン「くっ、昼食さえ食べていれば……!」
モニカ「このことがお父様に知られてしまっては、きっとお兄様は……!」
クラウス「あ、着いてくるのですか」
モニカ「もちろん着いていきますわ」
クラウス「間に合いますかね、今から……」
モニカ「間に合わせねばなりません……!」
クラウス「アルブレヒト様が居ない上に、モニカ様まで間に合わなかったとなれば、事は……と、説得します」
モニカ「駄目です! お兄様は私が取戻……連れ戻さねばならないのです!」
スポット参加プレイヤー「モニカ様の言うことしかきっと聞かないんですよきっと(笑)」
モニカ「と、着いていきます。ブラコンなんで」
DM「まぁ、所詮は平民のクラウスだけではアルブレヒトには強く出られなくて、いつも結局連れ戻せていないね(笑)」
レーグネン「確実に連れ戻すためには……」
クラウス「1人でも多いほうが!」
モニカ「お兄様は我儘なんですから!」
クラウス「モニカ様、お願いいたします」
モニカ「内密に、内密に」
DM「朝のうちにいなくなったなんてわからないしね(笑)」
モニカ「場所はわかりますよね?」
クラウス「放り出してあった手紙に書店の名前がありましたから」
モニカ「お昼前に馬車でお兄様がでかけたとか、そういう目撃情報とかわかりますか?」
DM「情報収集の判定なんだよね。そして君達の2人そんな技能持ってないので平目で振るしかない。そして目撃情報は無いまま、町の乗合馬車屋へ到着」
モニカ「まったく、どうして馬車を貸してしまったのです!」
馬屋(スポット参加プレイヤー)「も、申し訳ございません……」
DM「さすがにそれはなぁ(笑)」
クラウス「理不尽な叱責!」
モニカ「そこは、上からの人間なんで……(笑)」
馬屋「そう言われましても……」
クラウス「馬番の肩をそっと叩いて……処す? 処す?(笑)」
モニカ「責任転嫁……(笑)」
アルブレヒト「あ、城内の馬車は兄上の手が回っていた可能性があるので、町の乗り合い馬車に乗っています」
DM「呪文で変装した人を見分けて止めるなんて(単なる馬屋には)不可能だしねぇ」
モニカ「お兄様のお顔をご存知ではないのですか(ぷんすか)」
馬屋「いえ、少なくともアルブレヒト様はご利用されておりません! お顔を存じておりますが、お見かけしておりません!」
モニカ「まったくぅ!って言うしかないですね」
クラウス「モニカ様をなだめて……。モニカ様、早く追わないと!」
DM「『ケッ、我儘お嬢さん好き放題言いやがってよぅ!』とか思われるやつだこれ(笑)」
クラウス「城下での人気がドンドン下がって……(笑)」
DM「まぁ、呪文で姿を変えてることは予測出来るから、馬車を貸したのは責められないことはわかっていていいよ(笑)」

 魅力度高いお姫様キャラがこんなどーでもいいことで評判を落とされてはDMとしても困るのだ(笑)

モニカ「じゃぁ、行きましょうか」
クラウス「馬車を借りてきました。モニカ様どうぞ」

 お気付きになられただろうか? 続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!


●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 あの放蕩リプレイが帰ってきた! 私もとても嬉しい。
 キャラメイクでダイス目がとてつもなく走った結果の天才キャラ。
 どんな目が出てもウィザードという役割は決まっていたものの、まさかこのダイスを余裕で超えていくキャラがいるとは皆すごい。
 魅力的なキャラ設定に負けない、楽しいロールができればいいな、とドキドキものです。



・モニカ
 はじめまして、ようやくリプレイになる程に膨れた物語のキャラクターとして始める事ができました。未経験に近いプレイヤーですがモニカがんばります。



・レーグネン
 あらゆる意味で最高のロケットスタートをキメるお兄様!
 初回にして早速のクラウスの苦労させられっぷりに、今までの罪状が思い浮かぶようです(笑)



・クラウス
 執事ですが、気分は銭型のとっつぁんが脳裏をちらほら。ばっかもーんやつがアルブレヒト様だ!



ダスティ
 チュートリアルを経ているから、初めからヴォルフェンビュッテル家の中でのノリが出来上がっていて楽しげな感じ。特にアルブレヒト”お兄様”!
 ただ、チュートリアルとは違い、ダスティは最初から仲間ではないため、同じノリでは入っていけない。出番はまだなので、どうしたもんかなぁ、とかちと考えてました。

     
■“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター2

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4


アルブレヒト「馬車を馬車で追っても一生追いつけない……(ボソっ」
DM「ということに気づかずに、君達は出発してしまうわけですね?」
モニカ「ということに気づかない?」
DM「いえいえ、なんでもないです。じゃあアキレスと亀じゃないけど、お兄様が10キロ進めば、君達も10キロ進むわけです(笑)」

 結果として追い着けないまま陽が暮れた。

スポット参加プレイヤー「馬車より速い移動手段ってあるんですか?」
DM「そもそも馬車は運搬力が高いだけで、自動車輸送みたいに速くないんです」

 積載状態の馬車の巡航速度が時速7.2キロ、軽装の旅人の巡航速度が時速5.4キロ。通常1時間ごとの小休止が入るので、実際の移動速度はもっと減る。

モニカ「乗馬か! 普通に馬に乗っていけば良かったのか!」
クラウス「あぁ……そういうこと」
DM「……そういうことです」
モニカ「そこはでも気付くんじゃないんですか?」
DM「(現に君達は)気付かなかったんです」
スポット参加プレイヤー「気付かなかったんですー」
モニカ「なるほど」
DM「ここはね、テーブルトークRPGの難しいところなんですよ。俺はマスターシーフだから気付くよ、をどこまでやるかというね」
モニカ「わたしそういうのないから、気付かないです(笑)」

・キャラクターは自分と違って知力や判断力が高いし、冒険者として経験も積んでいるので、そんな初歩的なミスはしない筈だ。
・キャラクターはテーブル囲んでるだけの自分達と違って実際に行動しているんだから、こっちのイメージしきれずにスルーしたことにも気付くのが自然な筈だ。

 こういった主張はどんなTRPGでも起こり得ることで、「一理ある」ことも間違いありません。
 だけど逆に「実際にその場にいない人間だからこそ受けられるメリット」も存在することは忘れられがちです。劣悪な環境で汚物にまみれることもなければ、巨大な鉄球が転がってきても、悪夢のようなおぞましい存在と対峙しても、プレイヤーが生命の危険を感じてガチで正気を失い慌てふためくことはありません。
 D&Dをモデルにした架空のTRPGをプレイし、「あるあるネタ」を繰り広げる映画「The Gamers」に於いてもその光景は繰り広げられます。

 
 そう宣言してダンジョン内の一室に入り込むシーフのニンブル。
 罠に引っかかって即死します。

 
 DMとしては「部屋に歩いて入る」としか宣言してないんだから、当然罠が発動したってだけなわけだけど。
 プレイヤーとしては「いちいち宣言してなくても察しろよ」と抗議。
 仕方なく巻き戻しを認め、部屋に入るところから「彼の言うように、忍び込ん(ムーヴサイレントリー)だ」結果、やはり罠に引っかかって即死します。

 
 俺はマスターシーフなんだから「歩いて入る」って言ったらそれは「忍び込む(ムーヴサイレントリー)」って意味だし、「忍び込む」となったら、それは「罠を探す(ファインドトラップ)」ってことなんだよと抗議。

 
 呆れたマスターは好きにさせます。
 どうやら彼の「歩いて入る」は「危険な場所なら1インチ先の罠を警戒しながら匍匐前進で入っていく」という意味なので、その程度のこと最初から察しろということだったようです。無論、危険な場所であるかどうかも一々言わせるな、で。
 議論をしていたら次々に後出しで情報が加わり、「お前絶対最初からそう思っちゃいなかったろ」ってことはよくあることなのと同じ(笑)


 もちろん「服を着るなんて宣言しなかったんだから、お前は全裸で町に飛び出したよ」なんてことではないわけで、なんでもかんでも「宣言してないんだからしてないってことだろ」なんてされたらたまったもんじゃない。だから「普通言わなくてもわかるよね」となるわけだが、その明白な基準が存在しないケース・バイ・ケースゆえの「古より続く定番のトラブル」なのよね。
 野営の見張りを立てる宣言をせずに就寝宣言して夜襲をされたら「いや普通見張り立てますよねわざわざ言わなくても。プロなんだから。キャラ視点なら警戒しないとかありえないじゃないですか」ってなもんで、人それぞれの様々な「キャラクター視点なら絶対そんなことしない筈」を受け入れていたら、際限がないことになっちゃうんですな。もちろんプレイヤーには思い付き難そうなことを「君のキャラのプロの視点で、○○だと思った」なんて情報をDM側から与えることはあるけど、プレイヤーがあらゆる場面で「プロのキャラクターの判断でオート行動取ります」ってやりたい放題では、話が違うのでした。


DM「例えば30分前のバスで出かけた人を、数本遅れの同じバスで追いかけてしまうこともあるわけですよ、人間焦っていると」
モニカ「そうですよ。焦っているとしちゃうかもです」
DM「傍から冷静に見ている人、普通はタクシー使うだろって思っちゃうわけだけど」
クラウス「いやぁ従者なんで単純に移動手段は快適な方がいいと思って、追い付けないのは承知で馬車を手配しました」
モニカ「しょうがないですよ」
DM「でも2時間くらい経ったあたりで気付きます。全く追い着く気配がない」
モニカ「途中で気付くんですね」

 この辺で気付いたことにするのが、落とし所かなという次第( ・`ω・´)

DM「最初から承知のクラウスはともかく、モニカは『間に合え、間に合え』と必死に思っているわけだけど、『あ、帰りの時間を考えるともう無理なんじゃね……』という限界点を過ぎてしまったことに気付きます」
クラウス「時間がわかるんですか」
DM「冬だから暗くなってきてるしね。時計があるわけではないけど、日没タイミングの体感でだいたい」
モニカ「……もう真っ暗ですわ」
アルブレヒト「そんな君らの馬車の横を、普通に馬に乗った人が軽やかに追い抜いていったりするわけですよ」
DM「そうそう、急ぎの早馬とかが(笑)」
全員『あはははは(笑)』
モニカ「そこでようやく気付くんですね(笑)」
スポット参加プレイヤー「今ならまだ間に合う……!」
クラウス「……もうダメだな」
全員『あはははは(笑)』
モニカ「でもでも、お兄様を連れて帰らないと……! 連れて帰らないと!」
アルノー・ヴォルフェンビュッテル男爵「馬鹿な、アルブレヒトはともかく、モニカまで居ないだと……!」
アルブレヒト「『アルブレヒトは最悪居なくてもなんとか出来るが、モニカが居なくてはどうにもならん……!』という評価だと思われます(笑)」
DM「人間の心理として連れ戻すまでに3時間のタイムリミットがあれば、2時間進むまでは『まだ急いで戻れば間に合う』って思いがちなわけですよ。で、今がその時です」
クラウス「暮れてきた空を見ながら『駄目だな』と」
モニカ「……でもお兄様を連れ戻さないと、お兄様がお父様に叱られるのです!」
DM「そして横を通り過ぎる早馬」
モニカ「クラウス、馬に乗っていきましょう。ようやく気付くわけですね」
クラウス「良いのですか? 快適とは言い難いですが」
モニカ「大丈夫です。お兄様のためですから。行きましょう!」
DM「まぁ、モニカは騎乗スキルもあるから、スキル無しの人よりは乗り慣れているしね」
クラウス「馬を借りられる場所はあります?」
御者「後1時間もすれば宿場町に着きますから、そこで借りられますよ」
モニカ「馬車の馬では足が遅いんですよね?」
御者「これに乗っていかれてはこれから夜だってのに馬車が立ち往生ですよ。勘弁してください」
クラウス「……そうだった!」
スポット参加プレイヤー「おぅ、その馬を寄越しな!」
クラウス「……現地徴発って、鬼だ!(笑)」
モニカ「これが貴族の無茶振り……! まぁ、先の町で馬を借りるしかないですね」

DM「君達が宿場に着く頃には陽は完全に落ちています」
クラウス「もう間に合わないと察してはいますけど、連れ帰るという目的だけは果たさないと……(笑) 『かの身勝手を捕まえてやろう』と」
モニカ「『懲らしめねば』と(笑)」
DM「そうねぇ。お兄様は、もっと先の宿場で今頃寝てるから(笑)」
アルブレヒト「そんなに先でしたか」
DM「なにせ6時間は先行しているからね。ぶっ続けで移動しっぱなしでないことを考慮した馬車(ヘヴィ・ホース)でも30キロ以上進めてしまう」
アルブレヒト「追い付くなんて、最初から無理だったんだ!」

 町で情報収集せず即座にライト・ウォー・ホース(230ポンドの重さまでは速度低下しない)に乗ってかっ飛ばせば追い着けたよ!(笑)(だが晩餐に間に合うとは言ってない

モニカ「クラウスが悪いわけじゃないから……」
クラウス「じゃぁ、馬に乗り換えていきましょう」

 ここで借りられるのはライト・ホース。ライト・ウォー・ホースよりも非力なので、荷重150ポンドから速度低下する。
 結果として、ヘヴィ・ホースの巡航速度が時速6.3キロに対して、ライト・ホースが時速7.2キロから更に速歩モード(ドンドン疲れてダメージ受ける)で倍の時速14.4キロで追いかけることになる。

宿場の馬屋主人「え、もう夜ですけどこれから行くんですか?」
クラウス「モニカ様、どうしまょう?」
DM「クラウスには〈騎乗〉スキルが無いので、夜の暗闇で馬をまともな速さで進ませるのはまず無理だとわかる。というかモニカだって高いわけじゃないんで厳しいな」
クラウス「うーん」
DM「ヘッドライトも街灯もない世界で、未舗装の道を行くのだ。しかも熊どころじゃないモンスターが徘徊している危険もあるかもしれない。まぁヒグマってデータ的にはオーガより強いんだけどね! オーガは攻撃力の割に打たれ弱いのでヒグマと削り合いをしたら先に死ぬ」
クラウス「モニカ様、夜の馬での旅は危険です」
モニカ「……お兄様は朝は遅いですから、早朝に発てばなんとかなるかもしれませんね」
DM「オタクは普段どんなに寝坊助でも、コミケの朝は早いけどね(笑)」
モニカ「その情熱はモニカには推し量れない域にあるので……」
アルブレヒト「朝一番の馬車に乗れば、それだけ早く本屋に着くのだ……!」
クラウス「では、朝まで休んで夜明けとともに出発します」
モニカ「馬は借りられるんですね」
DM「それは問題ないね。まぁ借賃は些細な額なんで領収書切れば落ちるよ」
モニカ「では経費で」
クラウス「請求書の宛名はアルブレヒトでお願いします」
アルブレヒト「……えっ!?」

 翌日

DM「馬で追いかけると、その日の午後には馬車に追い着くね。前の馬車、止まりなさい!」」
クラウス「そこの馬車!」
御者(スポット参加プレイヤー)「ひぇ〜な、何でございましょうか?」
クラウス「改めである!」
モニカ「御用だ! 御用だ!(笑)」
御者(スポット参加プレイヤー)「お慈悲を、お慈悲を……!」
DM「ではお兄様、もうすぐ目的の町に着く頃合いに、馬車が騎士に止められたよ」
モニカ「お兄様! 馬車の扉を開けます」
アルブレヒト「おぉモニカにクラウス、こんなところでなにをしているんだ?」
モニカ「お兄様ぁ!」
クラウス「何かお忘れでは?」
アルブレヒト「なんだ、私は町まで本を買いに来ているだけだが……」
モニカ「お兄様、昨夜は大事な用があったんですよ!」
アルブレヒト「……まぁ、昨日の話だし」
モニカ「お兄様!?」
アルブレヒト「しょうがないじゃないか、本が入荷したんだから」
モニカ「お兄様、我慢しろって言われませんでしたか! たった1日ですよ!?」
アルブレヒト「……」
クラウス「言葉に詰まった(笑)」
アルブレヒト「たった1日じゃないんだよ。思い立ったが吉日という言葉があってな」
モニカ「……まぁ博識ですこと」
DM「ヒノワのことわざ(笑)」

 放蕩TRPG部のリプレイを読むのが初めての人向けに説明すると、この星は700年以上昔に地球人の移民船団(超光速技術は持たないのでめっちゃ時間をかけたコールドスリープ状態)がやってきておりまして。以下はフローラントwikiより抜粋。

  地球人、いわゆる星渡りの民がこの星に辿り着いた直後は科学技術を駆使できたので、その知識を利用しての文明基盤が存在しておりました。
 が、精霊力を自在に操る竜とその眷族達にかかれば、魔力による制御がまったく行われていない核融合炉はそこらの焚き火と同じレベルで干渉が可能で、暴発させられまくり。
 当然戦艦のエンジンだって魔法対策皆無だし、レーザーライフルなんて火竜には効きゃしない。
 こうして科学兵器を備えた地球軍(宇宙各地に散ったうちの一つ)は善戦虚しく駆逐されます。
 僅かに生き残った人々は解放者エイファスが伝えた物理魔導の力に頼り、現地の人間達と共同戦線をとっていくことになるのだけど、その際に「科学技術は無力だ。物理魔導で制御しないと危険過ぎる」ということで、科学は封印されます。結果数世代を経る内に急速に忘れ去られ、今では完全にロストテクノロジーとなっているって寸法。
 魔導機械は色々あるのに蒸気機関などが存在しないのもその為。敵がボイラーの自爆スイッチ握ってるようなシステム、怖くて無理。
 というわけで単純な機械と比べればコストパフォーマンスは悪いが、精霊力による干渉に防御力を有する魔導機関のみが発展したのだ。

 で、ヒノワは日輪と書いて、東の方にある日本人の末裔達が暮らす国。


アルブレヒト「なに、大丈夫、町はもうかなり近い。本はすぐ買えるさ」
モニカ「お兄様、帰りますわよ。ぐいっと」
アルブレヒト「え、え、だだって、町はすぐ、そこ、そこ……」
DM「確かに十数時間(移動時間はそこまで長くないけど)ここまで馬車に揺られて来て、夕暮れには町に着くってところだからね」
アルブレヒト「いや、もちろん戻ってもよいのだが。……本をまだ買っていない」
モニカ「御者さんに心付けを渡して戻ってもらいましょう」
アルブレヒト「乗合馬車だから! 戻れないから!」

 

モニカ「じゃぁ、お兄様を引っ張り出しましょう」
アルブレヒト「待て待て待て、ほんと、ここまで来たんだから」
モニカ「クラウス、貴方からもなにか言ってやってください!」
クラウス「アルブレヒト様の熱意を知っているので、説得は無駄だな、と傍観します」
DM「この執事ポンコツ過ぎる。やっぱりクラウス1人で連れ戻しに来ても駄目だったじゃないか(笑)」
モニカ「お兄様、その本はまた今度でいいでしょう? 帰りましょう!(ぐいぐい」
アルブレヒト「いやいや、今買わないと2週間も待たなくてはならないんだよ。本屋はすぐそこなんだよ。」
DM「もう会食はとっくに終わってるのにね(笑)」
クラウス「今から帰ってもお客人はとっくに帰られている……」
アルブレヒト「ここまで来たんだ、一緒に町まで行こう」
御者(スポット参加プレイヤー)「あのぉ、わしら、そろそろ行ってもいいでしょうか?」
DM「痴話喧嘩とかじゃないから、領主様の一族が相手には、こっちから口は挟めないねー」
クラウス「アルブレヒト様、旦那様への言い訳は考えておいでですか?」
アルブレヒト「いや、別に……。帰って怒られればいいんでしょ?」
モニカ「お兄様、ちゃんと覚悟はされているんですね」
DM「もしかしたらお兄様は、罰則というのはそれを支払えばやっていいってことだ、って考えの人なのかもしれない(笑)」
スポット参加プレイヤー「罰じゃなくて対価なんですね」
アルブレヒト「わかった、わかった、帰ったら叱られてやるから、今は本を買わせてくれ」
クラウス「モニカ様、馬車には他の方も乗っていらっしゃいますし、ここはもう町まで行って目的を叶えさせてしまったほうが……」
DM「モニカは思った。やっぱりついてきてよかった。クラウス1人では絶対押し切られていたに違いない、と」
モニカ「思った。では、大きくため息をついて、わかりました」
クラウス「何度も繰り返される脱出劇に、クラウスは諦めの境地に達していまして。ここでゴネられ続けるより、本を買わせてすぐに引き返したほうが早いと」
DM「でも、本を買わせるとまだ数時間かかるよ。陽も落ちるから結局町で1泊だし」
モニカ「そうですね、引き返すのと町まで行くのではかなりの差ですね」
クラウス「でも、ここで無理やり戻させても、どうにかして抜け出て町へいこうとしますよ、絶対に」
アルブレヒト「そりゃ、その隙があればそうなるのは仕方ない」
クラウス「しっかり見張らねば」
モニカ「それこそ縄で縛って……」
アルブレヒト「さすがにモニカとクラウスの2人から逃げ切れるとはおも……インヴィジ!」
DM「だいぶ行けそうだな!?」
アルブレヒト「クラウスはちょろいし」
モニカ「クラウスっ(笑)」
レーグネン「魔法使いだからいくらでも手段はありますしね、やりかねない」


DM「皆、ちょっとまってくれ……。テーレレーレーテレレー」

 トランスフォーマーのアレと共に続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!


●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 まさか本を買いに出かけるのがこんなに楽しいものだとは。
 放課後に図書室で本を借りたり、本屋や古本屋、時には古本市を巡っていたのを思い出してワクワクしてきました。
 皆には追いつかれてしまったけれど、なんとか皆を言いくるめて、アルブレヒトの本懐を遂げさせてやらねば!



・モニカ
 クラウスはアルブレヒトに若干諦め癖があるようですが、いつもいつも懲りずに脱出するお兄様のお相手となると、諦めたくなるのも分かります。
 モニカはお兄様の身を案じているだけです。




・レーグネン
 マスターシーフは寓話。
 追い付けないうちに無情にも刻限は過ぎ去るのでした。ここまで来たらお兄様にサティスファクションしてもらった方が早い可能性は確かに高そうですが(笑)



・クラウス
 はやる気持ちと裏腹に快適な馬車の旅。
 ごねられた分だけ時間がかかるという経験則ができあがり、あるラインを超えると本購入という目的を遂げさせたほうがよほどスムーズに連れ戻せると悟りを開いたクラウス。



ダスティ
 「プレイヤーは〇〇すると宣言していなくても、キャラクターは普通に考えれば〇〇するはず」は、自分も経験がある……というか、TRPGをやっていれば、様々な状況で必ず出てくる問題。そこをどう扱うか、というのを最初に話し合えたのは良かったかと。

■“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター3

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4

DM「一方レーグネンは」
レーグネン「来た!」
DM「さらにモニカの後を追うように言われています。『……せめて、モニカ様だけでも!』」
レーグネン「連れ戻せと」
DM「君はモニカ達が馬車で発った2時間ほど後に頼まれた」
城の誰かを演じるクラウス「なにぃ? 後を追っていった? 放っておけばよいものを!」
DM「せめてモニカ様だけでも居てもらわないと!」
レーグネン「ミイラ取りがミイラになる……」
DM「とはいえ、出発した時点ですでに夕暮れ間近では、急いで馬で追うも追い付けず、モニカ達の一つ手前の宿場でとうとう陽が暮れてしまう」
クラウス「もう少し頑張って夜間行軍すれば追いつくかも」
レーグネン「自分も〈騎乗〉スキルはゼロなんで……」

 D&Dはルール上どんなキャラでも騎乗が可能です。
 以前Twitterで「よく異世界作品で馬が勝手に歩いてくれて案外簡単みたいな描写があるが、そんなことあるか!!」と騎乗ガチ勢の人が突っ込んでおられましたが、まぁ確かにそんなこと出来るのは良く訓練された良馬ってことだとは僕も思います。が、なんにせよD&Dは冒険者……どころか一般人でも非戦闘時に限れば何の問題もなく荒野を走らせたり出来ます。ガチな騎馬民族かよ。なので騎乗戦闘系に手を出すつもりがない場合は、割り切って一切ポイントを振らないことが珍しくありません。でもTRPG部ではベストコンディションの街道以外で馬走らせようと思ったら相応のリスクを背負ってもらうことになります。個人的には「誰でも当たり前のように乗馬できるわけないじゃん」と思っているしな!!(笑)

DM「レーグネンは翌朝すぐに発つんだけど、モニカ達も馬車から馬に乗り換えていたので差は縮まらなくなる。だけど馬車を止めて3人が押し問答をしているうちに、レーグネンは追い付いてきた。きっと乗合馬車を止めて1時間くらいやりあってたんだろうね」
アルブレヒト「ゴネること1時間」
スポット参加プレイヤー「迷惑!(笑)」
モニカ「お兄様が馬車から降りれば問題ないんですよ!」
DM「馬車から降りてしまったら、お兄様が本を買うチャンスはなくなるわけで」
アルブレヒト「私はここから絶対に動かん!」
レーグネン「モニカ様!」
DM「さらに追手が(笑)」
レーグネン「遠目で見てもあきらかになにやってんだか一目瞭然ですね(笑)」
全員『アレだわー(笑)』
モニカ「アレあつかい(笑)」
レーグネン「モニカ様、何をしておられるのですか!」
モニカ「お兄様がぁ〜」
レーグネン「アルブレヒト様は……まぁ、ともかく、モニカ様までこんなところで!」
モニカ「クラウスからもちゃんと言ってくださいよ!」
アルブレヒト「おぉ、レーグネン、いいところに来た! モニカのやつがおれを行かせてくれなくて困っていたんだ。なんとかしてくれよ!」
レーグネン「わかりました。私が命じられているのは、とにかくモニカ様を連れ戻してくれと」
DM「第三勢力が乱入!」
レーグネン「私はこれからモニカ様と城に戻りますので……クラウス! アルブレヒト様に付き添って町まで行ってくるんだ」

 
 一同大爆笑

DM「利害が若干噛み合わないこの2人(笑)」
アルブレヒト「よし! 行ってくる! 私はレジェンド・オヴ・エイファスの最新刊を買いに行くんだ!」
クラウス「援軍がまさかの寝返り!?」
モニカ「3対1になっちゃった……(笑)」
レーグネン「普通はさすがに本のために全てをすっぽかすのは承服できませんが……」
アルブレヒト「さぁ、モニカ、迎えのレーグネンと一緒に帰りたまえ!」
モニカ「私の使命はお兄様を連れて帰ることなんです!」
レーグネン「すでにアルブレヒト様が居るか居ないかなどは些細なことなのです! モニカ様すら居ないことが大問題になっているのです!」
アルブレヒト「モニカ、お前は大事な用事をすっぽかして、何をしにこんなところに」
レーグネン「貴方がそれを言う(笑)」
アルブレヒト「駄目じゃないか、ちゃんとお前は晩餐に出席しなくては」
モニカ「クラウスが言ったんですよ」
レーグネン「クラウスのせい(笑)」

アルブレヒト「クラウス、お前が付いていながらどうしてこんなところにモニカを連れてきてしまったんだ!」
クラウス「……モニカ様を止められるとお思いですか?」
DM「クラウスが駄目だ……(笑)」
アルブレヒト「お前がモニカの晩餐を欠席させるなんて、まったく……」
DM「そこなのか!?」
スポット参加プレイヤー「論点をどんどんずらしていく……(笑)」
DM「もう、笑い過ぎて汗だくだよ。体温が……」 

 このあたりの会話は延々と爆笑が続き、体温上がる上がる。モニカの中の人も手を団扇にパタパタさせまくり。
 まぁモニカが一緒に来たことは完全に「モニカが自分で来るって言ったじゃないか」なのだが、「同じ移動手段では追い付けないことは承知の上で、モニカの為に乗り心地重視で馬車を手配したクラウス」のポンコツぶりに一切の責任が無いとは言わない(笑)
 ゆえにこの3人のやり取りは絶妙に各自がトンチキなこと言ってるのを横にレーグネンだけ冷静な構図に(えー

アルブレヒト「今はモニカと遊んでいる場合ではない! レーグネン、モニカを早く連れて帰るんだ。お父様はお怒りだろう」
スポット参加プレイヤー「とうに2時間が経過(笑)」
モニカ「さすがに他のお客様達もイライラが……」
御者「陽が暮れるまでに町に着けなくなるので、そろそろ勘弁してください……」
レーグネン「この時間では、もう戻るのも難しいでしょう。4人でもうこのまま町まで行くしかないんじゃないですか」
DM「お兄様のゴネ勝ち(笑)」
アルブレヒト「おう、御者殿すまないな。馬車を出してくれ。話はついた」
御者(スポット参加プレイヤー)「ご配慮ありがとうございます」
クラウス「お騒がせしてすいません」
レーグネン「そっと心付けを」
御者(スポット参加プレイヤー)「ありがとうございます、これでようやく町まで着けます」
レーグネン「迷惑かけてすまん」
御者「いやいや、ありがとうございます。これだけいただけるなら私ども、文句などはございませんとも!」
アルブレヒト「すまなかったな、と乗り合わせた人達にも少しずつ」
DM「雰囲気が一気に良くなったよ。金の力は偉大ですな」
モニカ「まったく、お兄様……きちんとお父様に怒られてくださいね、としぶしぶ」
DM「そんなわけで、町に着きました。ようやく」
スポット参加プレイヤー「ほんとに、ようやく」
アルブレヒト「こんな時間ではもう店は閉まっているか……ま、行けばなんとかなるだろ」
DM「日没後なんで閉まっているだろうね。確かに昭和の個人商店みたいに店と住居は一体だろう」
アルブレヒト「馬車から降りて……じゃ、私はちょっと店まで行ってくる」
モニカ「付いていきますよ」
レーグネン「まぁ、4人で行きます」
アルブレヒト「こっちだ、こっち」
モニカ「馴れっこですね」
DM「店名はヴァルドランド書店でしょう、きっと(雑」
アルブレヒト「閉まっているか。ドンドン!」
店主「はいはい……なんだい、こんな時間に。店はもう閉まっているんだよ……あ、これはこれは、アルブレヒト様! 旦那、いらっしゃると思っていましたよ〜。あの手紙をご覧になったんで?」
アルブレヒト「もう入荷しているころだと思ってな」
店主「旦那なら必ずいらっしゃるって私は信じていましたよ。こちらとしても、お送りする手間とお金が浮きますからねぇ。大歓迎で」
アルブレヒト「で、どうなんだ? もうあるんだろう?」
店主「もちろんです、もちろんですとも。おい、お持ちしろ」
スポット参加プレイヤー「なんか悪い会話に聞こえる……」

 プレイヤーには特に説明しませんでしたが、届ける時間を長めに伝えておけば勝手に取りに来る習性を利用されています(笑)

クラウス「横でレーグネンもそわそわしてそう」
店主「こちらでございます(手揉み手揉み」
アルブレヒト「おお、これこそ……素晴らしい!」
店主「私が懇意にしている写本家で、一番の腕利きのを選ばせていただきましたからねぇ」
アルブレヒト「……おぉ」
店主「紙質にもこだわっております」
アルブレヒト「確かに。装幀も実に美しく仕上がっている。申し分ない!」
DM「外野との空気の差が凄いな(笑)」
モニカ「もう疲れてますから……」
アルブレヒト「この本文の文字。さては担当した写本家は私が最も評価している、かの……」
DM「そう、アルブレヒトも知っている有名な写本家がこの本を……というようなマニアックな会話が続くわけですね。レーグネンも一緒になってふんふんと頷いているんだろう」
アルブレヒト「この本とは別に、持参したこのリストの本も求めたいのだが。もちろん明日までで構わん」
店主「わかりました、わかりました。店になくとも、この町にあれば、取り寄せておきますので。お任せください」
アルブレヒト「よろしく頼む」
DM「というわけで、サティスファクションお兄様」
アルブレヒト「よし、すぐに宿を取るぞ。あぁ……」
スポット参加プレイヤー「ホックホクしてますね」
DM「きっと朝まで読んでるんだろう」
レーグネン「とうとう目的を達成してしまった」
モニカ「明日は朝一番で、帰りますわよ!」

 ……お気付きになられただろうか?
 Don't give up justice, I want to get truth!


●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 ねんがんの新刊を手に入れたぞ!
 追手が増えたと思ったら味方だった。
 もう立場が入り乱れて何がなんだか。
 モニカもアルブレヒトもいない晩餐会がどうなったのかは知る由もないものの、想像すると少し胃が痛くなりそうなのに、当のアルブレヒトはこれっぽっちも気にしていないのがたちが悪い(笑)



・モニカ
 クラウスもレーグネンも悪くない(笑)
 お兄様は、わたくしたちには理解に及べないお考えがあるのです。
 モニカが帰りたがらないのはモニカのわがままですね。



・レーグネン
 まさかの目的のすれ違い、そしてお兄様のゴネ勝ち!
 一致団結して馬車から引き剥がせばあるいは、とは思うものの、そうはいきませんでした(笑)


・クラウス
 孤立無縁。レーグネンまさか、最初から、そのつもりでモニカを……? という黒幕説。



ダスティ
 ヴォルフェンビュッテル家が全員そろって大盛り上がり。対してダスティはセリフなし。いや、プレイ中まったく話していなかったわけではないだろうけど、特に実のあることを言ってなかったのだろうな〜。でも、こっちも姉弟がそろえば……と、この時は思ってました……。

 DM注)別にレーグネンはヴォルフェンビュッテル家の一員ではありません(笑)
■“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター4

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4


DM「では、翌朝」
クラウス「アルブレヒト様を叩き起こしに行きます。ドンドン。帰りますよ!」
アルブレヒト「昨日は遅かったんだ……もう少し寝かせてくれ……」
クラウス「ドンドンドン! 帰りますよ!」
スポット参加プレイヤー「デジャヴュが」
DM「またいなくなるかもしれん」
アルブレヒト「帰りたくないなぁ……帰ったら怒られるんだし……」
DM「まぁ、今帰ると探してもらっている本を受け取れないからね」
アルブレヒト「まだ早い。もう少し待たないと、頼んだ本が揃わない!(キリっ」
DM「最低でも昼にはなるね」
アルブレヒト「出発は昼でいいんじゃないか?」
レーグネン「では、私はモニカ様と帰ります」
モニカ「レーグネンが満足してるよーもぅー」
DM「目的が噛み合ってない(笑)」
モニカ「ガチャ! お兄様!」
アルブレヒト「何だ、モニカ……まだ早いぞ……本が揃ったらかえ……」
モニカ「お兄様! 帰りますわよ!」
レーグネン「モニカ様、帰りますよ」
モニカ「レーグネンはちょっと黙っていてください!」
レーグネン「本は送ってもらえばいいでしょう」
モニカ「本はクラウスに持って帰ってもらってください」
DM「クラウス、置いてけぼり!」
クラウス「……えっ? えっ?」
レーグネン「それもそうだ」

 一同爆笑。

レーグネン「クラウスに持って帰ってもらうということでよろしいでしょうか、アルブレヒト様?」
アルブレヒト「まぁ、仕方ない。モニカがうるさいからな」
スポット参加プレイヤー「丸く収まった」
DM「丸く収まったね!」
クラウス「いえ、旦那様の命令がまだ優先されておりますので……」
レーグネン「そこは私がきちんと、送り届けよう」
クラウス「本は送ってもらえばいいではありませんか」
アルブレヒト「送るとまた時間がかかるんだ。わざわざここまで来たんだ、持って帰らねば」
クラウス「わざわざ、ここまで、大目に見たんですよ。これ以上はないです」
アルブレヒト「でも、もう今さら、待ってもすぐ帰ってもいっしょだろう?」
クラウス「……」
アルブレヒト「な?(肩をぽん」
クラウス「モニカ様にそっと縄を渡して……」
モニカ「まぁ、お兄様は連れて帰ります。クラウスは、本を……」
DM「駄目だ、もう皆クラウスを切り離す方向で(笑)」
クラウス「ため息をついて、本の代金を受け取って……」
DM「折れた!」
クラウス「折れました。代金をください」
アルブレヒト「くれぐれも本の扱いは丁重にな? 防水の箱と……」
モニカ「では、帰りましょう」
クラウス「見送ります(怒りをおさえたような声で」
モニカ「お昼までゆっくり休んでね」
クラウス「……」


DM「どうやって帰るの? 馬車?」
モニカ「馬です!」
アルブレヒト「馬ぁ……? 本が読めないじゃん」
レーグネン「馬です」
モニカ「馬ですよ! お兄様が一刻も早く帰らないと、お父様の怒りがぐんぐん増しますよ」
レーグネン「本は城で読みましょう」
DM「朝の今から出れば、馬を急がせれば陽が傾く前には城に帰れるよ」
モニカ「クラウスも見送ってすぐに追ってくれば帰れますよ。本は送ってもらうことにしました、って」
DM「さらっと兄を騙そうとするモニカである」
クラウス「もう、ゆっくりしようかな、という気分です」


DM「では、帰路についたということで。暫くすると進行方向、君らの向かっている場所のあたりで煙が上がっているのが見えるわけですよ」
レーグネン「おやおや、城下で火事ですか?」
全員『大変だ!』

 
DM「丘の頂きを越えて、町が直接見えるようになると……城が燃えてんなぁ」
モニカ「そんなんでいいんです?」
DM「いやいや、城が燃えています!」
ダスティ「もっと白虎隊のように!」
DM「駄目だよ! あれ城が落ちたと勘違いして自害始めちゃうから!」
スポット参加プレイヤー「お兄様の本が……!」
アルブレヒト「そんなバカな、燃えているのは町だろう」
DM「どう見ても城です」
モニカ「絶句するしか……」
アルブレヒト「そんな、私の蔵書……いや、父上や兄上が!」
モニカ「お父様、お母様、お兄様!」
レーグネン「……なんてことだ」
アルブレヒト「急ぐぞ!」
モニカ「はい!」
レーグネン「待ってください!」
アルブレヒト「どうしたというのだ? 城の一大事だ」
レーグネン「あの燃え方では、我々が今から行っても何もできません。危険に飛び込むだけです」
アルブレヒト「そ、そんなことはない。まだ私の本が助かるかもしれん!」
レーグネン「あの燃え方、ただの火事ではないでしょう」
DM「あとですね、一般的なヨーロッパの城は、城壁の中に入られたらだいぶクライマックスです。日本の城は外郭を破られて中に入られてからも様々な迎撃構造で敵兵をすり潰すような思想で、ある程度城壁や堀が突破されるの前提なんだけど、ヨーロッパの城は外郭が一番堅固でそこを抜かれると一気に厳しくなるって構造です。市街地を犠牲にしながら消耗戦を強いる思想は薄いです。で、まぁ、燃えています」


アルブレヒト「あの状況では怪我人も大勢いる。神官であるお前の助けが必要だろう」
レーグネン「……そうなんです。だが待ってください。貴方がたお二人をこの状況で行かせるわけには参りません」
DM「肝心なときにクラウスがいない! がんばれ、レーグネン! 置き去りにされた執事の分までがんばるんだレーグネン!」
クラウス「今頃帰りの馬車で本を読んでいます。……面白いぞこれ!」
スポット参加プレイヤー「馬車だ」
DM「馬車なんだ、もう……」
クラウス「結構な量の本を頼まれましたからね。もう馬車に乗るしかないと」

 
 筋力18で300ポンド(136キロ)まで装備してホイホイ歩ける怪力クラウスにとって別にそんな無茶な重量でもないのだが、サボる口実というやつである。

モニカ「一泊しちゃうわけですよね?」
DM「となると、ここで『マジか……』ってやってる最中に追いつくことは絶対にないわけだ。がんばれ、レーグネン。お前の見せ場だ!」
レーグネン「たとえ、我が神に見捨てられることになろうとも、貴方がたお二人を向かわせるわけには行きません」
クラウス「これが巷で話題の本か……!」
モニカ「一方その頃!」
アルブレヒト「まぁ、なかにはなんだこりゃって本もあるけどね。専門書とか」
DM「『丸わかり 流行りの触媒200選』とかね」
アルブレヒト「ちょっとエッチな本とかあるかもしれん」
クラウス「これが、都会の、エロス……」
DM「クリエイト・イメージの呪文で飛び出すよ! 飛び出すエロ本!」
モニカ「それを馬車で開くんですか!?」
DM「高いよー、飛び出すエロ本」

 閑話休題。

モニカ「ですが! レーグネン、お父様とお母様とお兄様が、中に……!」
レーグネン「まず様子が尋常ではありません」
アルブレヒト「それは見ればわかる」
レーグネン「ただの火事ではないでしょう」
アルブレヒト「どういうことだ?」
レーグネン「……」
クラウス「アルブレヒト様に心当たりでも?」
アルブレヒト「ないよ!」
DM「隠しておいたフレイムストライクの巻物が……!」
アルブレヒト「私の実験道具から発火……?」
モニカ「お兄様が原因だったなんて……」
ダスティ「お兄様、すぐにどこか遠くへ逃げないと」
アルブレヒト「だから違うって!」
レーグネン「煙は随分前から見えていました。きっともう何時間も燃えているのでしょう。今から駆けつけても何もできないでしょう。行くとしても私1人です」
アルブレヒト「私は家族や……蔵書の無事を確かめねば気が済まん!」
レーグネン「蔵書は諦めてください」
DM「『蔵書は』。見抜かれている(笑)」
アルブレヒト「だが、まだ救える本があるかも……」
レーグネン「御身の安全を考えてください!」
スポット参加プレイヤー「ガチギレじゃないですか」
DM「『蔵書は諦めてください』がもう(笑)」
レーグネン「蔵書は諦めた上で、行動を考えましょう」
アルブレヒト「だが、父上達が……」
全員『蔵書の次(笑)』
アルブレヒト「くっ、ならば一体何が出来るのだ……」
DM「お兄様、大事にしてるんだなって、不思議に思っていた」
モニカ「どっちがですか?」
DM「家族のこと、本当に心配してるんだなぁって」
レーグネン「蔵書の次だけど」
アルブレヒト「火事以上の事件と考えるのは良いのかな?」
スポット参加プレイヤー「攻め入られたとかそういう可能性ですかね?」
DM「いやこれ、実際のところ、何が起こっているかわからないでしょ? だから、こう考えるのは不自然だってボーダーはないと思うよ。ほんとに火事なのか陰謀なのか、わからないわけだし」

 いわゆる「キャラクターがここでこう考えるのは許されますか?」というお伺いなわけだけど、別にプレイヤー知識に由来してなにかしようとしているわけじゃないので、何の問題もないよというやりとり。

レーグネン「炎が出てから随分経っています。これが普通の火災なら、消火活動などの対策が城の者達で組織的に行われているでしょう。あなた方が危険な城まで行く必要はないはずです。 ……もしも敵襲だった場合。そうならばなおさらあなた方お二人を戦場に行かせるわけには参りません。城は燃えているんですよ」
アルブレヒト「……そうか」
DM「アルブレヒトは徹夜で本を読んでいるから、インヴィジビリティの呪文とか回復してないよ」
アルブレヒト「確かにここのところ、毎日のように夜ふかししては本を読んでいたような。呪文を用意する時間すら惜しんで」

 ウィザードは毎朝自動的にMP回復してまた呪文が使えるようになるわけではなく、1時間かけて呪文を「使えるようにする」儀式が必要なのです。もちろん「既に使えるようにして、まだ使ってない呪文」は何日経とうが準備されっぱなしなんだけれど。

DM「そもそも8時間きちんと寝ないと、呪文は覚え直せないしなー」
モニカ「では、お父様やお母様達はどうなるんですか……」

 

レーグネン「……」
モニカ「どうなるんですか?」
スポット参加プレイヤー「荷が重い(笑)」
DM「レーグネン頑張れぇーぷいきゅあー」
アルブレヒト「確かに石造りの城がこれだけ燃え続けるのは普通じゃない」
DM「そのセリフを言うには、〈知識:建築〉ロールをして貰おうか」
アルブレヒト「16」
DM「その数値では『あの城の耐火能力はこうで、これだけの時間燃え続けるということはこうこうこうで、つまりこういう計算が成り立つ!』とまではいかない結果だが、それくらいのことはギリ言える」
モニカ「一家は皆、戦勝神の信者?」
DM「お兄様以外はね。異端児のお兄様だけ叡智。アルブレヒト異端の戦術」
モニカ「戦勝神の信者なら逃げないですか?」
DM「戦勝神は戦争と騎士道の神であっても、バーサーカーではないので、戦術上愚かな結果に繋がることが多い自殺行為を奨励はしないよ。『ここで退いたら後がない。意地を見せるときだ!』みたいな『ここが命の張りどころよぉ!』って状況で命を惜しまないことは美徳に含まれるけど」
モニカ「じゃぁ、お父様達は脱出している可能性もあるのですね」
DM「剛毅神ガチ勢の場合だと『この状況で逃げずに生き延びたら俺格好よくね?』って思考になる人もいる」
レーグネン「逆境が大事」
クラウス「他のキャンペーンでそういう生き様の人いた気がしたなー」
DM「リスクやマイナスなら起爆剤さ」
アルブレヒト「ここにいても仕方ない。どこかの町で情報を集めるか」
レーグネン「この先はもう城だけって感じですか」
DM「そうだね」

 
DM「城がここで、君達ここ」
モニカ「クラウスは?」
DM「ここ」
クラウス「こちらは火事のことわかりますか?
DM「あまりにも距離があって平坦でもないし、もう暗くなってきているから、煙もわからないかな。町が盛大に燃えてるわけでもないしな」
アルブレヒト「気をつけて接近するか……」
レーグネン「私が1人で行ってきましょう」
モニカ(マジで!?)
アルブレヒト「私も行こう。呪文で変装して行けば大丈夫だ」
モニカ「お兄様が行くなら私も行きたいです」
DM「城を抜け出すときに使ったけど、その後リチャージした?」
アルブレヒト「そもそも寝不足だし、本に夢中だったし、多分回復させてないなー」
レーグネン「お二人は戻って町でお待ち下さい」
アルブレヒト「うーむ、だが町で何も状況をわからずに待っているのも安全とは言い切れないな」
レーグネン「では、ここで隠れてお待ち下さい。私が戻らないようであれば、クラウスと合流してお逃げください」
アルブレヒト「たしかにここは城に帰るなら必ず通る道だ……だけど来るのは明日か(笑)」
スポット参加プレイヤー「もうすぐ馬で来るとこっちは思ってるかもしれないけど、馬車ですものね」
モニカ「レーグネン、お父様達をお願いします」
DM「お兄様、〈知識:歴史〉を振ってください」
アルブレヒト「コロ……27」
DM「マジか! 高いよ、お兄様。じゃあ教えちゃうよ。その達成値出されたら教えざるを得ないかな」

 歴史に付随するというか歴史の必然として、この知識技能は戦争に関する知識とイコールです。

DM「仮にこれが戦争で攻め込まれての落城なら、敵の封鎖網に自分から飛び込もうとしているのではなかろうか、と思った。パッと見で右往左往する民とか民衆もいないし、これは完全に『終わった』段階なのでは、と」

 いわゆる「キャラは気付けないけどマスター冒険者の目線なら気付くもんでしょう?」なアレ。
 今回は別にマスター冒険者じゃないが、知識判定で高い結果を出したことで戦術的な洞察をキャラクターがしたことになった。これが低ければ「キャラの目線だろうと思い付かないことだった」ということになります。無論一事が万事これで処理してたらゲームが遅々として進まないので、要所要所で行う感じザマス。

DM「この状況では、混乱も起きてない、整然と秩序をたもった『敵地』へ突っ込むことになるのではないかと」

 もちろん戦略だ戦術だといった個別知識を取れば、同じ達成値でもより高い洞察を得られます。

アルブレヒト「ここがバーンに攻められるって可能性は?」
DM「陸路で来るなら、バーンとの間にはめちゃくちゃ強いロールヴァーゲ領がある。でも空挺部隊なら来られるかも知れないわけで、可能性の話をしたら『絶対無い』とは言い切れない。戦略的に割に合わないのでやる価値は低い、までは言えても」
アルブレヒト「バーンなら迂回してここを突いた? いや……となるとモンスターの可能性も……」
クラウス「我々が買い物に行った町ってどんな?」
DM「せっかく設定も用意してたのに地図で見せただけで説明忘れてたわ」

 本を買い物に行った町は、スタート地点であるヴォルフェンビュッテル子爵家の居城シュテルケモルゲンロートから南におよそ50キロほど離れた国境の町ラッヘンライゼ。その位置は既にヴォルフェンビュッテル領から大きく飛び出し、主家であるロットナー伯爵領の南辺に達している。つまるところ国境というか領地の境。その先は南のクノーブロッホ伯爵領へと通じている。

アルブレヒト「では、そこで落ち合おう。クラウスとは途中で会えるだろう」
レーグネン「レーグネンさんは、止めてもらえないの?」

 全員爆笑しつつ続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!


●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 家族はもちろん大切です。本の次なんてことは、決して。
 

 聡明なアルブレヒトでも取り乱してしまう、この突然の出来事。
 本当に城で一体何が起きたのか……っと、そんな事を考えていたらレーグネンをそのままいかせるところであったよ。

 さらばやさしき日々よ。もうもどれない、もうかえれない。
 高貴の光 アルブレヒト〜♪



・モニカ
 クラウスは本当に悪くないんです、とてもお願いがしやすいだけなんです!
 それはそれとして、いつもの、少しだけ過激なお兄様の逃走劇を終えてからの城の大事。
 信仰を考えると家族は無事逃げられた可能性があるとしても、酷く鮮明にこの出来事は記憶に残ることでしょう。
 レーグネンかっこよい。



・レーグネン
 クラウスには苦労を掛けてますねー。直接自分の従者というわけではないんですが、今回は押し付……頼みやすい感じになりました。そしてその分自分に仕事が!
 1話導入のロールにしてキャラロストは、全うした結果なら良いとは思いつつ、出来れば避けたいところ(笑)



・クラウス
 最初はおつかいまるなげされてぷんすこクラウスですが、本を買い終えればおもわぬ息抜きタイムなのではと休日を満喫気分。町のB級グルメおいしい。



ダスティ
 城が燃えて、一気に緊迫した状況に……あまりなっていない?
 真面目な会話がなされていても、ちょこちょこボケとツッコミが入って、い〜感じのゆるさに。

■“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター5

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4

DM「『行ったら絶対捕まるだろうな』って思ったから行くのやめて、レーグネンだけ行かせたんでしょ、今(笑)」
モニカ「レーグネンこのまま行っちゃうんですけど!」
アルブレヒト「ここは、距離をとって行方をくらませたほうが安全だろう。レーグネンだって城の関係者の看板背負っているようなものだからな。向かうのは危険だ」

 なにせ戦勝神の徽章入りプレートアーマーでフル装備。てか徽章入ってなくても十分目立つ(笑)

アルブレヒト「レーグネンも一緒に来るんだ。お前が捕まっては、モニカにも危険が及んでしまうからな」
モニカ「お兄様!」
レーグネン「わかりました、お二人を守ることに集中しましょう」
アルブレヒト「いったん道を戻り、クラウスと合流してから情報を集めよう」
アルブレヒト「燃えているのは城だけ? 城下は?」
DM「城だけだね」
アルブレヒト「普通に攻め込まれたら、城下町も燃えるよな……解せないな」

 ここに限らず色々と悩みまくってるのだが、そこは割愛せねばキリがないぜ!!

アルブレヒト「しかし、宿を取るのも不安だな」
DM「宿帳に空条Q太郎って書かなきゃだめだよ。でまぁ途中の宿場でキミらは合流する」
クラウス「おや、どうしたのですか? 急いで城へ戻られたのでは?」
ダスティ「『もっと買いたい本があったのを思い出したんだ』と(笑)」
モニカ「お城が……」
クラウス「城がどうしたのですか」
アルブレヒト「人目が気になるな……宿場の人達の様子は?」
DM「お城の方で煙が上がっていたんだけど、何があったんだろう、という話で食堂は持ちきりだね」

 きっとゴブリンの仕業に違いない。

アルブレヒト「城のそばまで戻ったのだが、城が燃えていてな」
DM「『俺達も逃げたほうがいいんじゃないか?』と騒いでいる感じ」
レーグネン「我々はあきらかに顔が割れていますね」
モニカ「ここに領主の一族がいて大丈夫?」
DM「キミら変装もせずに普通に入ってきたね!」
領民「アルブレヒト様だ! それにモニカ様も! いったいお城はどうなったんです!?」

 
 もみくちゃモードでーす。

アルブレヒト「おぅ、やっぱり。居場所もこれでバレバレになるな」
DM「レーグネンがこう、ディフェンスして。『はいはい、触らないで。チケット出して。一人30秒だよ! CD買って買って!』」
領民「お城は大丈夫なんですか?」
アルブレヒト「私達にもにもまだわかっていなくてな……クラウス! クラウス!」
レーグネン「もみくちゃにされながら」
領民「モニカ様! モニカ様!」
DM「どさくさに紛れて触りまくるチャンスだ!」
領民(スポット参加プレイヤー)「ちっちゃい! かわいいー」
アルブレヒト「だが、城下の町は被害がないように見えた。ここも大丈夫だと思う」
DM「〈はったり〉のロールかな? もし本心で言っているならロールはしなくてもいい」
アルブレヒト「うーん、そうですね。皆あせらず、落ち着いて行動して欲しい」

 本心でそう思ってるので判定なし。
 ちなみに、アルブレヒトはともかくとして、いわゆる「善人」なキャラなら〈はったり〉なんて技能不要かと思いきや、様々な緊急事態に際して「安心させる言葉を言って落ち着かせる」必要がある場合、〈はったり〉が無いキャラは内心焦ってることが素人目にもバレバレになるので、基本的に人の上に立つ、人を導く立場のキャラは疎かにしないほうがいいスキルだったりします。即ち貴族や聖職者。

領民「アルブレヒトがそうおっしゃるなら……きっと大丈夫なんだろう」
アルブレヒト「クラウス、レーグネン、よし、我々は出かけるぞ」
領民「こんな夜中にですか?」
アルブレヒト「一刻も早く状況を知りたいのでな。来てくれ、作戦を練る。行くぞ、モニカ。何があるかわからない。皆は夜間の外出は控えるように」
モニカ「はい。たったった」
DM「皆、ここは〈視認〉を振ってくれ」

 ルール通りにプレイする場合、こういった判定の殆どはDMが振ることになり、あまり面白くありません(笑)
 無論デザイン上意図されたゲーム性という意味では、「ダイス目の高い低いでこの判定結果が信用に足るかどうかをプレイヤーが判断できてしまう」ことを考えれば、当然DMがこっそり振るほうがいいんだけどね。だからそういった「低いので信用しない」ことをキャラの行動に反映しないよう心がける「大人のプレイ」が約束だ。
 あと「DMが技能判定させてきた。なんかフラグがあったぞ」なんてメタな判断されても困るので、ワダツミはそこかしこに「特に何の意味もないんだけど判定ロールさせる」というデコイを混ぜるようにしている。今回のもそうかもしれない、そうじゃないかもしれない。あと本当にコッソリ振って判定している場合もある。それはリプレイにはわざわざ記載していない(だってプレイヤーも読むものだからね!)。

DM「アルブレヒト、その笑いはなんだ。俺には頼らないでくれってか。やはり〈視認〉スキルの高いキャスとダスティが揃っていないからダメだな。では続けて」
アルブレヒト「では、外を歩きながら……先にも言ったとおり、城が燃えていたのだ」
クラウス「旦那様達は?」
アルブレヒト「わからない。城だけが激しく燃えていて、町には目立った被害はないようだった。戦か何かの事態で燃えたようだった」
クラウス「攻め落とされたと?」
アルブレヒト「その可能性は否定できない。遠くで引き返したので、敵がそこにいたかどうかはわからないが、普通の火事でないことは確かだ」
クラウス「緊急時の連絡などは?」
アルブレヒト「わからない。城の者や避難民の誰とも会っていないしな」

 伝令などの一般的な連絡手段はもとより、魔導的な遠隔通信手段も(霊脈の影響を受けることによる減衰率が著しく高い為、現実の無線通信よりも遥かにデリケートで高コストながら)存在するわけだけど、少なくとも未だそういった接触は一切受けていないのが現状である。
 まだ「なんでこうなってるのか」が一切不明で、何者かに攻め込まれたかどうかも謎なのだが、仮の話として。男爵家の居城ともなればそれはもう魔導要塞としての機能も確実に備えており、魔導通信設備も存在する。が、その機能を利用するには、寄せ手が展開するECM(エリミネート・カウンター・マジック)に対してECCM(エリミネート・カウンター・カウンター・マジック)を仕掛ける伝止戦が繰り広げられるのが常。彼我の伝止戦能力差次第では、封殺されないにしても阻害されることはおかしくはない。ついでに平時の魔導通信も経路上になんらかの「対魔導防御を展開している施設や地域」が存在した場合、思いっきり影響を受けて霧散したりノイズが入りまくる。

 魔導というテクノロジーが「個人がホーミング・レーザーをぶっ放す」「特殊部隊が透明になって潜入する」「重い専用装備不要で、自由自在に空飛んで襲ってくる」「瀕死だろうがいきなり元気いっぱいになる」など、現代地球以上の芸当すら現実のものとして戦場を変えまくりはしたものの、「飛んできた魔力弾だろうが爆風だろうが防ぐバリアー」「入り組んだ地形だろうとお構いなしのレーダー」「突然竜巻を発生させる」「回復呪文を弾く呪い」など、現実では「矛ばっか進化しちゃって盾が追いついてない」ことが珍しくない中、大抵対抗や妨害手段が存在してしまうので、「無線通信で現代戦の如く綿密な連携を行う」なんてことは魔導戦力差が大きくないと難しい。言い方を変えれば、魔導支援を受けた戦力に持たない戦力が立ち向かうのはかなり無謀であり、魔導戦力の配備率の高さこそが、数でも身体能力でも劣る人類が竜側の勢力を押し止められている最大の要因である。もちろん魔物の中にも魔導の使い手は存在するので、たまにキッチリ魔導戦力を備えた部隊とぶつかったりすると大変なことになる。

クラウス「城が攻められたのであれば、お二人が狙われている可能性が」
アルブレヒト「そうだな。ここは城の近辺から離れて、情報を集めようと思う」
クラウス「一刻も早く離れたほうが良いというのには賛成します」
モニカ「わかりましたわ」
アルブレヒト「一旦城へ向かってこの場を離れてから、行く方向を変えよう」

 宿場の宿を離れる一行ですが、やはりセンサー役の二人がまだ合流してないこともあり、「謎の〈聞き耳〉判定」をされるも何も気付けません。

アルブレヒト「領内から出るべきか……しかし、誰か他の町に頼れる人や部下はいないものか」
本屋の主人「旦那〜私に任せてくださいよぅ〜」
アルブレヒト「……駄目だ!」
レーグネン「行くとしたら……本屋のあった町は近い?」
DM「ここからだとシュティークロート子爵領やロイヒトゥン子爵領の町の方が近いかな」
アルブレヒト「好き勝手していてまともに領地運営に関わってこなかったから、こんなとき頼れる相手がいない」
モニカ「頼れない」
レーグネン「頼れない」
クラウス「モニカ様の方は?」
アルブレヒト「神殿のつてがあるかな」
レーグネン「ひとまず身を寄せられるところを……」
クラウス「心当たりは?」
アルブレヒト「無いな」
DM「アルブレヒトの認識内で、この状況で確実に味方になってくれるって人はいないね。確実に敵な縁者知人もいないけど」
レーグネン「隣の領から攻められたって思っているかもしれませんからね」
DM「あり得ることではあるね」
アルブレヒト「行くとして、本屋のあった町には(頼れる)知り合いいないなぁ」
レーグネン「本屋さんくらいしか」
アルブレヒト「こんなときに頼っていい相手じゃないな」
レーグネン「もしかしたら、棚を開けるとズラッと武器が」
DM「ガションガションガションって壁が変形して。ペルソナ2の武器屋みたいな」
アルブレヒト「『どうしたものかー。クラウス?』と無茶振り!」
クラウス「まぁ、馬車を借りて……夜だから無理ですね」
アルブレヒト「今借りている馬と、呪文で出せる馬とでなんとかなるだろう」
レーグネン「とにかく町から離れましょう」
モニカ「周囲に知り合いとかいますか?」
DM「そりゃ当然いまくるけど、モニカの認識は『みんな良い方です』」
モニカ「そうですね。みんな良い方です」
レーグネン「特別に信頼出来るってわけではないと」
アルブレヒト「一番信頼出来る人達は城の中だから」
モニカ「そうでしたね」
アルブレヒト「城から離れてしまうと、戦勝神の神殿くらいか」
DM「でも戦勝神の信者同士でも普通に戦うからねー。ヴィーリオンとバーンは元々同じ国だし、貴族同士のいざこざだって同じ国の民同士だ。となれば必然的に戦場では同じ神を信じる者同士が対峙する」

 実際に神が存在し、現世に影響力ありまくる世界なわけなので、現実のように「解釈違いです!」って感じで同じ宗教を信じている筈が派閥抗争し始めることは「あまり無い」し、同じ神の信者同士が「個人レベル」で好き好んで争うことはなるべく避けるべきものだとも認識されているのだが、別に「同じ信者なので戦えません」というわけでもない。ギリシャ神話だってフォーセリアだって第二次世界大戦(の一部の国)だって同じ宗教を信じた上で戦争してるのと同じである。特に今回は戦勝神。戦と騎士道の神なので、戦場の秩序さえ守ってれば同門対決に全く躊躇がない。

スポット参加プレイヤー「逆に、誰も信用できないのなら、お金で信用を買うしか」
モニカ「本屋じゃない!」
DM「へへ、あっしが売るのは本だけじゃないんですぜ」
アルブレヒト「それはそれで私達が逆に売られる可能性もあるんだよな」
モニカ「確かに」
DM「へっへっへ、金さえあればクレムリンだって売りますぜ」
ダスティ「マッコイじいさん!」
アルブレヒト「今の我々の外見、私が仕立ての良い服で、モニカやレーグネンは神官服とか?」
DM「いえ、違います。ここは流石に『外に出るのでフル装備です』って言ってくれないと、シナリオ開始前に買い物して貰っている装備の大半が城で失われちゃうよ」
モニカ「あー、そうですね」
DM「でしょ(笑)」
モニカ「完全にお兄様を連れ戻すために、本気の武装をしてきたわけですね」
DM「失われた兄を求めて俺はさすらう見知らぬ町を♪って感じでむせながら来たから。そもそもこの世界で、単独で都市を出ようっていうのに、邪魔だから鎧は置いてきましたってのは無理があるからなぁ。ちょっとコンビニへって感覚じゃないぞ」
レーグネン「やはりこの武装をごまかすのは厳しいでしょう。覚悟を決めて……」
DM「解体して背中の箱に聖衣みたいに背負って」
レーグネン「貴様ぁ、その箱はなんだ?」
アルブレヒト「戦勝神の神官以外の何者でもないな」
DM「そんな誰がどう見ても権力者サイドな風体だから『御用改である』って馬車止めたりできたわけだからね。重装騎兵なんて、今なら戦車に横付けされたようなものだよ」
アルブレヒト「もしや犯罪者でも運んでたのかって御者は肝冷やしただろうね。で、なんだ、お貴族様の……(笑)」
クラウス「今の所の目的地は……」
レーグネン「町からは離れる……」
モニカ「戦勝神の神殿を頼りに」
DM「ヴィーリオン王国の主神なので、戦勝神の神殿はどこにでもあります。敵も味方も問わず、お寺がどこにでもあるように」
アルブレヒト「となると、町へ入れるのはクラウスしかいない。いやまぁ、私も変装すれば、まぁ、なんとかなると思うが。だがこの高貴さは隠しきれないかもしれないな」
モニカ「クラウスにやってもらうしかないですね」
レーグネン「いえ、顔が知られていないという点では領外へ出るしかないのではないでしょうか」
アルブレヒト「まぁ、そうかもしれないな」
レーグネン「検問でもはられてはやっかいです。領外へ出るなら急ぎましょう」
アルブレヒト「領外へこっそり出るのは問題ない?」
DM「法的には問題があるね。関所で通行料を払わずに通ることになるから。ただ、関所を迂回して越境を試みること自体は可能」

 貴族の収入源と言えば年貢というイメージですが、通行料や関税も極めて大きな収入源の一つです。

アルブレヒト「関所を通らないのは違法だろうが……、そこを通るわけにもいかん」
モニカ「どうしたらいいのかわからない……」
スポット参加プレイヤー「関所を通るわけには行かないってことはーつまりー、そこを通らずにうまくごまかして通してくれる……」
モニカ「誰かが!」
スポット参加プレイヤー「誰かが!」
モニカ「目のいい誰かが」
レーグネン「宝箱を開けられる誰かが」
スポット参加プレイヤー「罠とか見つけられる……」
モニカ「誰かの力が必要だなー」
スポット参加プレイヤー「そういう組織はどこにあるのかー」

 未だ合流できていないローグ、ダスティのプレイヤーに集まる視線(笑)

アルブレヒト「領地を抜けるのに地理的に適した町ってわかりますか? 〈知識:地域〉?」
DM「別に国境警備隊が常時全域を警戒しているわけじゃないんで、個人レベルならそのへんの川を渡るなり野原を突っ切るなりで密入国してしまうってことは出来る。無事突破できる確率は現状よくわからないけど、出来そうなイメージではある」
アルブレヒト「我々みたいな素人でも、まぁなんとかなるだろうと、貴族の浅知恵で考えるのであった」
モニカ「そうですよ、貴族様の考えることですからー」
DM「逃げ込んだ先の貴族が今回の敵でないことを祈りながら」
モニカ「ここはクラウスに情報を調べてもらうしかないのでは?」
アルブレヒト「ではどこかの町に行って、情報を集めてもらう」
DM「くっくっ、見てくださいよ、この世間知らず共を。4人も揃って誰も〈情報収集〉技能がないんです。これが世間知らずのお坊ちゃまってやつです」
モニカ「わからせてやってくださいよ。これは金になりますよ〜。いい暮らしできますよ」
DM「右往左往ですよ、まさに」
モニカ「クラウスにお願いしましょう」
DM「別にクラウスだってまったくこれっぽっちも得意じゃないけどね。他の3人に比べたら捕まっても痛くないってだけで」

 酷い話もあったもんである(笑)

モニカ「クラウスっ」
アルブレヒト「目立たなそうなのがクラウスしかいないってだけで……」
ダスティ「まぁ、一番身体能力はありますからね」
DM「この人、執事なんですよ。燕尾服着てるんですよ。黒執事みたいな」
ダスティ「マジで!?」
クラウス「執事ですから」

 
 ★Yuukiさんが描いてくれたよ! ありがとう!

DM「プレートアーマー、プレートアーマー、貴族の豪華な服、燕尾服、なんですけど」
レーグネン「駄目だ、絶望的だ」
モニカ「絶望的すぎる」
ダスティ「黒執事だったらなんでもできそうな気がする。万能ですからね」
DM「残念ながらこの執事はそこまで万能じゃない」
モニカ「押しに弱い」
アルブレヒト「主人を諌めることができない」
スポット参加プレイヤー「トロウス」

 酷い評価もあったもんである(笑)(間違った評価とは言ってない

ダスティ「紅茶を淹れるのがうまかったり……」
DM「しないな……。まぁでも〈職能:執事〉に辛うじて含まれているかもしれないんで、平目で振る人よりはすこぉしだけマシかも」
モニカ「じゃぁ、3人で町外れで待って、クラウスに行ってもらうということで?」

 この辺のやりとり大幅に割愛せざるを得ないくらい、長時間あーだこーだ悩んでました。
 これはDMワダツミの失態でありまして。なぜなら既にプレイヤー達はハンドアウトによって「まだ合流していないメンバーがいるであろう大まかな方向」は示唆されており、DMは「それを踏まえて、『行くべき方向』はわかってる行動をしてくれるだろう」と思い込んでしまっていたのだが、プレイヤー達はしっかりと真面目に「そんなキャラクターが知らない情報なんて頼らないぜ!」という、真摯なプレイをしてしまい。その上で「あ、これは巻いていったほうがいいな」とDMが判断すべきところを、「これもまたロールプレイだろう」と誤判断してしまったのでした。結果として、キャラ視点での情報が乏しい中でただただ「うーんどうしよう……」で時間が浪費され、合流してないメンバーを退屈させてしまうことに。明らかなマスタリングミスで申し訳ない。

アルブレヒト「やはり、本屋のあったあの町かな」
とっても慈悲深いDM「君が”一番行きそうな”町へ行くのね?」
アルブレヒト「やめよう(キリッ」

 そんなダスティがいる町と正反対の方向に行かれては困るのだ! 続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!


●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 昨日までの日常が一変し、慣れない環境に放り出された我々。
 寄る辺のない、その心細さと言ったらもう!
 とは言え、途方に暮れ過ぎてしまっても仕方がない。
 決めるときはしっかり決めないとね!
 がんばろう。



・モニカ
 元より善性が前に出たキャラクターのつもりでしたが、ここでの「みんなよいひと」の認識でよりいっそうとその傾向が強まった気がします。
 クラウスいつもありがとうだよ。



・レーグネン
 お兄様の慧眼、光る。
 出来るだけ安全に、出来るだけ迅速に逃げるのも楽じゃない。いやー、どうするべきか迷いました。



・クラウス
 万能執事へのみちのりは長い。しかし無茶振りに対応してこそ執事なのかな、どうかな、ちがうかな、ちがうよな!
 多分当初はアルブレヒト様をいさめていたが、本買い抜け出し回数20あたりでその変諦めウス。



ダスティ
 脱出という話の方向から「そろそろ出番かな?」とドキドキ。シーンが切り替わって「一方、そのころダスティは……」みたいなのが来るのかな? と思っていたところ……。

“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター6

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4

アルブレヒト「ここは相手の裏をかこう。私は聡明だからそれくらいわかるのだ」
DM「今の、生々しい心理だったよね。一番慣れているところへ行こうって、本当に弱い心理だったよね(笑)」
アルブレヒト「一番なんとかなりそうじゃないか(気のせい)」
DM「『あいつの行きそうな町はどこだ?』『あっちです!』って場所に向おうと(笑)」
モニカ「ダスティのいそうな場所、じゃなくて、ダスティみたいな職業の人がいるのはどこですか?」
DM「こういう密輸業者は、国境・領境に近い町に多くいるものです」
アルブレヒト「関所を通るとして、通行手形とかあるの?」
DM「特別に発行された許可証とかはあるけど、一般的には荷物を改めたりして、不審な点がなければ通行料を取る」
レーグネン「本の行商人を装おうか」
クラウス「珍しい本が、ここに」
DM「じゃ、〈はったり〉どうぞ」
クラウス「え”」

 身分を偽る場合、〈変装〉や〈はったり〉技能が無いキャラは平目で振ることになるので、それなりにちゃんとした兵士が門番してたら、見破られてしまう可能性が高い。田舎町の木っ端民兵なら大したことはないかもだが、それでも「同じくらいの条件でダイス目勝負」になるんで、漫画のように素人が思いつきで変装して突破は結構難しい。無論、有名人でもないならいきなり「お前は○○だな!?」なんてことは無いんだが、今回のクラウスなら「あ、こいつ旅慣れてないのに行商人っぽくしてるな」みたいには見抜かれてしまう……かもしれない。

アルブレヒト「プレートアーマー着た行商人……? 駄目だ、我々高貴過ぎる。クラウスに情報集めてもらうのも難しそうだし……そのへんに干してある服でも……」
DM「完全に逃亡犯の行動パターン(笑)」
レーグネン「盗みは感心しません」
アルブレヒト「なにせ目立ち過ぎる。一番良いのは全てを捨ててみすぼらしい格好で逃げることだろうが、本を捨てるくらいなら私は死ぬ!」
モニカ「そっちなんだ」
アルブレヒト「まぁ、装備を捨てては、そもそも身も守れないしな」
ダスティ「ところで執事でクラウスって言うと……ハヤテのごとくの」
DM「既存キャラから名前持ってくんのは厳禁なんで、最初にそう聞いたら『偶然です』って断言したので、あのクソ執事を連想しては駄目です」

 偶然でも今回の様に属性被って紛らわしい場合は避けたいところだけど(笑)

モニカ「早くダスティに会いたいんですけど! 会えないと何もできない……」
アルブレヒト「近隣の諸侯も決して信用できないが、この領内にもいられない!」

 そして悩む。また悩む。

アルブレヒト「町を迂回、夜に乗じてロールヴァーゲ領へ向かおう」
DM「アルブレヒト2日目の徹夜。完全に過労状態」
モニカ「お兄様、しっかりしてください」

 そして徹夜の影響なのか、何故か今さっき無理だと判断したはずの情報収集にクラウスを向かわせる方向で話がまとまりかけるの巻。

DM「ではその素人変装の達成値を」
クラウス「執事服が見えないようにして」
レーグネン「執事服は脱ぐ」
DM「BL本のタイトル『執事服を脱ぐとき』」
アルブレヒト「まぁ、そこらに執事はよくいるから」
レーグネン「執事ですしね」
DM「そこらにゃいねーよ(笑)」
アルブレヒト「私の着替えを貸そう」
クラウス「では、豪華な服を着た旅人で」

 大差無い。

DM「ほんと、こいつら隠密できないな(笑) 確認するけど、途中の町で情報を集めるの? クラウスに『お前、全くそういう事をしたことないだろうけど行ってこい』と」
モニカ「『人生経験になるから』と」
アルブレヒト「『酒場に行くといいらしいぞ』」
レーグネン「『チップはちゃんと払うんだぞ』」
ダスティ「本で得た知識……」
DM「『捕まるかもしれないけど、お前が一番被害が少ないから』」
クラウス「無茶振りにもほどがある!」
レーグネン「やはり危険でしょう」
アルブレヒト「とまぁ、私は君に言ったわけだ。行くも行かないも君の自由だが……」
クラウス「拒否権は?」
レーグネン「本屋での出来事を考えると……」
DM「ないんじゃない(あの時の様子を思い浮かべながら」
クラウス「ないんだ……」
DM「クラウス死ねって言われたら死ぬのか……(酷」
クラウス「死にませんよ!」
アルブレヒト「死ぬかもしれないけど行けって言われたら行く的な」
クラウス「行かない、行かない」
アルブレヒト「……意外と使えないな」
DM「クラウスは今こそ言えるんですよ」
クラウス「うん?」
DM「『俺の雇い主は、てめぇじゃねーんだ。城が燃えた以上、お前に傅く義務はもうないんだ』」
モニカ「だめだ、面白過ぎる(笑)」
DM「そう言っていいんだよ(笑)」
ダスティ「仕えていたのは領主様」


 無論、「城は燃えていたが、領主やその後継者が全滅したと確定したわけではない」と判断し、正式に解雇されていない以上はクラウスも無職ではないのだが、「あの様子じゃ全滅に違いない」と判断して見限ることも自由。「これじゃ今月の給料が貰えるかも怪しいから、厄介事に巻き込まれないうちに離脱」だってしていい。逆に「上が全滅した場合はアルブレヒトが後継者……これは恩を売るチャンスだ」と考えて尻尾を振る計算高さを発揮することだって俺は止めないぜ。
 ……いやモノによっては「秩序にして善」のキャラがやる場合「じゃあアライメントを変更しようか。別に何のペナルティもないけど、その行動自体は絶対に秩序にして善じゃないから」と確認取るケースはあるだろうな(笑)
 まぁ何にせよ一応、クラウスが雇用主から申し付けられた仕事は、正規の執事である父の部下の一人としての雑用かつ、主君一族の警護です。魂刃士としては恵まれたフィジカルで将来有望な期待のホープぶりなのですが、執事としてはまだ見習いレベルな〈職能:執事〉3ランクゆえに(最低限のプロで5ランクから)。


アルブレヒト「まぁ、私は能天気に、情報仕入れてこいよと」
ダスティ「ある意味さすがお兄様」
アルブレヒト「なんとかならんか?」
クラウス「なんともなりません」
アルブレヒト「亡国の王子はこういうとき酒場で情報や仲間を手に入れるもんなんだよ」
クラウス「どこかで読んだ物語と一緒にされても。無理ですね」
アルブレヒト「……そうか無理か」
モニカ「引き下がった(笑)」
クラウス「ご自身でもおわかりのように、追手がいるであろう町に、このようなわかりやすい格好で入っていって情報を集めるのは無理です」
アルブレヒト「それなら私の服を貸そう。燕尾服よりはよいだろう」
クラウス「アルブレヒト様の服は一発でバレます。庶民に紛れる、という言葉をよく反芻してみてください。そんな庶民がいますか」
ダスティ「もう立場が(笑)」
アルブレヒト「町には寄らずに、先を進もう。徹夜な上に食料も水も無いけれど」
DM「朝は食べているから、食糧問題はまだそこまで危機的ではないけど。過労状態にはなるね。やはりこのパーティー、あの姉弟二人がいないと〈生存〉スキルもないからどうにもならない」
モニカ「早く来てくれ……」
スポット参加プレイヤー「〈生存〉も〈職能:料理人〉もあるんですよ」
モニカ「チームボンボンズ……」
レーグネン「進むだけ進むしかないようです」
アルブレヒト「朝になる頃には、私の魔法の馬は消えるんですよ。あ……さらばわが愛馬(半日)」
DM「いろいろ辛い(笑)」
アルブレヒト「誰か後ろに乗せてくれー」
モニカ「面白過ぎる(笑)」

 そんなこんなで強行軍。直線距離でも100キロ以上北にあるブレスラウへ流されて、俺!! 今日もさすらい涙も枯れる!!

・ブレスラウ
 ヴィーリオン王国ロールヴァーゲ侯爵領内の中都市。
 ファヴの支部が存在し、この地方の傭兵達の中心地として機能している。
 傭兵達からの様々な要求に対し十分な供給で応えるだけの店舗が軒を連ね、その活気は領内屈指。
 いくらファヴの管理体制が存在するとはいえ、どうしても荒くれ者なのが傭兵という存在。つまりはガラの悪さも結構なものなので、一般の旅行者は表通りから離れないのが無難かもしれないが。
(フローラントwikiより抜粋)


DM「ロールヴァーゲ領内に入った。ブレスラウも目と鼻の先。この辺りで一番大きな都市。傭兵ばかりなので人の出入りも多いから紛れこみやすそうだ」
クラウス「おお、お誂え向きですね」
アルブレヒト「我々も傭兵に見えないかな?」
クラウス「無理です」
DM「ブレスラウに入りました」
アルブレヒト「まずは、ここで宿を取ろう。何気ないふりをして……キョロキョロ」
DM「コロコロ」
モニカ「なんかのダイスを(笑)」
DM「アルブレヒトがキョロキョロしていると、一人の男が……」
男「そこのあんた。そう、そこのあんただ」
アルブレヒト「な、なにかな」
男「只者じゃねぇな。出来る男の顔をしている」

 
 ★Yuukiさんが描いてくれたよ! またもありがとう!

 全員爆笑

クラウス「超怪しい!」
スポット参加プレイヤー「悪い商売の人だ!」
アルブレヒト「ふっ、隠せぬものか……」
クラウス「ノってきた!」
男「そこらの凡人じゃ出せない空気を感じちまったものでな」
スポット参加プレイヤー「敵、じゃなさそうですけど」
クラウス「めっちゃ〈真意看破〉したい」
アルブレヒト「隠しきれぬこの天才のオーラよ」
男「あんたほどの男がこんなところをうろついてちゃ危ないぜ。目を惹き過ぎる。その佇まい、あまりにもエレガント……!! この町じゃ、あんたほどの高貴なオーラを放つ奴は浮いちまうんだよ。そりゃあんたの住み慣れた都会じゃそうじゃないかもしれないが。こんな田舎じゃ……あんたは凄過ぎるんだ」
アルブレヒト(うむうむとうなずく)
モニカ「しみじみと感じてる」
クラウス「ノってきた」
男「どうだ、ここにいる間、あんたの世話をさせてくれないか? あんたの高貴なオーラを隠しきれるかどうか自信はないが、やれるだけのことはやってみたいんだ」
DM「みんな〈真意看破〉振ってみ」
クラウス「全然駄目だー」
モニカ「28」
DM「〈真意看破〉って、その人の言っていることを「頭から疑ってかかっている」か「自分が望んでいることを言ってるくてるから信じたい」かどうかで、補正がかかるんですよ。で、モニカにとってお兄様が褒められることは至極当然のことで、通常以上に『それって常識ですわよね』なこと過ぎて、嘘とは思わないんですよ」
モニカ「思わない」
DM「だから……とくになんとも、『あぁ、そのとおりだな』と思った」

 炸裂するブラコン補正(笑)
 モニカに極端なブラコンキャラという設定がなければ、違う結果になったことでしょう……。

ダスティ「28とか凄い高いのに」
DM「相手の言っていることを信じてる場合の補正がね」
モニカ「良いこと言っていますからね」
アルブレヒト「そうか、この町には来たばかりで右も左も分からないのだ。よろしく頼むよ」
DM「そうしたら、ダスティ。君は、貴族を騙しては売り飛ばすことで(裏社会では)知られた男、ディルクがまさにカモをひっかけているところに出くわした」
スポット参加プレイヤー「おぉーー」
モニカ「ダスティ!」
クラウス「突然来ましたね」
モニカ「私達の生存のかなめが、ようやく」
ダスティ「そいつは?」
DM「君も知っている、地元ではそこそこ名の知れた男で、お上りさんの貴族を口車に乗せては人身売買組織に売り飛ばしている。そいつにいまカモが引っ掛かっているところを見かけた」
ダスティ「その男の背後の組織とかはわかりますか?」
DM「〈知識:地域〉を」
ダスティ「……10」
DM「バックはわからない……裏社会に関わる人間なら知ってて当然レベルの上辺のことしか知らない」
ダスティ「どうしようかな、ちょっと考えさせてください」
DM「急に出番が来たからね。急に救世主が」
ダスティ「キャス姉の話が来てから出てくると思っていたから」
DM「その人の出番はもっと後です」
モニカ「感動の再会はもうちょっとあとで」
スポット参加プレイヤー「今日は出番来ないかもしれませんね」
モニカ「来ます、来ますよ」
クラウス「口車にほぼ乗っているお兄様をうろんな目で見ています」
DM「クラウスは〈真意看破〉に失敗してるんだよね。確かにフィクションを外から見てるとこれはギャグに見えるんだけど、キャラ目線的にはそんなに変なことではないわけよ。〈真意看破〉で高い目が出せなかったってことは『嘘くさいこと言ってんな』とは思えなかったわけだね。もちろん、クラウスが日頃からアルブレヒトをそんなに優秀ではないと思っているなら『いやいやいや、こいつそんな優秀じゃないよ』と白けるかもしれないが、それはあくまで『こいつ見る目がないな』であって『こいつ心にもないこと言ってるな』ではないんだ。まぁ『嘘言ってるようには全然見えないけど、こいつはそんな優秀じゃないんだから嘘に決まってる』はOKだけど」
クラウス「どっちに傾くかなぁ」
ダスティ「自分がアルブレヒト達の顔を知っている可能性は?」
DM「ここは隣の領地だし、〈知識:貴族〉がないとわからないね。まぁ〈知識:地域〉が高ければ名前だけは知っているかもしれない」
ダスティ「15です」
DM「では、かろうじて名前だけは聞いたことがある。そういえばそんな貴族がいたような気がする。もちろん同名の他人かもしれない」

 つまり顔は知らない。テレビも写真週刊誌も無いのに知るわけもない。「光太郎」って名前の貴族が存在した気もするが、どこの誰かは全然覚えてないって感じ。それが犬山光太郎さんなのか、東光太郎さんなのか、南光太郎さんなのか、高村光太郎さんなのかまではわからない。
 仮に〈知識:貴族〉が高ければ、貴族の肖像画を見る趣味があって顔と名前が一致してたりしたかもしれない。

アルブレヒト「またカモられてんなぁ……でスルーされるのかも」
レーグネン「あーあ、かわいそうにって」
モニカ「確かに……」
ダスティ「自分は今の所駆け出しなんで、正直少しでも名を売ったりパイプを繋げたりしたいんで、声をかけるって動機はありそうなんですけどねー 実際どうすればいいかなぁと」
DM「では〈視認〉で」
ダスティ「20」
DM「観光で来たにしてはこいつらくたびれてるな、と感じた」
ダスティ「ワケアリっぽい」
DM「大きなシノギの匂いがするな……!」
ダスティ「うーむ……」
DM「ディルクが『隠しきれない旦那のオーラを隠すためには、少しばかり金が必要なんだ』とか言っている頃か」
ダスティ「そのままズバリ言ってしまう手もあるか」
クラウス「最初にズバッと言ってしまえば信用を得られるんじゃないか」
ダスティ「たしかにありかもしれないな」
レーグネン「ダスティがどんなキャラかによりますかね。格好いいキャラなら『ぃやめな!』ってなる」
ダスティ「ギターならして、ちょほいとまちなは」
DM「それ完全に究極超人あ〜るじゃねーか(笑)」

 

ダスティ「もちろん、それです」

 お前そんなキャラだったの!? ……DMまでも驚愕させて続く!!!
 Don't give up justice, I want to get truth!


●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 なんとか情報を掴みたい、という気持ちがはやって右往左往。
 出来る男は、紆余曲折の末、ようやく目指す都市まで到着するのであった。
 早速、手助けしてくれそうな男と出会うことができ、一気に話が進みそうな予感だ。
 ダスティもずいぶんお待たせしてしまったね。

 見事な『出来る男』のイラストに感謝。
 ほう…… じゃねーよ!(笑)



・モニカ
 当然、お兄様は何処にいても輝いていらっしゃいます。なので、やはりその力を利用しようとするものも多くいるのですね。うんうん。
 ダスティは魅力的キャラクターです、もう、本当に(笑)



・レーグネン
 怪しい!!
 けどキャラにとって困りきった上での初めての町での出来事。判断材料に乏しい。
 頑張ってくれダスティ!



・クラウス
 NOといえる執事。真意看破の成否でかわる心情の些事加減がむずかしいと感じた回でした。なるほどなーと。



ダスティ
 アルブレヒトたちが訪ねて来るもんだと思っていたら、いきなりこっちから絡んでいくことになってビックリ!
 どう登場しようか悩んでいたところ、レーグネンの言葉を受けて、つい「究極超人あ〜る」ネタを口走ってしまいました。半ば冗談のつもりで言ったのだけれど、そのままいくことに!!
 リプレイに反映されるかどうかはわからないけど、この後も「あ〜る」に限らず、ちょこちょこマンガやアニメネタを口走ってます。
     
“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター7

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4

レーグネン「いつもギターを手放さないローグ」
DM「バードじゃねーか。ヨルン(豊作キャンペーンのバード。レーグネンと中の人が同じ)がやってろよ(笑)」
クラウス「第一声いいじゃないですか『やめな!』」
モニカ「キャラが」
スポット参加プレイヤー「かっこいー」
DM「その後どう続けるか決めておかないと、噛んでかっこ悪いからね」
ダスティ「どうやら、この町に来たばかりのようだが、これから宿を決めるんだったら、この俺の話を聞いてからでも……」
DM「(実際に喋ってる口調が)なんか宮内洋みたいな演技だな……(笑)」

 

ダスティ「なんかノリですな。このまま続けるかどうかわからないけど第一声は」
ディルク「おいおいなんだオマエ。余計な口を挟むんじゃねーよ」
ダスティ「肩を引いて距離をとって……まぁまぁ、待ちな兄弟。よく見てみろよ、あいつら。身なりもボロボロだぜ。きっと訳ありだぜ。大した稼ぎにならない上に、厄介事に巻き込まれるのは確実だ」
ディルク「おまえの目は節穴か! 連れている女を見てみろ。最高の上玉(魅力度18)じゃないか。あれだったら裸でも高値で売れるわ!」
ダスティ「いやぁ、そうかも知れないけどよ……」

 一気に弱気に(笑)

ダスティ「首が飛んじまったら元も子もないだろ」
ディルク「それが怖くてこんな商売出来るかっ」
ダスティ「で、少しお金を掴ませます」
DM「いくら?」
ダスティ「どれくらいでしょうねぇ……」
DM「首尾よく行って、彼らが着ているプレートアーマーを売るだけで銀貨2000枚近くになるのよ。たとえ中の人が金にならなくても」
ダスティ「それはそうですねぇ」
DM「加えて、モニカはとびきりの上玉とくれば」
クラウス「その盗賊を説得するより、お兄様達の信頼を得るなり、そいつの正体をばらしたほうが分がいいかも」
ダスティ「確かにそっちのほうが早いかぁ」
ディルク「ほら、旦那ほどのオーラを出していると、すぐこういう輩が寄ってくるんですよ。気をつけましょう」
ダスティ「どちらが信用を勝ち取るかってことですねぇ」
モニカ「ダスティ、がんばれ! 私(プレイヤー)達はあなたの味方だよ」
DM「ダスティ、身代金を安く見誤るの巻」
ダスティ「訳ありだから、それで諦めてくれると思ったんですよねぇ」
DM「相手が上玉過ぎた。もう見た目だけで」
アルブレヒト「訳ありのほうが、つけ込み易く売った後の心配がないのかもしれない」
ダスティ「ううむ」
アルブレヒト「いやぁ、私のオーラにこう人が集まってしまうのだなぁ。ふはは」
モニカ「お兄様が嬉しそう」
DM「お兄様の承認欲求が高まる」
モニカ「お兄様を言いくるめたら良いですよ」
DM「それよりは最初から疑いたい人達を言いくるめるほうが良いよ。君らは、お兄様を褒めちぎる彼をどう思ってる? 君達のアルブレヒトへの評価が実は元から低いのなら、彼の言うことを疑い易いけど」
レーグネン「町に入るなり声をかけられたのはちょっと怪しんでいますけど」
DM「でも君ら目立ち過ぎるくらい目立っているからね」
レーグネン「まぁ、たしかに目立っているのは事実ですね」
クラウス「アルブレヒトは何度も勝手に城を抜け出すし、大事なお客様をど忘れするしで、そのへんは評価低めですね」
DM「クラウスはド忘れだと思っているけど、アルブレヒトは忘れたとかじゃないから。どうでもいいって一顧だにしてないだけだから(笑)」
クラウス「より酷い!」
DM「でもアルブレヒトは、それが彼の兄のためだと思っているから」
アルブレヒト「私のような天才がいると、場の注目を持っていき過ぎるのさ。それでは兄上の立場ってものがなくなってしまうのだ」
DM「兄上は立場上来るなとは言えないから、ちゃんと出ろというけど……みたいな」
クラウス「自分が気を利かせていると思っていると」
DM「まぁでも、クラウスは日頃から手を焼かされているのは間違いないから」
クラウス「やっぱ評価低めですかねぇ」
DM「アルブレヒトはあんなだけど、知力18と魔術師としての才能がずば抜けているのも事実。『賢者の学院を主席で卒業したんだって』みたいな。死亡フラグみたいだけど。ただまぁやはり日頃の行いは良くない。 ハチクロの森田みたいな。天才だけどフリーダム」
レーグネン「貴族ですから、急に話しかけられて褒められるのが怪しいって感覚がないですよね」
DM「あたりまえの日常なんだね」
レーグネン「この三人、箱入りなんで」
クラウス「え、レーグネンも!?」
レーグネン「レーグネンも貴族ですので」
クラウス「孤立無援!」
レーグネン「特に彼を疑う理由はないですね」
スポット参加プレイヤー「詰んだ!」
DM「これはダスティ厳しい状況です」
アルブレヒト「我々、バーンへ行きたいんだがなんとかなるかね?」
DM「お、兄様がきっかけを」
ディルク「バーンですか。任せてください。最適のルートを握ってますので」
ダスティ「いやいや、バーン行きでしたら私の専売特許ですよ、お兄様」
アルブレヒト「お兄様と呼ばれる筋合いはない!(笑)」
レーグネン「なかなか自信があるようですね」
ダスティ「餅は餅屋ってやつで……だからゴメンな、兄弟」
クラウス「我々はたしてどっちを信用するのか」
ダスティ「信用を得るために、ちょっと専門家ならではのルート情報とかをぼかしながら言ってみます」
DM「そこはプレイヤー知識が足りないので、俺の方から補足すると『あんただって知ってるんだろう? バーンとの……皇帝の分け前ってやつを』」
ダスティ「あー、なるほど」
アルブレヒト「ほう? 皇帝の分け前か。なるほど!」
DM「皇帝の分け前ってのはバーンと国境を接するこの地方独特の国外密輸ルートのことで、ヴィーリオン側としては摘発に手を焼いているということを君達は知っている」
ディルク「何言ってんだてめぇ、横槍入れやがって」
ダスティ「そうはいってもね、選ぶのはこのお客さんがただから」
ディルク「ヴィーリオンの貴族の皆さんに皇帝の分け前の関係者だと仄めかすなんて随分大胆じゃないか」
ダスティ「そうなんですか?」
DM「皇帝の分け前の密輸ルートはバーンでは合法だけど、ヴィーリオンじゃ非合法だからね。ヴィーリオン貴族の前で反社会的勢力だと宣言しているようなものだね」
ダスティ「なるほど」
DM「でもそれはそれとしても、バーン側へ行きたいってアルブレヒトも言っているので、それを仄めかすことは決して悪い手じゃない」
アルブレヒト「あえてそれを口に出す度胸、いいね」
DM「バーンに亡命したい貴族なら、今更ヴィーリオンの法律のことで咎めて来はしないだろうという判断したわけだね」
モニカ「貴方を選ぶ利点ってなんでしょう?」
ダスティ「あの男について行ったらお嬢さん、貴女はもう……バーンどころか、口にも出せないような大変なところに連れて行かれちゃいますよ」
DM「急にダスティのキャラが立ってきたんだけど! チュートリアルのダンジョンハックの時ではよくわからなかった彼のキャラクターが立ち上がってきたよ(笑)」
モニカ「ちょほいとまちなはから」
DM「こんなお調子者だったとは……」
ダスティ「こんな美しい貴女がそんな、なんてもったいない。自分の体は大事にしたほうが良いですよ、お嬢さん」
DM「うさんくせー! うさんくささ対決だ(笑)」
モニカ「お兄様、どうしましょう」
アルブレヒト「どちらにするのが良いかねぇ」
ダスティ「信じてください……じゃあ、行きましょうか」
ディルク「俺だってバーンくらい連れて行けるよ!」
ダスティ「わかったわかった。もう大丈夫だから、いいよ」
ディルク「なに全部終わったような雰囲気出しているんだよ!」
ダスティ「イケるかなぁっと……(笑) おい、急いだほうがいいぞ」
DM「〈はったり〉かい?」
ダスティ「えぇ、こんな目立つところにいつまでもいると、トラブルに巻き込まれますよ。行きましょう」
DM「キャバクラの客寄せみたいだな」
スポット参加プレイヤー「決定打が必要なんですよね。それさえあれば決まるんですが」
ダスティ「売られちゃうよ? まぁ、自分としては皇帝の分け前とか具体例出したりして勝負かけたつもりなんですが。」
DM「相手も売り飛ばすのはお前のやり口だろうとか言い返すだろうし、ほんと、決め手にかける難しい状況ではあるね」
アルブレヒト「私の人望が厚過ぎるばかりに助けがこんなに集まってしまって……どちらに頼んだものか困ったものだなぁ。いやはや!」
ディルク「さっきも言ったとおり、悪いやつも引き寄せてしまうのですよ」
アルブレヒト「だが、モニカを売り飛ばすとか聞き捨てならないな。本当かそれは?」
ディルク「本当ですぜ。あいつが、売るんですけどね」
アルブレヒト「なんだと……」
ダスティ「いやはや、こんな法螺言うやつなんですよ、こいつは」
ディルク「お前から言い出したんだろう!」
アルブレヒト「我が妹だけにモニカは美人だからな!」
レーグネン「わかりました、こうしましょう。お二人ともに頼みましょう。お金はお支払いします」
スポット参加プレイヤー「それは、分け前半分で二人とも来るか、満額もらいたいからどちらが受けるか決めなってこと?」
レーグネン「どちらが信用出来るか判断もできないし、二人分払って二人とも来てもらおうかと」
アルブレヒト「二人分払う!?」
レーグネン「そっか、金が足りないか……」
アルブレヒト「そういうことじゃなくてな(笑)」
DM「二人で協力して俺達を逃がせって?」
ダスティ「神官さん、あんたはいい人だねぇ。でもさっきから言っている通り、俺があんた達を連れて行くのはバーン、あいつがあんた達を連れて行くのは……んん。うまい言葉が」
レーグネン「地獄へ真っ逆さまだぜ!」
ダスティ「そうそう!」
DM「ダスティ、ちょっとキャラシー見せて。……ふむふむ、だよねぇ。知ってた」
ダスティ「えええ、なんですか」
DM「今、ダスティが過去に過ごしていた戦勝神資本な孤児院での経験やつながりを武器にできないか確認したんだけど、やはり〈知識:宗教〉が0ランクだったから、こいつそこで何も学んでないんですよ(笑)」

 一同爆笑

スポット参加プレイヤー「売り飛ばされた記憶しかない」
ダスティ「そうそう、そういう子だったんですよ」
DM「ご飯の盗み食いしか学んでないわけですよ」
スポット参加プレイヤー「私はランクありますよ」
DM「聖衛士(レンジャー)でなかったら大問題だよ(笑)」

 しかし流石にこの境遇で「知力はかなり高いのに、宗教のこと全然知らない」のは、特別な事情があって意図的に断固として避けた設定でもない限り不自然なので、プレイ後に技能取得させられることに(笑)
 ただしこの時点では「俺は世話にはなるが絶対にお前らの教義なんて受け入れない!」という意味のわからない恩知らずです。いや、恩知らずどころか両親が信じてた宗教(だから孤児になっても保護して貰えた)すら完全に拒絶して生きてきたという、最早特殊能力の領域……。
 これはもう完全に「プレイ前にキャラシートチェックして不自然さを指摘して改修指示しなかったDMのミス」ですね。申し訳ない。

ダスティ「やはり、ここじゃなんだし、一杯奢るから俺の馴染みの店に行こう」
モニカ「怖いよー」
スポット参加プレイヤー「終電後の新宿駅みたいなことになってますよ」
ダスティ「これで引き下がってくれないかなぁ」
DM「大丈夫です。このマスターちゃんと考えています」
ダスティ「ほう」
DM「この状況は見越しています。そこは任せてください。では〈視認〉でチェックを」

 闇業者相手の言いくるめバトルはハードルが高いので、それでもロールプレイで上手いことやれたらそのまま行けてヨシ、無理でもどうにかなる前提の展開でした。

ダスティ「……12」
DM「ふむ。では、ディルクが見るからに挙動不審になります。ダスティはまだ気付いていないんだけど、どうやら向こうからシティガーズが歩いて来るようだ。無論ダスティもクリーンかと言われると微妙なところである」

 視認に失敗している以上教えないでいい情報なのだが、サービス。

ダスティ「まぁ、そうですけどね」
ディルク「わかったわかった、1500。それで手を引いてやる」
ダスティ「無いです……使っちゃったんだよなぁ」
スポット参加プレイヤー「もうちょっと……それか、『なんで今ま1500払わなくちゃいけないんだ』とか言って時間を」
DM「最初に金で手を打とうとして、それで相手がわかった金で手を打ってやろうと言ってきたのをゴネることになるんだよね」
スポット参加プレイヤー「『いいんだぜ、別に金払ってやらなくもない』とか言って、『おっと、あれは?』みたいな感じで」
DM「そういう手も打てはしたんだけど、失敗しているんですよ、〈視認〉に」
スポット参加プレイヤー「なるほどなるほど」
DM「ここで言い値で払うかどうかは君の判断だよ」
ダスティ「じゃ、すまんがこれでなんとか……500で」
DM「それで有り金全部なんですかねぇ……〈はったり〉を」
皆「ジャンプしてみな!」
DM「ジャンプしろよ! ……コロコロ……あー(真意看破でとても高い目)」
ダスティ「21……(DMのダイスの目を見て)うあぁぁ……」
ディルク「おい、出せよ限界まで! 金がねぇっつったら限界まで払えよ! それが俺みたいな有能な人間と手を切らせる旦那への誠意ってもんだろう」
モニカ「これはお兄様の命の値段ですからね!」
ダスティ「あぁもう、もってけ泥棒! 有り金全部を渡します」
ディルク「よし話はついた。後腐れはナシだ。じゃぁな!」
ダスティ「よかったのかなぁ、これで。赤字じゃないのか……とか思いはじめたり」
DM「全体で見ればそこまでは損をしていないと思う。君は貴族をバーンまで送れば一人500枚は取れると思っている」
レーグネン「だから赤字にならない1500枚って相手も言ったんですね」
古谷徹「フローラントの銀貨1枚は、現代の日本円に換算するとおよそ1000円である」
DM「そうそう。まぁ、ディルクはキミらを売ればもっと儲かるんだけど(笑)」
ダスティ「今は完全にすっからかんではありますが、なるほど了解です」
アルブレヒト「ふむ、話はついたのか」
ダスティ「円満に……ちょっと涙目になりながら、ええ、円満に解決しました」
アルブレヒト「なんだかすまんなぁ」
クラウス「随分渡していたようにみえたけど、大丈夫なのか?」
DM「財布まるごと投げてたよね、多分。『これもだ!』って服の裏に縫い付けていた隠し金とかも(笑)」
ダスティ「まぁ、べっぴんのお嬢さんを助けることができたんだから、あれくらいははした金さ」
アルブレヒト「じゃぁ行こうか。人の献身を受けるのが普通の人なので」
DM「まぁ、君らにとっては店の客引き同士の話が決着ついたようなものかもしれないね」
ダスティ「私にとってはだいぶ痛い出費だったけど……未来への投資ということで前向きに行こう!」
DM「そう強く自分に言い聞かせて」
ダスティ「心の中でぐっと」
DM「裏通りに一本入ったところにある建物の一角にダスティの根城、依頼人と面談をしたりするような部屋がある。そこに皆を連れて移動してきた」
ダスティ「その前に、我々が後をつけられていないか確認しておきます」
DM「じゃ皆も〈視認〉で判定を……大丈夫なようだ」

 まぁこれ、別に「そんな宣言しなかったから警戒なんてしてなかったよ」なんてことは無いんだけどね。罠探知の〈捜索〉と違って〈視認〉や〈聞き耳〉は常時発動型のパッシヴスキルなんで。それでも振らせるのは様式美に近い(笑)

ダスティ「では……皆様はバーンへの亡命を?」
アルブレヒト「私の名はアルブレヒト。よろしく頼むよ」
ダスティ「なるほど、はいはいお隣の領地の……ふむふむ」
DM「偉そうな外見とか、名前とかを知識と照らし合わせると、確かに合致する(笑)」
モニカ「ダスティの名前まだ聞いてないよまだ」
ダスティ「ああ、そうね。申し遅れましたダスティと申します」
アルブレヒト「一応名前返してくれるのずっと待ってたんだよねぇ……モニカが指摘しちゃったか(笑)」
DM「『貴方のお名前をまだお伺いしてませんわね』くらい言ってしまったのかもね」
モニカ「お兄様が先に名乗ってしまったからちょっと、と思ってしまったんですよね」
レーグネン「頭が高くない?(笑)」
DM「お兄様もっと偉そうにしてよ。『名乗れ』って(笑)」
モニカ「頭が高い!」
DM「もっとギルガメッシュみたいに『名乗ることを許すぞ雑種』」
ダスティ「そこまで! 超印象悪いんですけど(笑)」
DM「まぁでも貴族だしねぇ。フレーゲルまで行かなくても……行ってもいいか」
ダスティ「いいんですか(笑)」
アルブレヒト「そっちから名乗るまで待つべきだったかー」
ダスティ「もう言っちゃいましたけどね」
DM「まぁ好意的に解釈するかもしれないよ。『下賤の溝鼠が名乗れないのは仕方ない』とか『別に下民の名前なんてどうでもいい』とか」
クラウス「ひどい(笑)」
DM「さっき、彼らは自分が違法な密輸業者だと明かしているわけだから、内心どう思っているかによる」
アルブレヒト「私はちゃんと名乗って、相手が何も言わないなら、ふーんって感じですかね」
DM「まぁやっぱり彼らにそんな礼儀はないんだね、と思っちゃうかもしれない」
モニカ「それに対して『貴方は名乗らないのですか?』って言っちゃう」
DM「モニカは真面目だから言っちゃうんだろうね」
ダスティ「こいつは失礼しました。私の名前はダスティと申します」
DM「ダスティは〈交渉〉技能伸ばしてるから、礼儀作法はわきまえているはずなんだよね。彼もショックな事があって取り乱していたんだろう(笑)」
クラウス「有り金が……(笑)」
DM「動揺していたんだろうね、きっと(笑)」
ダスティ「少しは家に残してないのかな……」
アルブレヒト「とはいえダスティって偽名っぽいよね」
ダスティ「たぶん通り名なんでしょうねぇ」
DM「だってまんまスペルもDusty(ゴミ野郎)だよ。本名じゃないでしょ」
ダスティ「そうなりますか」
DM「ローグっぽい通り名だな、って思ってたよ。ゴミ野郎は言い過ぎで、『くすんでる」『埃っぽい』だったとしても、親が子供にそんな名前つけるのか、と(笑)」
ダスティ「では改めて、ダスティです、と」
DM「みんな『偽名だ』『偽名に違いない』『偽名ね』『偽名か』って(笑)」
アルブレヒト「格好いい通り名だな」
レーグネン「お兄様が褒めた」
モニカ「お兄様が褒めた!」
ダスティ「小説の主人公にダスティって名前があったのかもしれない」
DM「光り輝く俺アルブレヒト、そして、くすんだ男!」
ダスティ「なにぃ……」
DM「アルブレヒトって『高貴な光』って意味だからね」
ダスティ「その対比は逆に面白いかもしれませんね」
レーグネン「ダスティって名前からバーン側の人なんだなって判断出来ます?」
DM「ここらへんは国境だし、元々同じ国だったのが地域で分かれてただけなんで、多数派かどうかってだけでどっちの国にも英語名は居る。土地柄バーン本土は英語圏、ヴィーリオンはドイツ語圏でキャラの名前付けるのが一般的で推奨されるけど」

 幼女戦記のターニャ・デグレチャフは、国が思いっきりドイツ語圏なのに名前はロシア語だったりするわけだけど、まぁ欧米じゃ「ドイツ人だけどフランス語の名前」とかそーいうの割とあるってもんよ。

モニカ「私はモニカです」
ダスティ「良いお名前ですね」
モニカ「ゴマをすっていく(笑)」
DM「モニカ(Monika)ってもちろん全然悪い名前じゃないんだけど、ものすごくオーソドックスだよね。超絶的な能力パラメーターを誇るモニカの構成要素の中で、一番普通なのが名前」
モニカ「そうだねー」
DM「それに対してクソ派手なのがお兄様。アルブレヒト(Albrecht)ってのも実在する名前なんだけどね。神聖ローマ帝国皇帝や他の王侯貴族にもいるっていう」
レーグネン「レーグネン(降雨)です」
クラウス「クラウス(勝利と人々)です」
ダスティ「よろしくおねがいします」
アルブレヒト「先程も言ったとおり、我々は訳あってバーンへ行く方法を探しているのだ」
ダスティ「ええ、それはお引き受け出来るかと」
DM「訳あって。ここはお互い腹の探り合いだからね」
ダスティ「ここは詮索しないほうが良いのかな……」
DM「聞いておいたほうが採るべき選択肢が増やせることではあるね」
ダスティ「訳あってですか……そこはこの後のことを考えると、あなた方にとってなにが危険で、行くべきところ、行ってはいけないところがどこかを知るためにもお話を聞かせていただきたいところです」
DM「それよ! まさに言って欲しかったのは(笑)」
アルブレヒト「私達はお察しの通り、ヴォルフェンビュッテルの縁ものだが」
レーグネン「凄いよね、家名を出せばわかるだろう、っていう」
アルブレヒト「……逆に聞かせてもらうが、ヴォルフェンビュッテルの城についてなにか話は聞いていないだろうか?」
DM「今やるってわけじゃないけど、ダスティは〈情報収集〉と〈知識:地域〉で判定」
ダスティ「〈情報収集〉は低い……10」
DM「知らんぷい」
ダスティ「〈知識:地域〉は20」
DM「兄の方はともかく、話には聞いていた隣国の美しい姫君が目の前のモニカ様か、と合点がいった」
モニカ「お兄様だって天才ですー!」
アルブレヒト「故あって目立たぬよう振る舞っているのだ。能ある鷹は爪を隠す。仕方ない仕方ない」
ダスティ「なるほど、あの有名な」
DM「音に聞こえし美姫」
ダスティ「アイドルに会ったような感じですかね」
DM「そうだね、美人だとは聞いていたけど、まさに」
スポット参加プレイヤー「橋本環奈が目の前に」

ダスティ「マジ? あのモニカさま? え、マジ? みたいな(笑)」
アルブレヒト「まぁ彼女は、この私の妹でね(ドヤァ」
DM「保安官エヴァンスの嘘で、エヴァンスの功績を全部自分に結びつけて自慢する師匠思い出しちゃったよ。『あいつを育てたのは私でね』みたいな」
アルブレヒト「これは二日前のことになるのだが、ヴォルフェンビュッテルの城が激しく炎上するのを見た我々は彼女を連れて……、私の先導のもと、ここまでやってきたわけなのだが」
ダスティ「な、なんだってー! な出来事」
アルブレヒト「そうか、ここにはまだ伝わっていないか……」
DM「伝わっているのかも知れないが、ダスティの達成値が低過ぎる(笑)」
アルブレヒト「正直、まだ誰が城を攻めたのかも全くわからない状況で、隣接する諸侯や場合によっては主家のロットナー伯爵が敵ということすらも考えられるのだ。我々にも追手がかかっている可能性がある以上、一旦はバーンへと亡命して身の安全を確保しようと考えている」
ダスティ「なるほど、お話はわかりました。考えていた以上に、とても大変な状況のようですね」
アルブレヒト「我々も持て余している状況なのだ」
レーグネン「荷が重いかもしれないが……」
アルブレヒト「なんとか君の力を貸して欲しい」
ダスティ「わかりました」
DM「ダスティ、〈知識:歴史〉で判定して」
ダスティ「15ですね」
DM「貴族がバーンへ亡命する場合、一時的な避難でバーンへ行って戻ってくるのと、すべてを失って覚悟を決めてバーンへ行くのでは全然状況が違い過ぎるので、そこは確認しなくてはならない、と思った」
ダスティ「ただ、あなた方のような御身分の方がバーンへ逃れるということは、二度と故郷の地を踏まない覚悟が必要になりますが、その覚悟はおありですか?」

 ……しばし沈黙……耐えきれずに笑い出すプレイヤー達。

アルブレヒト「内心では、ちょっと逃げるだけのつもりだったんだけど……(笑)」
DM「じゃぁ、〈知識:歴史〉か〈知識:貴族〉でみんな判定ね」

 コロコロ。

DM「達成値の低いモニカはポカーンとしているけど、仮に国内の貴族同士の勢力争いでいきなり城燃やすレベルだと、正直この後まじヤバいと思っている。ヴィーリオンの貴族同士の争いで、いきなり城を燃やすのって、吉良上野介の屋敷に討ち入りして皆殺しにするレベルでヤバいのよ。普通じゃない」
アルブレヒト「つまり相手は、そんな過激な手を使っても大丈夫だ、という自信があるってこと?」
DM「そう考えることも出来る。いきなり殺意が高過ぎるっていうか」
アルブレヒト「そんな一線を越えた手段をとっていても、自分達の立場が危うくならないようにあらかじめ手は回してあると」
DM「そうやって収まりをつけるつもりでもないと、とても恐ろしくてできないくらいの蛮行。対外的な争いと仮定した場合、小競り合いを越えたここまでの事態はそうそうないね」
アルブレヒト「よほど後始末に自信があるのか、暴走してしまったのか……」
ダスティ「私も理解して良いんですね」
DM「達成値の低いモニカだけがわかってないね」
ダスティ「らしいっちゃらしいですね(笑)」
モニカ「みんないい人ですわ」
DM「生き馬の目を抜く政治の世界をわかっちゃった方々と、わからない方」
レーグネン「これは覚悟が必要なようですな」
ダスティ「戻れるものなら戻りたいというお気持ちのようですが、それは厳しいかと思います」
DM「身代金の支払いとか政治交渉で戻れるような期待が持てないからね。どんな理由があるにせよ並大抵の覚悟で出来るような謀略じゃない」
ダスティ「こりゃ、相当ヤバい人に声かけちゃったぜぃ……でももう有り金はたいちゃってるから退くにも退けないぜー!」

 倍プッシュだ。続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!

●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 ディルクとダスティの会話で、我々の価値を改めて認識するのであった。
 だが妹の美貌や、部下の鎧の資産価値ばかりが評価されるのがいささか不満である。
 まぁ、叡智というものはそうそう理解できぬものか、仕方ない。
 それはそうとして、魔導師を捕らえるともれなく呪文書がついてくるのだが、これがめちゃ高価だったりするぞ。

 しかし、振り返るといったい何の意図でダスティの名前を褒めたのか、まったくもって意味がわからない。解せぬ。


 DM補足
 なお、ルール上では冒険者のウィザードが普通は常に携帯している呪文書(これが無いと毎日呪文を準備できないから)って壮絶に高価なんだけど、この「常に携帯している」ってのが極めて厄介で、冒険中のトラブル次第(攻撃呪文へのセーヴにファンブルした挙げ句にランダムロールで背負い袋がビンゴして消し飛ぶとか、酸のプールや溶岩に落っこちるとか)で不運にも失われるだけでも恐ろしいのに、「ルール上、『背負い袋を部位攻撃』が可能」なので、DMが容赦しなければかなり現実的な確率でピンポイント破壊できてしまう。もちろんウィザードが全力で「荷物を守る」ことにリソースをぶっ込めばそうそう壊れたりしないのだが、それで汲々として継戦能力がガタ落ちとか異様に経費がかかるってのもゲームとして楽しくないってことで、アンタッチャブルな領域にするのが一般的なのですな。
 すなわち「不運が重なって失うのは必要なリスク、ゲームバランスのうちだが、故意には狙わない」という紳士協定。まぁプレイヤーがマンチキンなこと臆面もなくやり出したらこっちも考えるけどね、みたいな。

 でまぁTRPG部の舞台であるフローラント世界(別にD&D専用の世界としてデザインしたわけではない)では、そもそも「呪文書がないと呪文が使えません」ってタイプの魔導設定ではないってのもあるので、敵は「呪文書が高価」なんて認識なく襲ってくるという体でプレイしています。ゲームシステム上は必要なゲームバランスなんで所持しているし、ファンブルで壊れて大惨事は起こり得るのだが(笑)
 仮に呪文書をロストするような自体に陥った場合、ロールプレイ上は「魔力的な障害を負って行使能力が喪われた」といった表現になる。高位のドラゴンのブレスは精霊力の純度が高過ぎて身体に強く残留し、再生能力や回復呪文を阻害する設定なんかは昔からあったりしたので。
 ちなみに「呪文書」ではなく「魔導書(単なる魔導の技術書もあれば、それ自体が魔力を持ち、機能を有してたりする本もある)」は存在し、超絶お高い。



・モニカ
 有り金を全て叩いて我らの身を案じてくれるダスティが、悪い奴なわけがない。とても頼もしい。ですが、お兄様への礼儀は正しくあるべきなのです。そこは譲れません。



・レーグネン
 ダスティ、(懐が)薄氷の勝利!
 おかげに売られずに済みました。
 モニカの天然真面目っぷりが炸裂しつつ、お兄様の大物っぷりもすごい。



・クラウス
 やめなあ。なんとかダスティに助け舟的やりとりをと心がけるも貴族というハードルに止められたり。是非もないネ。



ダスティ
 せっかく、あ〜る君……というか小林旭のように登場したのだから、ビシッ!とかっこよく解決したかったのだが、やはり映画のようにはいかない。結果、あり金をはたくことになってしまったが、「そこまでしたのだから」が、アルブレヒトたちについていく理由にもなったので、結果オーライ?

     
“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター8

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4

ダスティ「ここで手を引いたらまるまる損だ!」
DM「単なる善意の人(笑) 1年分の稼ぎとかぶっぱなしての」
アルブレヒト「主家のロットナー伯爵家に駆け込んでも、話がついていて逆に消されてしまうかもなのだよね」
DM「そうかもね。そこと話がついているからこそ、やれたのかもしれないって考え方は出来る」

 基本的にこの手のDMの「同意」は、「可能性の一つとしてそう考えることは不自然ではない」「世界設定との矛盾は無い」って程度のニュアンスである。

アルブレヒト「普段から政治とは関わらないようにしているせいでさっぱりだ……困った」
DM「そしてモニカの方は意図的に政治の舞台とは隔離されていたのである」
ダスティ「もしかしたらモニカ目当てなのかもしれない」
DM「あの美姫を奪え! オルドじゃオルドじゃー! まぁ史実でもこれで戦争起きてるからね(笑)」
ダスティ「私も乗りかかった船だ。もうここまで来たら覚悟は決めましたよ。……初期投資も大きかったし(ボソ」
DM「いくら払ったの?(笑)」
ダスティ「700ちょいです。少しはアジトに残ってたりしません?」
DM「じゃぁいいよ、靴の中に隠していた銀貨5枚ね」
ダスティ「最後の最後の賄賂用か。さて、やりますよ」
アルブレヒト「覚悟か。『このまま負け犬として生きていけるか! 絶対に復讐してやる!』って気概も特にないんで……」
ダスティ「ないんですか!」
モニカ「本の仇はー」
DM「一時的にせよ、恒久的にせよ、バーンに亡命するのは悪い手ではないとダスティも思う。ただ、どちらにするかで、話を通すべきバーン側の受入組織が変わってくるね」
アルブレヒト「なあ、モニカ。お前はどうだ?」
モニカ「私はお父様やお母様、上のお兄様達が生きているのか、せめてそれだけは知りたいです」
DM「普通なら数日も待てば公式に何らかの発表はあるだろうね(この町までそれが伝わるのにかかる時間はさておき)。あくまでも常識的に考えれば、だけど」
モニカ「生きているのなら帰りたいです」
ダスティ「そうですね、生きていればいつかまた逢うことも出来るでしょう」
DM「内心は『生きていたら、ねぇ……』って(笑) 常識的に考えれば殺さないはずなんですが、すでに非常識な事態が起きているんですよ」
ダスティ「情報を集める必要がありますね」
クラウス「襲った連中のことは知りたいですね」
アルブレヒト「待てば相手から知らせてくれるだろうが……それにしてもどうバーンで身を立てていけばよいかな」」
レーグネン「モニカ様……!」
モニカ「はい」

 ★Yuukiさんの冴え渡る仕事ぶり!
DM「え、モニカ様をアイドルにする!?」
レーグネン「モニカ様、やアルブレヒト様ほどのご器量をお持ちならバーンでも身を立てることは可能でしょう。……英雄になるのです!」
DM「英雄なればこそ出世出来る国バーン!」
スポット参加プレイヤー「竜を倒しに行けば……!」
アルブレヒト「まぁ私と、モニカほどの才能があれば確かになぁ!」
クラウス「乗せられたー!」
アルブレヒト「バーンなら剣一本あれば貴族にもなれるというし、私ほどの魔導師ともなれば引く手も数多だろう」
モニカ「そうすればなにかわかるでしょうか」
レーグネン「はい、我々が身を立てることができれば結果はついてくるしょう」
モニカ「考えた上で……はい、わかりましたと」
ダスティ「やべぇ、なんかこの人達チョロい……! やべぇぞ。これ俺がしっかりしないと相当ヤバいぞ」
アルブレヒト「いっちょ名をあげるのも悪くないかもなぁ」
ダスティ「だけど、この人達ならやってのけるかもしれないなぁとか思ってもいます。あの音に聞こえしモニカ様だからねっていう」
DM「なるほど、『売ればさぞ高かったんだろうな』と今になって理解するダスティであった 悪魔のダスティが囁くぞ。『今からでも売っちまえば大儲けだ。銀貨1万枚はくだらないぜ』と(笑)」
ダスティ「小心者なんで、そんなことしたら一匹狼の私はあっさり相手組織に殺されちまうんじゃないかとビクビクと」
アルブレヒト「ダスティの組織は人身売買はしないんだ?」
DM「ダスティは最近プロダクションから独立したんで、一人事務所状態。ちなみに今日運転資金をすべて吐き出しました」
モニカ「何とか回収するしかないんですよ」
レーグネン「一発で自転車操業に」
ダスティ「もう厳しいでしょうねぇ」
DM「シナリオの都合とか関係なく、1500払って2000の稼ぎでざっくり500の儲けでも、そこまで悪くない話なのよ」
ダスティ「ではお金の話ですかね。請求額が2000と考えて良いのです?」
DM「実はまだルートを決める前で、まだこれにルートを仲介する相手への支払いとかもかかるので、必要なのは2000以上だね」
ダスティ「なるほど……」
DM「さらに先に値段を言うのは素人だからね」
ダスティ「確かに。では、今後の活動における経費の指針のためにも、いまどれくらいお持ちかお伺いしても良いでしょうか?」
DM「財布の中身をすべて明かすことの危険性が君達にはわかるかな? 〈知識:地域〉で判定してもらおうか」
アルブレヒト「いやぁ、わからないんじゃないかなぁ……」
モニカ「わからなそうですよねぇ」
アルブレヒト「まぁでも交渉は必要だし」
DM「そのためにこの手の相場を知っているかの判定になるね」
アルブレヒト「あ、高い……26だ」
DM「闇金ボウメイくんで読んだことがある」
ダスティ「そんな本が(笑)」
モニカ「けっこう俗な本をお読みなのですね(笑)」
アルブレヒト「ものの本によれば一人500ちょっとあれば良いとか。もちろんそれくらいの用意はしてある」
ダスティ「も、物知りだな……」
レーグネン「もちろん必要なら頭金をお支払しよう」
ダスティ「ありがたい。それは是非」
DM「500から積むほど安全度も上がっていく感じだからね」
アルブレヒト「これをお渡ししよう。棒を机に置きます」
DM「……棒(笑) マジックアイテムだから金の延べ棒みたいなものだね」
ダスティ「こ、これは?」
アルブレヒト「売れば2500は下らないものだ。いやまぁぴったり2500なんだけど。なにもない宙にがっちり固定出来るという魔法の品だ」
DM「夢のダンジョンで獲得したアイテムだけど、なんでアルブレヒトがそんなもん持ってるのかっていう(笑)」
アルブレヒト「家にあったんだと思うけど」
DM「普段窓から脱走するのに使っているんだよ(笑)」
ダスティ「確かにやりそう」
アルブレヒト「色々重宝しているんだよ」
レーグネン「本読むときに台にしたり」
ダスティ「高いところの本をとったり」
アルブレヒト「まぁ、脱走に使うのがメインなのは間違いない」
ダスティ「売ってしまって良いので?」
アルブレヒト「現物で申し訳ないが、よろしく頼む」
ダスティ「では頂戴いたします。この時点で黒字ですね」
DM「後は彼らを置いてこのまま逃げれば完璧ですよ」
ダスティ「いやいやいや」
DM「彼らその危険を全く考えていないから」
ダスティ「これをぽんと出せるってことはもっと……」
DM「ほんとボンボンだよね。残りは成功報酬だって頭金だけ渡せば良いものを全額渡してるから」
ダスティ「まだ上行けそうな気もしてきますね」
アルブレヒト「バーンについてから成功報酬であとこれだけだって言えば払いそう(笑)」
モニカ「確かに」
レーグネン「本にあったより高いなぁ」
ダスティ「わかりました。頭金としては十分なので取り掛かりましょう」
DM「頭金じゃねぇよ(笑) 一括で全額前払してるよねこれ」
アルブレヒト「一人500で2500だからな」
DM「手間賃も含めてだいぶ大盤振る舞いだよね」
ダスティ「だいぶヤバそうな案件なんで、これくらいはもらわないと」
DM「だって、700払って2500だから、既に1800だよ」
ダスティ「まだこれは上積み出来るんじゃないか、なんて夢見てます」
DM「ここから必要経費でどれだけ消えるかだけどね」
ダスティ「まぁ、それはそのときで」
DM「追い詰められた者の弱みで彼に見捨てられたら終わりって君らと、このヤマを失敗したら商売も続けられなくなるダスティと」
ダスティ「そうなりますね」
DM「このまま逃げれば丸儲け……!」
ダスティ「いえいえ……とりあえずは、今日はここで泊まってもらうと」
DM「ここは君が借り上げている安宿の一室だからそれで大丈夫だね」
アルブレヒト「では、我々がバーンへ行くまでの手はずは任せたよ」
ダスティ「了解です。交渉成立です。よろしくおねがいします」
モニカ「お腹すきましたね」
アルブレヒト「そうだな、今日はもう遅い。我々を宿へ案内してくれないか」
DM「ダスティは『何を言っているんだコイツは』って思った(笑)」
ダスティ「え、お兄さん、お兄さん、あなた、だって、城が燃えたって、事の重大さを認識しているんですか」

アルブレヒト「一体何を言っているんだ? この物置部屋から早く我々を連れ出してくれ」
モニカ「道具小屋かなにかですね」
DM「レンタル会議室に泊まるという発想がない(笑)」
ダスティ「ちょっとお待ち下さい。まずは、状況の重大さを理解してください。あなた方は追われています」
アルブレヒト「うむ、だから安全な宿に逗留せねば」
ダスティ「だから……安全な宿、まぁそうですね」
DM「安全な宿、はある。こんな街なんで豪商や金持ちが泊まるような秘密厳守を謳った宿が。最低でも1人1泊銀貨50枚はするけど」
ダスティ「……ひとり50」
アルブレヒト「ダスティの見立てでは、どれくらいの日数を見込んでいるんです?」
DM「ダスティの判定次第だけど、準備は2日や3日で終わるようなものじゃない」
アルブレヒト「そうか、明日には連れて行ってもらえるような気持ちでいたけど」
DM「彼にはこれからいくつかの組織を渡り歩いて当たりをつける大事な仕事があるので」
レーグネン「明日にはバーンだー」
DM「キミらはそう思ってるかもね(笑)」
ダスティ「お兄さん、申し訳ないがバーン行きの手はずを整えるのには日数がかかる」
アルブレヒト「ああ、構わんよ」
ダスティ「お兄さんが言っているような宿に泊まると、一人50はかかる。計算わかります?」

 一同爆笑

ダスティ「4人で200で、1週間くらいかかるかもしれない」
アルブレヒト「君は一体何の話を始めたんだね?」
ダスティ「要するに、結構お金がかかるということなのですよ」
アルブレヒト「別に最上級を求めてはいないのだが……」
DM「アルブレヒトにとっては、50ってなんなのって話なんですよ。1泊銀貨20枚の比較的上等な宿、彼にとってはごく普通の宿に泊まれれば」
ダスティ「なるほど……普通の宿屋では無理です。あなた方の身の安全を考えたら、そのような宿に泊まらせるわけには行きません。どこにあなた達を狙っている者の目や耳があるかわかりません」
モニカ「余計にかかるのですね」
アルブレヒト「なるほど。ではその君が言う宿に泊まるしかないのだな」
ダスティ「(苦笑) ……だだし、そうするとお金が尽きてしまうのです。この隠れ家に泊まっていただくしかありません。難しいですか?」
DM「彼らにとってはだいぶつらいだろうねぇ。でも無理ではない。ここは我慢してもらうしかないんじゃないの」
ダスティ「申し訳ないが、ここに泊まっていただくことに……」
DM「ダスティ、『ここの宿代なら俺が払うが、いい宿に泊まりたければ自分の財布で泊まれ』って言っていいんだよ」
ダスティ「あー……、ご自分でお支払いになるのでしたら、そちらにご案内しましょう」
アルブレヒト「ふーむ……なるほど……。……クラウス?」
クラウス「私は初日に買ったこの本を売るかどうか悩んでいます。これをまとめて売れば宿代の足しになるのではないかと」

 一同爆笑

アルブレヒト「……な、そ、それは……」
モニカ「荷物になりますしね」
レーグネン「本は重いですからね」
DM「全部売れば銀貨200枚くらいにはなるね」
レーグネン「一泊分」
アルブレヒト「せ、せめて読み終えてから……私の軍資金は本屋で使い果たしたからな……手元にはそんなに残っていない……だが……ここは人が泊まる場所ではない……」

 
 皆笑いっぱなしであるが、キャラ視点ではこんな感じである。笑い事ではない(笑)

アルブレヒト「モニカをこのような場所に泊めるわけにはいかない」
ダスティ「あぁ……」
アルブレヒト「自分自身のためじゃなくて、モニカのためを考えてのことなんですよ。いや、私は構わないのですけどね、と理論の正当化が(笑)」
DM「モニカが完全にガルパンのマリーさんみたいな立場になってるからね」
ダスティ「あぁ、たしかに(笑) しかもマリーさん超有能」
DM「あのポジションになってるからね、身体能力半端ないしね」
アルブレヒト「金はない。一週間は無理だ」
DM「1400枚!」
アルブレヒト「銀貨1400枚程度のことで困ることになろうとは……」
クラウス「宿のランクは諦めましょう。これからの逃亡生活、どこでお金が必要になるかわかりません。今は節約するときです」
アルブレヒト「そうか……(部屋を見渡して肩を落とす)。このシーツは、替えてもらえるのだろうか……」
ダスティ「もちろんそれくらいはやりましょう」
DM「替えたシーツがどれだけのものかはわからないけどね」
アルブレヒト「ぐぬぬ……」
レーグネン「まぁ馬小屋や野宿でないだけましと思いましょう」
アルブレヒト「だがモニカ一人分くらいなら出せるかもしれないな……」
ダスティ「そこはお兄様の心意気次第です」
クラウス「わかりました、モニカ様の宿代は本を売ってきましょう」
アルブレヒト「あ、いやいやまて、二人分にしよう!」

 面白い兄ちゃんだな(笑)

クラウス「ですから散財は……」
レーグネン「これからのことを考えると分散するのも得策とは言えないでしょう」
モニカ「皆で川の字に」
アルブレヒト「モニカ、大丈夫そうか?」
モニカ「どうなんですかねぇ……」
DM「正直……無理だよね。まぁ本当に無理かどうかはともかく、ここは寝られる環境じゃないなとは思った。まぁ、ここ最近の野宿も大概だったけどね」

 
 繰り返しになるが、キャラ視点ではこうである(笑)

モニカ「虫歩いてる……体は洗える場所はあるんですか?」
DM「ダスティは、自分の寝泊まりしている所をボロクソに言われているわけですが」
ダスティ「まぁ、相手がモニカ様ですからね……例えば橋本環奈が来て、私の部屋をつかってもらうってなったら、えっこの部屋を……ってなりますし。隣の部屋もご用意しますので、お使いください。先程も言ったとおり、ご自身お支払いになるのでしたら違う宿をご案内します」
モニカ「お兄様がここで寝られるのでしたら、私も同じところにいるしかないですよね。私もお兄様だけ粗末な部屋に泊まらせて、自分だけ良い部屋には行きません」
DM「お兄様は一刻も早く野営のための呪文を覚えないといけないね」
アルブレヒト「あれはレベルが高くてまだなぁ……」
DM「だめだ、巻物を買うより宿に泊まるほうが安かった(笑)」
モニカ「そういうわけで、ここで大丈夫です」
DM「大丈夫でもないんだけど、我慢するしかないっていう」
モニカ「我慢します」
DM「ダスティは貴族の亡命あるあるだとは思っている。前に仕事で同じようなやりとりあったなぁと」
ダスティ「限界が来たらそのときはまぁ、なんとかしますということで……仕事にかかります」
DM「では、組織との交渉がどれだけはかどったか〈情報収集〉で判定してみて」
ダスティ「19か……アクションポイントを使おうか」
DM「お、技能判定でってのはなかなか珍しい」
ダスティ「まずいですか」
DM「いや、いいんだよ。今まで技能判定に使う人があんまいなかったから新鮮だなって思って」
アルブレヒト「高いほうが良いだろうってだけで、1だけ足りないとか、明確に目標がわかってるわけではないからね」
ダスティ「なるほど、19から20になれば大きく結果が変わるってものでもないわけですね」
アルブレヒト「そういう場合もあるけど、今回の場合は0か1かっていうような結果にはならない……ような気がするな。これは推測だけど。いや、もちろん我々のために頑張ってくれるのならば大歓迎だけど!」
モニカ「歓迎します!」
ダスティ「ここは大事な場面の気がする……ダイスを追加します」
DM「彼の人生かかっているからね」
ダスティ「ぐはー、1しか上がらない。20!」
DM「20ですか、ふむ……」
アルブレヒト「駄目だ、とても寝られそうもない……私は本を読んでいよう」
DM「また徹夜!」
アルブレヒト「寝落ちしてしまえばよいのだ……」
DM「ダスティが色々手を尽くした結果、君達は少なくとも表面上は不退転の決意でヴィーリオンを出るわけなので『なに、あのクソなヴィーリオンを捨ててバーンに来る? ならば手伝おう』と、恐ろしいことにあのノイエ・エイファスの助力の申し出を取り付けることに成功した」


●ノイエ・エイファス
 ヴィーリオン王国内で活動している反政府組織。義賊を自称する。
 王都ファイハイトの西(至永久の森)から北(至北海)にかけての極めて広大な地域で活動。
 その組織名は“解放者”エイファスから由来するのは明白で、構成員も普段は単に「エイファス」と呼称している。

 活動内容は「貴族、商人に対する襲撃、及び財産の略奪」を主とする。
 世間に対しての名目としては「圧政者への反逆」「悪徳な商人への制裁」となっており、民衆の味方、代弁者を標榜。
 つまり「竜に取って代わった、現代社会の支配者による圧政と搾取からの“解放者”」というわけである。

 一度“彼らの価値観”によって「悪」と認めた存在に対しては徹底的な攻撃を加えることで知られ、襲われた商家は逆らう者は皆殺し、あらゆる財産の略奪、家屋への放火と容赦が無い。さらに女子供は奴隷目的で誘拐されることも、珍しいことではない。

 為政者側としては、彼らによって奪われた財産の補填として再び民衆から徴税しなければならない状況が往々に起こる。ゆえに「貴様達が奪えば奪うだけ民衆に皺寄せがいくのだぞ」と諭そうとする者は多い。
 しかしそれに対する彼らの返答は「圧政を改めればいい」「貴族や商人が民衆を食い物にして不当な利益を得なくなるまで、何度でも奪う」である。
 これは私腹を肥やす意図がなく、純然たるアクシデントを乗りきる為の徴税のつもりでも、それに耳を貸すことは稀で、結果として果てることのない抗争に発展する。

 構成員は極めて狂信的であり、貴族と悪徳商人を根絶する為なら命も捨てる。
 その中でも戦闘専門の実動部隊は極めて危険で、手練の冒険者の如く統率された戦術を駆使し、術者をも擁する。
 これらは明らかに訓練された者の動きであり、術者の数も高位の魔導師が私的に教える限度を超えている(術者としての技量は然程高くなく、幅も偏っているとはされているものの)。

 ヴィーリオン王国は「バーンが教官となる人材や設備を提供している」とし、その活動資金の供給源も同様と断定している。が、ノイエ・エイファスはそれを否定し、あくまで自らの意志で民衆の為に立ち上がっていると主張。バーン帝国も関与を公言することはない。

 また、民衆の味方を標榜するだけに、下記活動も行なっている。
・一般市民に害をなす生物の討伐。
・竜の勢力への敵対。
 組織を挙げて積極的に討伐軍を繰り出す、といった規模には至らず(非現実的ではある)、各地の支部単位での活動。
 ヴィーリオン王国の見解としては「民衆に対する人気取り」でしかない。だが過激な活動内容にも関らず支持者が多いという現実は、動かしようがないのも事実である。

 フローラントwikiより抜粋だぜ! 続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!

●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
『私の知見のおかげで、主導権を確保したままダスティとの交渉をまとめることができたぞ(満悦)』そんなふうに考えていた時期が一瞬だけありました。
 ダスティが基本良い人でなんとかなっているが、一瞬魔が差したりしても面白かったかもしれない(笑)

 宿の問題に限らず、我慢するのはキャラであって、それを宣言するプレイヤーではないという現実は確かにあるのだけど、きちんとキャラに寄り添っていきたい。
 明日の保証もない冒険者が、酒も遊びも美食もなしに1日10ガメルで暮らすようなことは慎まねば、と切に思う。おまえら修行僧か。



・モニカ
 前金という名の一括払いを持ち出してそのまま逃げないダスティはいいひとですよね。
 そしてここでノイエ・エイファスを引き当てる力の持ち主ですよ。これは楽しみですね。



・レーグネン
 ダスティ、苦労してる。持ち逃げ対策のために前金のはずなのに、ひとかたまりのカネ(棒)しか無かった。
 でも持ち逃げないダスティはとんでもなくいいヤツなのでは。



・クラウス
 笑い事ではない! 本は売るしかない! キャラ視点は笑い事ではない! 本は、売るしか、ない!



ダスティ
 ほぼ全財産をはたいてしまいどうなるかと思ったけど、思わぬ大金を渡されてビックリ!
 「組織との交渉」での〈情報収集〉判定は、みんなの期待に応えなければ!という思いと、これに失敗すると酷いことになるかも?と思ったので、アクションポイントを使ってがんばりました。1しか増えなかったけど……。

     
“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター9

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4

ダスティ「え、貴族への襲撃や略奪……? 貴族じゃなくなったからか……?」
アルブレヒト「散々甘い汁を吸っていた貴族が今更逃げ出すとか……許さん! かも」
スポット参加プレイヤー「レジェンド・オヴ・エイファスってそんな本を読んでたんですか?」
アルブレヒト「エイファスは伝説の大魔導師で、彼らとは無関係だからね。あいつら、エイファスってつけておけば格好いいって思ってるんだよ」
クラウス「城を襲ったのコイツラじゃないですか?」
モニカ「めっちゃそんな感じする!」
スポット参加プレイヤー「さっきの人さらいのおじさんも繋がってそうですね」
クラウス「確定ですよ。犯行はノイエ・エイファス」
アルブレヒト「馬鹿な、何を言っているんだ。我々ヴィーリオン貴族がノイエ・エイファスごときに城ごと燃やされるなんてことがあるはずがない」

 
DM「みんなのヒーロー、ノイエ・エイファス!! ダスティ、〈真意看破〉で判定してみて」
ダスティ「23ですね」
DM「君はノイエ・エイファスに話を持っていったわけよ。ヴィーリオンを完全に捨てて、バーンで身を立てたいという貴族を亡命させたい、バーンの国益にもなりますよ、と。最初はありきたりな話だとでも思ったのか、あまり芳しくない反応だったんだけど、モニカやアルブレヒトの名前を出した途端、彼らの反応が好転したように思った」
レーグネン「さすがお兄様」
モニカ「さすがお兄様です」
DM「この二人の名前を聞いて好意的な態度に変わったかな、と“君は思った”」
ダスティ「これはいけそうですね」
DM「『俺達が護衛してバーンまで連れて行ってやるぜ』」
ダスティ「願ってもないことです」
クラウス「ということは、圧制者側の貴族に虐げられた、という見解なのかな……」
DM「私には答えられません」
ダスティ「話はまとまったわけですね」
DM「ノイエ・エイファスへの謝礼は銀貨300枚です。お金を減らしておいてね。ダスティは4日で準備を整えました」
クラウス「おぉ、早い! 有能だ」
モニカ「アクションポイント使ってくれたダスティのおかげだよ、これは」
ダスティ「やったね」

 どうなんでしょうねぇ(笑)
 ちなみにD&Dを「普通のルール通り」にプレイすると、基本的に様々な難易度が「5きざみ」になります。達成値次第で段階的に成功度合いが変動する場合だったら、達成値15、20、20、25って感じに設定されているのが一般的です。なのでプレイヤーはメタに「5単位になるように数値を調整する」ようになったりもします。例えば「出目10だと達成値24だから、ガイダンスの呪文を唱えて+1してから判定しよう」みたいに。
 そして僕はそーいうメタな要素は好きではないので、基本的に5きざみにはしません(笑)
 例えば段階的に13、17、19、23、27、30とかで上げ幅も不規則にするのが基本仕様です。

アルブレヒト「なに!? この部屋から解放されるのか!」
DM「寝てない(笑) 何がヤバいって、寝るとか以前にこの部屋から出られないからね」
アルブレヒト「本があってよかった!」
モニカ「かいかい」
DM「だいぶ消耗したね。クソ寒いし」
レーグネン「いま何月ですか?]
DM「2月です。さすがに凍えるんで、ダスティに服を買ってきてもらったとしよう。君らの格好目立つし」
モニカ「助かりますね」

 この辺のやり取りもいわゆる「プレイヤーが行動宣言しなくても、キャラクターは普通やるよね」案件だね。
 なにも、プレイヤーが気付かなかったらなんでもかんでも『だって宣言しなかったじゃん』となったりせずに、こーいうことも普通にやってますよー。シナリオの分岐っぽい場所で印象が強いと、偏ってるように見えるだけでーという、DMからの切実な「俺は無実だ」アピールでした。

DM「山越えで何があるかわからないから、ここで背負い袋や道具一式も必要だね。キャラクターシートの冒険道具はここで買い揃えられました」
ダスティ「安心してくれ。亡命の準備は整った」
モニカ「本当ですか! 良かった!」
ダスティ「しかも想定より早い。4日で出発だ。ただ、君達は難色を示すかもしれないが、落ち着いて聞いてくれ。信頼は出来る。ノイエ・エイファスが君達を助けてくれる」
モニカ「……え?」
ダスティ「逆に考えて欲しい。今の君達にとってこれほど力強い味方はいない。わかるか?」
アルブレヒト「……だが、ノイエ・エイファスは我々貴族を目の敵にしているクソみたいな連中だ」

 ですよねー(笑)

ダスティ「いやいや……」
DM「まぁそうだよね。凶悪な強盗殺人犯集団だからね、貴族から見たイメージは完全に」
アルブレヒト「よりによってエイファスの名を騙るような略奪集団だぞ」
ダスティ「ただ、お兄さん。ここで私と契約するといいましたね。覚悟を決めると」
モニカ「本当に信用出来るのですか?」
ダスティ「信用して欲しい」
アルブレヒト「我々が彼らの庇護の対象となるというのか?」
ダスティ「そのとおりです」
アルブレヒト「貴族への反逆を掲げる彼らが?」
ダスティ「現状を考えて欲しい」
クラウス「一つ確認したい。城を襲ったのはノイエ・エイファスではないのだな?」
ダスティ「それは私には確かめようがない」
モニカ「お父様やお母様の手がかりはなにか掴めましたか?」
DM「ダスティ〈情報収集〉で判定を」
ダスティ「25です」
DM「どうやらヴォルフェンビュッテル子爵領で火事があったらしい。以上」
モニカ「握りつぶされている……」
ダスティ「それ以上のことは何も。これだけ隠蔽されているということは、裏で手を引く誰かがいるとか推測することはできますか?」
DM「でも本当にただの火事かもしれないじゃない?」
ダスティ「えーー(笑)」
アルブレヒト「情報が入らないのはもどかしいな……まだ公式な発表がないのだろうか」
ダスティ「私は今回の件に何か圧力みたいなものが働いているのではないかと思っています。ノイエ・エイファスについては、信じていただくしかありません。これを逃したらチャンスはもうないかもしれないのです」
DM「この話を無しにするなら、また探さないといけないしね」
ダスティ「もし新しく探すとなると、今度は一週間じゃ済まないかもしれません」
アルブレヒト「わかった、信じよう。よくやってくれた」
DM「みんな口には出さないかもしれないけど、この生活は辛いよね。レーグネンも男爵家の出だし」
レーグネン「なれない環境にフラフラでしょう」
DM「教会でそれなりに質素な暮らしを経験していたとしていても、ものには限度がある(笑)
ダスティ「ご理解いただけて感謝いたします」
アルブレヒト「だが油断は禁物だ。モニカが売られるようなことになっては大変だ」
ダスティ「その心がけは大事ですね」
DM「では君達はノイエ・エイファスの部隊と合流する」
アルブレヒト「さすがの私も、そこへ行く前に買ってきた本は売ります」
スポット参加プレイヤー「お〜」
DM「涙をのんで……」
モニカ「お兄様……」
アルブレヒト「この本を背負っては……いや、背負わせては山は越えられない……非常に残念だが、この本はバーンでまた買い直すよ」
ダスティ「良い心がけです。きっとまた買えますよ」
レーグネン「ハンディ・ハバサックさえあれば……」

 54キロ分の荷物まで収納出来る四次元背負い袋です。銀貨2000枚。

アルブレヒト「しかし本とは一期一会……いや、大丈夫だ……売る前に3回は読みかえしたからな!」
ダスティ「まぁ、待っている間暇だったでしょうからね」
DM「では、『無駄話は無しだ。迅速に行かせてもらうよ』と、むこうの隊長みたいな人が君達に告げる。『我々が先導護衛するから、ついてくれば良い』で、国境の山を越え、谷を越え、僕らの街にやって来る。アルブレヒト様がやって来る」

 
 クソでっかいアーエイト山脈の南端部分を越えるのだぜ。
 まともにやったらそれだけでシナリオ数回分の大冒険である。

 
DM「まだまだ序盤、山に入ったばかりの国境を越えたと思しき辺りでバーン側から迎えがやってきて合流します。大柄な男が君達を迎える」
男「バーンへようこそ!」
アルブレヒト「よろしく頼む」
レーグネン「よろしくおねがいします」
男「これからしばらく俺達があんたらの面倒を見させてもらう」
モニカ「よろしくお願いいたします」
ダスティ「さらばヴィーリオンって感じですね」
DM「家が燃えたからね。炎の旅立ちってやつだね」

 
DM「鋼の錬金術師でも、ロードス島戦記でも、旅立つときは家が燃えていたよね」
レーグネン「オープニングで毎回燃えるんですね」
DM「相手の大男の喋り方や態度からは悪い印象は受けない。気さくそうで好印象」
ダスティ「名前とかはわかりますかね」
DM「知識判定で物凄く高い目を出せば『もしかしたらあの人かな?』となる可能性はなあるが……まぁ聞けばいいんじゃない(笑)」
ダスティ「俺はダスティ、これからよろしく頼むぜ」
男「あんたがダスティか。知ってるぜ。もともと皇帝の分け前で密輸をしていたんだろ?」
ダスティ「知られてる(笑)」

 念の為書くと、別にダスティが有名だからではない(笑)

●皇帝の分け前
 ヴィーリオンはバーンを国家ではなく地方貴族の大規模叛乱としてしか扱っていない。ゆえに交易などの経済活動の対象に成り得ない。
 これがヴィーリオンによる認識である。

 だがバーンは違った。バーンはヴィーリオンを国と認めている。戦争状態ではあるが、戦う以外に利用出来ることがあるならば思う存分利用してやろう、という気概に満ちている。
 ゆえにヴィーリオンとの交易を商人達に認めている。やれるもんならやって利益を上げなさい。
 その結果、「やらないか」と持ちかけるバーン商人に対し、国家の体面よりも危険だが大きな利益を追求したいと考える一部のヴィーリオン商人が呼応。利率の高い希少品に限定される形で密貿易ルートが幾つも誕生した。
 彼らは表向き国内での商いを装っているが、途中で国境付近に待機するバーン商人と接触するのだ。
 両国にまたがるアーエイト山脈を隠れ蓑としたルートはもっとも交易量が多い。
 バーン国境の二つの街、アイゲートとロートヴァルトを繋ぐ山道には闇商人だけが知る秘密の横道が存在し、活発な密貿易が行われている。通称「皇帝の分け前」である。

 ヴィーリオンにとってこれは犯罪であり、それを狙う山賊が罪に問われることはない。ゆえにヴィーリオン側に本拠を置いた山賊にとっては格好の獲物。商人側もそれは承知で厳重な護衛を配している。
 その山賊の中でもっとも有名で脅威なのは「風鳴」と呼ばれるライカンスロープを主力とする集団で、彼らに襲われた商人の多くは撃退出来ずにいる。
(フローラントwikiより抜粋)


DM「『組織が壊滅しちまって大変だなぁ』とバンバン肩を叩く」
ダスティ「なに、今回の稼ぎででかいことやってやるさ」
DM「皇帝の分け前での密輸自体にはバーンやノイエ・エイファスは好意的なんだよね。敵対するヴィーリオンに損害を与えて嫌がることをしているわけだから。ゆえにヴィーリオンでは違法として取り締まるわけで」

 国境警備隊24時とかで特集されたりするぞ! 嘘だけど! 続く!!!
 Don't give up justice, I want to get truth!


●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 まーた、ノイエ・エイファスか!(嬉しそう)
 待望の新刊のタイトルがまさか伏線だったとはしてやられた!
 ここを書いている今、ようやく気づいたんだけどね。なんで助けてくれるのか、とてもとても気になる。

 しかし改めて地図を見ると、大移動。一大逃避行。並のボンクラ貴族だったらとうに死んでるかもしれない。さすがはタフガイ、アルブレヒト。出来る男。


・モニカ
 ノイエ・エイファスでざわつく貴族たち。この集団はキャンペーン毎に印象変わりますね。モニカ視点、わりと本気で怖かったです。



・レーグネン
 いや、ほんと。ノイエ・エイファスのお世話になる日が来るとは(笑)
 これに尽きますねー。



・クラウス
 怪しさ満載だけど証拠はない、しかし助けてくれる。となるも勘ぐってしまう疑心暗鬼感。むずかしい。本は、売った!



ダスティ
 思わぬ大物が現れてドキドキしたけど、なんとか話がまとまって一安心。最初の大きな仕事を無事にこなせてホッとしました。おめでとうダスティ! おめでとう私! アルブレヒトからも「よくやってくれた」と感謝され、いい感じにパーティーに入れたのでは?と思ってました。

     
“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター10

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4

ノルベルト「俺の名前はノルベルトだ。よろしくな」
クラウス「よろしくノルベルト、クラウスだ」
DM「ちなみにクラウスはまだ執事の格好ですか」
クラウス「どうしましょうね。一応変装しておきますか」
DM「変装も何も、モニカやレーグネンは鎧で完全武装だからね。臨戦態勢」
クラウス「じゃぁ執事服でいいですね」
レーグネン「戦闘服!(笑)」
クラウス「ええ、戦闘服です」
DM「まぁ大丈夫です。幻術でカモフラージュした馬車で移動しているから」
一同『おー』
DM「だから街を出るときは君達は普通の商人に見えていたよ。で、今は山の中」
ダスティ「順調ですね」
ノルベルト「というわけで、ロートヴァルトに向かうぜ。イエーイ」
男性陣『イエーイ!』
スポット参加プレイヤー「ええ(笑)」
モニカ「みんなノッてる……これが挨拶なんですね」
DM「ノルベルトさんは陽気な男です」
ノルベルト「家が燃えちまって気落ちしているだろうが、これから新しい人生が待っているんだ。前向きに行こうぜ。イエーイ!」
男性陣『イエーイ!』
スポット参加プレイヤー「CV高木渉でお願いします」
DM「さて、ロートヴァルトをみな知っているかな? 〈知識:地理〉だ」

 コロコロ。

DM「ふむ、お兄様は知っているね。ダスティも知ってます。ていうか、君が暮らしていた町です(笑)」
ダスティ「あ、確かに設定に書いてあった!」
DM「君は判定不要、自分の庭みたいなもんだ。で、ロートヴァルトまでえっちらおっちらと」
ノルベルト「ここらへんはライカンスロープの山賊が出るから一番やべえんだ。気をつけろよ」
ダスティ「うちはそれで全滅したんですね。山賊の風鳴、やつらか……」
ノルベルト「あいつらにみつかると厄介だからな、ちょっと大きく迂回していくことになる」
DM「この山脈自体とてもでかいんで、ライカンスロープといえども全てに目を光らせるのは無理。そんなわけで3週間ほどでロートヴァルトへ着いた。ここは地の果て、流されて俺♪」

 素人集団がヒマラヤ山脈くらい幅があるところを踏破したわけなんだけど、ノルベルト隊はキャスターも多く、移動補助呪文の数々や疲労回復呪文も駆使しての強行軍なのであった。なお、本職の運び屋だけの場合は片道1週間ほどである。

ダスティ「なんだかんだで、とうとう着きましたね」
レーグネン「みんな、永久(とこしえ)の森の直ぐ側まで来たのは初めて?」
DM「山越えの間、永久の森を見下ろしながら歩いていたからね。おぉ、見渡す限り、地平線まで森だ、と壮大な自然を君達は目の当たりにするのですよ」
アルブレヒト「あぁ……ついたか……もう一歩だって歩けん……」
ダスティ「馬車に乗っていたでしょう(笑)」
DM「いや、山に入ったらずっと徒歩だったよ。険しい山道だったからね。皆だいぶ疲れ切っている。初めての山にしてはハード過ぎる。何度靴擦れを呪文で癒やしてもらったことか」
アルブレヒト「きっと私達みたいな素人でも歩ける道を選んでくれたのだろうなぁ」
DM「なんだかんだ言っても、アルブレヒトだって耐久力かなり高いでしょ」
アルブレヒト「んー、気持ちの問題ですね」
DM「体力はあるんだよ。ボンボンだけど」
レーグネン「しぶといですからね」
DM「山登りはしたことがないゴリラみたいな」

 
アルブレヒト「ロードス島戦記のアルド・ノーバみたいに、なぜそのガタイで魔導師なのとか言われてそうな」

 ダイス振ってランダムで決めていた昔と違い、D&D3.5版は「4D6振って高い目三つの合計値を6セットやり、好きなパラメータに割り振る」システムなので、耐久力はHPに直結する関係上、どんなキャラでも下手な傭兵よりタフな数値になることが基本となっている。正直こういった「ゲームで有利だから」で「魔導師だけど日頃鍛えててプロの傭兵よりも耐久力が高いです」って設定ばかりになるのは好きじゃないのだが、命に関わるので下手に弄るわけにもいかないのであった。ぐぬぬ。妙に耐久力が高いゲームキャラ魔導師滅べ(私情
 ただし美少女キャラはファンタジー筋肉でだいたいオッケーだ(爽やかに

ノルベルト「ここで俺達の仕事は終わりだ。後はダスティ、お前に任せたぜ」
クラウス「道中ありがとうございました」
DM「と、愉快な男ノルベルトは立ち去っていくのであった」
ダスティ「機会があったらまた会おう! それまで元気で」
クラウス「イエーイ!」
DM「ノルベルトも肩越しにイエーイと」
ノルベルト「おっと、あとはこの土地の戦勝神の神殿に相談してみたらどうだー(フェードアウト」
モニカ「お、くるぞー、くるぞーお姉さまが」
スポット参加プレイヤー「アップをはじめました」
ダスティ「戦勝神の神殿ならこっちだ。案内していきます」
DM「時刻は夕方くらいに神殿へ到着」
司祭「神寵者様ようこそいらっしゃいました。なんとヴィーリオンからいらっしゃったのですか?」
レーグネン「ええ、訳ありで」
司祭「我々は敵対している国同士ですが、戦時以外でいがみ合うつもりはございませんのでご安心ください。一時的な逗留くらいは問題ありません」

 なお、一般的にどこでもそうとは限らない。

モニカとレーグネン「ありがとうございます」
司祭「ところでなぜそのようなことに?」
一同『……』
DM「聞かれてるんだけど(笑)」
ダスティ「ここは私は一歩引いて見ている感じがよいですね」
アルブレヒト「実は。……いや、ここはモニカが言うべきだな」
モニカ「あ、私が説明するべきなんですか?」
DM「聞かれているのモニカだよ」
モニカ「あ、そうなんだ」
DM「そうだよ、傍からは君がリーダーに見えるからね」
レーグネン「お兄様は叡智神の信者だからね」
みんな「あー」
DM「まぁそれもありますけどね」
レーグネン「あきらかに、神寵者とその一行って感じですね」
モニカ「どうしよう? モニカだと全部話しちゃいますよ」
アルブレヒト「いいんじゃないか?」
ダスティ「おまかせします」
モニカ「全部お話しましょう。皆様いい人ですからね」
DM「そうねぇ……止めるなら君達でね」
ダスティ「私は少し伏せるべきだと、助言したいところですが」
アルブレヒト「すでに相手を目の前にしたこの状況ではむずかしそうだね」
モニカ「うーん……どうしよう」
DM「そうか、ダスティは知識の判定に成功してたね。情報を補足すると、この辺りはバーンの領土の中で特にバーンが大嫌いな土地なんですよ」


●ロートヴァルト
 かつてリュートリオンと呼ばれた現フリューゲルベルク伯爵領。その中でももっとも南部に位置する、まだ建設されて二年ほどしか経過していない小城塞都市。
 ヴィーリオンとも隣接するそこは、まさに竜と人双方への最前線であった。

 アーエイト山脈が緩衝地帯になっている為、バーンとヴィーリオンは国境を接してはいるものの、大軍がロートヴァルトに攻め寄せることは現実的ではない。
 だからといって防備を疎かにするわけにもいかないゆえの備えである。アルデンヌの森を機甲師団が突破出来るわけがないと油断して負けたのが、フランスであるように。

●リュートリオン王国 〜726
 東方の王国バーンに滅ぼされた小国の一つ。
 周辺国家が次々と降伏する中、王都を占拠され、更に女子を含む王族が全員戦死するまで抵抗し続けた。
 そして、王家の血が根絶やしになっても尚、一部のリュートリオン人は国の消滅を拒み続けた。王族を除けば最も高い地位にいた将軍、エスカナス・ザーム伯爵は王都陥落後ヴィーリオンへと亡命。ヴィーリオンの庇護の下、リュートリオン王国亡命政府を立ち上げバーンへの徹底抗戦を宣言したのである。
(フローラントwikiより抜粋)


ダスティ「では、ヴィーリオンに対してもわりと好意的に?」
DM「そうかもね。そういった意味でも、ここへ連れてきてくれたのかもしれないね」
ダスティ「いい人達じゃないですか……ノイエ・エイファス!」
DM「ノイエ・エイファスほどキャンペーンによってプレイヤーからの印象が変わる組織はなかなかないんだよね(笑)」

 一同爆笑
 豊作キャンペーンと傭兵隊キャンペーンにも出てくるし、他のキャンペーンにも全くの無関係ということはあまりない。
 本当にいい人たちかどうかはわからないけどね!! 彼らは正しいことをしていると思ってる人が多いね!!

スポット参加プレイヤー「うまく立ち回っていますね」
モニカ「なるほどなるほど」
ダスティ「今のところ、好印象しかないんですけど」
クラウス「気のいい筋肉にーちゃん。イエーイ」
モニカ「全部言うのかなぁ」
アルブレヒト「私達もなにもわかってないんだ、言っていいと思うよ」
レーグネン「火事の噂はお聞きになったことは?」
司祭「いいえ?」
レーグネン「大きな火事がありましてね。家を焼け出されまして、仕方なくこちらへ身を寄せることになったのです」
モニカ「レーグネンが説明してくださいました」
レーグネン「これはらはモニカ様と4人で英雄として身を立てようと考えております。人々のために」
司祭「なるほど。ですがそのようなご事情でしたら、あなた方はこのバーンに長くは留まらない方が良いかと思います」
レーグネン「といいますと?」
司祭「なぜなら、このロートヴァルトを含むフリューゲルベルク伯爵領は元々リュートリオン王国ということもあり、バーンへの反発がとても強い土地なのです。それだけにあなた方を受け入れ、それが周囲に知られても、さほど問題にならないかもしれません。ですが、それはこの国が特殊なだけで、バーンという国全てであなた方が受け入れられることを意味するわけではないのです。なので、火事で焼け出されて避難されてきたということでしたら、落ち着くまで私達が保護することは可能ですが、今後の生活を考えるのでしたら、再びヴィーリオンへ戻られたほうがよろしいでしょう。バーンではあなた方に敵対する人がとても多いのですから」
モニカ「ご教示いただきありがとうございます」
クラウス「身元を隠さなくてはならないと」
アルブレヒト「まぁ国に帰れるんなら、帰ったほうがいいよという当たり前の話だな」
司祭「あなた方が国に帰られるのでしたら、元いた土地までとはいかないかもしれませんが、ヴィーリオンの国内へ向かう手立てを整えることはできます。あちらにも我々と懇意にしている教会はございますので」
ダスティ「親切で言ってくれているんですよね」
DM「そう見えるねぇ。でもほんと、この土地の人はバーンにとってはろくでもないことしてるな」
ダスティ「でも我々、っていうか、お兄様達は帰るに帰れないわけですからね」
モニカ「そうですね」
アルブレヒト「こちらも嘘は言ってないけど、火事で焼け出されたっって説明の仕方だからね……やはり詳しく話したほうがいいのではないかな? そのほうが我々にとっても良い指針が見つかると思うのだよ」
レーグネン「モニカ様がお話になるとうことでしたら、私は構いません」
モニカ「ではお話しましょう……かくかくしかじかじゃだめですよね?」
DM「カクシカは私は許さないよ」
モニカ「実を申しますと、私はヴォルフェンビュッテル子爵家の者なのです。ご存知でしょうか?」
DM「相手も知っているよ。比較的近いしね」
モニカ「私達のお城が燃えて、ようやく私とお兄様だけがここまでたどり着いたのです。お父様やお母様、お兄様達の安否はわからないのですけども……もう私達はお城には戻れないのではないかと聞いております」
アルブレヒト「戦時でもないのに城が炎上するという、尋常ではありえない事態だったのです。我が子爵家の全てを滅ぼそうとしているのではないか、ヴィーリオンにいては我らの命も危ないのではないかと判断して、バーンへと脱出してきたのです。戻ればどうなるかわからない以上、私はヴィーリオンへ戻るということは考えておりません。」
モニカ「お兄様が敬語を使っていらっしゃる……」
レーグネン「『尊い……』みたいな」

 

司祭「モニカさん。あなたの本当の気持ちはどうなのですか? 何をしたいのですか?」
モニカ「私は、なぜ城が燃えたのか、事実が知りたいです。その上で、私は、ヴィーリオンの故郷に戻りたい……」

 一方、ダイスを積んで遊んでいるスポット参戦なプレイヤー。

DM「そんな時、ついに来たぞ、そこのジェンガ女!」
ダスティ「満を持して!」
DM「要約すると『孤児院の生き残りを捜すためにヴィーリオンに行かせて欲しい!』って騒いでいるキャスが止められています」

 一同爆笑しつつ続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!

●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 山越えに3週間。かなり想像以上の過酷さであった。
 数々のドラマがあったに違いない。いろいろ想像を膨らませるだけでだいぶ楽しい。

 ノイエ・エイファスは、確かにノルベルトは気のいい兄ちゃんだし、我々の亡命を考えうる最大限に助けてくれてはいるのだが……。
『ほんとうにノイエ・エイファスはいいものかしら。ほんとうにノイエ・エイファスはいいものかしら』とつぶやくのであった。



・モニカ
 ノルベルトのノリにノった男性陣(キャラクター)をみて、えっそんな軽くていいのか!? と思っていました。
 それとはまた別に、物事を何処まで伝えるかのロールプレイは難しいです。騎士爵として恥のないようにしたいと、心うちでは思っています。



・レーグネン
 印象はやはりテロ組織なのだが、フェストしかり、構成員にも色々な人がいるのだなと。イエーイは完全に釣られてますね(笑)



・クラウス
 執事服は戦闘服、まちがいない。イエーイ。逃亡生活に舞い降りた陽気なノリの清浄感。
 神寵者、この時はちゃんと把握していたのだ……。



ダスティ
 国境をこえるにあたり、ひと悶着あって、そこでキャス登場か!と思っていたら、アッサリこえてしまいホッとしつつもちょっと不安に。ここまでくるのにプレイ時間が結構かかっていたこともあり、「キャスー!!!! はやくきてくれーっ!!!!」とか思っていたところ……。

     
“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター11

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4

  ●キャス 710〜

 バーン帝国直轄領ベルンシュタイン県の戦勝神教会所属の聖衛士。エイク。
 クラレンス教会孤児院出身で、「だが奴はハジけた」となる前に戦勝神教会入りし、聖衛士のエリートコースに。そもそもクラレンス教会孤児院は戦勝神教会なので、見どころがあれば推薦状付きで就職に有利なのだ。
 ハジけた瞬間に居合わせたダスティとはほんの数年の差で天国と地獄。

 生まれは県内のエイク集落出身だったが、モンスターの襲撃により壊滅。唯一生き残って暫くの間野外で自活していたところを、ウォーラスに保護される。
 教会の野外専門部隊「ヤークトフント」への入隊を目指して研鑽を積む中、1年に及ぶ長期野外訓練を終え帰還したところへ、ウォーラスの死亡と孤児院崩壊の報を聞く。
 休暇を得て孤児院跡地を訪れたところ、不自然にきょうだい達の足取りが掴めないことを訝しんだキャスは、ヤークトフントとなることを諦めてこの崩壊劇の調査をさせてくれるよう嘆願する。実際問題ただならぬ事態であることは間違いなさそうなので、教会もキャスの嘆願を受け入れるのであった。
 こうしてキャスは、アーエイト山脈を超えて一路“最も近場のキナ臭い都市”であるロートヴァルトへ向かうのであった。
 

キャス「どうしてなのですか!! 正義はないのですか!!」
神官「あっちはヴィーリオンなんだ。そんな簡単に行ける場所じゃないんだよ。無理を言うな」
キャス「私の妹達が! 弟達が! あちらの国にいるのです!」
DM「この土地に(赤き森の)ストール達が来る前なんですよ」

 多分彼はこの世界内の時間で来月くらいに来ます。

DM「ダスティには聞き覚えのある声が扉の向こうから」
キャス「放しなさい! 私の弟達が!」
ダスティ「え? あれ? この声は……?」
キャス「マイク! エド! ダスティ! ジョニー!」
ダスティ「え? 扉に駆け寄って、急いで開けます。もしかして……!」
キャス「取り押さえられかかっています(笑)」
ダスティ「キャス姉?」
キャス「ダスティ?」
モニカ「ダスティじゃない、ダスティじゃない(笑)」
キャス「違う、ダスティ(通り名)じゃない(笑)」   
DM「本名決めよう?」

 感動の再会が台なしである(笑)

モニカ「決めよう!」
キャス「本名必要だよね」
ダスティ「そうですね、決めましょうか」
DM「孤児だから最初からダスティってのも嫌じゃん」
モニカ「シンデレラみたいな」
アルブレヒト「ヒヒ、オマエみたいな薄汚い孤児にはダスティって名前がお似合いだよ!」
DM「ダスティとキャスの神隠し」
ダスティ「そうですねぇ……」
DM「ビリーにしようぜ、ビリー」
ダスティ「ビリー・ザ・キッド?」
DM「ダグラムに出てる、ハートのアップリケつけてる一番小さな子」
ダスティ「あー、はいはい」
キャス「可愛い名前ってのもいいですね。ビリーも可愛いけど」
ダスティ「じゃ、ビリーに」
DM「元ネタあるのはやめよう。言っておいてなんだけど(笑)」
ダスティ「ダスティに近い本名がいいですかね」
モニカ「キラキラ系がいいよー」
キャス「最初に相棒にする狼に、ダスティもじってティーダってつけようかと思ってる」
ダスティ「そうですかー。どうしようか」
キャス「……ホフマン」
モニカ「ホフマン?」
DM「ダスティン・ホフマンとか、やめなさい!」
キャス「ダスティって自分でつけたってのはどうですか」
DM「親はいるからね。戦勝神の信者だった親が戦災で亡くなって保護されているわけで」
ダスティ「ダスティのDに繋がるので、ダニーにしましょうか」
キャス「かわいい、かわいい」
DM「それは愛称だから……本名自体はダニエルになるかな」
ダスティ「なるほど、ではダニエル/ダニーで行きましょう」
キャス「ダ、ダ、ダニー!」
ダスティ「やっぱりキャス姉ちゃんだ!」
キャス「えい! あんた達放しなさい! ダニー!」

 
DM(ガツガツと手を打ち合わせる仕草)
ダスティ「この動作! キャス姉!」

 姉弟だけで通じる挨拶でも流行ってたのか(笑)

キャス「あなたなのね、ダニー」
ダスティ「どうしてここに?」
キャス「こっちが聞きたいわ! あなた今までどこでどうやって生きてきたの、いったい?」
ダスティ「キャス姉!」
キャス「かわいいダニー、ダニー。飼っていた犬にもダニーってつけていたのよ」
ダスティ「マジで」
キャス「最近死んじゃったけど」
ダスティ「え」
DM「犬死ぬの早くない?」
キャス「拾った犬だったのかも」
DM「多分離れていたの3年くらいだよ」
レーグネン「じゃ、ハムスターだ」
キャス「そう、先代のハムスター。ダニーが最近死んじゃって、もう駄目かと思っていたわ」
ダスティ「いやいや、生きているよ。色々あったけど」
キャス「こんなくたびれた格好して……」
ダスティ「まぁ旅してきてたから……でも、あの孤児院の家族とこうしてまた会えるなんて思ってもいなかったよ」
キャス「本当にね……」
DM「レーグネンの中の人がストール創った時に軽い気持ちで提案した設定がここまで広がって、孤児院出身のキャラがこんなに増えることになろうとはねぇ」
レーグネン「守れなかった……!」
DM「次々と生まれていく孤児院出身者。たぶん5キャラ目くらいかな」
ダスティ「マジで!」
レーグネン「すごい冒険者を輩出する院になりましたね」

 現状、プレイに登場している範囲では、PCしてるキャラが3人で、NPCの子供が2人である。

クラウス「めっちゃ有能!」
レーグネン「神父さますごかったんですね」
アルブレヒト「実は世界中から選りすぐりの子供達を」
クラウス「城戸光政だ!」
DM「聖闘士を育成していたのか! だが、経営破綻っ。人を育てる手腕はあったが、運営能力はなかったらしい」
キャス「他の孤児院の仲間達はどうしたの? マイクやエドは」
ダスティ「会ったのはキャス姉が初めてだよ」
DM「皆、散り散りだね」

 孤児院の子供達は何十人もいます。

キャス「でも、あなたが元気に暮らしていてくれて良かったわ。……ところでこの人達は?」
ダスティ「ちょっと仕事でね」
キャス「あなた立派にお仕事をしているのね、偉いわ。嬉しくて涙が出てくるわお姉ちゃん」
ダスティ「一緒に旅をしてきた仲間達です」
一同『既に仲間(笑)』
ダスティ「でも結構な日数一緒にいましたよね!?」
DM「まぁ、ドラクエXの主人公とビアンカよりはだいぶ長いね。一日一緒にいたくらいで幼馴染ですからね」
キャス「こちらは1ヶ月くらいですかね」
レーグネン「お兄様が『仲間?』って顔してますよ」
ダスティ「仲間っていうよりは雇い主って言ったほうがいいですかね」
キャス「ああ、そうなんですか。もううちの弟がお世話になりまして……」
アルブレヒト「あぁ……いや、こちらこそ危ないところを助けてもらいまして」

 キャスは「聖衛士(レンジャー)」という教会のエリートクラスなので、社会的地位は聖騎士に次ぐ存在。ゆえにお兄様も平民相手とはいえ態度が改まっている。

レーグネン「大変お世話になりました」
ダスティ「あぁ、ごめんなさい。そちらの話の腰を折ってしまいまして」
クラウス「感動の再会に見入ってしまいました」
キャス「お姉ちゃん胸いっぱいでもう」
ダスティ「私達は孤児でして。いろいろあってようやく再会できたのです。だから両親や家族の消息がわからないという、あなた方のことが他人事とは思えなくて……なんとか力になりたいと思ってしまったのです」
キャス「あぁ、なんて優しいの、ダニー……」
アルブレヒト「そうだったのか」
レーグネン「ダスティ、そんな事を考えていたのか」
DM「そんなことを企んでいたのか、みたいな物言いだぞそれ(笑)」
ダスティ「最初は商売ではあったんだけど、身の上話を聞いたり、一緒に山越えとかをしている間に情が移ってしまって」
DM「オマエこの商売向いてないよ。お人よし過ぎて(笑)」
モニカ「向いてませんね!」
クラウス「向いてないなぁ」
キャス「人が良過ぎてだいぶ損をしてそう」
レーグネン「有り金はたいてくれましたしね」
アルブレヒト「私達の人望がこのような出会いを生むのだな」
ダスティ「いろいろあったんですよ」
DM「組織が崩壊してとりあえず独立したけど遠からず破綻する未来が待っていたねこれは」
キャス「ほんと、皆に出会えてよかったですね。それで、皆さんこれからどちらへ?」
ダスティ「ちょうどその話をしていまして」
アルブレヒト「どうしたらよいか司祭に助言をもらっていたのだよ」
司祭「そうね、あなたが真実を知りたいと望むのなら、それはバーンという国にいてはできないことではないかしら」
キャス「私はこの司祭様の元で働いているのです?」
DM「いや、ハンドアウトにもあるようにキャスは故郷の孤児院が荒れ果てているのを目の当たりにして、まずロートヴァルトに来たわけですよ。同じようにそれを知ったストールは今頃仕事が手につかなくて叱責されているころです。ちなみストールは赤き森キャンペーンのこのイケメンです(フローラント同人誌を開いて見せつつ)」

 

レーグネン「まだ闇堕ちしていない頃です」
ダスティ「闇落ちするんだ?」

 ダスティの中の人には「予習としてリプレイに目を通しておけ」と言っておいたりもしたわけですが、実際問題結構な文量です。大変です。
 今回に限らず「世界設定や他のキャンペーン内容を知っていると楽しめたり、理解が深まる要素」が色々出てくるので、結果的に自分が幸せになれます。完璧に把握してないと楽しめないなんてことは当然無いのだけれど、もし「進撃の巨人のTRPG」が存在してプレイする際に、原作知識が有る人間と無い人間では「巨人への恐怖心をロールプレイすることに温度差が出る」みたいなことが存在してしまうので「何も知らなくても当日得られる情報だけで十分楽しめるよ!」とは、少なくともTRPG部に於いては言えません。
 このあたりの「世界設定への理解度のギャップ」が後にちょっとしたロールプレイ上の誤算に繋がることになります(フラグ

キャス「私は、里帰りのつもりがそんな事になっていて飛び出してきたと」
DM「まずはロートヴァルトに行くぞ! なにせこのへんで一番胡散臭いのはこの街だ! 子供達が売られるなら、反バーン帝国のこの街を経由してヴィーリオンへだ!」
キャス「それでここで暴れていたわけですね」
DM「この街に手がかりがないのなら、南へ、ヴィーリオンへ行くしかない。そんなところで皆と出会ったのです」
キャス「今はおとなしく見ています」
司祭「バーンにいては、真実を知ることは叶わないでしょう」
モニカ「ですが……私にはどうすればいいのかわからないのです」
司祭「どうすればいいか、ではなく、どうしたいのかではないですか」
モニカ「全力でヴィーリオンに戻りなさいって言われてますね」
司祭「貴女は神寵者なのですから」
ダスティ「神寵者……」
DM「神寵者はやろう思ったことが自然と神の意に沿うという不思議な補正があるのですよ」
ダスティ「……新潮社」
DM「そっちじゃない!」

 まぁ厳密には補正というより、「特にあーだこーだ指図されんでも自然と神に反さない判断が出来るような資質」を持ってるからこそ、神寵者に選ばれるのです。ただしこれは「絶対に判断を間違わない」ということを意味しておらず、「戦略的な判断は謝らないが、戦術的な失敗は起こりうる」って感じ。何かの拍子やいっときの焦りによる小さなミスはするんだけど、大義・大局は見失わないのです。なので神寵者は聖騎士や神官の様に「戒律に背いた行動をすることで資格を失うルール」自体が存在しません。絶対に堕落しないのです。

キャス「チートですね」
レーグネン「なにせその名の通り、神に寵愛されてるから」
DM「神の意に沿いたいと心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!」
モニカ「私は戻りたいのですけど、皆さんはどう思います? 戻りたいですか?」
キャス「何が正解でしょうね」
アルブレヒト「それは私だって戻れるものなら戻りたいが……」
モニカ「本当ですか、お兄様!」
アルブレヒト「だがな……」
ダスティ「戻るにしても難しいところが」
DM「ここでキャスに電流……もとい天啓が走ります『神寵者がヴィーリオンに行くのなら、私が同行する口実に利用出来るのでは……?』」
モニカ「ピキリーン!」
DM「『ヴィーリオンに行くという神寵者に同行を認めて貰えれば、それは神の意志も同然。誰にも私を止めることはできないわ』と(笑)」
キャス「さてどう仕掛けようかな」
モニカ「お兄様! 私は戻りたいです!」
アルブレヒト「その気持はわかる。だが……」
キャス「モニカ様(よそ行きの声で)」
クラウス「声色が(笑)」
モニカ「貴女のお心は、そのまま神の御心でもあります」
DM「口車に乗せる気だぞ!」
モニカ「どうぞ貴女の思うままに」
DM「汝の思うがままに……ファラリスだこれ!」
アルブレヒト「だが、悔しいがまだ我々は力不足だ」
ダスティ「情報も広く集めなくてはなりません。まだ何もわかっていませんから」
キャス「ならば、いったんはロートヴァルトで力をつけて、それからヴィーリオンに戻って目的を達成するのはいかがでしょうか」
モニカ「それは具体的に何をすれば」
キャス「この辺でダンジョンに……」

 あまりのメタぶりに一同爆笑

アルブレヒト「レベル上げだ!」
DM「それは、それは違うだろう〜」
モニカ「力をつけるってどれくらいかかるんですか。モニカは一刻も早くヴィーリオンに帰りたくて」
DM「一刻も早くヴィーリオンに行きたいキャス」
キャス「目的意識が完全に同じですね」
DM「おかしかったよね、キャスのする提案じゃないよね。ここで鍛え続けて時間が経つほど、子供達の行方はわからなくなっていくから」
キャス「今すぐにでも、行きたかったですよね」
DM「いーまからそいつを、これからそいつを、捜しにいこうイエーイ♪」
キャス「もしモニカさんがどんなに困難な道でもヴィーリオンに戻りたいというのなら、私も行きましょう。私の力を使ってください。例えば探索ですとか、森の中で料理したりとか」
モニカ「本当ですか!?」
キャス「えぇ、地理や自然、旅にも詳しいですし、見張りにも自信があります」
ダスティ「そうアピール! アピール!」
アルブレヒト「売り込みが始まったぞ……」
キャス「微力を尽くしてお供いたします」
レーグネン「キャス殿、待って欲しい。私達がヴィーリオンに戻れば、ダスティの立場が危うくなりはしないか」
キャス「どういうことですか」
レーグネン「私達がヴィーリオンに戻ることはない、という前提でノイエ・エイファスに亡命を手伝ってもらった以上、私達がすぐさまヴィーリオンへと戻ってしまっては、ダスティの信用が失われてしまうのではないだろうか」
アルブレヒト「それは大丈夫じゃないか。当初の約束を破るとしたらそれは私達が責任を負うもので、それを伝えただけのダスティには非はないだろう」
DM「そうだね。送り届けた後に君達が翻意したからって、第三者のダスティが責められるようなことはないかな」
ダスティ「でもキャス姉が行くんなら俺も行くよ。乗りかかった船だし。それにな、俺がいないとみんな危なかっしくてなぁ。見てられないんだよ」
キャス「ダニーったらまた調子に乗って!」
DM「そこへ『話は聞かせてもらったぜ!』と、バターン!と扉を開く音ともに」
キャス「まさか!」
DM「そう、ノルベルトが! 格好いいポーズで!!」

 あまりの展開に大爆笑しつつ続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!

●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 何もわからないまま、ただ逃げ続けた1ヶ月前を考えると、ヴィーリオンに戻るといってもどうしたらいいか。
 モニカの希望は最大限叶えてあげたいものの、危険が待ち受けているであろうヴィーリオンに無策に戻るのもためらわれる。
 はたして、ダスティとキャスの二人がいればなんとかなるものなのか……?



・モニカ
 キャス! そしてダスティの本名が意外と可愛いのです。大変よろしい。
 神寵者の貴女が決めなさい、と言われるとプレイヤーがもじもじしてしまうのですががんばります。
 ノルベルト、いい男です。



・レーグネン
 キャラ的にはバーンで頑張るぜ〜、と言う気持ちでしたが、モニカが戻りたいと言ったのは非常に重かったです。



・クラウス
 ここが、数々の聖闘士を仕立てあげた教会店……。モニカの一段決心決意表明のインパクトを根こそぎかっさらっていくノルベルトの登場シーン(笑



ダスティ
 キャス姉キターーーーーー! ためにためて、ついにダスティの姉・キャスが登場。生き別れの姉弟が感動の再会という、「聖闘士星矢」では引っ張りまくったあげく結局不発に終わったビッグイベントが、なんと1話目で展開。まぁ本名のことで多少ぐだったりはしたが、(ダスティにとっての)ヒロイン登場で、盛り上がってきたぜ!

     
“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター12

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4

  painさんデザインとイラストありがとう!!
クラウス「ここでノルベルト出てくるの!?」
キャス「格好いいよー! CV高木渉は信頼出来るなぁ」

 そんな設定はない。

ダスティ「すげぇ、数時間でもう再会ですか」
DM「1時間も経ってないんじゃね」
クラウス「早いよイエーイ」
ノルベルト「別れたと見せかけて、ついてきていたのさ!!」
クラウス「なんていい人!」
ノルベルト「お前達がヴィーリオンに戻りたいっていうのなら、俺は構わないぜ。こっちの都合で悪いが、お前達が戻れば他の貴族達と争うことになる。頭脳明晰なあんたは、そう考えているんだろう?」
アルブレヒト「あぁ、私の考えに間違いはない(キリっ」
ノルベルト「つまり、お前ら貴族同士が内輪で潰し合ってくれるんだ。それは俺にとっちゃあ、そんなに損な話じゃないんだよ」
ダスティ「利害が一致した」
アルブレヒト「貴君は話がわかる人だね」
ノルベルト「もちろん、それで戦費だ臨時徴税だで、民に迷惑が及ぶようなことになれば……俺がどっちの味方をするかは、わかるよな?」
アルブレヒト「もちろんだとも」
ノルベルト「そんなわけで、お前らが引き返すことで、俺のメンツを潰すことになるかもしれないなんて心配するようなお人好しだったら、そこは心配いらないぜ」
モニカ「いいヤツだ!」
レーグネン「ノイエ・エイファスがこんないいヤツだなんて……!」
DM「他のキャンペーンじゃノイエ・エイファスに街の人が殺されたり酷い目に遭ってるからねー」
レーグネン「自分のPCがノイエ・エイファスに人生狂わされてますから」
DM「ロリコンに目覚めちゃったやつでしょ?」

 
 海洋キャンペーンのロリコンローグ(黙ってればイケメン)です。

レーグネン「人生奪われましたよ」
DM「正義は人それぞれだね」
レーグネン「ノイエ・エイファスその光と闇」
DM「以上、ノルベルトの話は聞かせてもらったぜモードでした」
キャス「お人好しは、あなたも一緒でしょう?」
ダスティ「キャラ立ってるなぁ……」
キャス「キャスはこう壁に寄りかかっています」
モニカ「あぁ、面白い!」


モニカ「戻ってもいいってことですか?」
ノルベルト「俺はそう言ったつもりだぜ」
モニカ「ノルベルトさんはヴォルフェンビュッテルがどうなってるかご存知ですか?」
ノルベルト「俺は知らない」
モニカ「いますぐに戻れるんですか?」
ノルベルト「流石にすぐは無理だ。向こうの受入もあるからな。ここで3日くらい待ってくれ」
モニカ「ヴォルフェンビュッテルじゃないところへ連れて行ってくれるのですか?
ノルベルト「もちろんだとも。ビューリンゲン伯爵領を抜けていくつもりだ。そこでお前達と別れる」
モニカ「お兄様。ノルベルトさんがこんなにも言ってくださっているのです。戻ってもよいのではないでしょうか?」
アルブレヒト「むむ……」
モニカ「ねぇ、レーグネンもそう思いません?」
キャス「わたしも護衛させて貰いますよ(壁に寄っかかって気取りポーズ)」
DM「えー、〈真意看破〉が高いダスティとレーグネンにはわかります。『お願いだから私も連れていって』と言ってます」
ダスティ「モニカさん、いいですか。彼女はきっと役に立ちますよ」
モニカ「本当ですか! なんて頼もしい!」
DM「プレゼンの援護が(笑)」
モニカ「クラウスだってそう思いますよね? 戻りたいって思ってますよね?」
クラウス「とんぼ返りってのはちょっと引っかかるんですよね」

 クラウス、別にそこまで思ってない。

キャス「この街で出来る、何かしらの事ってあるかな」
モニカ「わかんないです」
DM「一狩りいく? 森で」
キャス「わたしの本領発揮ですかね」
DM「やりたきゃ止めない。この世界最大の秘境、永久の森にようこそ」

●永久の森
 大陸中央に広がる極めて広大な樹海。
 全域にあらゆる転移術や占術を無効化する結界が張られている上に、方向感覚すら長年暮らした生活圏以外では幻惑される。
 竜側の完全制圧圏であり、手出し不能の魔境。
(フローラントwikiより抜粋)

 ロートヴァルトの冒険者達の多くは、その最外縁部、バームクーヘンの一皮目限定でモンハンしています。


ダスティ「ほとぼりが冷めるまで、ここにいるってのもありだとは思いますけどね」
モニカ「わたしは一刻も早く戻りたいのです」
アルブレヒト「バーンまで来たのだ。相手も私達の足取りは完全に見失っているはずだ。ヴィーリオンへ戻ってもそこが他家の領地なら、そう捕捉されることはないはずだ」
ノルベルト「任せておきな。お前らがバーンに亡命して、そこで潜伏しているって情報を流してやるぜ。なにせ亡命の手引を引き受けた俺が言うんだからな。効果は大きいだろ」
キャス「いい人過ぎる」
モニカ「あまりもいい人過ぎる。ノルベルトにとってそんなに有益なのかな?」
ダスティ「まぁ、お人好しなんだろうなぁ」

 お前がそれ言う(笑)

アルブレヒト「そりゃぁモニカが美人だからだよ」
キャス「CV高木渉だからですよ」
モニカ「なるほど」
アルブレヒト「そうしてくれるのなら助かる。それならば、なおのこと安心だ」
ノルベルト「敵さんも、まさかお前達がとんぼ返りしてヴィーリオンにいるとは思うまいよ」
キャス「いい噂、流しておいてくださいね」
ノルベルト「いい噂ねぇ……」
キャス「竜をやっつけたとか」
ノルベルト「そりゃー信憑性ゼロだな」
レーグネン「永久の森から帰ってこなかったって方がありそうですね」
DM「仮に一狩り行きますか、って行ったら誰かが死ぬ可能性は十分あるからね。前に一狩り行ったらランダムエンカウントでアイスドラゴン出てきちゃったことあったしね(赤き森キャンペーンの初回)」
ダスティ「そんなんいるんですか」
レーグネン「竜の勢力圏を舐めないほうがいいですよ(実感)」
DM「ここは世界中からハンターが集まるホットスポットだからね。フローラント最大の秘境、それが永久の森」
モニカ「では、ノルベルトさんに帰りをお願いしてもいいですか? 大丈夫ですか皆さん」
ダスティ「ここまで言ってくれているのですからね」
キャス「あなたの心が、神の御心ですよ!」
DM「ちょっと胡散臭くなってきたぞ、姉御。ヴィーリオン行きが懸かっているから必死だ」
ダスティ「頑張ってますねぇ」
レーグネン「まぁ、能力もあるから……いいけどー」
DM「少し見る目が胡乱に。まぁ決して悪意があるわけではないからね」
レーグネン「同じ戦勝神を信じる仲間だし、まぁ、うん……あぁ、これは言っておかないといけませんね。キャスさんの目的と我々の目的は違いますが、よろしいのですか?」

キャス「もちろん、です。あくまで入国してしばらくの間、落ち着くまでの護衛ということで」
アルブレヒト「我々は落ち着くまでの戦力が大いに越したことはない。野外のプロとなれば尚更だ。お前は神寵者の護衛という名目が欲しい。あくまで利害関係の一致ということだな」
キャス「ありがとうございます。これもきっと神のお導きでしょう」
レーグネン「ダスティはこれからどうするんだい?」
ダスティ「キャス姉もついていくんだし、俺の商売もなかなか難しそうだ。皆さんについていくほうが面白そうだから、一緒に行こうかと思ってますよ。そんでもって、全部うまく行ったら、その時はたんまり報酬もいただけますよね」
アルブレヒト「出世払いでいいって言ってくれてるんだからね、そりゃOKするに決まってるさ」
モニカ「確かに」
ダスティ「じゃぁ、あんた達に賭けてみますわ。キャス姉も行くし。孤児院の皆を助けられればいいなとは思うけど、ダスティとしては無理なんだろうなぁとは思っています」
DM「違うキャンペーンに出てきて辛い目に遭ってるのを目の当たりにしているレーグネンの中の人であった」
レーグネン「うん」
クラウス「そうなのか! 前世の記憶か」
モニカ「じゃぁ、頼みますよ?」
DM「ノルベルトは君達が戻りたいと言いさえすれば、話は動き出しますよ」
モニカ「ヴィーリオンに戻ります!」
DM「では準備に3日ほどかかるけど、その間に君達はなにかすることはあるかい」
アルブレヒト「本屋に行こう。バーンでしか買えない本が買えるかもしれない。あ、駄目だ……財布が空なんだ」
レーグネン「有名人に会っておきますか」
DM「トアスと会う? 酒場でノルベルト酒呑んでるいるかもしれないよ(てきとー」

 流石にそんなことしている暇はなかった! ヴィーリオンへとんぼ返りしつつ続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!

●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 この男、ノルベルトの助力でなんとかなりそうだとなると、一転ヴィーリオン行きにノリノリである。
 ノイエ・エイファスは気に入らないのだが。
 だがまぁ、ノルベルトは嫌いになれない男ではある。
 だが、ここまでしてくれるのは、きっとなにか良からぬ考えがあるはずなのだが。
 一方で彼の好意や助力なしには立ち行かなくなるのも事実。
 なんとも複雑である。



・モニカ
 私は高木渉さんに悪者声のイメージがあるのですが、ノルベルトの心意気はとても素敵ですね。
 個人的にはトアスに会ってみたかった。またいつか。



・レーグネン
 文面で読むと、モニカからの問いかけに『とんぼ返りか〜』で答えるクラウスに爆笑してしまった(笑)
 そしてノルベルト、ナイスガイすぎる……。



・クラウス
 ノルベルトが私のあしながおじさんになってきてる。とんぼ返りのどたばた道中という感じでしょうか、思い出作りに永久の森という選択肢は流石になかった。



ダスティ
「もうもどれない もうかえれない♪」と思ってここまできたから、とんぼ返りすることになったのは意外だった。敵の罠があるかもと不安だけど、パーティ全員がそろったのだから恐れるものは何もない?

     
“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター13

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4


DM「ではノルベルトの手配でまたヴィーリオンへと戻ってきた。町々でノルベルト達が情報収集をしていった結果、ここならば君達を捕まえてどうにかしようとする者はいないだろうって町で別れることになりました」
アルブレヒト「偽名とか使ったほうがいいかな?」
レーグネン「アルさまとかモニ様とかですかね」
DM「町があるのは、ホルストマン子爵領です」
アルブレヒト「ほう!」
ダスティ「ホルストマン子爵ってどんな人なんでしょうね」
DM「〈知識:貴族〉で判定を」
モニカ「はーい」
DM「この人3とか言ってるよ」
ダスティ「モニカ様貴族なのに!」
DM「まぁでも、会ったことあるはずなんだよね。お隣だから。だから振るまでもなく知ってた」

  イラスト:GENさん
DM「領主はこの人です」(本を見せながら)
キャス「イケメンだ……でもこの人729年に死んでるって書いてある」
DM「あ、そうそう死んでた。この人は故人です」
アルブレヒト「ということは」

  イラスト:GENさん
DM「今の当主はこの人です」
キャス「ロリだ」
DM「14歳です」

 豊作キャンペーンが解放歴728年、このキャンペーンが解放歴730年です。

DM「そんなこんなで、結構遠くまで来たね。ビューリンゲン伯爵領の南端まで来てるからね。君達はここで放り出されます。ここまでくれば安心だぜ、多分!」
キャス「多分!」
ダスティ「まぁそこは信じましょう」
キャス「ありがとうございました」
DM「どうしますか、お兄様。城へ挨拶にでも行きます?」
アルブレヒト「わざわざここにいますよ、って知らせに行くのはさすがにまずい。そりゃ、庇護を受けられれば、それが一番いいんだが……どうしたものか」
DM「ノルベルトの調べでは、少なくともここらは君達を積極的に捕えようとする動きに関わっていることはなさそうよ」
キャス「名乗り出てきたら、そりゃ捕まえるってことはありえますね」
アルブレヒト「ここに亡命政府を置かせてくれーとか言いに行ったらそうなるかー」
ダスティ「お二人はこちらの方ととても仲が良かったとか、フィアンセだったりとか、そういうことはないんですよね?」
DM「フィアンセ? 一体誰と誰の話をしてるんだい?」
レーグネン「女の子同士」
ダスティ「いやまぁ、お兄様と」
アルブレヒト「政略から距離をとっている私に他家の婚約者などいるわけもない」
DM「ヴォルフェンビュッテル家の主のロットナー伯爵家と、このお隣のビューリンゲン伯爵家とは長年に渡って仲が良かったり悪かったりを繰り返しているのですが。基本的に隣同士って仲が悪いんですよ。仲が良くないから別れているわけで。でも4年前にビューリンゲン伯爵が今の当主に代替わりしてからは、割と仲良くやっているっていうのが世間の見方です」
アルブレヒト「ビューリンゲン伯爵家の下にこのホルストマン子爵家があって、今の当主がさっきのハインリーケ」
DM「ハインリーケはまだ年若いんだけど、大層優秀な方で、お兄様としてもこの地方の自分達世代の中ではモニカの次くらいに優秀なんじゃねーかと思っている」
アルブレヒト「うむ、うちのモニカが一番」
DM「この世代の女性でうちのモニカと張り合えるのは、ビューリンゲンとこのハインリーケかノアかな、くらいの」
アルブレヒト「すげーなこの世代」
モニカ「確かに。キセキの世代だ」

 良くも悪くも。

 
 シアン20歳、ノア18歳、モニカ15歳、ハインリーケ14歳。 イラスト:★Yuukiさん

DM「アルブレヒトは宮廷とかにあまり顔出さないから、ハインリーケとそこまでの接点は無いんだけど、顔見知りではあるし、気まぐれで会議に出たりしたときには、ハインリーケが子供らしからぬ舌鋒で話しているのを見たりもしている」
アルブレヒト「彼女は会議や軍議の場でも堂々と知見のある意見を披露するので、かなり凄い。そこは私も一目置いているよ」
キャス「接点が欲しいのでしたら、私かダスティが手紙を持っていって、領内のどこかにいるよってことを知らせるとかでしょうか」
DM「モニカの出目はまぁ忘れるとして、モニカはハインリーケと交流があって、君の主観としては、2人はとても仲良し」
モニカ「やったーいいひと!」
キャス「みんないいひと」
DM「宮廷で会えば頭のいい人同士の会話をしている気がするけど、このおっとり具合なのでよくわからない」
アルブレヒト「ここはやはり、なんとかして彼女の力は借りたい。だけどそれがホルストマンの家全体に知れ渡ってしまうと問題が起きる気がする。どう動いたらいいか。呼び名も気をつけないといけないし、資金にも限りが……あ、バーンからこっちへ連れてきてもらった代金って?」
DM「ん? 大丈夫」
アルブレヒト「請求されなかった?」
DM「請求されなかった」
モニカ「こわっ! 逆に怖い」
ダスティ「例の約束を守ってくれればっていう話なのでしょうね。貴族で潰しあってなおかつ重税を課さない名君になれっていう」
レーグネン「いい人過ぎる」
モニカ「いい人過ぎますねー」

 なお、ノルベルトに対して〈真意看破〉判定が行われたりもしていたのだが、特に何も起きていない(笑)

ダスティ「それだけ将来性を見込まれているのでしょうね」
モニカ「お兄様が?」
ダスティ「モニカを含めて」
アルブレヒト「私の才能は伏せていたのだが、一流には隠しきれないものか。今は困りものだなあ。……いや絶対そこまで期待されてねぇ(プレイヤー発言)」
キャス「いったん潜伏して、町で情報を集めてはどうでしょう」
アルブレヒト「幸いにして、今はダスティがいる」
キャス「ダスティなら」
レーグネン「そうだ、ダスティがいる」
DM「とりあえず君達はどれだけ紛れ込めるか、〈変装〉ロールを振ってください」
アルブレヒト「鎧の徽章とかどうしたものかね」
キャス「私は変装の必要ありませんよね」
DM「そうだね、今のところ、逃亡者との接点は把握されていないだろうからね。普通に考えればね。わからないけどね」
ダスティ「私もそうでしょうけど、一応は変装しておきましょう」
DM「君の場合は単純に犯罪者ってだけだけどね。ヴィーリオンでは」
ダスティ「そんなやらかしてましたっけ」
DM「だって完全に密輸業者じゃない」
ダスティ「それはそうだけど、そこまで顔は知られてないのではないかと」
DM「ダスティは木っ端悪党だからまったくこれっぽっちも知られてないだけで、何度も犯行を繰り返してるガチの犯罪者だという事実は動かないよってこと」
クラウス「うわ、1振った。達成値3か」
DM「君達は、思い思いに頑張った精一杯の変装をして街に入り、今は食事でもしているのでしょう」
キャス「もぐもぐ」
モニカ「おいしい……」
DM「どれくらいの店に入った? 今夜の宿代はどれくらい? あ、ここからは手持ちのお金をちゃんと減らしてもらうよ。ついに君達パーティの財布が脅かされる時が来たのだ」
ダスティ「どうします? もらってたお金をパーティの資金にしますか?」
モニカ「ダスティいいんですか? そんなことまでして」
レーグネン「700失った上に全財産供出してしまって」
DM「冒険者パーティーは共産主義なりがちだからね」

 このキャンペーンに限らず、当たり前のようにパーティー共有資金として効率的に買い物してしまうことが日常茶飯事だったりするのだが、よっぽど逼迫して爪に火を灯すような財政状況にでもならない限り、分け前の分配と個人資産の扱いはキッチリとロールプレイして欲しいところではある。

クラウス「返せとは言わない」
DM「ある意味、ここまで来たことが彼の仕事ですからね」
クラウス「本を売ったお金が残っていませんか」
アルブレヒト「200ね」
ダスティ「では、いよいよとなったらで」
DM「そんなのすぐ来るよ、いよいよの時ってのは(笑)」
アルブレヒト「ふむ、清潔で安心な宿だと二人部屋で銀貨30枚」

 フローラントwikiの宿や情報を読みながら。
清潔で安心できる宿屋
可もなく不可もなくな料理と寝床を提供
多少の不都合(隙間風や蟲)はご愛敬
一般労働者が泊まるような宿
現代人の感覚だとだいぶエグい
最低レベルのドヤ
衛生環境は一つ上のと大差無い
それに加えて寝具など無い
個室……銀貨20枚
2人部屋……銀貨30枚
個室……銀貨7枚
2人部屋……銀貨12枚
3人部屋……銀貨15枚
大部屋……銀貨3枚(1人)
個室……銀貨5枚 
2人部屋……銀貨8枚 
3人部屋……銀貨11枚 
大部屋……銀貨1.5枚(1人)
座る場所を提供……銅貨10枚
横になるだけのスペース……銅貨20枚

DM「アルブレヒト達の基準で『清潔で安心感のある宿』とは思わないかもね。キャスやダスティなら、そういう評価。貴族の評価が基準のデータじゃないからね。とはいえ、最低限許容は出来る範囲」
アルブレヒト「では30枚の二人部屋を3つとろう」
レーグネン「あまり貴族感覚引きずっていると暮らしていけませんね」
DM「引きずるも何も、呼吸みたいなものだからね」
アルブレヒト「中世に飛ばされたとして、『いつまでも現代人感覚でいるな!』って言われても生まれてからの価値観とか衛生観念とか急に変わるわけがないですよね」
レーグネン「今日からお前達はイレブンだ!」
DM「今日からはトイレットペーパーではなく、このチラシで拭けって言われるわけだからね」
アルブレヒト「そこに砂の入った壺があるじゃろ、とか?」
DM「そうそう、インドとか中国のトイレはそういうところもあるからね。生活にそのレベルの変化がおきちゃうわけですよ。恐ろしいですねぇ。恐ろしいですねぇ」

 フローラントの「金持ってる層」は魔導技術の恩恵を受けて、かなり快適に暮らしています。高コストなので一般人との格差が現実よりも凄い。
 現実の中世は貴族だってだいぶワイルドで不便だったわけだけど、この世界なら金さえ払えば空調完璧、掃除も完璧、殆どの怪我や病気は治せる、必要とあらばテレポートだって出来ちゃう分、現代よりも凄いことだってある。

DM「では、君達は宿に落ち着いてご飯〜ご飯〜。『ええぃ、フルコースとは言わないが、もっとましなものはないのか!』となる」
キャス「んー、ヴィーリオンの味付け」
アルブレヒト「はぁ、フォークとナイフがたくさん並んだテーブルが恋しいな」
モニカ「1本ずつしかないですね」
DM「コース料理など無い(笑)」
アルブレヒト「固いのでなく柔らかいパンをー味つけは胡椒で」
DM「値段が跳ね上がるぞ! まぁ、そんなこんなで食事を頼んで一息ついたところで」

謎の声「話は聞かせてもらったわ!(バーン)」
モニカ「女の人?」
DM「ハインリーケがこう立っています(デンズンデンズン」

  ★Yuukiさん、頼んだ3時間後に描き終えてくれて神。
 一同爆笑

キャス「な、なんだってー!」
DM「宿の入口にロリが現れた」
レーグネン「ハインリーケ様、なぜ貴女がこのようなところに」
ハインリーケ「それはここが私の領地だからよ」
レーグネン「たしかにその通りですが」
キャス「可愛いー」
アルブレヒト「なぜここが……」
ハインリーケ「それは話を聞かせてもらったからよ。さぁ、行くわよ」
モニカ「私ロリコンなんですけど。モニカが」
DM「ロリコンだっけ? そうだったね、そういえばロリコンって設定あったね」
モニカ「ありました」
DM「このハインリーケはレズなんですけど」

 一同大爆笑

ダスティ「ばっちりじゃないですか」
DM「レズなんですけど、心に決めた人がいるんですよ」
ハインリーケ「さぁ、行くわよ」
モニカ「え、行くってどこへ?」
ハインリーケ「私の家に」
アルブレヒト「さぁ、皆、早く荷物を集めろ。ひゃっほう」
ハインリーケ「久しぶりね、モニカ」
モニカ「……お逢いしたかったです!」
DM「年下なんだけどね、こっちが」
モニカ「いいじゃないですか」
DM「まぁね。こっちのほうが偉いしね」

 14歳にハァハァしている15歳。……ロリコンなのか?(笑)

アルブレヒト「悩みが解決! 後ろで小躍りする兄」
ハインリーケ「久しぶりね、モニカ! ……それと、兄(↓)」
ダスティ「名前覚えられてない!」
アルブレヒト「このアルブレヒト、ハインリーケ様にお会いできて嬉しく思います」
ハインリーケ「それから、腰巾着(クラウスを指して)」
モニカ「なんか、そんな辛辣なんですか?」
DM「そんな辛辣です」
ハインリーケ「それから……名前なんだっけ(レーグネンを指差して)」
レーグネン「レーグネンでございます」
ハインリーケ「そうそうそう、ソレ。そして……使用人?」
アルブレヒト「最近加わった仲間です」

 ここでアルブレヒトがダスティを「仲間」と呼んでいることは記憶の隅に留めておいてください。
 ……あ、別に「平民を仲間と認めた」とかでは無いです(えー

ダスティ「ダスティと申します。以後お見知りおきを」
キャス「キャスと申します」
ハインリーケ「バーン人ね!」
キャス「な、何故わかったのですか」
ハインリーケ「バーン人ね!(シュッシュ)」
キャス「ば、ばれちゃぁ仕方ないです。そのとおりです」
ハインリーケ「なにせ、話は聞かせてもらったわ。さぁ、行くわよ(三度目)」
DM「馬車が待っている」
モニカ「すごい」
DM「リムジン馬車」
キャス「やったわね、ダスティ、なんかいい思いができそうよ」
アルブレヒト「運命を引き寄せる、これも我が人徳ってやつか。まいったものだ」



DM「ホルストマン家のイーデルハイス城についた」
アルブレヒト「実は城に着くなり投獄という流れもありうるわけですが、そんなこと夢にも思うわけもなく」
モニカ「あぁ、可愛い可愛い」
DM「内心ね」
モニカ「声に出してます」

 尊い……尊い……続く!
 Don't give up justice, I want to get truth!


●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 連れてきてもらったのがホルストマン子爵領と聞いて内心小躍り。
 なにせ豊作キャンペーンでおなじみ、あのハインリーケ姫がいるのだから。
 どうやって会えばいいかと思案する中、まさか宿に自ら乗り込んできてくれるとは!
 さらにアルブレヒトの扱いもご褒美満載で、テンション上がる。素晴らしい!


 DM補足
 ハインリーケは姫ではなく領主様である。



・モニカ
 やったああハインリーケ様だぁー! とっても仲良し、うれしいな! 可愛い可愛い! 尊い!



・レーグネン
 ハインリーケ様の行動力が凄まじい!!
 しかし、渡りに舟とはまさしくこのこと。



・クラウス
 ハインリーケ! ハインリーケ! ハインリーケ!



ダスティ
 それぞれの出自や出会った過程はどうあれ、みな同じパーティの仲間になったのだから、「ワン・フォー・オール オール・フォー・ワン」。もともと逃亡資金にともらったお金だし、パーティに還元すべきかな? と思ってました。

     
■“真実は見えるか”キャンペーン 第1回 チャプター14

 アルブレヒト・ヴォルフェンビュッテル 魔導師(ウィザード)レベル4
 モニカ・ヴォルフェンビュッテル 神寵者(フェイヴァード・ソウル)レベル4
 レーグネン 神官戦士(クレリック)レベル4
 クラウス 魂刃士(ソウルナイフ)レベル4
 ダスティ 巧者(ローグ)レベル4


DM「では、謁見の間というわけでもなく城の一室に案内されます」
ハインリーケ「大変だったみたいね」
アルブレヒト「なにがなんだかわからぬ間に城が燃えましてね」
ハインリーケ「正直、私もわけがわかっていないわ。なので今情報を集めているところなの。だからあんた達、ちょっと姿を隠しなさいな」
モニカ「そのつもりでいたのですけれど」
ダスティ「いきなりバレた」
ハインリーケ「それはそうよ。正直あなた達バレバレであっという間に通報が来たわ」
アルブレヒト「やっぱりレーグネンが目立ち過ぎてバレたのではないか?」
クラウス「自分かもとは全く思っていない」
レーグネン「申し訳ございません。やはりモニカ様の魅力は」
アルブレヒト「あぁそうだな、モニカの輝きは隠せるものではないからな」
モニカ「私のせいなんですか?(笑)」
ハインリーケ「まぁ、そうね……あなた達はうちの南にあるアードルンク伯爵領までお行きなさい。そこまで行けばさすがにあなた達の顔を知っている人もいないわ。こんな貴族でございなんて格好をしていなければ多分大丈夫よ」
ダスティ「そこには何が?」
ハインリーケ「何って、遠いわ」
ダスティ「なるほど」

 直線距離だけでも150キロくらい南西。

ハインリーケ「で、これよ」
DM「羊皮紙を出します。どっちに渡すかな。一応兄の顔を立てるのか、まぁでもモニカよりは兄に見せたほうが話が早いと思うんだろうなハインリーケも」

 ちなみに普通の紙も存在するものの、立ち位置的には「羊皮紙の廉価版」といった感じなので、貴族の書類は羊皮紙を使うことで格好つけることが多い。まぁ現代でも儀礼用に使われてるのと同じようなもんですな。
 なお、格式高いだけあって形質保持の魔力を付与することで尋常じゃなく経年劣化に強かったり、後から改竄することにもそれなりに耐性があったりすることが珍しくないので、単なる羊皮紙と思ってはいけない。ガチの重要書類ともなれば羊皮紙一枚で矢を防げるくらい頑丈だったりもする。

アルブレヒト「ふむ、これは」
ハインリーケ「ファヴへの身分の保証書と推薦状よ。傭兵になってしばらく身分を偽っていなさいな」
DM「みなさんファヴは知っています? 教科書(フローラントwiki)に載っていますよ」


●傭兵組織ファヴ
 かつて大傭兵隊長として名高いガルム・オードという男がいた。彼は家名を持つことからもわかるように元貴族であり、目の前の戦いしか見ることができない傭兵ではなかった
 ガルムはより長期的に、安定した雇用を獲得するには明確なシステムが必要だと確信。北海に面する港町ゼナを本拠として傭兵組織ファヴを立ち上げた。
 これは俸給の不払い・踏み倒しが日常茶飯事だったことに対し、組織がそれを保証する雇用を斡旋し、手数料を得る。また、平時での山賊化など法を犯した者へは血を以って償わせることを厳命したものだった。
 当初は隊商護衛の自警組合という名目で商人達との長期契約を獲得し、社会的信用を高めることで地盤を固め、次第に傭兵業務全般を取り扱う大組織へと成長していった。

 現在は発祥の地である港湾都市ゼナがバーン帝国に組み込まれたことに反発し、本拠地をヴィーリオンの港湾都市カーナに移している。

 所属する傭兵は一般的な戦争請負人である「通常傭兵」(単純に“傭兵”と書く場合こちらを指す)と、特殊な任務を請け負う「独立混成傭兵」の二種に大別される。

・通常傭兵
 いわゆる史実的な傭兵が、秩序だった組織に所属してある程度の規律を身に着けた存在。
 PCなら誰でもなれる基本クラスな「ファイター」は、世間的にはエリートクラスなので、雑兵達の殆どは「ウォリアー(ファイターの下位クラス)」である。
 最低限のモラルを強制されて入るものの、いわゆる「戦争の犬たち」「ワイルドギースは決して裏切りません」といった仕事人というよりは、「食い詰め者の吹き溜まり」がその大半なので、プロフェッショナル仕事の流儀を期待するならば、相応の大金を詰む覚悟が必要。
 例外はあれど基本的に「通常戦闘向けの戦闘集団」なので、「村にモンスターが現れたので退治して欲しい」といった依頼は、「近所にゴブリンが住み着いたので皆殺しにして欲しい」といった力押しでどうとでもなるタイプならば対応可能だが、「山から異様な獣の声が聞こえるようになって以来、原因不明の奇病が村で発生するようになった」といった厄介事には向かない。

・独立混成傭兵
 戦士、斥候、魔導師がバランスよく揃った少数精鋭編成の傭兵部隊のこと。最小サイズの諸兵化連合。
「冒険者スタイル」「特殊部隊型」「ストライクフォース」とも呼ばれるが、傭兵達の間でもっともポピュラーなのは「クーゲル」という隠語である。つまるところ、鉄砲玉の意。よくダンジョンに突入したっきり帰ってこない。
 主に4〜10人程度の少人数で構成されるが、最低練度のクーゲル部隊(平均3レベルの4人パーティー)ですら、通常傭兵数十人に匹敵する戦力を持つ。それゆえに並の傭兵より遥かに高額の報酬で、遥かに危険なミッションをこなす。
 同業者からは「命知らずの特攻野郎K(クーゲル)チーム、ドラゴンだって殴ってみせるぜ! けどラストモンスターだけは勘弁な!」といった、金次第であらゆるミッションを引き受ける何でも屋という認識。
 なお、対人の特殊任務ではなく、モンスター退治であった場合、討伐対象の多くが魔導素材として価値を持つため、モンスターそのものの障害度合いは報酬に反映されないことが基本。「高確率で獲物がいる狩場の情報が手に入る」ことで相殺されるという認識に、双方納得している。それゆえに貧乏な村が高額な依頼料を支払えずに泣き寝入りするケースは少ない。

 意外なことに歴史は浅く、ファヴが傭兵の適正をシステマチックに管理し、任務の斡旋を行なうようになってから成立した。むろん、それ以前も似たような存在が皆無というわけではなかったのだが。

 その資格審査は厳しく、ヒャッハー系のアウトローは門前払いされることが多い。なにせ戦力の性格上、周辺環境に大きな影響を与える仕事が多い為、組織の収入の大半を占めるのが通常傭兵斡旋にも関わらず、「信用を売りにする組織の看板商品」なのだ。
 戦力的な重要性もさることながら、最低限の「契約遵守」の担保となる聖職者の一人も帯同せずにクーゲルを名乗れるケースなど殆ど存在せず、「神霊魔導の使い手がいないパーティーは駄目」と言っているに等しい。
 これが正義と退魔の神な破邪神、騎士道と戦場の秩序の神な戦勝神、繁栄と契約の神な興隆神、護民と癒やしの神な守護神の聖職者がいる場合、信頼度が更に高まったりもする。まぁそうでなくても下手なことをすれば所属する神の神殿に猛烈なクレームがぶっ込まれることになるので、そこまでして利己的なムーヴをするメリットは極めて小さい。
 なお、聖職者が止めるのも聞かずに他のメンバーが不可抗力ややむを得ない判断ミスの範囲を超えたヤンチャして面倒なことになった場合、ファヴと神殿が総力を上げて落とし前をつけに参上することになる。

 数十人から100人を越える規模の傭兵団の場合、主力とは別に独立混成部隊を用意しているケースがある。攻城戦での潜入破壊工作や、数で押しても被害だけが増えるような厄介なモンスターが相手の場合、投入されるのだ。

(フローラントwikiより抜粋)


モニカ「書いてありましたね」
キャス「ファヴ傭兵隊」
DM「ファヴ傭兵隊キャンペーンは酷い話なんですけど」

 
DM「ファヴ傭兵隊がファヴの代表だと思われると、不本意っていう(笑)」
アルブレヒト「ファヴって組織に属していた、ちょっと駄目な傭兵隊のお話です」
DM「そうだよ、ファヴ所属の傭兵隊は、全部が全部おかしい人達じゃないんだよ。あの人達が特別おかしいだけなんだよ」
キャス「依頼主はホルストマン子爵家」
DM「あぁ、あのときのね。抜刀事件の舞台はここです。伝説の抜刀事件はまさにこの城で行われたのです」
キャス「ここが噂の。去年ですか」
DM「割とつい最近。お父さんも死んだばかりだし、半年前くらいか」
アルブレヒト「私も葬儀に行ってるかもね」
キャス「大変ですね、この国も」
DM「勇壮なる戦死を遂げたからね」

 
 在りし日のホルストマン子爵家父娘と重臣の男爵2人。男爵は他にも2人いるけどこれまで出番は無い(笑)

ハインリーケ「いろいろあるでしょうけど、これを持っていけば面倒なことにはならないわ」
アルブレヒト「登録名を考えなくてはな」
DM「偽名が必要だね。あ、皆さん〈真意看破〉を振ってみて」
モニカ「信じていますので(振りません)」

 残念ながらパッシヴ技能なので任意発動ではなく強制発動します(笑)

DM「(皆の数値を聞いて)うん、助かったなぁって」
アルブレヒト「さすがハインリーケ様。わかっていてくださる」
モニカ「ありがたいです、本当にとても。うっうっ」
ハインリーケ「友人が困っていたら助けるのが貴族の余裕ってものでしょ」
レーグネン「さすが胸を打たれる思いです」
アルブレヒト「こんな窮地の我々を助けていただけるとは」
モニカ「ホルストマン家も大変なときでしょうに」
DM「『私の時代よ!』って思っているかもしれないよ(笑)」
モニカ「格好いい! ありがとうございます、ハインリーケ様」
ハインリーケ「モニカも大変ね。これからは私がついているから安心しなさい」
モニカ「本当ですか! ありがとうございます」
ハインリーケ「ね、兄」
アルブレヒト「あいも変わらず」
DM「昔から男にはこんな態度だって知っているからね」
アルブレヒト「ついぞ、名前を呼ばれたことがない」
ハインリーケ「そうね、兄、執事。でもまだ正式な執事ではないから、腰巾着。レーグネンは『レーなんとか』
レーグネン「レは覚えていると」
アルブレヒト「私は一文字も覚えてもらっていないのに!」

 差をつけられた!!!

アルブレヒト「まぁ、アだけあっているけどね」
DM「兄の、ア(笑)」
アルブレヒト「まぁ、実のところ彼女は私の名前をちゃんと覚えてはいるのさ。ただ照れてしまって、そんな呼び方をしてしまっているだけなのだよ。私にはわかる」
モニカ「なるほど、お兄様の魅力が」
DM「まぁ本当に覚えられないほど頭が悪くないからね」
アルブレヒト「照れ隠しだね」
DM「アルブレヒトは照れ隠しだと思っているのね。レディは照れ屋だからと」
アルブレヒト「彼女は小さいからね。ただ、最近ちょっと不安になってきた」
DM「最近疑問に思い始めたのか(笑)」
ハインリーケ「レーなんとかも頑張ってモニカをちゃんと守りなさいよ」
レーグネン「はっ、もちろんでございます」
ハインリーケ「兄はそのついででいいから」
レーグネン「そこは私の口からはなんとも」
ハインリーケ「大丈夫よ、優秀な兄だから自力でなんとかなるわ」
キャス「嫌味?」
アルブレヒト「いや、兄をうまく操作する方法をよくわかっているのです」
ハインリーケ「今晩はここで食事をしていきなさいな。部屋も用意してあるわ」
モニカ「お風呂に入れる〜」
DM「久しぶりの貴族としての生活ですよ」
レーグネン「これが最後の貴族の生活かもしれない」
DM「言うねぇ(笑)」
ダスティ「返り咲くんでしょう!?」
キャス「このままでずっと傭兵団に」
アルブレヒト「いやいやちゃんと返り咲くから! ……当てはないけどね」
DM「メイドさんも付くからね。そういうわけで、夜が明けると拘束されているとかそういうオチもなく、フカフカの清潔なベッドでサティスファクションモーニングを迎えました」
ハインリーケ「旅立ちにはいい朝ね!」
DM「ハインリーケが扉をバーンと開いてやってきました。覇気に溢れ元気いっぱいに君達を送り出してくれます」
全員「可愛い」
モニカ「……尊い」
DM「君達はさらにアードルンク伯爵領を目指し進むのであった。物凄い移動してるよ! 1回のセッションでめっちゃ移動してるよ」
クラウス「移動距離はかなりのものですね」

 北へ南へ1000キロくらい移動している気がします。

アルブレヒト「馬は途中で置いてきたから、今は徒歩で」
DM「馬を買うなら買いなさいな。そんな金はないか! ……あ、完全に忘れてた」
ハインリーケ「はいモニカ、手を出して」
DM「チャリンチャリンとコインチョコでも渡すような感じで金貨を10枚」
古谷徹「金貨1枚は銀貨100枚分の価値がある」
モニカ「ハインリーケ様ぁ、ありがとうございます」
ハインリーケ「逃亡生活で大して持ち出せなかったんでしょう。これを使いなさい」
アルブレヒト「ありがとうございます」
モニカ「こんなに沢山よろしいんですの?」
ハインリーケ「とりあえずこれでしばらくの準備に困ることはないでしょう?」
モニカ「もちろんです。ありがとうございます。はい、お兄様にあげる(両手でお皿を作って)」
ハインリーケ「心して使いなさいよ、兄。本なんか買ったら殺すわよ」
クラウス「さすがバレてる」
アルブレヒト「ははは」
キャス「乾いた笑いが」
レーグネン「パーティー資金ですね」
アルブレヒト「旅費だね」
DM「馬買いなさい」

 これにて第1回終了!! 次回のプレイへ続く!!!
 Don't give up justice, I want to get truth!


●プレイヤーズコメント

・アルブレヒト
 ハインリーケ姫のおかげで、我々の当面の道筋が見えてきた。
 まさかノルベルトはここまで見越してたり……? いやまさかね、あはは。
 姫と一旦お別れしなくてはならないのは非常に残念だけど、頑張っていればまた会えるでしょう。
 さて、またの旅立ち。流れ流れて我々はどこまで行くのか……!



・モニカ
 ハインリーケ様は大変頭の良いお方。気高く高貴でそして何よりお優しい。ありがとうございます。そのお心遣いに応えられるよう頑張ります。
 ハインリーケ様とお風呂に入るチャンスを逃しました。



・レーグネン
 いま、ヴィーリオン西部が熱い!!
 ハインリーケ様の手配がホントありがてぇ……。
 南に向けて出発だ!



・クラウス
 ハインリーケかわいいが止まらない。いつか名前を呼ばれたい。



ダスティ
 思わぬ方向へどんどん話が進んで、終わってみれば「Try my best 東へ西へ南へ北へ Try my best 誰もみな冒険者♪」とばかりに、貴族様たちにあちこち振り回された第1話でした。新たな地でも振り回されるのだろうな〜と思いつつも、それに見合うだけの何かがきっと得られるだろう!と思いながら……。