■“赤き森”キャンペーン 第7回(パーティーレベル6) チャプター1

 アストリッド ウィザード5/ローグ1
 カッセル クレリック6
 イオ バード1/ローグ3/スカウト2
 ストール パラディン6
 ソルカー ドラゴンスレイヤー1/ファイター4/レンジャー1
 ホヅミ ドランケン・マスター1/モンク5

 命からがら洞窟を脱出する冒険者達。
イオ「とにかくここから離れないと……。ソルカー、パス・ウィズアウト・トレイスを使ってちょうだい。ワンド買ってあったわよね」
 ソルカーはレンジャーレベルも持っているので、低レベル故に自力では無理だが、ワンドに頼ればレンジャー呪文が使えるのだ。
ソルカー「…………い、いやぁ……はは……はははは……」
アストリッド「どうしたの?」
ソルカー「んー……実は神様が御機嫌斜めでな……」
カッセル「ま、まさか……」
ストール「き、君まで……」
 チャプター1で神の怒りを買った代償が致命的な形で!! プレイヤーは先刻承知だったが!!(笑)
イオ「…………あんた……どうすんのよ、痕跡消すの……」
カッセル「呪文が無くてもせめて足跡消したりすればやらないよりは……」
イオ「無駄よ。あれで誤魔化せるのは素人か新米だけ。特に鋭敏嗅覚持つような追手がいたら臭いだけで追跡されるわ」
DM「君達が5分ほど移動したら、入口があった方向から地獄語で声が聞こえる」
悪魔「尻尾を巻いて逃げる人間達よ!! 愉快な提案を一つしよう。第二のゲームだ。我々は日没まで待ち、追手を放つ。無事夜明けまで逃げ延びてみせろ。貴様達が生きている間は、他の村への狩りを休んでやるぞ。精々距離を稼ぐんだな!!」
イオ「第二のゲーム……? 第一ってどれ……?」
DM「なんだろうねぇ?」
悪魔「明日以降も、新たなゲームを愉しめることを期待するぞ。ゲームにつき合っている限り、村は無事なのだ!」
ストール「闇のゲームの始まりか……」
DM「まずは貴様達のターンだ!!(笑)」
カッセル「で、えーと……ひとつ聞きたいんだが、悪魔は約束を守るのか?」
 先の戦いにおいて、知識技能の低さとダイス目の悪さのコンボで悪魔に対する知識ロールをことごとく失敗し、聖職者にも関らず全然わからない(笑)
イオ「悪魔の専門家でしょ、クレリックは……」
アストリッド「知らないわよ、そんなの」
 だがストール、ソルカー、ホヅミの聖職者クラス持ちトリオがフォローする。
DM「悪魔は種族によって邪悪だが契約を守るタイプだったり、ひたすら血に飢えてるだけだったりとあるんだけど、スピナゴンや髭悪魔のバルバズゥはいわゆる契約守るタイプの悪魔だね。魂と引き換えに願いを〜とかな。極悪なことに変わりはないが」
ホヅミ「となると、我々が生きている限りは村々を守ることができると信じていいわけだ」
ストール「悪魔め……人々の命でゲームなど……!!」
ソルカー「ま、張り合いは出たんじゃねーの。単に逃げてるだけよりよ」

 ティスタinロープ・トリック地点に多少の進路偽装を行ないつつ帰還。
ストール「ロープを降ろすよう、合図をしよう」
DM「合図した瞬間、ロープが降りて来るね。一瞬だ。そしてティスタが転げるように出てくる」
 
ティスタ「……嫌です……ここ嫌です……もう嫌……嫌……嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌……」
DM「顔色が真っ青で、ガタガタと震えながら耳を塞いでブツブツ言っている。入る時も呪文怖がって乗り気では無かったが、やはり何の景色も無ければ音も自分が出すものだけ、という異空間に独りで何時間も放り込まれてたことはとても堪えたようだ」
ストール「な、なんてことだ……」
DM「頼りにしていた筈の聖騎士様御一行からは半ば悪魔も同然の扱い。外に出たら悪魔に殺されるかもしれない。だけど異空間は単なる村娘にとって異質過ぎる。圧倒的な孤独感にどうすることもできない極限状態は彼女の心をボロボロにしたらしく、一心不乱に言葉にならない声を呟くのみ」

 物凄くバツが悪そうに口を開くイオ。
イオ「貴女の言うとおり、悪魔が巣くう洞窟があったわ。貴女の言うことは正しかった。私は貴女の話も聞かずに無理だと決めつけたばかりか、貴女を悪魔の手先ではないかと疑っていたわ」
 イオが肩に手を置くが、ちからいっぱい叩き払うティスタ。
イオ「貴女だけが解決の糸口を掴んでいて、だからこそ、悪魔を倒すため、必死になって、苦しみに、寒さに、険しい道に、疲れに耐えて、自分を信用せずに冷たい目で見る人間を見限ったりもせずに導いてくれた」
 それでも言葉を続ける。
イオ「私は貴女を頼っておきながら、それを感謝するどころか、こんな事は無駄だと罵った。皆をそそのかし、貴女に辛く当たらせた。貴女の村を救う事が出来ず、自分たち自身の力で解決策を見つけられない自分たちの無力さに対するいらだちを貴女にぶつけていたのだわ」
 ティスタの耳に言葉が届いているとは思えない。それでも。
イオ「とても許してくれとは言えない。ただ私は貴女に謝罪しなければならない。本当にごめんなさい。それから、こんな私たちをここまで導いてくれてありがとう」
 許されるとは思ってはいない。ただ謝りたかった。だが自分の言葉は届かない。
 自分をにらみ、憎んでいた彼女すらもういない。
 こんな逆境でもなお気丈でひたむきだった強い彼女を自分がここまで追いこんだ。
 なんという罪を私は犯したのだ。

 一方のストールもティスタの傍らに立ち……。

ストール「至らないばかりに、つらい思いばかりさせて本当にすまない……。しかし、ティスタのおかげで奴等のアジトの襲撃まで漕ぎ着ける事ができた。本当に感謝している」
DM「君の言葉が届いたから……とは到底思えないが、暫くすると動揺が収まり……」
ティスタ「負けたんですか……あれだけ自分はプロだって言っておいて……」
DM「それきり、口を開かなくなった」
イオ「なんにも言い返せないわ……」

 無駄とは思いつつも痕跡を消しつつ日没まで移動し、野営開始。
ソルカー「夜移動しようと思ったら明かりをつけるわけだが」
イオ「それで目立って周囲の追って全部呼び寄せるのもゴメンよね」
ホヅミ「迎え討つか」

 
ストール「今回はアストリッドが深手を負ってしまったため、戦闘を継続することができなかった。さらに奴等はゲームなどと称して……。私達はこの一夜を耐えて再び攻勢を掛けるつもりだ。やつらを打ち倒すため、村への被害を食い止めるため、必要な事なのだ。ティスタ、すまない。我々を追い立てる悪魔との戦いに巻き込んでしまうことになってしまう……。そうなった時、君の安全は絶対に維持するが、それにはあの異空間が不可欠なんだ……。どうか、辛抱して欲しい。(長時間彼女ひとりをあの中に長時間残すような事が無いようにしなければ……)」

 ストール、アストリッド、ティスタが異空間に留まり、出入り口の位置はおはじきマス。
 残りのソルカー、ホヅミ、カッセル、イオ、使い魔は写真の様に横隊で警戒。念の為上空から身を隠せる木の下にスタンバイ。
イオ「とはいったものの、明かりなんて無いから警戒もなにもあったもんじゃないのだけれどね」
 誘蛾灯を燈すわけにもいかないので、闇の中で息をひそめてやり過ごすのだ。もっとも、あの系統の悪魔は闇での戦いをもっとも得意とする為、気休めにしかならいと覚悟はしている。
ソピア「アストリッド。いいのかい? この配置で。ロープ・トリックのロープをしまったままだと外の音は聞こえない。ロープを出せるのは異空間側からだけ。そして解除可能なアストリッドは中にいる。この状態で入口部分にダークネスでも受けたら、それが闇夜なのか魔法の闇なのかまったくわからないまま、完全に分断されて連絡が取れなくなってしまう。外から中へは一切連絡手段が無いんだから」
 ソピアはアストリッドの使い魔です。海洋のホークアイの如くプレイはアストリッド、台詞はDMですが、檜山ボイスで再生して下さい(えー
 たまに使い魔の口からフォローすることもあります(笑)
アストリッド「……! そ、そうね。ロープは出したままにしておきましょう」
DM「では時間を進めるよ? いいね?」

 
DM「(軽装の女が普通に横隊で並んでるなら)やっぱここから切り崩すよなぁ……」
ソルカー「なんかもう見つかるのは確定な……(苦笑)」
ストール「ああ〜……」
DM「暗闇の中で息をひそめて4時間経過……イオがいきなり襲われる。爪13ダメージ、爪9ダメージ、引っかき10ダメージ、引っかきファンブル、噛付き8ダメージ、掴み強化で組みつき対抗ロールの達成値が34だからそっちは振るまでもないとして、13ダメージ」
アストリッド「……死んでる?」
DM「では皆イニシアチヴだ。暗闇の中、ごく僅かな光量の獣のカタチをした光の固まりが30フィートの近くに現われたと思うや否や、イオに飛び掛かってズタズタに切り裂いている。状況自体は暗闇なので、イオがどんな状態かはわからない。しかしあれだけの攻撃だ。死んでてもおかしくないと思った。少なくとも悲鳴はピタリと止んだ」

 これからが本当の地獄だ!! 続く!!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 悪魔って物好きなのね。わざわざゲームを持ちかけるなんて。
 でもおかげで村人を守れる可能性がある。チャンスとも言えるわね。

 ……よく分からないのは人間だけじゃないってことかしら。

 ソピアを外に出しておくのは不安だけど、彼なら大丈夫よね。
 今は少しでも休まなくちゃ。


・カッセル
 我々冒険者では常識な事が、普通の生活をしている人には辛い物だとは想像できなかった。
 ティスタの安全のために必要な行為だったが、あまりにも配慮が足りなかった。
 しかし、この状況では彼女にロープ・トリックの内に入ってもらうしかない。
 人を守るため。何度その言葉を言ったことだろう。

 そして闇夜の襲撃。
 明かりをつけると敵に見つかりやすくなる。
 そのため明かりをつけなかったらいきなりの戦死者が?
 恐怖の夜はまだまだ終わらない……。



・ストール
 ホヅミが居なかったら、宗教系が全滅するとこだったぜ!
 悪魔の所業は許せないが、生き残ってる限り目はあるので、頑張りたいところ。
 と決意したのはいいものの、ティスタぁあー! ほんと申し訳ねェ! 忘れがちですが、たしかにPCは鍛えてる冒険者であって、大概の事には耐えれちゃう。こうして普通の人の目線を忘れていってしまうんだね……(ぉ
 ロープ・トリックもよく使うもんだから、そこまで気にしていなかったけど。確かに無音の異次元、普通の少女が放置プレイされたら気が気でないだろうなぁ……。

 馬鹿なッ……、イオが一撃でっ!?



・イオ
 悪魔が寒さに打ち震え、手足がひび割れたりするだろうか。
 闇に、静寂に、こうもまで怯えたりするだろうか。

 夜中に竜が飛んだ通りに戻るなんて事は無理。
 でも湖が見える範囲にたどり着きさえばいいということなら……。

 ついこの間、私はトアスに無礼を働いた。
 勝手な判断で彼を見下し、そして自らを貶めたのだ。

 今度も私は、ろくに話も聞かずに、無理だと決めつけた。
 己の才能に奢り、得意げに彼女には不可能だと喧伝した。

 もしも彼女が悪であるのなら、私の行動は正当化されるだろうか。
 されるかもしれない……だけど、それは結果論。

 何者であれ、いや、何者かもわからないくせに、私は独り善がりな正義を振りかざして彼女を弾劾していたのだ。
 その無自覚な罪が、なにより悔やまれてならない。



・ソルカー
 そして(PC的に)明かされる、堕ちた事実。

 ごめんなさいごめんなさいごめんな(ry
 あまり表出してないけど反省はしてます。
 アレは一時的狂気みたいなもんで……神様のお目こぼしはなかったですが。

 開かれる戦端。
 即座にイオ脱落。
 ……やっぱりパス・ウィズアウト・トレイス(痕跡消す呪文)を使えなくなった自分が最大の戦犯なんだろうなー。

■“赤き森”キャンペーン 第7回(パーティーレベル6) チャプター2

カッセル「見えないんだよね……? クローズ・ウーンズが飛ばせねぇ……」
DM「知識判定の結果、地獄の猫ベゼキラだとわかるが、その達成値じゃ名前だけ」
ホヅミ「陽光棒をつけます」
DM「じゃあ敵の姿が消えた」
ホヅミ「なに! 5フィートステップして陽光棒を叩き割ります」
DM「ならばまた姿がぼんやりと光る」
カッセル「キュア・マイナー・ウーンズを発動し、イオの横に移動して……暗いから接触失敗!」
 ソルカーは斬りかかるも、半分もダメージが通らない。
DM「では……爪攻撃がイオに命中。追加ダメージだけで死亡。残りの攻撃はカッセルに。爪9ダメージ。噛みつき外れ」

 
 一瞬だけ明かりがついたりロープ・トリックの入口の真下に敵が入った為、異常を察知したストールはアストリッドからマジック・ウェポンの援護を受けて躍り出る。
 生き残った四人が一斉に攻撃するが、思う様にダメージを与えられない。やはりダメージ減少を抜けない上に、予備武器では……。
 次のラウンドにベゼキラは機会攻撃を嘲笑うかのように撤退し、闇に消える。

 
 アストリッドも降りて来くる。
アストリッド「状況はどうなっているの? 明かりは必要なの?」
ホヅミ「奴は明かりの中で姿を消す! やめた方がいい!」
イオ「AP使って喋ります! いい、次はアストリッドが狙われるからね! 守りを固めて!!」
 天からの警告に応じ、前衛達が周囲を「待機アクション、寄らば斬る」で固める中、アストリッドは身を屈めていた状態から立ち上がり、インヴィジビリティを唱える。
 ベゼキラが撤退して2Rが経過。そしてストールが……。
ストール「敵が逃げていった方向に移動し、待機アクション」

 
DM「サイドがガラ空きだ! ストールが移動したことによってガラ空きになった側面からベゼキラが突撃して来る! アストリッドは消えているけど、最後に姿が見えて居た位置に飛び掛かる! 鋭敏嗅覚くんかくんか一日逃げ惑って汗かいた眼鏡っ娘の匂い!!」
 別にそれでペナ乗るわけではないがな!!(当たり前だ
カッセル「またクローズ・ウーンズを飛ばせねぇ! どうしよう!?」
イオ「透明になってるだけ私の時よりマシね……」
DM「爪13ダメージ、爪12ダメージ、引っかき10ダメージ、引っかき外れ、噛みつき外れ。仲間達には、アストリッドがズタズタにされ、悲鳴が途切れる……という先程と同じ状況が展開される」
カッセル「ダメだぁ……(涙)」
DM「ティスタはロープ・トリックの覗き窓から外見てるわけだが、光の獣が誰かをズタズタに引き裂いているという、物凄く凄惨な光景がさっきから……」
ホヅミ「朦朧化打撃を行なう!! 喰らえっ!! AP使って命中!!」
DM「ぐわっ、頑健セーヴでファンブルした!! 朦朧化!!」
ストール「しかしアストリッドは透明だからキュアをかけられないな……」
カッセル「ああっ、そうだっ! ミスチャンスが!! それでもキュア! 接触成功した!」
 そして千載一遇のチャンスにとにもかくにも攻撃をかける前衛達。
DM「いやえーと!!」
イオ「ねぇ!?」
アストリッド「ああああ!!」
DM「くぅぅぅぅぅ!!」
 傍目に意味不明なやりとりをする3人。
イオ「敵は素早いタイプだから、朦朧化できっとAC大きく下がってるわ!!」
DM(死体がAPも使わず思いっきり助言してるな……。ま、今はいいか(笑))
 ちなみにこのイオの発言と、さっきの「三人のやりとり」の真意は別件。あれはその場で漫然と攻撃するのではなく、位置取りの工夫をして欲しがっていたのだ。
 防御の低下により先程よりも大幅に命中数を増すが、やはりダメージ減少が手強い。着実に削っているものの……。
ホヅミ「もう一度朦朧化打撃! AC20まで命中!」
DM「外れ。こっちの攻撃は全部アストリッドに……爪13ダメージで終了。透明なのはデカいな。ソルカーの全力攻撃を受けたくないので、5フィートステップして下がろう」」
ソルカー「よし、まだ生きてる! 接近してオルァァァァ!! だが外れーっ!!」
 ちなみに読んでる人は萎えるかもしれないけど、読む人が読めば不自然なのわかるんでぶっちゃける。敵が光ってるから見えてるだけで、明かりが無い(=仲間の行動がわからない)のを完全に忘れて位置関係を把握した連携してるのを、この戦闘中DM敢えてスルーしてました。
 
アストリッド「よくもやってくれたわね! マジック・ミサイルよ!! 呪文抵抗も突破して12ダメージ!!」
DM「…………攻撃して姿見えちゃったね」
 あと腋も見えちゃったね(上がってきた挿絵を視姦しつつ
アストリッド「…………ちょっとアグレッシヴ過ぎたかしら?(汗)」
DM「まぁ頭に血が上ってたってことだね」
アストリッド「この娘としては、復讐の一撃を放ちたい性格だと思うんですよ……」
DM「悪くない悪くない。キャラとしてそれは全然悪くない」
イオ「それにこのダメージは大きいわよ。凄くね」
 はい、実に有効打でした。

 
ストール「カッセル、後は頼んだぞ! 攻撃します!!」
カッセル「ハイハイ?」
 挟撃位置に移動するストール。
DM「そう叫んだんだね?」
ベゼキラ(ニヤリ)
ストール「…………ううっ! そーいうことか!! くぅぅぅぅ! こいつ、察しやがったか!?」
ソルカー「ああ……なるほどね。なんとなくわかった(笑)」
アストリッド「なるほどね(苦笑)」
ストール「くそぉぉぉ! 攻撃します!! しかしダイス目4……」
ホヅミ「あー……そうか」
カッセル「はい、俺。アストリッドを助けないとなぁ……しかし昼間の戦いで消耗してるから、キュアはもう尽きた………………じゃあ、一歩左に移動!!」
DM「……こっちに移動して来るの? なら機会攻撃するけど、外れ」
カッセル「じゃあ攻撃します。8ダメージ」
DM「どう考えても一マス空いちゃってるホヅミとソルカーの間じゃないのか?」
ストール「だから“後は頼んだぞ”って言ったのに!」
 実はさっきの「ニヤリ」はちょっと脅かす程度の意味しかなく、落ち着いて撤退アクションで移動されたらなにも邪魔出来ずに間に割って入られたのだが。そもそもそんなの関係無く逆方向にカッセルが移動すると思っていなかったパーティーのメンバー、驚愕。
アストリッド「うん……」
カッセル「どこどこどこどこどこ?」
イオ「ここ」
 写真の、倒れてるアストリッドの一歩左の空白地帯。
DM「う〜ん。となると、その空間に無理矢理入り込むしかないなぁ……機会攻撃どうぞ」

 
ソルカー「殴るぜーっ!! ……これは当らん」
カッセル「AP使って命中で……10ダメージ」
ストール「自分もAP使って攻撃! 命中8ダメージ」
ホヅミ「外れです」
 怒涛の機会攻撃4回だが、仕留めきれず!
イオ「まだアストリッドに攻撃が当たると決まったわけじゃないわ!!」
ソルカー「でもHP一桁だよね……」
DM「噛みつき命中。11ダメージ」
アストリッド「昏倒……」
ベゼキラ「こいつも道連れだぁぁぁぁぁぁ!!」
 ちなみにベゼキラは口頭ではなくテレパシーで意志疎通しています。
アストリッド「薄れ逝く意識の中に悪魔の声が……」
DM「掴み強化で死亡確定……って一応ダイスを振ると……1と2? 6ダメージ!!」
アストリッド「…………生きてますよ? ええええ!?(嬉)」
ベゼキラ「仕留め損ねただと……!?」
ソルカー「今度こそ仕留める!! 命中、6ダメージ!! 二発目外れ!」
 ちなみに彼らの武器は軒並み5ダメージ減少されています。
ホヅミ「命中。8ダメージ!」
 つまりこれは3ダメージだけ通ったことになる。
ストール「攻撃するしか……」
DM「このスーパーラッキーを活かしてくれ!!」
ストール「攻撃します……が外れです」
カッセル「隣接して攻撃!! オラッ…………うはぁ……これは……キツい……これは……無理……(ダイス目4)」
DM「お前らせめて攻撃でAP使ってテイク10してればっ! 10振れば当たるだろうっ! 窮屈状態のコイツにはぁぁぁ!(涙)」
イオ「テイク10してなくてダイス目が5以下でも、とにかく使っていれば当たる確率はあったわね……」
カッセル「AP使って高い目出せばなんとかなるのか……」
DM「大サービスで教えてやろう。確率はある。俺としても死んで欲しくないから教える。AP使えば確率はある」
カッセル「ならば使うしかない!! …………よっし! 5!!」
DM「命中したよ(笑) さぁ、あとはダメージが幾つか……だな」
 ベゼキラの残りHPは2。
イオ「5減らされるの!? えええ! 凄いハードル高いわよ!!」
カッセル「ハッ! 6ダメージ!」
イオ「ああああああ……」
アストリッド「え? なに? ギリギリだったの?」
DM「HP1残った……。ていうか……お前さん! 力の領域を使ってくれ!!」
 カッセルは1日に1回、戦勝神の加護で筋力に自分のクレリックレベルを足せます。つまり発動していれば、筋力ドカンで突然マッチョマン。さっきの攻撃の命中とダメージが、致命傷に達するほどにプラスされる筈だったのだ……。
イオ「キャラメイクの時に、ここぞという時に発動出来る必殺技が欲しいって言ってたじゃない……」
DM「で、力の領域の“剛力”ならキャラ構成に変な影響も出ずにピッタリだよ、と……」
カッセル「ごめん……すっかり忘れてたわ……」
DM「生き残っちゃったよ……じゃあアストリッドに攻撃……命中……」

 正直DMとしても困ったぞ! 続く!!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 ちょっと迂闊すぎたかも……。
 外に飛び出したのもそうならば、頭に血が昇って反撃したのもそう。
 でも、ティスタと二人きりは気まずくて、思わず戦いに飛び込んでしまったの。
 ごめんなさい。皆に迷惑を懸けてしまうわね。

 発言できない(参加していない)戦闘だと、どうしてこうも良い手が浮かぶのでしょう(笑)
 渦中にいるときは全く気付かないのに!



・カッセル
 ヤバイ、死にそうだ! 回復しなきゃ!
 → 朦朧化のため攻撃した方が得。
 回復手段が尽きた! 攻撃しないと!
 → 隙間を見逃して位置取りを間違える。
 最後の攻撃! これで倒す!
 → 自分の特殊能力を忘れててとどめを刺し損ねる。

 テンパっていたとは言え、あまりにも多かったミス。
 女性陣には本当に申し訳ない事をした……。



・イオ
 これが追っ手!?
 無数の空飛ぶ悪魔から隠れようと息を潜め、木の陰に隠れていた事が裏目に。
 そうでなくとも、ひどい対処策なことはわかってはいたのだけど……。

 お願い、皆がんばって!
 戦いを有利に進めようとする工夫もなしに、ただ漫然と斬りつけているだけじゃ、だめなのよ……。



・ストール
 アストリッドが透明化したので、イオの二の舞は無いと完全に安心しきってしました。うぅむ、油断した……。
 アストリッドはナイスガッツ、そしてそれに応えられない男性陣! 悔やみきれない結果に。



・ソルカー
 明かりの中消える悪魔!?
 明るければ攻撃に困り、暗ければ守り(回復)に困る有り様。

 アストリッドーっ!

■“赤き森”キャンペーン 第7回(パーティーレベル6) チャプター3

ストール「見てのとおりだ……」
 ティスタをロープ・トリックから連れ出し、ズタズタに引き裂かれたアストリッドとイオの死体(もちろん、すぐ横にはベゼキラの死体も)を見せつけ、冷然と言い放つ。
イオ「えええ!?」
アストリッド「そんな直接的な!?」
DM「ず、ずいぶんとダイレクトに……。ただでさえ入口越しに悪魔の姿が大暴れしてて精神的に参ってる所へ……」
ストール「二人の仲間が死んだ。こうなってしまっては悪魔の討伐を続行することはできない。必ず戻って来て倒すことを誓うが、少なくとも今は街に戻らなければいけない」
 憔悴しきった表情で、淡々と語るストール。
ティスタ「……………………」
DM「焦点の定まらない目で力なく立ち尽くし、黙ってるね」
ストール「…………皆、とにかく戻ろう」

 仲間二人の身体を持って帰るのは当然だが、ベゼキラの死体も持ち帰らないことには蘇生資金が捻出できない……というかこれが売れたとしても、装備している高額なマジックアイテムを幾つも手放さない限り、とてもじゃないが足りない。
 となるとどうにかして引きずるしかない。行きの五倍ほど時間をかけ(不思議と追撃は無かった)、最後に旅立った村へ帰還する。

ウト「聖騎士様達! お帰りなさいませ!! それで、悪魔共は!?」
ストール「…………ティスタ嬢の案内によって奴らの棲処は発見したのだが、そこで仲間が二人倒されてしまった。ゆえにやむを得ず一度戻って来たのです……」
 
ソルカー「彼女の安全を守りつつ、敵を殲滅しようとしたのですが……彼女には色々精神的負担をかけてしまって……ご覧の状態に……」
アストリッド「ご覧の状態って!?(苦笑)」
ストール「私が彼女を守りきれなかったのです。全ては私の責任です」
ウト「どうりで最近周りの村とまったく連絡が取れない……」
カッセル「そりゃ十日以上かけて戻って来たんだもんなぁ……」
ウト「情報交換の遣いを出しても帰って来ないのです」
イオ「この村だけは襲われていない……?」
ウト「我々はいったいなぜ無事なのでしょう……?」
カッセル「ここもいつ襲われるかわからないな……」
ウト「ところでティスタはいったいどんな恐ろしい目に遭ってこのような……」
ソルカー「魔導的な異空間に安全の為匿ったのですが、場馴れしてない彼女には負担だったようだ……」
ストール「我々の配慮が足らず、行軍中まったく労ってやれなかったのです。申し訳ない。彼女を気遣うことができなかったのです……」
カッセル「そして我々の意見統一ができておらず、彼女の目の前で議論を……それも彼女には負担となったのでは……」
ストール「我々の野外専門家と彼女の意見が合わなくなってしまい、多大な心的負担をかけてしまった。私が彼女をフォローする事が出来ればよかったのだが、それも適わず辛い思いだけをさせてしまった。本当に申し訳ない……」
DM「なんだか実際行った仕打ちに比して物凄くボカした説明だなぁ……言い難かろうけど」
ウト「そうですか……。ティスタ、せっかく生き残ったのにこんなになっちまって……」
ストール「どうか彼女のために使って欲しい……銀貨100枚を渡します」
ソルカー「今それに使う余裕があるのか?」
ストール「せめてもの償いだ……」


 村長にも情況を報告し、村総出でロートヴァルトの難民キャンプに待避することに決定。
 ホヅミとソルカーはアストリッドとイオを抱え、さらにティスタと付き添いのウトを連れて村民とは別行動で先行し、蘇生させたら戻って来る予定なのだが……。
DM「絶望的に蘇生のツテが無いな……」
 そう。ストールは墜ちているし、カッセルも神に受けた罰の贖罪は成っていない。となるとロートヴァルトで唯一蘇生呪文の使い手がいる、戦勝神の神殿を頼ることはできないのだ。
 ティスタ達は難民キャンプに預けたが、そこからが問題だった。

ホヅミ「とにかく我が神祝宴神の神殿を頼ります。我々の仲間が悪魔との戦いで命を落としてしまった。どうか力を貸してもらえないだろうか」
神官「…………そ、そのお二人で御座いますか? しかし……かくかくしかじか」
 そう、彼らの世間の評判は「山賊団に命乞いをして見逃してもらった聖騎士と仲間達」なのだ。
ホヅミ「そ、そうなのか!?」
 元々余所者で途中参入な上に、この街についたと思ったら即Uターンしたホヅミはそんな噂を知らず。
ソルカー「ああ〜…………うん………………まぁ…………結果的にそういった評価になってしまうのを強く否定するのは……難しいかなぁ……?」
ホヅミ「なんだって……」
神官「司祭様にも一応お話をしてみたのですが、やはりお断りするようにと……申し訳ありません! この近くですとフォアサイトにある我が神の神殿にも蘇生呪文を使える者はおりますが……やはり……」
ソルカー「まぁ噂はとっくに広まって同じだろうなぁ……」

 次は守護神の神殿へ。

神官「…………あの方のお仲間ですか……」
ソルカー「ううう、どこまでも噂が……」
 しかし守護神は癒しの神でもあったので。
ホヅミ「せめて他の手段を見つけるまで、二人を預かっていてもらえないだろうか……」
神官「わかりました。お預かりするだけならば……」

 今度は愛用の酒場。

ソルカー「さて……宿屋に『トアスいる〜?』と……(苦笑)」
ホヅミ「ここは君に任せよう」
DM「トアスは今日帰って来たばっかって感じで、仲間達と呑んでるね」
ソルカー「トアスの横にドスって座ってぇ……『ああ……しくじっちまったよ……』と」
 全員爆笑。
ソルカー「明るい話題でもねーし、話したくもねーけど、報告しねーと」
トアス「んー(興味無さげ)」
ソルカー「すまねぇ! イオとアストリッドが死んじまった。色々手伝って貰って、良い結果が得られぬまま戻って来ることになっちまったよ」
DM「普段饒舌な彼が何も口をはさまない」
ソルカー「トアスには色々世話になったし。同じ面々として噂が広がってる所にマイナス評価になるようなことしちまって申し訳ない!! 申し訳ないついでですまないんだが、ご覧の評価じゃ蘇生もままならん。どうにかしていい方法はないだろうか……すまない、知恵を貸してくれないか!」
DM「トアスのパーティーメンバーの25歳くらいの戦士が」
クラール(仲間の戦士)「お前ら……トアスにあんだけ舐めた態度とっておいて、困った時だけそれか!?」
ソルカー「スマン、本当に……」
クラール「世話になっても礼にすら来なかった奴が、どの口でホザいてやがる!?」
カッセル「今までの積み重ねが……」
ソルカー「すまない。本当に返す言葉もない……正直なところ、最初はトアスのことをよく知らなかったってのもあって、あんな態度を取っちまったんだ……あと、野郎が礼に行ってもトアスは嬉しくないだろうとかも思って……だが今は反省している! 恩返しをしたくても二人が死んだままでは無理なんだ! 頼む! すまなさを埋め合わせする為にも……さらに迷惑をかけることにはなるが……恩返しをさせると思って助けてくれ……!!!」
DM「また口を開こうとする仲間をトアスが制する」
トアス「別にそこまで怒らなきゃいけねぇことなんてされてねぇよ。だからあんまりキャンキャン吠えるな。男を下げるぜ」
イオ「仲間が怒鳴りたい気持ちもよーくわかるわ(苦笑)」
DM「ジョッキを空けるまで黙ってて……」
トアス「…………趣味じゃねぇんだよな。困りきった奴の足元見るみたいに感謝されるのよぉ。おめぇ、この状況で頭下げててよ、本心から感謝してんのかそれ?(頭ペチペチ)」
ソルカー「ペチペチされっぱなしです(苦笑)」
トアス「感謝っていうか、背に腹は代えられねぇからだろ? 俺は恩を売りたかったわけでもねぇのによ」
ホヅミ「なんとも……(笑)」
カッセル「たしかに、たしかにそのとおり……(苦笑)」
トアス「俺に頭下げるしかねぇから来ただけだろうに(苦笑)」
ゴレッツ(仲間のドワーフ)「ちげぇねぇ!! ガハハハハハ!!」
 
トアス「こりゃーひと揉みふた揉み程度じゃすまねぇなぁ(妄想)」
 全員爆笑。
トアス「野郎共だったら見捨てる所だが、女二人ってんなら……一生返せない貸し作っちまうなぁ(ニヤニヤ)」
アストリッド「ヤバいわ……ソルカー、断って」
イオ「私的には大歓迎」
アストリッド「反対、反対(笑)」
イオ「トアスならOKよ。いくらでも借り作るわ(笑)」
仲間の戦士「あんたいいのか!? 許すのかほんとに!?」
ホヅミ「高い酒を奢ろう」
トアス「まぁまぁ……俺の遺言覚えてるか?」
 全員爆笑。
DM「仲間の方が怒ってるよなぁ(笑) 彼らだってトアスの君達と手を組もうって提案を承諾してくれたんだぞ。不名誉印とか刻んじゃってる」
イオ「そうよ。このトアスの仲間なんだから悪い奴のわけないわ」
ソルカー「そうね(笑)」


トアス「で、どうして欲しいんだ?」
ソルカー「蘇生費用は用意出来るんだが……この街には戦勝神の神殿にしか蘇生呪文の使い手がいない……だがうちの……うちのぉぉぉぉ……(涙)」
カッセル「帰ったらぶん殴る(笑)」
ソルカー「堕ちたのはお前らだ!(笑)」
トアス「ったく、しょうがねぇなぁお前ら」
ストール「いい人だ……」
カッセル「好感度上がったわ」
イオ「現金……」
ソルカー「良い人なのはわかりきってるよ! だから頭下げに来たんじゃん!!」
トアス「で、実はお前ら俺に『なにが起きてこうなったか』を全然話してないんだよな。説明しろ」
ソルカー「かくかくしかじか」
トアス「…………お前らヒデェな。女の子相手に……。マジ引くわ」
カッセル「全部話しちまったのかよ!!」
DM「隠蔽したかったのか……」
イオ「そりゃ言うでしょ!? バカなの!?」
ソルカー「隠し事しないよ! 全部話すよ!」
トアス「お前ら相変わらず他人の疑い方下手だな!!」

 結局戦勝神の神殿に渡をつけにいくお人よし。

DM「顔なじみっぽい司祭を呼び出す」
トアス「よぉ。実はよちとこいつらと悪魔退治しててよ、本拠地見つけたのよ。それでまぁこいつらドジだから二人ほど殺られちまったんだわ。酷い評判は承知の上だが、俺の責任で死なれちまったってことでよ! 顔立ててくれよ! 頼むわ!!」
DM「これ、豊作キャンペーンの姫様の二番煎じになっちゃってるのが切ないぞ(笑)」
司祭「お前も相変わらず無茶するな(意味ありげに笑う)」
DM「とりあえず早速明日から蘇生儀式にかかってくれることになった」

 神殿内の柱の影にて。

トアス「で、金は? …………今無い? 悪魔の死体売らないと? さっき金あるって言ってたじゃねぇか!」
DM「そう言うなり司祭のところに戻っていき、金貨の入ってる袋を渡してるね」
トアス「ぜってー返せよ。それから一緒に謝れよ」
ホヅミ「……はい?」
ソルカー「そりゃもちろん……って誰に?」

 そして酒場に戻る。

トアス「いやいやいや。すまん。ボインの誘惑に抗えず、今回の狩りで儲けた金つかっちまった!!」

 女性陣二人の貞操はトアスの手に!? 続く!!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 実際に退場組と現世組に分かれて相談したため、どんな結論が出るか、沙汰を待つ身の様で落ち着きませんでした。
 トアスも言っていますが、こういう形で借りを作るのは忍びなかった……。
 色々考えてくれた皆に感謝。



・カッセル
 そして話は最悪の方向へ。
 仲間が二人死に、ティスタは茫然自失。
 悪魔を殲滅できず、村人を救う事もできず。
 そして仲間を蘇生する事もできず。
 全てが最悪な状況で差し伸べられたトアスの手。

 最初会った時は胡散臭い男だと思った。
 だが、彼からは何度も支援や助言をもらった。
 そして今回の件。
 彼がいなければパーティーそのものが無くなっていた。
 感謝の一言では言い足りない。言葉にできない。

 この時点で私とストールは村に残って警護したので現地にいなかったけど、街に戻っていたらトアスに「あなたこそ真の英雄!」とか言ってそうだ。



・イオ
 この街に飛び込んできてから、ずっと彼は私たちを気にかけてくれた。
 例え私たちが彼の期待に応えることが出来なくても、それは変わらなかった。
 なのに、そんな彼を胡散臭そうに見る皆の目を、私は常々不満に感じていた。

 今や、誰もが彼に多大なる感謝を捧げている。
 だけど、望んだその光景は、最悪の理由で実現したもの。
 本当に、不本意。



・ストール
 銀貨100枚で犯した事が赦されるわけでは、けしてない。しかし渡さずにはいられない。せめて、彼女のためになれば……。

 ザ・門前払い!
 はやく、はやく75日経過させるんだ! 問題は、煙がたったところには確かに火があったことか!
 そして、トアスは相変わらずナイスガイ!
 ……いや、ほんとこういう形で頼ってしまい、心苦しい限りです。トアスにはしっかり恩を返さないとね。仇以外で。



・ソルカー
 アホキャラで通していた関係上、あんまり表に立たないソルカーですが今回しゃべり回です、ひゃっほー!

 ……というノリになる訳もなく、文字通り『申し訳ない』現状に、ただでさえ立たない弁もしぼむばかりです。

 トアスの財布から出てきた金は、まぁ当然彼らのパーティ資金よね。
 御迷惑かけまくりです!なんとか挽回せんとな……。

■“赤き森”キャンペーン 第7回(パーティーレベル6) チャプター4

 前回のレポで思いっきり書き忘れていたんですが、ティスタとウトはソルカー達が護衛して先にロートヴァルトまで連れ帰っています(既に加筆修正済み

DM「蘇生なったイオが目覚めると、トアスの顔」
トアス「いよーっ。おはようさん。気分はどうだい?」
イオ「…………トアス?」
DM「そして自分が全裸だと気付く」
イオ「ちょっ、あんた! 見ないでよ! この変態!!」
トアス「おいおい、お前の裸に興味持ってる奴が変態だとしたら、世の中の野郎共は軒並み変態になっちまうぜ?」
イオ「そーいう意味じゃないわよっ!!」
トアス「恨むんなら自分のエロボディを恨むんだな!」
DM「と言って、シーツを渡す」
イオ「あんたが剥いでたの!?(笑)」

 そしてトアスの仲間達にもお礼を言いに。

イオ「あなた方のおかげで再び ……こうして立って、歩いて、走って、跳んで、そして戦う事が出来る。とても感謝している。多くの無垢の人々が悪魔に殺されているなか、自分だけが救われたことの意味はわかっているわ。必ず、それに恥じない生き方をしてみせる。……本当にありがとう」
外野「一生トアスに尽くすって本当かーっ!?」
イオ「それ無し!!」
外野「連れとセットでご奉仕するって話を聞いたぜー?」
外野「まぁ命より高いモノもねーしなぁ!」
アストリッド「なんか言い返してやって!!」
イオ「腕組んじゃう! えいっ!!」
 全員爆笑。

 
イオ「そうよ! 私はトアス様の奴隷ですから!!(笑)」
アストリッド「奴隷!?」
カッセル「スゲェ! そこまで堕ちた!?(笑)」
DM「ある意味出世?」
ホヅミ「より一歩トアスに近付いた……」
カッセル「レベル的にではなく肉体的に……(笑)」
イオ「トアスの仲間からの視線が痛い……(苦笑)」
DM「すっかり峰不二子扱いである」

 そして宿屋の一室に戻り……。

イオ「ティスタは無事……?」
ソルカー「ウトさんに預かって貰っている」
イオ「……そう、なにか言ってた?」
ソルカー「まぁ、なんだ……それは全員揃った時に改めて説明する」
イオ「どういう事?」
ソルカー「頼むわ。ストールが説明役は自分にさせてくれって聞かないんだよ」
イオ「そう……わかったわ」
ソルカー「あとアストリッドにも黙ってた方がいいな。色々ややこしくなる」
イオ「……まぁそんな雰囲気ね。それも了解。テキトーに護魔化しましょう」


 翌日。

DM「今度はアストリッドが目覚めると、トアスが眼鏡を付けたり外したりして遊んでる」
アストリッド「…………!! …………私はあの時……? って止めてよ!」
トアス「お前、これが嫌ならシーツやるぞ?」
アストリッド「え!? そんな!? そんな!?」
トアス「う〜んむ。俺としてはだいぶ手加減したつもりだったんだが……なぁイオ?」
イオ「しまった……私も眼鏡キャラだったら……」
アストリッド「ここに貴方とイオがいるということは……また、借りを作ってしまったのね?」
トアス「まぁ残念ながらそうなるなぁ」
アストリッド「と、とりあえず、服を着るから出てって頂戴」
トアス「へいへい」

アストリッド「お待たせ。……あの、今度とという今度は……その、助けてもらって」
 語尾がはっきりせずに視線も落ち着かない。
 
アストリッド「あ、ありがとう。なんてお礼を」
 下を向いて話すアストリッドの顔には髪が掛かり、表情は窺えない。だが、真っ赤に染まった耳が如実に物語っていた。
トアス「礼はほら、イオと同じで身体で」
アストリッド「だから、あなたはっ! もう、知らない」
イオ「“同じ”って!? してないわよ!?」

 退院し、トアスの仲間にも礼を言いに行くアストリッド。

アストリッド「ありがとう……ございました」
 誰に言うでもなく、テーブルに向かって感謝するよう言葉を放ち、固まる。
イオ「これがこの娘の精一杯なんで、そ、それじゃあ……」
 そそくさと退場(笑)
 後に響くトアスの仲間のドワーフの豪快な笑い声。

 装備を整え、仲間と合流する為に出発する四人。
 一方その頃……。

DM「村に残ったソルカーとカッセル。君達のほうにはスピナゴンが襲って来る。手持ちのショートボウやクロスボウで応戦するが、元々射撃が得意ではない君達の対空射撃は殆ど効果が無いまま弾薬が突き、後は一方的だった。幸いなことに一気に皆殺しにはかかって来ず、初日は生き延びられたが……」
カッセル「これはもう準備に時間かけてる余裕は無い。今すぐにでも村を捨てないと……!!」
ストール「村人達に即刻の出発を指示します」

 そして数日後、陽は沈みかけ、野営の準備をしているストール達に合流を果たす復活組の四人。
 いつも早々に就寝するアストリッドの習慣が幸いし、寝床から距離を置いて集まる他のメンバー。
 ベゼキラとの戦いの経過と、彼女の心が完全に失われてしまったことを説明する男性陣。

ストール「あの時の私はどうかしていた……。なぜあのような凄惨な光景を見せつけるなど……」
 認めたくなかった。自分がそのような愚かな行動に走ったことなど。

カッセル「ま、まぁ俺達だってイオとアストリッドを殺されて精神的にかなりキてたしな……」
ホヅミ「神に身を捧げた者とて判断を誤るのは必然……。ゆえに身心を鍛え、その過ちを減らそうとするのだ。反省せよ。だが後悔はするな」
イオ「ごめんなさい、私が一番その場にいなければならなかったのに。全ての役を押しつけてしまったわ。ウトさんはティスタを看ていてくれるのね。……彼はまだ、こんな私たちに協力してくれるのね……」
DM「単なる近所に住んでたおっさんが、二人だけ生き残ったってことで面倒を見てくれてるわけだ。これはとても慈善的な行為だね。特に今日を生きるのも不安な難民生活とあっては、正直あんな“お荷物”を押し付けられたら、たまったもんじゃないだろう」
ソルカー「あぁ、特に俺達を責めることなく受け入れてくれたぜ」
イオ「……え、本当? 全てを知った上で私たちを……?」

 歯切れの悪い四人。

DM「男性陣、はったり。イオは真意看破。“痛いところ突かれて平気な顔していられるか”ってことだね。はったりで勝てれば巧く言い訳して誤魔化せたことになるが……」

 信じ難いことによるペナルティと、そもそも真意看破が高いイオに対して、誰もはったり技能なんて持ってない男性陣が全員揃って勝つどころか一人勝つことすら無理で。
 盛大に対抗ロールで敗北し、「ちょっと怪しい」どころか「完全にバレバレ」となった。

イオ「……どうして、隠してるの? どういうつもり?」
カッセル「い、いやさ! 確かにティスタを廃人にしたのは俺達だよ! だけどさ!」
ソルカー「そうか? 俺達にも責任はあるだろうが、彼女の無謀な行動が状況をより悪化させちまったのも事実なんだぜ?」
ストール「……だがそこまで追い詰めたのは我々だ」
ソルカー「まぁ目の前で揉めたのは悪かったと思うけどよ」
ストール「彼女のことをなんら省みてやれなかったことは罪だよ……」
ソルカー「だからってよ。プロの意見には従うべきだろ?」
イオ「信じらんない……。最初の状況判断を見誤った結果、彼女を巻き込み、追い詰め、心を失わせた発端を作ったのは私よ。それは事実。言い訳はしない。けれど一緒になって追い詰めないまでも、見過ごし、助けようともしなかったのは貴方たち。ソルカーはそうじゃないっていうの?」
ソルカー「だから俺達も悪かったが、ティスタの頑なさにも責任はあるだろってことだよ」
イオ「そこまで追い詰めたのは誰よ!? 私たちだわ!!」


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 眼鏡を取った顔、まだ誰にも見られたこと無いのに! アイツったら。
 ……でも、聞くと仲間の不興を買ってまで助けてくれたそうだし。
 前回に引き続き借りを作ってばかりね。
 変なことさえしなければいい人なのに……。



・カッセル
 都合の悪い事を後回しにしていたツケがここで……。
 イオの言う事は正しい。
 ウトさんに報告する時、私は彼をこれ以上傷つけないためにぼかした表現を使った。
 彼をこれ以上傷つけたくないという気持ちに間違いはない。
 しかし、その時無意識に保身に走ったのだとしたら。
 誰を救うためにウトさんに真実を知らせなかったのか。
 それは本当に人のためなのか?



・イオ
 かつて嘘で人を傷つけたこの私が、人の嘘を責めるのか。
 ティスタを一番傷つけたこの私が、仲間をも責めるのか。

 苦しみ悩みながらも、純粋に一途に生きようとする姿、確固たる信仰。
 それは信念なく生きてきた私にはないものだった。

 なのに……彼らは今、私の前で言葉を濁し、目をそらしている。
 輝ける神の使徒、そんな私の期待やほのかな憧れを彼らは裏切った……。
 それが悔しくてならなかった。



・ストール
 トアスーっ!
 眼鏡を付け外しするお茶目さに噴いた。そして割とノリノリなイオ。
 まさかの主従宣言!?

 いや、恩返すとなるとそのくらい必要……か。



・ソルカー
 彼女を壊した、それらは悪魔の所業でもなんでもない、俺たちだ。
 信頼と共に同行を許可した以上、その結果の責を負わねばならない。

 だが導かれた結果にはいくつもの原因が、流れがある。
 語らずに伏せた、道中でのやり取り。
 そこにはプロとしての当然の疑念と、命を盾にまでして退く事を拒否したティスタの姿があった。
 結果としてたどり着いた今でもあの時生じた疑念が杞憂だったとは思えない、一般人が導き出すにしてはそれほどの奇跡的確率なのだから。

 たしかにウトのおじさんへの説明の時、保身の気持ちがなかったわけじゃあない。
 しかしありのままに語ることに、いったい何の意味があるというのか?

■“赤き森”キャンペーン 第7回(パーティーレベル6) チャプター5

ストール「…………無論だ」
カッセル「で、まぁやっぱ『悪魔扱いして廃人にしました』とかショッキング過ぎるだろ? ウトさんにそれストレートに言っちまうのはさすがに……」
ソルカー「ああ。ここで本当のことを話したって誰も得はしない。謝罪すべきは自分らに落ち度があったこと、それに彼女を守りきれなかった結果についてだけだ」
ストール「……仮に全てを謝罪した場合、余計苦しめることになるかもしれない……」
イオ「じゃあなに? どうショックでどう苦しめるの? アンタ達、どこまで具体的に予想してるの? ショックのあまり頭がおかしくなると思った? 言っておきますけどね、ティスタはウトさんの娘でもなければ親戚でもないの。それが廃人になったからってそこまで絶望なんてしやしないわよ。そりゃあの人凄く面倒見が良くていい人みたいだから、さぞや悲しむでしょうけどね!」
ソルカー「だから余計悲しませる必要はないだろうって話だ」
イオ「それで悪魔に罪を着せました? 聖職者が聞いて呆れるわ! 自分達の犯した罪を悪魔に肩代わりさせるなんてね! 彼女を壊した犯人は私たちって白状して、怒ってもらいましょうよ! 恨まれましょうよ!」
カッセル「だからそれは余計な憎悪を産み出して誰も幸せにはだね?」
イオ「そりゃウトさんは言うでしょうね! 『こうなった責任をとれ』ってね! あーそうか。それが嫌だったんだ? ずっと廃人の面倒なんて看てらんない? そりゃそーよね! そんなお荷物背負込んでらんないか! あはは!」

 
アストリッド「すーすー……」
ストール「…………!! 違う! …………いや、そうだったのかもしれない……私は真実を告げたら悪魔の打倒どころではないことを危惧したのか……私は……私は……!!」
カッセル「…………俺もそうかもしれない…………。正直そんなつもりはなかったけど……今思えば無意識にそうだったことは否定出来ない……」
ソルカー「俺の考えは変わらないぜ。なんでも真実を話せばそれでいいわけじゃない。ゲロっちまえば俺達は楽になれるが、それで誰が得するんだ? それよりも明確に意味がある悪魔退治に全力を傾けるべきだ」
イオ「“優しい嘘”ね……。私も嫌いじゃないつもりだったけど…………もういい。わかったわ。確かに今さら戻るわけにもいかない。……悪魔に対して、他人任せじゃなくて自分達でケジメをつけないと気が収まらない」
ストール「ああ」
カッセル「もちろんだ」
ソルカー「そこは同意だ。奴らにゃ借りが有り過ぎる。ぜってぇに許さねぇ」
イオ「……あとアストリッドに今回のことは話さない。これ以上彼女の宗教嫌いを刺激したら絶対に悪影響が出るわ。毒食らわば皿までよ。……だから彼女とウトさんにすべてを告白するのも帰ってきてから」
ソルカー「それでも俺は反対だぜ」
ストール「……誰も傷付けない嘘か…………私も結論は待たせて欲しい……」
ホヅミ「拙僧もしばらく考えさせて欲しい」
カッセル「うーん。ここまで言われたらウトさんに全部言うしかないよなぁ」
イオ「……いいわよ。これ以上揉めるのも禁止ね。チームワークを失って勝てるほど甘い相手じゃないわ。だから封印。一切触れないこと。……今夜は休みましょう」
カッセル「明日の朝、アストリッドもちゃんと入れて改めて今後の相談だな」


 心を切り替えて作戦会議を開始する皆の衆。
 ここで延々とまた議論が続くわけですよ! ベベベン!!!

A.避難民達を安全な所まで護衛してから、討伐に戻る。
 事情を聞いたトアスが軍にも報告しており、討伐軍が動いている。つまり、それと合流する所まで。
B.避難民の護衛は諦め、即刻討伐に急行する。
 今も他の村が襲われている可能性もあるので、本拠地を衝くことで能動的に守るということ。

 ストールがプランAを強く主張し、ソルカーも村人の為というよりストールに規範を破らせたくないという意味で彼を支持するも、結局多数派のプランBで行こうとなっている。
(と、成り行きを見守ってて思っていたのだが、プレイ終了後にソルカーは『ストールの為だけじゃなくて、自分としても護衛は賛成派だった』と語る)

 パーティーを代表してストールがそれを村長に伝えることに。

ストール「ロートヴァルトまで護衛するつもりであったのだが、我々は仲間達と予想外に早く合流することができました」
DM「うむ。まともなコネがあってすら何日も待たされるのが常なのに、即日だったからな。一月以上早く蘇生が出来てしまったことになる」
ストール「再び奴らの根城を攻撃する体勢が整った。本当に心苦しいのだが、我々は……未だに襲われているであろう村々を救う為。そしてこの根源を絶つ為に、討伐に赴かなければならない。つまり、護衛を続けることが出来なくなってしまった」
 ちなみにこのペースで移動した場合、避難民達が軍隊と合流するには5日ほどかかる見込み。
ストール「しかし村を出てから今日まで、追撃を受けたことはない。ロートヴァルトからは軍がこちらに向かっているそうだ。彼らと合流すれば、安全度はさらに高まる」
村長「聖騎士様のご判断では、もう追撃は無いということなのですか? 絶対に……」
ストール「私はそう思っている」
DM「本心からそう思ってるならOK。思ってないならはったり」
アストリッド「辛いなぁ、ストール……」
ストール「はったり振ります…………オシッ!!」
カッセル「…………ここでダイス目20!!」
村長「わかりました。聖騎士様を信じます。おおおい! 皆の衆! 聖騎士様がもう敵の襲撃は無いと仰しゃられた!! 我々は無事逃げ延びられたのだ!! もう安心してよいぞ!!」

 明るい話題に沸き立つ村人達。だが、予想外の展開に仲間達は驚愕する。

DM「ストール、仲間達のところに戻って来たよ」
ソルカー「ドユコト? ドユコトナノ?」
ストール「我々が彼らと別れて行動するには、こう言うしかなかったんだ」
ソルカー「お前はそれを許せるのか? まぁウトさん相手に同じような嘘吐いた俺が言えたことじゃないかもしれんが……」
ストール「いや、許せない……正直、このまま付いていきたかったんだが……」
 つまり、多数決に屈したが納得していなかったので、土壇場で独断専行してしまったのだ。


カッセル「こうなってしまった以上、1日も早く悪魔を倒すしかないな。それが彼らの安全に繋がる」
ソルカー「そう言って前に風鳴(獣人山賊団)の時も堕ちたわけだが……」
アストリッド「覚悟は買うけど……いいの?」
ストール「奴らに襲われても有効な対抗手段が無い以上、襲われてしまったらどの道助からない。ならば不安に満ちた逃避行より、安心した道のりにしてやりたかったんだ」
カッセル「汚名を被るのは構わないが……その場凌ぎの嘘を吐いてまで……」
イオ「彼らはこれから何の警戒もせずに進んじゃうのよ? もし襲われたら貴方を嘘吐きだと罵って死んでいくのよ?」

 しばらく「聖騎士がそんな嘘吐いていいのか?」という感じで大激論が交わされる。
 が、さすがに見かねて。

DM「ストールのプレイヤーは、別に教義を勘違いしてやったわけじゃない。理解した上での行動なんだ。だから教義の解釈を持ち出して翻意を促すのは間違ってるよ」
ソルカー「……たしかにそれはそうだ。すまなかった」
イオ「それはわかったは。ごめんなさい。けどだからってあんな嘘……。最近嘘吐いてもロクなことにならないのが身に染みてて怖いわ(苦笑)」
アストリッド「真実味が在るわね……(笑)」
イオ「嘘を吐いても楽になるのはその時だけなのよ!!」
ソルカー「ティスタの件と違ってことが大き過ぎるから、今楽になった分、後でもっと苦い思いをするかもしれないぜ?」
イオ「嘘を吐いて簡単に納得させることができちゃったけど……でもこの逃げの代償は必ず自分達に返ってくるわ」
DM「いや、これはそんな軽薄なもんじゃないぞ。逆に重い。村人だけの集団が警戒してようが、どの道襲われたら絶対に助からない状況なわけよ。そこへ『敵が来るかもしれませんが、我々は護衛出来ません』ってぶっちゃけた方が、楽なんだよ。だがストールが嘘を吐いてまで村人達に安堵を与えようとした……その行為に自分の保身なんてまるでないと思うな。自分がすべての責任を負う重さを覚悟した発言だよね?」
ストール「私の言葉で彼らは力強くロートヴァルトへ向かって進んでいった。仮初めだが彼らは少しの希望を手に入れたんだ」
イオ「…………だったらそう言ってよ」
アストリッド「言ってたわよ」
DM「言ってた言ってた」
ソルカー「方便かと思ってた……」
イオ「取ってつけた言い訳かと……」
DM「嘘吐いて自分達が罪悪感を被りたくないから、真実を伝えて村人達に不安感を与えるって行為なんだよね。だから今楽になるのはぶっちゃける方なんだよ。犯した罪を隠蔽したように解釈出来ちゃうティスタの件とは状況が違うというか」
イオ「それを本人の口から言って欲しかったわ……」
DM「いや、俺はストールの言い分聞いててそう察してたんだが(笑)」
イオ「ごめんなさい、全然わからなかったわ……(苦笑)」
DM「綺麗に言葉に出来なくてもさ、そして受け止められなくても、プレイヤーは冒険のプロでも高潔な聖騎士でもないんだから。最終的に通っていれば『実際のキャラクターはキッチリ決めた』でいいじゃないの(笑)」
イオ「嘘……嘘……嘘って深いわ……」
DM「嘘トラウマが(笑)」
イオ「これが正しい嘘の吐き方……なのかしら?」
アストリッド「思い切った嘘吐いたと思うけど、私はこの決断を感心してるわよ。合理的じゃない」
ホヅミ「俺が同じ立場に立たされていたら、きっと同じように行動したと思う」
カッセル「ダメだ! 俺こんなんじゃダメだ! 気合入れないと!!」

 村人達と別れた冒険者達。非情の決断はどのような未来を描くのか!! 続く!!


ストール「もう、進むしかないんだ……」


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 私達は無力ではないわ。だから、私達にしか出来ないこと、やらなければならないことがある。
 経緯はどうあれ、初志貫徹することにしたストールの覚悟は受け止めたわ。当然、私も悪魔相手に引くことは考えていない。
 目的を果たす時が来たのよ。


・カッセル
 目の前にある命と、目の前には無い多くの命。
 二つを天秤にかけた時、私は多くの命が助けられる方を選んだ。
 目の前の人達を助けられなくてなにが正義か。
 襲われると分かっている他の村の人達を助けられなくてなにが正義か。
 自問自答をするも、両方を助けられる答えは出ない……。
 一刻も早く悪魔を倒して、これ以上の被害が出ないようにしなければ。

 ストールには一番つらい役をさせてしまった。
 私が村人を説得したら、いたずらに不安を振りまくだけだっただろう。

 そしてこのチャプターの最後では、PLの落ち込みっぷりも最下層に到達。
 こんなんじゃダメだ。なんとかしないと……。



・イオ
 村の人達は、このままいけば無事に街にたどり着けるかもしれない。
 それならここで別れても、ストールは聖騎士としての罪には問われないかもしれない。 もう悪魔を討つ機会を得るには、それしかないのだ。

 ストールの嘘。
 それは覚悟と決意の断固たる意思だ。
 だけど、それは、聖騎士の正道ではない。

 聖騎士としての力を取り戻すのではなかったの……?
 私はそう、彼を問い詰めた。

 彼の目を見、答えを聞いたとき、私は初めて気付いた。
 目の前の人たちを見捨てることが、聖騎士としてのストールを否定することだったのだ。
 聖騎士たる彼の心を折り、許されざる嘘をつかせてしまったのは私だったのだ……。



・ストール
 多数決がどうであれ、結局、私が彼らを見放す判断を下してしまったのは事実だ。
 それで私が赦されるわけではないが、彼らの道に万難無く、無事ロートヴァルトへたどり着ける事を祈ってやまない……!

 我が神は、この行動をどう思ってらっしゃるのだろう……。



・ソルカー
 聖騎士たるもの、目の前の弱者を守ることは、手の届かない他の弱者を守ることより優先されるべきことではないのか?
 それが正しい聖騎士の道がどうかはわからないが、そうすることで着実に聖騎士復帰への道は開けてゆく、そう俺は考えている。

 今回の場合、手の届かない弱者などではない近隣の村々が、目の前の村人を守ることで消費した時間分だけ被害を受け続けるであろうということは確実。
 そしてこの村人たちのゴールはもう見えている。
 ゆえにアストリッドに言わせれば合理的、まったくその通りではあるのだ。

 やさしい嘘。

 ストールがついたこの嘘は本当に”やさしい”のか。
 この嘘がストールの言うとおり”やさしく”彼らをゴールへ導いてくれる……そうはならないのではないかという不安が離れない……。

■“赤き森”キャンペーン 第7回(パーティーレベル6) チャプター6

DM「村人達と別れて1時間ほど進むと、遥か上空にスピナゴンが飛来し、からかうかのように頭上を何度か旋回した後に村人達の方向へ飛び去っていく」
アストリッド「やっぱり……」
ソルカー「襲いに行くのが見えたわけだが……さて、ストール進むの?」
イオ「今から戻っても絶対に間に合わないけど、瀕死の人を助けるチャンスだけはあるかもしれないわ」
ストール「ならば見捨てられない! 戻ろう!」
 
アストリッド「さっきの覚悟はなんだったのよ……? 私はついていかないわよ? そんな簡単に揺らぐものなの?」

 そしてまた進むか戻るか議論が始まったので……。

DM「はい、この1分計が落ちきるまでに結論出して。出てなかったら多数決で、進む人はそのまま進んだ。戻る人は戻ったことにする。パーティー分離行動ね」

 そして結論が出ない1分後。一斉挙手で意思表示。

 進む人:アストリッド、カッセル、イオ、ホヅミ
 戻る人:ストール、ソルカー

DM「では二人は戻った」
イオ「ちょっ、バカ! しょうがないわね!! 私も引き返します!!」

DM「スピナゴン達は村人達を皆殺しにし、君達が到着するギリギリのところで嘲笑いながら飛び去っていく」
ソルカー「マジで? 生存者を捜します……」
 沈痛な空気。
DM「改めて明言しておくけど、この展開に『バカな行動したプレイヤーに対する懲罰』な意図はまったく無いからね」
ソルカー「これはしょうがないよ」
カッセル「うん、それはわかっている」
ストール「私の…………せいか……」
ソルカー「別にお前のせいじゃないさ。アストリッドが乗り気じゃなかったんだ、どの道対抗策は無かったさ」
ストール「しかし我々が護衛していれば、手痛い反撃を警戒して手出しして来なかったかもしれない……」
DM「そしてストールから癒しの手の能力が失われた……」

 一方、進むことを選んだ三人。廃墟となった村の一つに到着。
DM「野外技能持ちの二人がストールについてっちゃったから、立ち往生中」
カッセル「どの道オレらだけじゃ無理じゃん。どうするよ」
アストリッド「道のり覚えてる?」
カッセル「覚えてない!!」

 夜、戻り組が追い付いて来る。

アストリッド「ストール、貴方はこれからも今回みたいな状況になった時、パーティーとしての決断よりも自分の判断を選んで勝手な行動をするつもりなの? 覚悟してたんじゃなかったの?」

 長い沈黙。

ストール「…………君が言うこともわかる……だが私は弱い人間のようだ……」
アストリッド「そんなことを聞きたいんじゃない。今後どうするかよ」
ストール「彼らを犠牲にしたんだ。もう引き返すことなんて出来ない……だが、救える可能性がある命を見捨てることはできない」
カッセル「仮に天秤にかけたらどっちに?」
ストール「人の命を天秤にかけることなどできない。人を守り、敵を倒す。それが聖騎士だ……」

 アストリッドが非常に釈然としないまま、就寝。


DM「ストールが見張り番の時、突然ティスタが現われる」
ホヅミ「なに!?」
DM「そして立てた人差し指を口の前に立て、手招きする」
イオ「禁則次項です♪」
ホヅミ「誘われている!?」
イオ「ティスタ、只者じゃないと思っていたけれど……」
 この人達は寝てます。
ストール「私の頭はどうかなってしまったのか? ついていきます」
 
DM「一緒に歩いて野営地から少し離れると、彼女はにっこりと笑う。そして」
ティスタ「聖騎士様、わたしと一緒に来て下さい。あの人達と一緒にいては、村の人達は助けられません」
ストール「それはいったい……どういう?」
ティスタ「あの人達は、本気で助けるつもりなんて無いんです」
ストール「君は……ティス……だっ……あっ……がっ……いったい……どういう……いや、だが……そもそもどうやってここに……?」
ティスタ「来て下さるんですか? 下さらないんですか? 来て下されば、村の人たちをもっと助けられます」
アストリッド「昼間のことがあるだけに辛いわぁ……(苦笑)」
ティスタ「でも、ここで来て下されないのならすべてはお終いです。手遅れになります」
ストール「説明してくれないのか……?」
ティスタ「来て下さればわかりますから」

 沈黙。

ティスタ「…………貴方も他の人達と同じだったんですね……」
DM「哀しそうに立ち去ろうとする」
ストール「……わかった、行こう」


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 ストールとの対立は起こるべくして起こったのだと思う。
 事実、常々疑問に思っていたの。
 宗教嫌いの自分が引きずられるように行動を制限され、阻害される……このままではいけない、と。
 人間関係の大事さに気付き始めたと同時に、今回の別行動でその難しさも知ったということかしら。

 残念だけど、全ては救えないのよ、ストール。



・カッセル
 私は多くの命を助ける選択を選んだ。
 つまり、村人を助けるよりも悪魔を殲滅する事を優先したのだ。
 その決意をした以上、悪魔が出た、村人が全滅したと言って引き返す訳にはいかない。
 助けに戻る時間があるなら、その時間を悪魔殲滅にあてる。
 少しでも早く殲滅できれば他の所で助かる人もいるはずだ。
 そう自分に言い聞かせないと私は……。

 村人は全てが終わった後で丁重に埋葬しよう。
 たとえ彼らの魂は地獄に落ちていようと、自己満足であろうと、私は自分の決断の責任を負わねばならない。

 そしてまさかのティスタ出現。
 彼女はいったい……。



・イオ
「今まで敵の襲撃はなかった。無事にたどり着けるかもしれない……」
 自分に都合の良い甘い考えにすがり、自らをも誤魔化してはいなかったか。

 結局……彼らは一人のこらず殺された。
 駆け戻った私が目にした凄惨な光景は私を打ちのめした。
 私が殺したのだ……。

 もう、進むしかないんだ、そう呟いたストールの言葉が今になって私の心にこだまする。
 私は、何もわかっていなかった。



・ストール
 あぁ、そうだ。私は、同じ過ちを犯してしまうところだった。
 今度こそ、彼女を、信じてやらねば……。



・ソルカー
「道中襲撃がなかったのは、残忍な性格のスピナゴンが安全圏ギリギリになってから襲ってくる布石である」
 この理論が話し合いの場で思いついていれば、護衛の線もあったかも……と考えると悔やんでも悔やみきれないぜ……。
 しかし現実は非情である。

 キャラクターの知らぬ間にストールが!
 おいおい一体どこへ行っちまうんだ。