■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター1

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

 ラダラス以外全員落っこちてスシ詰め状態という全滅カウントダウン開始な傭兵隊。
ラダラス「まずはサイレンスを除去する! ディスペル・マジック!!」
DM「ん〜その達成値では音の伝達は再開されなかった」
ランデック「だ、ダメかぁぁぁ……!! 死ぬ!! マジで死ぬ!!」
シアン「攻撃したくてもギュウ詰めで身動きが……」
ブレイズ「くそっ! 呪文さえ使えればバーニング・ハンズで焼き払えるのに!!」
DM「というわけで蜘蛛のターン。ウゾウゾウゾウゾ……シアンはもう服の中どころか穴という穴に蜘蛛が……桜の気持ちがよくわかるシチュエーションだねぇ」
シアン「そっそんなのわかりたくないですよっ!!」
DM「こうして蟲に処女を奪われるのであった……」
シアン「奪われませんからっ!!」
ブレイズ「しかしこのままでは処女どころか命が……」
ランデック「昏倒した……」
ルカ「とにかく声さえ出せれば、クローズ・ウーンズだけでも使う余地があるんだが……!!」
ラダラス「2発目のディスペル・マジック発動! 今度こそ消えろぉぉぉ!!」
DM「2発も持ってきてたの!? スゲェ! 偉い! さすが!!!」
ラダラス「敵が魔法使いの集団と聞いてたから、ウェヴやグリース対策にね」
ブレイズ「頼れるぜ先生!!」
DM「その達成値ならサイレンス消えた!」
シアン「たーすーけーてー」
DM「蜘蛛のターンでまたゾワゾワゾワゾワ……」
ランデック「し、死ぬ! 死ぬ! ヘルプ!!」
ルカ「クローズ・ウーンズ!! …………が、精神集中判定失敗!!」
DM「意気揚々と登攀を試みてあっさり転落した末に死んでしまった……そしてラダラス、聞き耳判定して。…………うん、奥から複数の足音」
ルカ「終わったんじゃこれ……」
ブレイズ「仮に今から上に這い上がっても、こんなズタボロな状態で戦闘は……」
ラダラス「…………そっちに俺も降りる!! こんなこともあろうかとディメンジョン・ドアの高レベル・スクロールを買っておいた! 全員手を繋いでおいてくれ!!」
 複数の対象に効果がある接触呪文は、パーマンの如く手を繋いでおけば端の一人に触るだけで全員に伝達可能です。パワッチ。
ルカ「そ、そうか! ランが死んで物体扱いになれば、人数制限に収まる!!」
 自分の装備可能重量に納まっているのなら、という制限付きですが。
 で、ラダラスが用意してあったディメンジョン・ドアで転移可能なのは、自分を含めて4人までなのです。
シアン「か、担ぎます! 死体!」
ラダラス「あとは俺が落下ダメージで死なないことを祈っててくれよ!」


DM「で、命からがら短距離ワープによる脱出に成功した君達はこれからどうするんだい」
ルカ「不本意だが敗走したことを子爵様に報告せねばなるまい。それにランの迅速な蘇生を願うにも、子爵様の後ろ盾は必要だ」
ラダラス「ここから一番近い蘇生可能な神官がいる街は……」
DM「君達が当初ホームタウンにしていたブレスラウだね。この地方の傭兵達が集う場所だけあって、施設は充実している」
ラダラス「ブレスラウが一番近いな」
シアン「まさかここまでの被害を受けるなんて……少し冷静になって状況を振り返って、これからの対策を考えないと…」
DM「まさかここまでの被害を与えるなんて……少し頭冷やそうか?」
シアン「まずは安全な所までの待避を。それからランの蘇生を急がないと……このような所でみすみす奴らに捕まるわけにはいきません!」
ルカ「いきなり転移したんだ。なんとか追っ手とは遭わずにすみそうだな。……シアン、どこか安全な場所はあるか? やはり城が一番か?」
シアン「ひとまず城に戻りましょう。下手に裏道を選んで奇襲を受けるわけにはいきません……ここは正面から普通に戻りましょう」
ルカ「私としてはなるべく人の多いところは避けたいが……」
ランデック「正面から行こうぜ。人が多い方が向こうも手出しし難いだろ」
ブレイズ「市民を盾にするようなことができるものか」
ルカ「ノイエ・エイファスが私たちを討伐するならば、公衆の面前のほうが都合がよいのではないか」
ランデック「周囲の目が無いような状況なら、際限無く戦力を用意可能だろ。なにせレーダー役の俺がお寝んね……」
DM「つまり今の貴様に発言権は無いということだ(笑)」
ラダラス「正面から帰って、一人死んで帰りました……というのが民衆に知れるのは拙い。これ以上不祥事を広めるわけにはいかん。シアンが子爵様にボコられるだけで済むなら、正面でもいいと思うが」
シアン「私のことは別にいいんですか……」
ラダラス「うむ」
 
 *本当はこのシーンは血まみれの鎧をまとった落ち武者ルックです。
シアン「それではお城の裏から、城壁の兵士の方に声をかけ、ロープを降ろして貰ってはいかがでしょうか」
ランデック「現地に詳しい人が大丈夫と言うなら大丈夫なんだろう。多数決でも決まったし、裏門から行くのに問題は無いぜ」
DM「だからお前は(以下略)。しかし凄いな。シアンの判断力を躊躇うことなく信頼するんだから(笑)」
ルカ「城の裏手とはどうなっているのだ? 普通に裏門とかは無いのか?」
DM「複数の出入り口は城塞の防御力を下げるので、少なくともシュティークロート家の居城には正門しか無いねー。ちなみに街の城壁があり、その中に城がある典型的な城塞都市。外郭の一部に城の裏側が隣接しているから、街の外から城にアプローチは可能」

 結局シアンの意見を支持したのはランデックだけという、モーストデンジャラスコンビのコンビネーションをアピール。当然の結果なのか裏から案は却下され、ルカが提案した「一人が先行して兵士に状況を説明し、馬車を用立てて貰ってそれで残りは入城する」作戦が採択される。

DM「じゃあ残りは城下町を遠くに望む茂みに隠れた」
ルカ「じゃあ行ってくる」
DM「……となると、ズタボロ血まみれなプレートアーマー男が現れたので……」
シアン「ドラクエ2の冒頭のような……」
DM「城門で衛兵の検閲を受ける人達の列がざわつくっていうか、あからさまにビビって道を開けてヒソヒソ話してる」
ランデック「まぁそうだわなぁ(笑)」
シアン「あっという間に衛兵さんが来そうな気が……」
ランデック「よかった。取り次ぎ無しでも兵が来てくれるんだ!」
ブレイズ「あはは(笑)」
ルカ「……なんか全員で来ても状況変わらなかった気がして来た……」
民衆「おい……なんだあれ……(ヒソヒソ)」
民衆「ボロボロじゃないか……なにがあったんだ?(ヒソヒソ)

ルカ「……しまった(焦り)」
衛兵「ど、どうしたんだったい!? 旅の戦勝神の神官戦士殿か!?」
ルカ「ええと……ヤバい。衆人環視ですよね? しまった……目立つなぁ……ええと……うーんと……」
衛兵「まさかノイエ・エイファスに!?」
ブレイズ「そんな話の振り要らないから!?」
ランデック「周りの人に聞かれちゃうじゃん!?」
DM「しかし今この領内はノイエ・エイファスが跋扈する戒厳状態だからなぁ」
ブレイズ「ああ、そうか……」
民衆「そ、そうなのか!?」
ルカ「うううう……」
DM「言い淀んでると、どんどん周囲がその話題でエスカレートしていくね」

 ざわ……ざわ……。

ルカ「うううううう……そ、そのことについて話があるのだ」
民衆「やはりそうなのか!?(ざわ……ざわ……)」
ルカ「ううううう……しまった……」
衛兵「わかりました! 隊長!」
DM「と大声を挙げて隊長を呼ぶ」
ルカ「首でも一つ持って来ればよかったなぁ……倒したぜ!と」
DM「倒してないよ! 顔も見てないよ!!」
ルカ「いや、ランの首を……」

 さらっと酷いことを言うルカであった。

衛兵隊長「ああっ、貴方はシアン様にご同行されていたルカ殿!」
DM「隊長は君のことを覚えていたようだ」
ルカ「んーと……えーと……」
衛兵隊長「さぁとにかく詰め所へ! ここでは人目につきます!!」
DM「まぁもう手遅れ感が盛大に漂ってるが」

衛兵隊長「いったいなにがあったのですか?」
ルカ「実はノイエ・エイファスの隠れ家で激しい戦いがあり……」
ブレイズ「取り繕わなくていいと思うよ?(笑)」
ランデック「こーいう時ルカって結構誇大に報告したがるよねぇ(笑)」
ルカ「ノイエ・エイファスとの戦闘で仲間が死亡したのだ」
ブレイズ「事実だ(笑)」
DM「はったりを振ってくれ(笑) 嘘ではないが、嘘にならない程度に言葉を選んでるかどうかを見抜けるかどうかも、はったりと真意看破の対抗だからね」
ルカ「明らかに都合よく解釈してもらう方向で話したなぁ……えいっ(笑)」
 明らかに戦勝神の教義違反です。イエローカード級の。レッドじゃなくてよかったな。
DM「でまぁ、とりあえず特になにも突っ込まれはしなかった」

 全員苦笑い。

シアン「怖いです……」
ラダラス「事情を察してくれた、と」
DM「それはわからないが(笑)」
 街の門を任される有能な衛兵隊長なので、真意看破技能は当然高いです。
ルカ「というわけでこれ以上目立たないためにも、馬車を用立ててくれると助かるのだが」
衛兵隊長「なるほど……これをさらに煽るのは得策ではありませんな」
DM「と、ざわつきまくってる外の様子を見ながら(笑)」
衛兵隊長「それでしたら兵士の装備を人数分と馬を用意しますので、それで時間を置いて一人一人伝令の兵を装って入られた方が目立ちますまい」

 というわけで、兵と入れ代わって一人ずつ城下町に入る作戦を開始し……。

DM「最初に入ったの誰?」
シアン「私ですね」
DM「じゃあお父様に呼び出されるね。至急来やがれと。皆さんは肝を冷やしつつ成り行きを見守って下さい」
ランデック「こええええ!?」
ブレイズ「あれ? これ最初に帰したの間違えたか!?」
ルカ「俺はこの順番に異議を唱えたかったんだが……」

 敵の姿を見ることもなく壊滅しました! それを報告するシアンの運命は! 続く!


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 キャー! さすがはラダラス先生。
「こんな事もあろうかと」なんて選ばれた者のみが言える言葉ですぜ!
 本当に全滅しなくて良かった……。

 そして城門前での泥沼なやり取り。
 人の噂は尾ひれがつく所か、ポケモン超進化の勢いだからなぁ。
 今ごろ「ノイエ・エイファスが変形合体する巨大ロボットに乗って攻めてくる」位の噂になってるかも。
 ルカの“首”発言は……。多分プレイヤー発言でしょう(苦笑
 キャラがそんな事を言ってると神の寵愛を失うぞ(笑

 あ、ポケモンの正解はポリエモンと言う事で一つ(違



・ブレイズ
 最初に飛び込んだので威張れはしないが、まさか皆落ちてくるとは……。
 特にシアンとラン!デンジャラスパワー・プラス&マイナスで引き合うのはやめてくれ! ランの死も致し方なしと思ってしまうじゃないか。
 しかも死してなお、意見の一致(笑)

 ルカの辛さはわかる! 任せてしまって悪かった。



・シアン
 なんとか全滅は回避できましたが……それでも酷い被害には変わりありません。
 それにしても、裏口の案、そんなにダメだったですかねぇ?
 まぁ、まさか正面から行った場合、あそこまで大事になるなんて誰も予想してなかったですけど……。
 ……え、お父様が呼んでいる?「すぐ来い」?
 どうやら、どっちに転んでも私のは大事になっていたようですね……。



・ルカ
 血まみれで街頭に出現!
「きっと自分はひどい有様だから、着替えておかなきゃなきゃいけないな」と気づいてはいたのだ。だが、あれこれ方策を考えているうちに失念してしまった……。
 動揺する自分に対して的確な対処をしてくれた隊長には感謝しなくては。

 だが、そのように彼を頼って落ちのびてきたにもかかわらず、彼に虚偽に近い報告を行ったことは、彼を信用しない恥ずべき行いであった。
 たとえ戦いに敗れても、自らに誇りを失ってはならなかったのだ。
 神よ、我が不徳をここに懺悔いたします。

■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター2

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

DM「駆け抜けていく〜駆け抜けていく〜シアンと〜ランデック〜♪」
ランデック「俺も一緒か。大丈夫。君は一人じゃない!(シアンのプレイヤーの肩に手を置きつつ)」
シアン「でも死んでるじゃないですか!」
DM「じゃあ謁見の間に通されるわけだが……」
ランデック「……シアンとランって一番ヤバい組み合わせなんじゃ……」
DM「俺には聞こえる……災いの二重奏が……」
ラダラス「うははは」
ルカ「今さらなにわかり切ったことを言っているんだ」
DM「そりゃ拍手でもシアンとランデックは最凶のツートップって言われるわ」
ブレイズ「(深く頷く)」
ランデック「ツートップなんて称号いらねーよ!?」
ブレイズ「いらねーよは俺達が思ってるよ!(笑)」
ランデック「トップレスだけで十分だよまったくもう!!」

 ……笑うどころか完全にスルー。

DM「まぁヤバいもなにもお前は死んでるからなにもできないってか。で、通されるよ」
ルカ「怒られたら俺のせいだからごめんね……」
シアン「謝られた!?」

エーバーハルト「…………状況報告を聞こうか」
シアン「まずは情報通りアメルハウザー領に向かい、宿屋で情報収集したところ……えーと、荷馬車の後を追跡したのですが、有力な情報は掴めず。しかしその後何者かの情報によりノイエ・エイフェスのアジトと思われる地図が発見され……」
エーバーハルト「何者か?」
シアン「はい……多分……好意的な方の……」
エーバーハルト「ほう……好意的な協力者か」
シアン「おそらくは。宿屋の一室に情報が残されていました」
エーバーハルト「ほう……(苦笑)」
ルカ「鼻で笑われた!?」
エーバーハルト「話を続けろ」
ラダラス「胃が痛くなってくるな……」
シアン「それで、その……地図の場所に向かったところ……ええと……あきらかにアジトと思われる場所を発見し、中に進んだところ……えーとその……」
エーバーハルト「有力な情報とやらは確かだったのだな?」
シアン「洞窟の中を探索したところ……入口に罠が仕掛けられておりまして……ええ……それに……見事にハマッてしまいまして……
ランデック「目を逸らした!?(笑)」
エーバーハルト「ほう……どのような巧妙な罠が仕掛けてあったのだ?」
ブレイズ「お父さん、ハードル上げないで!?(笑)」
シアン「それが……急激に足元が消失し、穴に落とされまして……。かなりの高度を落ちた挙げ句、底には蜘蛛の大群が……」
エーバーハルト「ほう……」
シアン「しかも……サイレンスの魔法がかけられた厳重な罠でありまして……そこにあの……次々と仲間が飛び込みまして……」
DM「なにを言ってるかわからねぇ!?(笑)」
ブレイズ「繋がってないよね!? 厳重な罠なので仲間が次々と飛び込むって(笑)」
エーバーハルト「どういうことだ? 次々と落ちていったのか?」
シアン「皆さん私を心配して助けに来てくれたのですが……皆さん結局そのまま蜘蛛とサイレンスの二重の罠により……残念ながらランデックを守ることができませんでした……その後どうにかディメンジョン・ドアで脱出し、現在に至ります……」
エーバーハルト「落とし穴に次々と仲間がハマり、一瞬で潰滅したと?」
シアン「結果的にそれが事実となります……否定のしようもございません……」
エーバーハルト「いったい貴様達は……」

 ここからはロールプレイっていうか、普通にプレイヤーレベルでの「敗因説明」みたくなり、微妙にグダグダなので割愛。

DM「結果的に、君達が一瞬で潰滅するほどの巧妙で凶悪な罠を仕掛け、極めて強固な迎撃体制を敷いていたと解釈された(笑)」
シアン「入口は魔法の警報で監視され、中には相当数の敵がいると思われます……!」
ランデック「まぁ大人数の足音聞こえたしなぁ……(笑)」
DM(1、2、3、4、5、たくさん?)
シアン「さらには街中でも我々を監視しているようで……」
エーバーハルト「この街でもお前達の醜態をその都度喧伝しているからな」
シアン「このままでは引き下がれません! なんとか奴らに一矢報いたい気分でございます!」
全員「気分!?(笑)」
シアン「気分て言っちゃった!! しまった!!」
ルカ「一矢報いるってのも負けるの前提か(笑)」
エーバーハルト「強力な罠にどう立ち向かうのだ? 今の仲間の手には負えないのだろう?」
シアン「いや……その……彼とて毎日無能というわけでは……」
ランデック「無能発言きた!!」
DM「シアンは思った。そういえばランデックがまともに罠を外しているところを見たことがない……」

 本当です。

エーバーハルト「信頼の問題ではない。具体的にどう対抗するつもりなのだ?」
 
シアン「まずは……足元の確認から……」

 全員爆笑。
 で、レポに書くとまるまるもう1回分くらいかかる上に、その内容自体は単なる「前回のレポ読みゃわかることの再確認」な問い詰めが展開され、ようやく「次はしくじるなよ」ってな感じで解放されるのであった。

 あ、でもシアンの見せ場ダイジェストはしておきます。その後仲間も呼ばれて……。

エーバーハルト「あ奴が言うには、好意的な協力者の情報を得たので……とあるが、貴様達も同様の認識なのか?」
ブレイズ「いえ、罠に違いないと」
ラダラス「ええ。それは覚悟の上での強襲でした」
ルカ「そのとおりです」
シアン「……ひどいです(ルカを見ながら)」
ルカ「えええ!?」
シアン「呼び掛けに応えてくれたんだって言ってたじゃないですか!?」
ルカ「あれ本気にとってたのかお前? そうだったらいいなぁ、という儚い願望だよ!?」
シアン「…………そんなぁ(´・ω・`)」
DM「なんだその可愛いリアクションは(笑)」

 はたまた。

エーバーハルト「敵の姿を見もしない内に剣と盾を奪われたということか……」
シアン「いえ! あれは奪われたのではありません!! 単に落として来ただけです!!」
エーバーハルト「こっちに来い」
シアン「ひぃ!? は、はい……(ビクビク)」
 
DM「当然ボコボコにされた」
エーバーハルト「お前は家紋を背負いし騎士の武具の重さをまるで理解していない!!」

 念の為に言っておきますが、プレイヤーは敢えておちょくったロールプレイをしているわけではなく、あくまで本気です! 続く!


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 この謁見の間には、「しどろもどろの罠」もしくは「目をそらす罠」があるに違いない!
 なぜなら一度もパパに「つつがない報告」ができていないから!
 毎回怒られるだけの戦果しか無いんだから仕方ないんだけど。
 そして今回の怒られる原因は正にオレ!
 だからオレも目をそらす! 死んでるから謝れないし、パパが怖いもん!

 みんな、思い出して欲しい。オレの今までの活躍を。
 オレだって無能じゃないはずだ!
 いち早く敵を見つけ、みなに注意を促して危機を救ってきたではないか!
 矢で敵をスナイプして仲間を援護してきたではないか!(矢で戦況を変えた記憶は無いけど)
 ただちょーっとだけ、罠を外したり落とし穴を見破ったりするのが苦手なだけだ(オイ
 人にはそれぞれ得手不得手がある。
 オレは不得手が致命的な所だっただけさ……。(←上手くまとめたつもり



・ブレイズ
 もはや恒例になりつつある、恐怖の報告タイム(笑)
 しかし、気分て……。
 シアンよ、お父上を前にしての数々の失言。尊敬の念すら覚え始めたぞ!
 だが、ランも無能扱いされては……えー、されては……いや、されても仕方ないか(えー

 とにかく、我々は罠だとは気づいていたわけだ。次行ってみよう!



・シアン
 お父様にはまた叱られてしまいました。しかし、すべては私の不注意が故ですし……。
 まぁ、何度か口を滑らせて余計なことを言った気もしますが……。
 ともかく、このままでは終われません!



・ルカ
 報告というものはその者の主観でこうも違うものになるのだな。
 彼女の経過を聞いていると、自分たちがどれだけのことをしでかしたのか不安に駆られるよ……。

 ところでシアン、どうして君は毎回そんなにボコボコにされるような言動を……。

 あぁ、ついでにランよ、お前は本当にしんでいるのかと小一時間。
 実に生き生きとしていないか?(笑)

■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター3

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

シアン「とりあえず私の部屋で今後の予定を話し合いましょう」
ランデック「おおっ。貴族のお姫様の部屋か! 楽しみだな!」
DM「まぁお前死体だけどな。というわけで自分の部屋に入ると……家具……というか部屋になにもない」
シアン「なにもない!?」
 
DM「赤貧洗うが如しというか。ぽつんとしあん箱だけあったりしてな」
シアン「え……え……ええう!?」
ルカ「賠償金の為に全部売り飛ばされたってことか……」
ラダラス「とうとうお父さんの堪忍袋の緒が切れたか……見限られたか」
シアン「空っぽ……(がっくりと超うなだれる)」
ルカ「しかしこのタイミングでか。シアンの帰りを待って売ったのか、シアンに会って呆れて売ったのか……」
DM「ボコボコにされてる間じゃねぇの(笑)」
シアン「……はぁ。……何時までもショックを受けているわけにも行きませんね。とりあえず、まずはランの蘇生をしにいかないとですね」
ウーィアン「シアン切り替え早いな、それでいいのか? 話早くていいけど」
ルカ「まず、つては大丈夫なのか?」
シアン「そうですね……やはりブレスラウの守護神殿が一番確実かと。幸いここからも近い方ですし」
ルカ「となると、資金だな。皆も承知の通り、ランは裸一貫の身。かといって我々にも金はない。また身銭を切って貰うことになる」
ラダラス「残念だけど前回の供出で全部だ、財産はあとは呪文書くらいしか……」
シアン「今回の件は私の不注意が原因です。私の鎧だけ特別扱いなど出来ません。当然使ってください」
ブレイズ「俺は、剣と鎧を売ろう。前回は大したことをしていないからな。それと、師匠譲りの護符は残したいのだが……そうもいかないか?」
ルカ「それに私が売る重鎧を加えて全部か。……やはり護符まで全てを売り払ってぎりぎり、だな」
ブレイズ「そうか、そうだな。ランが必要だと頭ではわかってはいるのだが……、やるせないな」
シアン「待ってください。まだ出せるものがあります。男爵から渡された銀貨2000枚。あれを使えば、護符を売らなくてすみませんか?」
ブレイズ「シアン、お前!」
ルカ「よかった、忘れてなかった(笑) 確かにその銀貨2000枚があれば、護符を売らなくても蘇生はできる。ただまぁ、代替品や補給は駆け出し冒険者並みのものだが」
シアン「忘れてません! ……いいんです。今までは不本意な上、皆さんを巻き込むまいと、手を出さないでいましたが……。自分がどれだけ思い上がっていたかをお父様から教えられました」
ブレイズ「思い上がっていたんなら丁度良かったよ!」
シアン「だからこそ、私の最大限の力を持って、今度こそ皆を守りたいと思います。このお金は、私が私の為に使います……私の大切な仲間を助ける為に」
ルカ「そうだな、事ここに至ってはそれに反対する理由もない」
シアン「私が使うように渡されたお金を、私がどう使っても周りが咎められることは無い、そうですよね、ルカ」
ルカ「……ん? ……え?」
DM「意訳すると、『周りも関係ある!』と言われて迷惑かけても貴方がそう言ったからですからね? ということか(笑)」
ルカ「いや、関係あるに決まってる! ……というか、シアンにそんなことは言ってない!」
シアン「え!? この前『このお金で買い物したって、お金を受け取った店の人間まで問い詰められることは無い』って教えてくれたじゃないですか! ルカはそう言ってましたよね、ブレイズ?」
ブレイズ「それとこれとは違うだろ!」
ルカ「えーと、確認させてくれ。シアンが自分の意思で、自分のために仲間の蘇生費にあてた。だから、仲間である俺たちを巻き込むことにはならない。……そういう主張なんだよな?」
シアン「……そう、ですね。そうです、そういう意味ですね」
ルカ「あれはだな……、シアンが蘇生費用としてあの銀貨2000枚を司祭に払ったとしよう。だからといって『私がシアンに渡したその金を受け取ったのなら、さぁ俺の言うことを聞け!』とショイフェーレ男爵が司祭を脅したりはしない、って程度の話だっただろう」
シアン「あ〜……、あれってそういう意味だったんですか……。完全に勘違いしてました」
ブレイズ「それに、大分前から思いっ切り巻き込まれてるけどな(笑)」
ルカ「あぁ、子爵様の命でショイフェーレ男爵への協力が決まったときから……いや、シアンが銀貨2000枚を受け取ったときからか。我らはとっくに一蓮托生だったわけだ」
シアン「そうでしたね……すみません。でも、ありがとうございます。それでも一緒にいてくれて……」
ブレイズ「一蓮托生って言ってるだろ(笑) 誰もお前の為とは言ってないからな!」
シアン「うぅ……。まだこの間から手厳しいままなんですね……」
ルカ「まぁ、ショイフェーレ男爵に協力すると決めた以上、この銀貨2000枚を使わない理由はなくなっているわけだ。……もっと早くこの考えに至っていれば展開も変わったかもなぁ(笑)」
ラダラス「やっと銀貨2000枚を使うことを決めたか(笑) ……とっとと使おう」
 
シアン「というわけで、使うことにします!」
ルカ「うむ、これは皆の総意だ」

 ザ・ワールド!!

DM「まぁその銀貨2000枚は捨てた背負い袋の中だから、剣や盾諸共、洞窟の落とし穴の底に放置されているわけだが(笑)」

 そして時は動き出す。

シアン「えっ!? ……え〜と……あ〜……えーーっ!」
ルカ「あー……そうか、背負い袋は松明を出すときに床におろしたんだっけ……。確かに拾った記憶はないなぁ……。で、財布ってそもそもどこに入れてるんだ?」
シアン「特に意識してないですね」
ルカ「まぁ、俺もそうだが……。となると、特別に宣言がない以上は、背負い袋に入ってるとするのが原則だよなぁ……。そんな大金を腰に下げておいたことにされ、盗まれたりしたらかなわない。うーむ……! ではシアン、その銀貨2000枚、ここに、加えてくれ……さぁ(笑)」
ブレイズ「そうだよ(笑) あるというなら出してくれ!」
シアン「え〜と……その〜……ごめんなさい、さっきまでの話は無かったことに……(目を背けて)」
ルカ「シーアーンー? (じとー)」
シアン「こ、これだから落とし穴は嫌いなんですー!!」
ブレイズ「誰のせいで落ちたと思っている!」
ルカ「そりゃ、スカウトであるランのせいだろうが(笑)」
ラダラス「フォローの余地もない(笑)」
ランデック「何故かランはピクンビクンと痙攣してます(笑)」
ブレイズ「死体が動くな! いや、ここはそれよりシアンを睨もう。俺には好んで落ちて行ったようにも見えたぞ(笑) ランは当然としても」
ルカ「つまり、シアンはランのためにはやはり金を出したくないと。嫌いな落とし穴を見つけられなかったランが憎いということか?」
シアン「いえいえ、どうしてそういう話になるんですか!? 別に毎度毎度好き好んで戦線離脱したいわけでも、お金を出し渋っているわけでもありませんよ……」
ルカ「ガイダンスの呪文のボーナスを足し忘れで落ちたのも事実。そこをブレイズは怒ってるわけだ(笑) さて、このままじゃ話が進まないな……こちらから聞こう。シアン、何故銀貨2000枚の件を撤回したのだ?」
シアン「……あれ? ひょっとして銀貨落としてきた件、私から説明しなきゃダメって事ですか!? さっきの突っ込みでもう皆知ってるものだと……」
ルカ「そりゃ、プレイヤーは知ってはいるが、きちんとシアンの口から説明して貰わないとな。銀貨2000枚はあるって前提で話してきたんだし」
シアン「あの、ですね……非常に言いにくいのですが……あの穴のゴタゴタで背負い袋捨ててきちゃったじゃないですか。その時……財布、一緒に落としてきちゃいました……。当然、袋に入れていた銀貨2000枚も一緒に……」
ブレイズ「な……いや、わかった。もういい。俺もお人好しだな、期待していたなんて……」
ルカ「後で取りにいけば実は残ってるとかは……」
DM「本気で残ってると期待しちゃうキャラなの、君は(笑)」
ルカ「そうだよなぁ……。ということはだ、銀貨2000枚、実際には嵩を減らして金貨20枚にしてあったのだが。そんな大金が、ノイエ・エイファスの手に渡ってしまったことになる。こちらのほうがよほど大問題だ」
ブレイズ「いかん! それは失態にも程がある。自分のことばかり考えている場合じゃないな……って、どうするんだ、シアン!」
シアン「大丈夫です! 武器もお金も奪われた物資も、皆まとめて取り返しに行けばいいだけです! お、落とし穴さえ引っかからなければ賊なんてなんて事無い……と思いますから!」
ラダラス「武器もお金も奪われた我々で取り返せるのか?」
ルカ「騎士に支度金を渡したと思ったら、いつのまにか反政府テロ組織の活動資金になっていた。ショイフェーレ男爵も、シアンの恐ろしさの片鱗を味わったことだろう……」
シアン「人を恐怖の大魔王か何かのように言うのはやめてください……」
ルカ「今更だが、ショイフェーレ男爵に家をあげて協力すると決めた以上、あの銀貨2000枚、使わない理由はもう無くなっていたんだな。最初から今回の任務ために使っていれば状況は変わっていただろうに、結果として準備を怠って失敗したこの責は重いな……」
シアン「うぅ……、良かれと思ってした事がいつも大事になっている気がします……」
ルカ「“取り返せばいい”か……俺はどうしてもその一言で片づける気にはなれないのだよ。世の中には取り返しのつくことと、付かないこととがあることを、ここ最近立て続けに思い知らされてる身としてはな。……少なくとも俺はお前の切り替えの早さについていけてるとは思わないでおいてくれ」
ブレイズ「まったくだ。追い付こうにも穴の底ばかりにいるから無理だしな(笑)」
シアン「ま、まだその話を引っ張るんですか。ですから別に掌返したわけでは……。いえ、そのように聞こえるよう発言した私が悪いんですね……」
ルカ「そんな話を今更持ち出したわけではない。……ブレイズも茶化すな。まじめな話だ。度々重ねる失敗を、次取り返せばいいと、前向きに捉える姿勢、それはシアンの長所かもしれない。だが、私にはそれが浅慮な行動、責任の無自覚に繋がっているのではないかと思えるのだよ」
シアン「それこそ、別に好き好んで浅慮な行動をとっているつもりじゃないんですけどねぇ……」
ルカ「当たり前だ! 俺は、そうやって失敗を省み、恥じることがないから、おまえはそんなんなんだと、言っているのだ! そう言って立ち上がり、部屋を出ます。……すまないがブレイズ、護符も売らねばなるまい。後は頼む」

 ちなみに未だにエーバーハルトはこの銀貨2000枚の存在を報告されてません。そして下記プレイヤーズコメントで「終了宣言」しているメンバーとなると……! 続く!


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 銀貨2000枚完結編。
 久しぶりだよ、こんな完璧なザ・ワールド空間は!(爆笑
 まさか銀貨がテロリストの手に渡ってしまうとは。
 やはりこの傭兵隊には神が降臨しているのか? 多分ネタ神だけど。
 神ならぬ我が身ではこんな結末はまったく予想できず……。

 そして、こんな失敗続きのオレにみんなはまだ復活資金を出してくれると言う。
 ありがたい。本当にありがたい。
 せめてその復活資金に見合うだけの行動を示さねば。
 しかし、師匠譲りの護符、騎士の鎧、神官の鎧……。
 売られた物は全てプライスレスな物ばかり。
 誰からプレッシャーをかけられる訳ではないが、これは重い……。



・ブレイズ
 シアン! 前言撤回だ。やはり尊敬の念は抱けん。
 俺も報告タイム(笑)などと言っている場合では無かった。期待してしまった自分も悪いしな。
 師匠、仲間を救うため、頂いた守りの護符を売ることお許しください……。



・シアン
 色々揉め事の種になった銀貨2000枚の問題が、このような形で幕を閉じるなんて……。
 盗まれたり無くさないように袋の中に仕舞いこんだことが仇になるとは。
 おまけにルカの機嫌は悪くなる一方……。
 そして部屋には何もなし……うぅ、これからどうなることやら……。



・ルカ
 なにひとつ戦果をあげることなく、あまりに大きな失策。
 もはや、この大敗をなかったことにできるほどの挽回などできようはずもない。

 シアン、今更失敗を悔いても詮無いことだとでもいうのか?
 自分の立場と行動、その結果の責任を自覚し、過ちから学ばねば我々はマシにはなれない。
 根幹からすべてがずれているシアンとの問答……なぜわかってもらえない。

■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター4

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

 片っ端から装備を売り払い、駆け出しパーティー程度の装備に落込んだ傭兵隊。
 かつてはAC25の重装甲を誇ったシアンもヘヴィ・プレート・アーマー+1がチェインメイルになり、エクストリーム・シールドはヘヴィ・シールドに。これではクラス能力や特技による増加分を加えてもAC19。未だにパーティートップのAC(機動戦闘中のランデックと同等)ではあるが、盾役としては甚だ心もとない。変わらぬHPが最後の砦。
 同様にヘヴィ・プレート・アーマー+1を手放したルカに至っては、AC20が一気にスタッド・レザーにまで凋落し、まさかのAC13。コボルドやゴブリンと同レベルのACである。

シアン「お父様、ただいまブレスラウより帰還しました」
エーバーハルト「よくぞ帰って来れたな」
ルカ「う、きつっ……」
ブレイズ「お父様の表情はどんな感じでしょう……?」
DM「とりあえず平静っぽいけど……真意看破でもしてみるかい(笑)」
シアン「怖いんでやめておきましょうよ……」
ブレイズ「うう、得意じゃないんだよな俺も……(とルカを見ます)」
ルカ「いや、振るまでもないだろ(笑) さ、いつまでも顔色なんて伺ってないで、シアンは報告を続けてくれ」
シアン「あぁ、はい……え〜……蘇生費用捻出の為、やむなく装備が……その、身軽になりましたが……全員、無事でございます」
 今は正装中だけど、鎧はGENさんが描いてた軽装モードみたいなことになっている。まぁ胸甲その他の金属に見えるところは革製だろうが(笑)
ルカ「どうしておまえは火に油を注ぐような、挨拶を(笑)」
ランデック「すごいボカして報告してる(笑)」
エーバーハルト「無事、か……。その言葉、相違ないな?」
シアン「え? ……は、はい。道中、野盗や魔物との遭遇も無く、ランデックも無事蘇生できましたが……」
エーバーハルト「身軽になった、か……。貴様にとってシュティークロートの紋章が刻まれた鎧を手放したことは、その程度のことでしかないというのだな……」
シアン「あ……し、しかし仲間を助けるためには自分だけ何も売らないわけには……でも、騎士として家名を軽んじるわけには……しかし、そもそも、自分の至らなさが原因だし……ブツブツ……」
エーバーハルト「貴様が日頃如何様に家名を重んじていたのか、ぜひとも聞いておきたいところだな。どうだ、お前達。そこな騎士はシュティークロートの名を尊んでいたか? 伝統というものが一朝一夕に成し得ないこと。一度失えばそれを取り戻すのに、幾倍もの働きが必要なこと……理解しているようであったか?」
ルカ「『私のことはともかく、家を愚弄するのは許さない』彼女が失言により嘲笑を浴びたときに発した言葉です。家名を尊ぶということこそ理解していても、自らがその伝統を背負っているという自覚に欠けるのではないか。僭越ながら、そのように窘めたことがありました」
エーバーハルト「敵に騎士の武具を奪われたことを厚顔無恥にも“置いてきただけ”と言ってのけたのだ。此度の件に関しても“自分の所有物を売る”程度の認識でしかなかったか……」
ブレイズ「むう……仲間のためではあったのだが。フォローできん」
ラダラス「武具は生命線だしな。状況はわかってるが、簡単に“置いてきただけ”や“身軽になった”とか言われるとフォローできない」
シアン「好きで武具を乱雑に扱っているわけでは……しかし、そうせざる得ない状況になってしまうのは私が未熟な訳ですから……うぅ……」
エーバーハルト「お前が未熟なことくらい、この場にいる誰もが知っている! 何度も言うな! 今私が問うているのは、騎士の鎧を売り渡したことを“身軽になった”なぞと言えるその軽薄さのいったいどこに、家名を背負う騎士としての誇りがあるか、だ! …………どうだ。いっそもっと身軽になってみるか?」
シアン「ひぃ! どうなるか考えたくないので、謹んで辞退しますー! はぁ……『鎧売っちゃいました』なんてすぐに言えないから、遠回しに言おうとしたら、またこんなことに……口は災いの元、口は災いの元……」
エーバーハルト「…………!!」
DM「物凄い勢いでシアンに向けて近寄り……っていうかもう躍りかかり、胸ぐらを掴んで殴った殴った殴った。ひょっとしなくても片手オラオラ状態」
 
DM「最後はドレスが破けて吹っ飛んで、いつからそうだったのかも判らないが、明らかに気絶している」
エーバーハルト「目が覚めたらこれを読ませておけ。そして任務を果たすまで帰るな」
DM「と、数枚の紙束を恐らく唖然と固まってるであろう仲間達に差し出す」
ランデック「怖ぇ! 気絶とはスパルタ過ぎるぜ」
ルカ「受け取った紙束をチラッと見よう……」
DM「ただ名前が羅列されてるね」
ルカ「で、わかりましたと」
ランデック「シアンの部屋に移動しようか?」
ルカ「まぁ城にいるんだからなぁ……とりあえずシアンを……」
ランデック「シアンを引きずって……」
シアン「引きずって!?」
ルカ「酷いな(笑)」
ランデック「なんならおぶっていこうか!?(スケベな笑いを浮かべながら)」
ルカ「じゃあ頼む」
ランデック「下心丸見えだけどいいの?(笑)」
DM「今ドレス破けてるから丸出しだな」
ランデック「背中に胸の感触を感じながら……(ニヤニヤ)」
DM「……わかった」
ルカ「今鎧は着てる?」
DM「だからオッパイポロンだつってんだろ!」
ブレイズ「マントを被せてやろう」
ランデック「じゃあそれで」
ルカ「失礼致します。任務を果たすまで戻って参りません」
ブレイズ「ハードル上げちゃった?(笑)」
ルカ「だってそう言われたじゃん!? なに言ってんのよ!!」
DM「間違いなくそう言っていたな(笑)」
ルカ「ではどこに移動しようか?」
ブレイズ「我々が知っているのはシアンの部屋しかない」
ルカ「あとは救護室でもあればそこに連れていってもいいのかもしれない」
ブレイズ「まずはキュアかければいいんじゃないか?」
ルカ「ええ? キュアかけるの?(嫌そう)」
シアン「じーっ……(・_・)」
 口に出して言ってます。
ルカ「痛みを感じるべきだろう? ベッドで寝かせておけばその内起きるよ」
ブレイズ「それもそうか……」
ルカ「俺はかけないよ」
ラダラス「まぁそのベッドが部屋にあればだけどな」
 しあん箱しか無い。
ルカ「だから救護室みたいなの借りられるなら、それでいいし」
ブレイズ「そうだな……」
ランデック「部屋の中で寝袋出して寝るのもなぁ……」
DM「と、子爵の目の前でグダグダしていると……」
エーバーハルト「モタモタせずに、この城から出て行け!」
ブレイズ「失礼しました……!」
ルカ「我々も怒られてたんだな……」
キートン山田「当たり前である」
ラダラス「肩身狭いなぁ……」
ルカ「とりあえずじゃあ行くぞ! シアンの荷物は……」
ブレイズ「俺が持つか……重いんだけどな……」
ルカ「とっととシアンの部屋で回収して出発しよう」
ランデック「じゃあ宿屋まで行きましょう。でもって着きました、と」
DM「(おいおい……)城下町の宿屋に? 行くのね?」
ルカ「このまま気絶したシアンを連れて宿屋まで歩くのも厄介なことになりそうだな……ダメだ、キュアをかけてやろう」
ブレイズ「随分渋ったねぇ……(笑)」
DM「まぁこんなのおぶって歩いたら目立ちまくりだな(笑)」
ルカ「やはり自分で歩いて出てもらおう。荷物も自分で持ってな」
ランデック「別に……着替えさせてもいいのよ?(ニヤニヤ)」
DM「ルカはこのスカウト(笑)を殴ってもいいんじゃないか?」
ランデック「ハハハ! ヤバい(笑)」
ブレイズ「抵抗出来ない女に対するねぇ……」
ルカ「……ラン?」
ブレイズ「俺もちょっと手がパリパリと……」
ランデック「ヤバい!?(笑)」
ブレイズ「握手しようか?」
ランデック「今握手出来ない! 背負ってるから!」
DM「シャイニングフィンガーしてやれよ」
ランデック「顔は死んじゃうよ!!」
ルカ「それ以上悪ノリするようなら、俺の堪忍袋の緒が切れるぞ?」
ランデック「軽口はよしておこう……」
DM「ていうかね。自分を蘇生するために鎧を売ってくれた仲間に対して、あの仕打ち(セクハラ)だからね?」
ランデック「ああそうか。そー言われてみればそうだ」
ルカ「やはりクビにするんだったか……」
ランデック「いやすまなかった。軽口が過ぎた」
ラダラス「海よりも深く反省しろ」
DM「元はといえば誰のせいでこうなったと思っているんだ。原因を考えれば、お前が死んだのは自分が達成値の足し算間違えて捜索失敗した上に、自分の能力過信……いや誤解して『アイキャンフラァァァァイ!』で転落したからで。その不始末をフォローする為に、シアンやルカは鎧、ブレイズは師匠からの授かり物である護符を売ってくれてるってことを肝に銘じておいたほうがいいぞ」
 キャラクター目線としても「なんでこれに気付けないんだ?」ってレベルの罠。テイク10していれば容易に見つけられる目標値である。
ルカ「そう。前々から思っていたんだが、今後仲間としてやっていくには疑問を持たざるをえない言動であったな」
ブレイズ「たしかにな……」
ランデック「ヤバい……」
ルカ「腕も駄目だし。性格も駄目だから」
ランデック「なに!?」
ブレイズ「何がいいんだ?」
ランデック「今回のことはとても感謝している! ありがとう!」

 今の流れでは、この感謝の言葉さえどこか上滑りしていく。続く!


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 むぅ。頭の中から「仲間が重要な装備を売った」というのが抜けてた。
 いくらなんでもふざけ過ぎた。オレが悪かった。
 三人が怒るのも当然だ。
 これではまったくシアンを責められないな……。
 むしろ、仲間に対してはシアンよりも酷いことをしているかも知れん。


DM「そもそも『重要な装備を売った』ことに関係無くだな。単純に『生き返らせてくれた』だけでも誠心誠意の感謝をして当然だと思うぞ。日頃から大活躍でもなければ、代えの利かない“えらばれし伝説の勇者の末裔”でもあるまいし」


・ブレイズ
 貴族として背負うべきもの。俺とて理解しているわけではないが、それでもお前の発言はどうかと思うぞ、シアン!
 ところで、ラン。お前もどこまで落ちて行くつもりだ? ただの小悪党を蘇生した覚えは無いんだが……。
 それとも何か? 本当に俺の拳が光って唸った方が良いのか(笑)



・シアン
 あ、頭がクラクラします……。
 やっぱりいつも思ったことをすぐ口にして、その結果が鉄拳制裁に……。
 いい加減何とかしようと何時も思うんですけどねぇ。
 そういえば、気を失っている間に誰かがよからぬことを企んだとか?
 ……ブレイズ、次から遠慮なくやっちゃっていいと思いますよ。



・ルカ
 戦いで傷ついた者には神は力をお分けくださるだろう。
 だが懲罰の痛みを和らげるために、奇跡は使えない。

 だが考えてみれば、それは近視眼的な考えであった。
 子爵様が一喝されたとおり、我々には無益に過ごしていい時間などないのだ。
 ノイエ・エイファス、一刻も早くやつらを殲滅しなくては。

 そしてラン、締めるべきところはちゃんと締めていこう、な!
 さもないと、俺は鎧を手放したことだけでなく、お前を蘇生させたことをも神に謝らねばならない。

■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター5

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

 結局シアンの部屋に移動してキュア。

シアン「な、なにがあったんですかいったい……?」
ルカ「記憶が飛んでる(笑)」
ラダラス「どこまで覚えているんだ?」
シアン「鬼の形相でお父様から光速の一撃を受けたような……あれからどれくらい経ったのですか?」
ブレイズ「君が子爵様と会う時はだいたい鬼の形相でしょ?」
シアン「それを言われますと……う〜ん……」
ルカ「お前の愚かな発言で、例によってまたボコボコにされたわけだ。それは覚えているな?」
シアン「まぁ……一応……」
ブレイズ「本気なのかプレイヤーのボケなのかわからん(笑)」
シアン「シアンは悪いことを言ったとは思っていませんから!」
ブレイズ「ダメだコイツ……」
シアン「私としては反省していたつもりだったのですが、なぜかお父様がお怒りになられて……」
ルカ「あの『口は災いの元だわ……』ってのが反省の態度なのか!? お前にとっては迂闊に口を開くとろくなことにならない、というのが反省なのか!?」
シアン「そうですね……今までのことを考えれば……それで何度殴られたことか……」
ルカ「その考え自体がおかしいことに気づいてくれ!」
シアン「……とにかくすいません。また怒られてしまったようで」
ランデック「今回の原因は私にもあるんで、一概に君だけの責任とはいえない……」
ブレイズ「急に殊勝な(笑)」
ランデック「さっき散々怒られたから!」
ブレイズ「反省してるんだな(笑)」
シアン「とりあえず……ではここにいてもしょうがありません。再び洞窟へ向かいましょうか……」
ルカ「まぁ、まずはこれを見ろ。子爵様からお前に見せるようにと貰った物だ」
シアン「このリストは……?」
ブレイズ「それがなんだかわかるか?」
ラダラス「よく考えてみろ」
DM「そこにはシアンが親しい人の名前ばかりが27人並んでいるね。よく城を抜け出していた時に見知った平民達だ」
シアン「なぜこの人達が……これはいったい、なんなんですか?」
ブレイズ「だから考えて欲しいといってるんだ。早速思考放棄か」
 
シアン「いえ、共通性が見つからないのですけれど……」
DM(無いの!?)
ブレイズ「やはりこれはシアンに察してもらうのは無理な……もっと直接的に言ってやらんとダメなのか……」
シアン「お父様はこれがなんだと仰しゃられてたのですか?」
ラダラス「(質問スルーしつつ)恐らく、もうこのリストに書いてある人とは会うことが出来ないんだろうさ」
シアン「……?」
ラダラス「今回の臨時徴税のあと、なにかしら被害に遭った人なんじゃないのか?」
シアン「……ちょっと待って下さい! この人達はなんの関係も無いじゃないですか!」
ラダラス「関係無いのか? これは領民じゃないのか?」
シアン「そうですね……皆知っている方ばかり……まさか……私の知り合いだから……?」

 おっもぉぉぉい沈黙。

シアン「私の知り合いだから狙われたというのですか……」
ルカ「狙われたのではない。この方達はもう亡くなっているのだろう。間違いなく」
シアン「くっ…………ノイエ・エイファス……! 貴族だけを狙うのではなく、なぜ私の友達を……! 狙うなら私を狙えばいいものを……!! 彼らを殺してなにになるというのですか!?」
ランデック「貴族だって狙われてるんじゃないのか?」
DM「このリストに家名がある人はいないようだね」
シアン「貴族と敵対していると言っておきながら、領民に手を出すとは……! どこまで見下げ果てた連中ですか!」
ルカ「……これがお前の取った行動の結果だということだ」
シアン「…………皆さん、洞窟へ向かいましょう。奴らは早急に叩き潰さないといけません!」
ブレイズ「……その、お前の反省の色の無さが悪いんじゃないのか?」
シアン「ほえ?」
ブレイズ「たしかにノイエ・エイファスも悪いだろうが……奴らを討てばそれで済むって問題ではないんじゃないのかい?」
シアン「しかし、このままでは……何もしないわけには!」
ブレイズ「そんなことは言ってない」
ルカ「いつもそうやって自分を省みることを知らずに……」
ブレイズ「『アイツが悪いんだ! アイツを倒せば!』と、いつも言ってるよな、シアンは」
シアン「うぐぅ……」
ルカ「それを引き起こしたのが自分だというのを本当に理解しているのか?」
シアン「だからこそ自分の手で決着をつけなければと……」
ブレイズ「反省しているそぶりが見えなかったのでな。お前の友人達が死んだのも、“全て奴らが悪い”と。そう言っているように俺には聞こえたが」
シアン「お父様にも言われましたが、死んで詫びるなどと言うことは私には許されません……」
ブレイズ「誰も死ねだなんて言っていない」
シアン「せめて行動で結果を出すしかありません! そして、今の私には奴らを倒すことしかできません……わかっています。私の行動が愚かだということは……」
ブレイズ「まぁ導いている結論はいいと思うんだが……間がすっ飛んでるような気がするんだよな……いつもいつも」
DM(全然噛み合わんな……)

 つまり、チャプター3の終盤でも同様に揉めてるわけですが、シアンの切り替えが早過ぎるもんだから「こいつ本当に状況を理解してるのか? 単純に敵が全部悪いだけだと思ってないか?」と不安になっているわけですね。

ルカ「その名簿はお前に預けておく……為すべきことを為そうか……」
DM(あ、諦めた)
ラダラス「ここでウダウダしてるわけにもいかないしな」
ルカ「まずはここを発とう。時間が惜しい」
 
シアン「行きましょう! すべてを取り返すために!!」
ルカ「なんだその決め台詞は」
ブレイズ「だからそれが引っ掛かるんだって!」
シアン「えええ!? ダメでしたか!?」
ランデック「いやいや、いいと思うよ〜」
ブレイズ「それを言われると、“取り返せると思っているのか?”と言いたくなるんだよ(苦笑)」
ルカ「取り返すってなにを取り返すんだよ? 武器とか鎧か?」
シアン「いえ、アメルハウザー男爵が奪われた税金とか……」
ルカ「いいか。奪われた交易品を取り返せだなんて一言も言われてないんだよ。殲滅してこいと言われただけなんだ」
ブレイズ「“すべてを取り返す”なんて言われると、一発逆転でも狙ってるのかと勘繰っちゃうんだよ」
シアン「でもなにもしないわけにはいかないんですぅっ!(机ぺちぺち)」
ブレイズ「だから何もするなとは言ってないってーの(笑)」
DM(ブレイズ達の指摘が理解される日って来るのか……)
ブレイズ「それで全部返ってくると思ってた大間違いだぞって意味だ」
シアン「でも行動しないわけにはぁっ!(机ぺちぺち)」
ブレイズ「だから行くなとは言ってないっての!! 何を言っているんださっきから!!」
ランデック「話が噛み合わない(笑)」
ブレイズ「どういった……」
ルカ「“取り返す”じゃない。ケリをつけに征くだけだ……まったく……。もうすべての取り返しなどつかないことになっているのだ」
ブレイズ「……大丈夫なのかこのまま行って? …………なにかとても嫌な予感がする……」
DM「死亡フラグが(苦笑)」
シアン「…………ところでなんで私こんな格好なんでしょう?」

 丸出しのまま話してたけど、誰もそれを突っ込みませんでした。続く!!


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 会話とは、言葉のキャッチボールである。
 しかし目の前のそれは、まるで時空が歪んでいるような錯覚を起こすほどだった。
 ブレイズ&ルカの投げた言葉がシアン時空によって彼方に飛ばされ、シアンの投げた言葉は異空間を通り予測不能な方向から飛んでくる。
 人とは、かくも分かり合えない生物なのだろうか……。



・ブレイズ
 むう、分かっているのに。分かっているはずなのにもどかしい……。一体、何度繰り返せば、この噛み合わないやり取りが是正されるのだ! もはや、シアンの認識を我々で変えることは不可能なのか?
 ところで、その格好を放置したのは済まなかった。


・シアン
「解放者」を謳いながら、私の知り合いだからと領民を殺すなど……。
 ここまでの怒りを覚えたのは初めてです!
 この事態は私の行動で引き起こされたこと。ならば私の行動で終わらせるべきです……。

 ……でも、それまでの会話をこんなカッコで喋ってたんですね、私……うぅ……。



・ルカ
 敵が卑劣なことはわかっていた。
 それだけに、事態を引き起こし、失態によりつけいる隙を与えた我々の責は大きい。
 だが、シアンに言って聞かせても、全く埒があかない……。
 すべてが終わったときに初めて、もう過ちを取り返す機会がない、ということを理解するのだろう。いや、必ずさせてみせる。

■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター6

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

 再アタック開始。

DM「で、警戒しつつ例のドアまで来た」
ランデック「テイク10で捜索!」
 ようやくテイク10を覚えました。
DM「鍵が掛かっている。罠は無いと思った。あと中で足音が聞こえる」
ランデック「テイク10で解錠!」
DM「開いたね」
 これだけで済むことを、以前は……(笑)
ルカ「それじゃ強化呪文を。シールド・オヴ・フェイスと……」
ラダラス「シアンにレジスタンス。今度こそ忘れるなよ?」
シアン「は、はいっ!」
DM(前回は警戒して鍵を開ける前に準備したのだが……まぁ幸いなにも悪影響は無い)
ブレイズ「蹴り開ける!!」

 
DM「するとこんな大男が。エンラージ・パースンしてる人間だと推測できる。あ、フィギュアはモーニングスター両手持ちしてるけど、実際にはヘヴィ・フレイル持ってると思って」
ルカ「はいはい。屈辱の代替フィギュアね(笑)(てことは足払いや武器落としをしてくるってことか……)」
DM「じゃあイニシアチヴ……ってキミら遅いな!?」
ブレイズ「ヤバい。これはボコボコにされる予感!」
ランデック「俺は25だったんで下がろう」
 さすがイニシアチヴ修正値+10の早漏男。
DM「14でこっちが動こう」
ルカ「なんだと!? 早い!!(笑)」
ブレイズ「普通だよ!(笑)」
DM「じゃあ足払い。強打3点で。接触命中対抗ロール……転んだね。足払い強化の追加攻撃が……強打してなきゃ当たったのに」
ルカ「そりゃやってくるなぁ。で、巨漢がいると聞いてたけどエンラージなのか?(笑)」
シアン「次はルカっちですね」
ラダラス「シアンが……シアンがついに皆に仇名を付け始めた(笑)」
ルカ「ファウンデーション・オヴ・ストーン!」
ブレイズ「立ち上がって終了」
DM「機会攻撃は外れ」
シアン「攻防一体をフルにかけてブレイズの後方につきます」
大男「またやられに来てくれるのを待ってたぜ!」
ラダラス「“また”言うな!(笑)」
大男「今度はなにを献上しに来てくれたんだ」
シアン「貴方に献上するものはありません!」
ラダラス「ヘイスト」
シアン「すべてを取り返しに来ました!」
ランデック「ヘイストでAC+1か」
ラダラス「あと移動力+30フィートで命中と攻撃回数も+1な。忘れるなよ」
 仲間達、完全にスルー。
大男「まぁその意志が無くても無理矢理に献上させるのが、貴族の流儀って奴だろう?」
シアン「笑っていられるのは今のうちですよ……正面から戦って勝てると思わないで下さい!(ニヤリ)」
DM「と、ブレイズの背後で格好付けてるわけだ(笑)」

 
ランデック「跳ぶかなぁ……。敵が一人なら、俺は中に躍り込んだ方が良いかもしれないな」
DM「ここで機動戦闘でジョン・ウーアタックか」
ブレイズ「いけいけ! カッコイイ!!」
ランデック「よし、じゃあ行こう!!」
ブレイズ「しまった乗せちまった!? 責任は取らないぞ(笑)」
ランデック「じゃあジャンプして(フィギュアを移動)」
ルカ「足払いに気をつけろ」
DM「(ルカの発言とほぼ同時に)ジャンプ中、以前穴のあった場所の上空地点で機会攻撃が飛んで来て……」
ランデック「おうち! 来い!」
ルカ「だから足払いに気をつけろと言っただろ!」
 もう少し早く言ってあげてください……(笑)
ランデック「気をつける間もなく!!」
 だが敵の間合いを移動するのは明白だったのだから、仲間に指摘されるまでもなく自分で気をつけて軽業を宣言しなかったお前の責任が90%くらいだろう(笑)
DM「足払い成功。追い打ちも命中で……強打乗ってるから……24ダメージ」
ランデック「ええ!? これ落ちてるんだよね!?」
DM「これ下手したら落下ダメージで死ぬんじゃ(笑)」
ルカ「フェザーフォールなんて無い! クローズ・ウーンズだ!! 焼け石に水かもしれないが!」
DM「例によって悲鳴は途中でかき消され、消息不明」
ブレイズ「これは急がないとまた……!!」
DM「結局落とし穴が在る以上は絶対に落下するんだなぁ、ほんと(笑)」

 
ブレイズ「スウィフト・フライで中に突入!!」
DM「機会攻撃は外れ」
ブレイズ「早抜きでグレートソードを抜いて、命中! 11ダメージ」
DM「シールドの呪文を抜いたのがわかった」
シアン「私もヘイストかかってるならジャンプで飛び越えますか」

 
 気ぃが付い〜たら〜同じ洞窟に挑戦〜
 そしていつも同ぁじ場所で落ちる〜
 諦めずに〜抜ける足場に挑戦するけど〜す〜ぐに下に〜落ち〜るよ〜
 スウィフト・フライがあれば〜楽に向こうの岸まで着くけど〜
 何回やっても何回やっても落とし穴が越えら〜れな〜い
 あの落とし穴何回行っても越えられない〜
 達成値は成功してても数値を申告ミスする〜
 強化呪文もかけておいたけど忘れてるんじゃ意味が無い!


DM「だから次は絶対落ちない為に何をすればいいんでしょうね(笑)」
シアン「なんでそんなピッタリハマった歌になってるんですか!(笑)」
ブレイズ「君は越える術が無いだろう」
シアン「今ならヘイストで助走が……」
DM「そこからじゃ立ち飛びだよ(笑)」
シアン「しょうがないので一歩前に進んで敵の攻撃範囲に入ります」
ブレイズ「なんで!?」
シアン「私が盾になります!!」
ブレイズ「なんでさ!? 今の君はあんまり防御高くないよ!?」
シアン「攻防一体全開で持ち堪えます!!」
 聞く耳無し。

ラダラス「サモン・モンスター!!」
大男「それじゃあ献上品を頂くとしますかねぇ!」
DM「シアンに武器落とし……はこっちの勝ちだね」
ルカ「攻防一体全力だから簡単に落とされちゃうなぁ」
 武器落としは命中の数値がキモになる為、命中落としてAC上げる攻防一体中は最悪なのです。
DM「で、男は終了。すると地面に落とされた剣が空中に浮かび、奥の方に移動しかと思うとふっと消える」
シアン「ええ!?」
DM「呪文学して」
ブレイズ「これは先生のマグネティズムですか?(笑)」
ラダラス「普通に透明化してるんじゃないの? 達成値は20」
ルカ「じゃあ0レベル呪文までしかわからない」
シアン「あそこになにかいる!! …………のかしら?」
大男「まずは1本、献上ありがとうよ!」
シアン「いえいえまだすべてを取り返す期限は切れてませんよ」
キートン山田「物凄い量が期限切れである」
DM「それにしてもこのシアン、大見得きった途端、あっさり隙を突かれて武器を奪われたとは思えない自信満々ぶりだ!(笑)」
シアン「たまには格好つけようと思ったのにぃ……」
ルカ「めげるな! がんばれ!(笑)」
ブレイズ「それでは必殺技だ!! 即行呪文トゥルー・ストライク発動! 強打+攻防一体フルの真・雷撃斬!!」

 出たな! 纒雷の師匠譲りの必殺魔法剣! 続く!


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 ちぃ、テイク10覚えた。
 これで罠感知の確率が一気に上がるぜ!
 さすがに前回の大惨事があればバカなオレでも学習する!
 あんな事態になる前に学習しろよって突っ込まれそうですが。

 しかし、相変わらずオレは足元がお留守のようで。
 別に落ちたい訳じゃないですよ。本当だって!



・ブレイズ
 ラン、焚きつけて悪かった。テイク10を覚えた君なら輝けると思ったんだ。
 しかし、それが落とし穴100%伝説の達成を手伝うことになるとは……。
 ああ、シアン。そういえば君には落とし穴だけでなく、武器落としの因縁もあったな。まあ、落ちることには変わりないが。

 で、相変わらず、この二人か(笑)



・シアン
 あの男がノイエ・エイファスの一味……。
 それにしても、相変わらず邪魔ですね、この穴は!
 折角カッコよく決めようと思ったのに、これではただの遠吠えです……。
 あれ、なんだかルカとブレイズの視線がさらに冷たくなったような?



・ルカ
 穴に叩き落とされるのに気づいたのが、ランが飛ぼうとした瞬間だった。
 もっと早く気づかなければいけなかった。

 敵は一人だが、なかなかの使い手だ。地形をうまく利用もしている。
 おかげでシアンは舌戦に興ずるしかないのだが……見事に相手のペースか。
 日頃の行いも言葉も突っ込みどころ満載すぎるからな……。

 任せたぞ、ブレイズ!
 魔繰騎士の神髄を見せつけてやれ!
 一刻も早くランを救わなくては。

■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター7

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

 しかしダイスは無情だった。

ブレイズ「…………出たよファンブル」
ラダラス「なってこった。こっちはダイア・ラット召喚して攻撃が命中。あとライトニング・ブレードの詠唱開始」
シアン「こうなったら気概試しを使いましょうか!!」
DM「だーいぶ前に説明したから忘れてても無理はないのだが、それは『有利な位置に陣取る敵を誘き出して袋叩きにする』能力でもなければ、『自分が囮になってる間に味方が有利な位置に移動して、まんまと挟撃する』能力でもないんだぞ? あくまで敵に一騎討ちを強いる能力であって」

 気概試しは確かに『敵に自分を狙わせる』特殊能力ですが、機会攻撃や包囲殲滅の危険を冒してまで近接戦闘を強いることも出来ないし(近付かずに射撃など、自分の望む形で攻撃してよい)、仲間が手を出すと効果が切れます。

ルカ「今のってブレイズに攻撃が行くのを自分に引き付けて、その間に攻撃してもらうつもりだったんだよね? ブレイズが手出ししたら効果切れるけど、単に1ラウンド分無駄に自分へ攻撃させられればいいって感じで」
シアン「そう……ですねぇ……たしかにそのつもりでした」
ルカ「これは騎士が正々堂々名乗りを上げて……という騎士道精神が特殊能力レベルにまで到達してるものなわけで、そうやって都合よく便利に使うものじゃないと、前に同じ様なことしようとした時に説明した筈だが」
DM「もちろんゲーム的に単にデータ記述だけ見るなら、『ルールで禁止されてない』からとそういった囮に使うこともできるだろうけど、少なくともウチではそーいうの無しだよってね〜」

 つまりまぁ「ここは俺が引き受けた! 今の内に逃げるんだ!」や「俺が敵を引きつけている間に、怪我人を助けるんだ!」はOK。しかし「俺が奴の注意を引いているうちに回り込み、背中から斬りかかれ!」や「俺が奴を誘き出す! 出て来たところを袋叩きにするんだ!」なんて使い方はNGよってことね。
 もっとも「怪我人を助けるんだ」パターンも、「よし、怪我が治ったぞ! じゃあ二人がかりで一気に倒すぞ!」はNG。基本的に仲間が「気概試しによる一騎討ち状況に横槍を入れる」のを受け入れてはならない。仲間が勝手にぶち壊すのは構わないが、信頼関係に影を落とすのは間違い無かろう。

シアン「ああっ! そうでした! ごめんなさい!」
DM「OK! がんばれ騎士道精神!」

 
シアン「では気概試しを使います!!」
ルカ「人の話を聞いてたのか!?(盛大にずっこけつつ)」
DM「どーいうことだいったい!?(笑)」
シアン「え!? あれ? ……そうでした! ダメなんでした!! 攻防一体してますね!!」
DM「ひょっとして君はバカなのか」

 このナイトは実在する。

大男「次はこっちをいただくとするか!!」
DM「ブレイズに武器落とし。対抗ロール……落としたね。するとやはりグレートソードが空中を移動して……消える。さっきとは左に10フィートの地点」
ブレイズ「なんだなんだ!?」
シアン「また!?」
ラダラス「インヴィジビリティしたのに拾われてんじゃないのか……で、俺の手番だが……」
大男「こっちも献上ありがとよっ!!」
シアン「あなた! 私に怨みなあるならば、直接私を狙いなさい!!」
大男「だったら手下連れてゾロゾロやって来ないで、一人で来やがれ!! 無能のお姫様よ!!」
シアン「な! だったら一騎う……」
DM「ラダラス!!」
ラダラス「落ちやがれえええええ!!!」
シアン「え!?」
ラダラス「シアンに突き落としを仕掛けます」
シアン「え!? え!?」
DM「(元々ラダラスの手番だし)その割込み、認める。さあ対抗ロールだ。その前に……」
ラダラス「ライトニング・ブレードが手に残ってるから、それのダメージ! 18!!」
DM「ダーリンのばかーっ!!!」
シアン「ええええええ!?」
DM「で、対抗ロール」
ラダラス「よぉし! ダイス目がいいぞ! 18!!」
シアン「あの!? ええと!? 14です」
 
DM「じゃあシアンは1マス前に押し出され……穴に落下した。30ダメージ」
シアン「なんでですかあああぁぁぁぁぁぁ!?(フェードアウト)」
DM「ラダラス、ナイス!!」
ラダラス「危ないところだった……」
ブレイズ「…………いったいなにが」
ルカ「今のやり取りは……なんか一騎討ちが成立しそうに……なってないな」
DM「ふぅ……成立してたらシアンは絶望的に相性悪いから勝ち目無いわ、ルカは戦勝神の手前、一騎討ちの成立を反故にして戦うわけにもいかないわでシアン敗北……敵に身柄を差し出して性奴隷にされるころだったぜ……」

 
 こんな感じに!

ラダラス「敵の手に落ちるよりは穴に落ちる方が幸せだろう……」
 シアンが超高いACによって異常な頑健さを誇る重装騎士だったのも過去の話。
 装備が貧弱化した今は、ショボい攻撃と低くはないが目立って高くもないACという陳腐な存在。もちろん鍛え上げた自らの能力も重要なファクターなのだが、あのバキュラぶりは能力・装備の相乗効果が産み出していたもの。どちらが欠けても成立し得ない。
 一方の魔法戦士ブレイズは呪文の力で戦うスタイルだったので、装備あってのシアンほど激烈な弱体化はしていない。たしかに魔法の鎧や守りの護符を手放して打たれ弱くなったものの、元々雷撃斬の圧倒的な瞬間攻撃力を軸とした高い制圧能力が求められているため、危ういながらも仕事はこなせるのだ。
 そして敵の大男は武器落としや足払いといった搦め手を得意としている模様。
 対するシアンは能力や武器の差で武器落としや足払いに対抗するのも確率的に不利。片手武器は両手武器からの武器落としに対して分が悪いし、足払い強化を持つ相手との筋力対抗ロールが不利なのは言わずもがな。本来なら呪文でサポートされてその不利を埋めるのだが、一騎討ちである。
 これがブレイズだと、武器を落とされても攻撃呪文は健在だし、スウィフト・フライは足払いを無効化したりと、逆に大男に勝ち目が薄かったりする。

 
 ちなみにDMの手に落ちるとこうなります。

大男「…………お前らなにやってんだ?」
ブレイズ「……こっちのことだ。気にするな。予備のショートソードを抜いて雷撃斬だっ!! 18ダメージ」
DM「ではレジスト・エナジーがかかってるようで、半分以上防がれた」
ブレイズ「くそっ! こっちの手の内はやはりお見通しか!!」
大男「そーいうことだっ! そんじゃあ俺はそれそろ退かせてもらうぜ! 献上品ありがとよってボンクラ騎士に伝言頼むぜ!」
ラダラス「ちゃんと伝えとくよ……(笑)」
DM「撤退アクションで奥の方に消えていくね」
ラダラス「やれやれ……」
ルカ「くそっ! だったら急いで転落組を救出だっ!!」

 で、幸い蜘蛛スウォームはおらず、落下ダメージだけで済んでいたところを回収する。

ルカ「さすがに引き下がる手はない!」
ラダラス「刺激したくなかったからシー・インヴィジビリティ使わなかったけど良かったよね?」
DM「ああ、目の良さが命取りだ!ってなるの避けたのね」
ラダラス「うん」
ブレイズ「問題無いね」
シアン「貴様、見ているな?って(笑)」
ラダラス「こっちが呪文唱えたらそれでなに使ったか呪文学でバレるかもしれないしなぁ。突入前に唱えておけばよかったとは思うけど」
ルカ「まぁカラクリはだいたいわかった気がする……」

DM「で、シアンはさっきの、一騎討ちしようとしたらいきなり電撃と共に突き落とされたことについて何か思うトコロは無いの?(笑)」

シアン「あ(完全に忘れてたらしい)…………背後から不意討ちはさすがに酷いです……」
DM「真正面からなら良いのか!?(笑)」
 
シアン「せめて一声かけて下さい……」
ブレイズ「それでいいのか!?(笑)」
ラダラス「皆生きてるからいいんじゃないか?」
シアン「そりゃいきなり背中から電撃されたらさすがに怒りますよ……」
ブレイズ「それは……斬るよって言って斬ったら怒らないのか?(笑)」
シアン「……せめて、心構えの問題です」
ブレイズ「いいんだ!?」
ラダラス「わかった! 次からは一声かけてから攻撃する!」
ブレイズ「うむ! わかったよ!」
ランデック「次からは『シアンごめん!』って言えばだいたいのことはOKなわけだ(笑)」
シアン「当然反撃はします!!」

 というわけでシアンは「自分がなぜあんなことをされたのか」に対してはなんの疑問も抱かず、水に流すのであった。プレイヤーが助けられたの納得してるから、単にキャラ目線にできてないだけという説もあるが! 続く!


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 シアン大活躍!
 予想を遥かに上回る展開にオレは穴の底でゲラゲラ笑ってました。
 こんな展開、市販のシナリオでは絶対ありえないぜ!
 そしてDM&ラダラスはナイスファインプレイ。
 一騎打ちが成立してたら、「東方不敗(大男)対デスアーミー(シアン) 撤退不可」くらいの勝機だったからなぁ。



・ブレイズ
 …………(唖然として言葉が出ない)。あの、前半のやり取りは何だったの? 俺にはお前の思考が理解、いや想像もできん!
 そして、ランが落ちれば、負けじとどんな手段を講じても落ちる。芸人体質ここに極まれりだ。本当、シアンの凄さは底が見えないな! まあ、シアン自身は底ばかり見ているようだが(笑)
 しかし、ランの落下を手伝った罪は、必殺技ファンブルという形ですぐに現れたな……。因果応報、今後は俺もこの業を背負って行かねばならぬのか?



・シアン
 まったく……背後からいきなり雷撃食らって穴に落とされる身にもなってくださいね。普通なら死んでますよ?
 まぁ、そのお陰でなにか邪な物からは救われた気がするのですが……。
 でも、なにかすでに手遅れな気も……?



・ルカ
 日頃の行いもそうだが、戦いの中ですら、時にシアンは騎士道を見失う……。
 あげくに敵の挑発に激高しての無謀な一騎打ち。大局と大義を見失わないでくれ。

 騎士道の導き手たる戦勝神よ、私の指導が至らないのでしょうか?

 それにしても、シアンは戦いの場にいないことの方が多いのではないだろうか。
 罠を看破できないのは彼女だけの責ではないだけに忸怩たる思いもあるのだが、今回のことばかりは自業自得だな……。

■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター8

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

 前衛二人が主武器を失ったが、呪文自体はまだ余裕があるので制圧続行。
 シアンはラダラスからレイピアを借りた。

ルカ「ブレイズは俺のハルバードを貸そうか?」
ブレイズ「いやぁ……たしかに使えるんだけどね。正直キャラのイメージじゃないんで、ルール上問題無いからって普段絶対使わないような武器持つのに抵抗が(笑)」
DM「ああ、前々からあるイメージ問題。特技で武器熟練してるわけじゃないから、普段どんだけソード系を愛用しててもハルバードも同じくらい使いこなせることになるっていう(笑)」

 後の愛用武器システム導入の布石である。

ブレイズ「正直かなり抵抗あるけど、足引っ張るわけにもいかないから我慢してハルバード使おう」
 俺、そーいうこだわり持ってる奴……好きだぜ?

 
DM「というわけで斥候君は曲がり角で視認」
ランデック「えーと……23!」
DM「こっちの隠れ身技能修正値は16だ! えいっ! 不意討ち!」
ランデック「敵がいるぞーっ!」
DM「まだお前の手番じゃねぇ!(笑) ブレス!! 前の三人意志セーヴ!」
ランデック「もう無理……もう無理……もう無理……いける!!」
ブレイズ「なんだよそれ!?(笑)」
ランデック「AP使って18! AP1しか残ってねぇ!」
ブレイズ「結局セーヴの度にAP使うのか……いいのそれで?」
ルカ「たしかにいつものセーヴ要求全使用パターンか……」
ランデック「いや、これは凌がないとマズいって確信してるんだ! だから使った!」

 実は今回のダンジョン突入前に「セーヴィングスロー要求される度に使うくせに、自分が戦線離脱中や視界外での味方ピンチに助言するのには(往々にして後から聞けば明らかにそれが“正解”だという判断に思い至っていても)使わない。現実は失敗しても致命的じゃないセーヴに浪費が多いし、助言してれば打開出来ていていた状況を座視して致命的な損害を被っている。肝心な時にAP足りないとか」という問題提議が為されていた。ちなみにこれは個人を指しているのではなく、放蕩TRPG部全体の傾向である。たしかにAP使用の見極めというのは、難しい。
 で、これを強く意識して今後のプレイに活かそうという努力目標を掲げた矢先ではあったので、「あれ? さっきの話覚えてる?」となったわけだね。

ブレイズ「そうか……ならいいが」
DM「では全員成功か。ではイニシアチヴだ」
ランデック「イニシアチヴ26! 敵だーっ!と叫んで撤退!」

 まぁあくまで完全に結果論だが、セーヴを落としてもランデックはブレイズの後方に下がることは出来ていた。でも意志セーヴってどうしても怖いんだよねぇ。混乱とかすると困るし(笑)

 
DM「では敵です。二匹め登場。ブレスごぉぉぉぉぉ。ルカ以外意志セーヴ……ラダラス以外スロー状態」
ランデック「スローは移動力が減るの?」
ルカ「半分になった上に、移動か標準どっちか片方のアクションしか取れない」
DM「で、さらにAC、攻撃、反応セーヴに-1のペナルティ」
ランデック「機動戦闘できなくなっちまったぜ!!」

 というわけでランデックが後退したことにより最前線に立つブレイズ。
 本来なら二人並んで立ちたいところだが、残念ながら横幅が狭い為に1.5人分程のスペースしかない。
 となると攻撃側としては下手に時間をかけたくないし、守ってても勝てないのでアタッカーのワントップとなる。

DM「知識判定により、敵はアンブッシュ・ドレイクと判明。見た目は赤いが闇竜の下位種だ。レッサー・ドラゴンの中じゃかなり弱い部類に入るが、スローブレスや敏捷度ダメージの毒と相手の動きを止めての攻撃は侮ることなかれ」
ブレイズ「雷撃斬! …………が、外れ! ダイス目が悪い!」
DM「足払いしちゃうぜ! 筋力対抗ロール勝ち!」
ブレイズ「くっ! 転倒した!!」
DM「残り二回の攻撃は一発命中。さらに二匹目が三回攻撃!!」

 ダスクのダイス目が妙に悪く、分が悪い。

 
シアン「こうなったら私が無理矢理にでも前に立って援護します!!」
DM「窮屈状態で進入するのね。となると立ちすくみで、武器は……おっ、レイピアだから比較的戦い易い。命中に-2だけで済むぞ」
 斬撃や殴打の片手武器は-4のペナが乗ります。両手武器は刺突なら-8で使えますが、斬撃と殴打は無理。
シアン「では攻防一体で持ち堪えます!!」
ルカ「何度も何度も言ってることなんだが……」
シアン「はい?」
ルカ「立ちすくみ状態だと攻防一体のAC上昇は乗らない」
シアン「あああっ!?」
DM「まぁ大丈夫だ! 下位種とはいえドラゴン。見るからに弱ってる獲物に攻撃を集中する知能はあるぜ! このままブレイズに攻撃!」
シアン「そんなっ!?」

 しかしさすがに地力で圧倒しているため、正面戦闘で負けるわけもなく。
 ブレイズの敏捷度が毒によって大幅に削がれはしたものの、仕留めることに成功する。

DM「腐っても鯛。小さくてもドラゴン。売ればそれなりの値段にはなるね。重さは200ポンド」
ランデック「とりあえず敵さんが来たら困るから、早目に決断しよう。シュリンク・アイテムは一つだから片方小さくし、もう片方は二人で抱えて帰るか」
ルカ「……なんか我々何しに来たんだっけって感じだが」
ランデック「いや、これで敵の戦力を一つ潰したんだから十分だろう。また来れば」
DM(実際どうだかはともかく、仮に中途半端に戦力削いで、アジトを移される可能性とかは考えないのか……殲滅任務なのに)
シアン「そもそもノイエ・エイファスが竜と繋がっていたことが大問題な気がするんですが……」
ルカ「言われてみれば大変なことだな」
ランデック「シアンにしては珍しく鋭い(笑)」
ルカ「そうだな。普段は敵が竜使って来ても当然だけど、こいつらはこいつらで竜と敵対してるんだもんな」
シアン「野生の竜が紛れ込んだとは考え難いですし」
ランデック「ま、それは帰ってから考えようぜ! とにかく撤収撤収!!」
ブレイズ「ほいほい」
DM(ありゃ。パーティー全員撤退案に納得したのか)
シアン「とりあえずお父様に報告しましょう」
DM「(まぁどの道ただで帰れるほど甘くはないのだが)では聞き耳してくださいな……でランは聞こえた。入口の方からなにかの咆哮。しかもかなり荒れてる感じ。それが足音を隠そうともせずにドドドドッ!!と駆け寄ってきてる」
ランデック「うーわ! なんか獣が来てるっぽいよ!!
DM「知識ロールして……11じゃなんも想像つかないね」
シアン「では私が迎え討ちます!!」
ラダラス「とにかくこんな細い通路じゃヤバいし、挟撃されたら終わる。せめて少しだけでも入口に近付いて、途中の広間のところに移動を……!」

 隊列の再編成もそそくさに、ランデックを先頭に入口方向へ移動を始める。
DM「ではランとラダラスが曲がり角に差しかかった時だった……ダァァァン!!(フィギュアセット)」
シアン「おっきなドラゴンが!! なんでこんなに!?」
ブレイズ「なにこれ!?」
ルカ「少なくともアンブッシュ・ドレイクよりは強いぞ!! 俺の勘がそう告げている!!」
シアン「そんなの大きさが全然違いますからわかります!」
ブレイズ「…………見ればわかるよ(苦笑)」
ルカ「しまった! 場を和ませようとしたが失敗!!」
ランデック「和まねぇ! そりゃ和まねぇよ!!(苦笑)」
シアン「なに言ってるんですか……(呆)」
ルカ「やべぇ! シアンにまで呆れられた!? …………ノイエ・エイファスの奴らめ! 竜と結託してるだと!!」
DM「ラダラスの知識ロールは? OK。これはレイジ・ドレイク。やっぱり赤いけど闇竜の下位竜だ。闇竜という種族全体の傾向として戦闘狂なことが多いのだけど、これはもう名前のとおりの激怒ぶり。ブレスといった特殊能力は持っていないが、とにかく格闘戦能力は半端無いアグレッシヴでデンジャラスでブラッディーな奴さ」
ルカ「ダーク!?」
ラダラス「無傷のすり抜けは既に不可能……絶体絶命!!」
DM「では全員イニシアチヴだ!」
ランデック「イニシアチヴ23!!」
DM「じゃあランがトップバッターだ」
ランデック「じゃあ……」
ブレイズ「戻れ戻れ!!」

 
ランデック「目の前に竜がいるぞ!と叫んで下がります」

 …………あれ? この配置って……ラダラス最前線? 続く!!


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 撤退会議に時間をかけると追っ手が来るからね。
 決断は素早く。帰る時は帰る!
 あれ? シアンが的を射たことを言ってる……。
 これは……、まさか死亡フラグ?(オイ)
 もしくは敵に捕まってあんなことやこんなことが?
 って、大変なことになりそうだったのは前回だったっけ。



・ブレイズ
 剣にはこだわるぜ。何といってもダスクブレードだからな!
 ダイス目が悪いのも、ハルバード使っていたからと思えば納得。ルールを先取りだ(それもどうなんだ?)
 しかし、何か気になるつづき方だぞ、やってしまったか……?



・シアン
 ノイエ・エイファス……貴方達は貴族以外に竜とも敵対していると聞いていました。
 しかし、この竜は何なのです?
 領民に手を出した上に、実は裏で竜と繋がっていたとでも……もしそうならば、私は貴方達を決して許しません!



・ルカ
 ……はっ、いったい何を口走っているのだ!?
 私としたことが、真っ先に竜の襲来に錯乱してしまうとは……!
 不覚、不覚だ……。

 だが、それよりも、ここに篭もる敵の殲滅を誓っておきながら、なんのかんのと理由をつけて引き返してしまったこと。
 本当に情けない、恥ずべき行いであった。

 領民の中に潜む敵を見つける術は我々にはない。
 だからこそ不利を承知で敵の誘いに乗り、そこに確実に罠を張って待ち構えている敵を叩こうとしたのだ。
 なのに、自分たちが消耗したからといって撤退してどうする。あまつさえ、換金目的で。
 我々が有利な状況を整えて再度挑んだとき、わざわざ敵はそれにつきあってはくれない。
 自ら望んで千載一遇のチャンスを手放したのだ。
 敵を求めて領内をさまよい歩く日々がまた始まるだろう。
 本当に、全く物事を見る目がない……。
■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター9

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

ルカ「最悪だな……」

 説明せねばなるまい! ルカの「最悪」に込められた意味を!!

 通常ならばアーチャーであるランデックが最前線に立つというのは不適切なのだが。
(もっともスカウトというクラス自体はアーチャー固定ではなく、近接戦闘にも対応可能だが)
 蘇生費用捻出の為に前衛が軒並み鎧を売っぱらってダウングレードしてしまった為、物凄く装甲防御ACが低下しているこのパーティー。実のところランデックは敏捷度20という驚異的な身のこなしによって、パーティー屈指の高ACなのだ。なにせ元々鎧に頼っていないので、最盛期と変わらぬAC。加えてHPはフル。比して前衛は先の戦闘からHPを回復する時間的余裕無し。
 具体的に数値を示すと、時間稼ぎのために機動戦闘しつつ防御専念したランデックのACは24に達する。一方シアンやブレイズが攻防一体全力+防御的戦闘の場合のACが25である。
 さらに付け加えるなら、戦闘系盗賊クラスであるスカウトと、魔法系戦士クラスであるダスクブレードのヒットダイスは同等なので、HPも大差無い。

 ていうかまぁ、もはや「これから先、だれが最前線に立つか」の判断を求められている状況ではなく、もう敵に遭遇しているわけで。そこでパーティー中もっともHPとACが低いラダラスを敵の目の前に置いて逃げていいキャラなど、“自分の生存が最優先”という心情的にはともかく、“パーティーの生存が最優先”という戦術的には存在しないわけだね。中衛が後衛の護衛を放棄なわけだから。

 もちろんそういった“ピンチにおける咄嗟の行動”が優等生じゃなく生々しくなるのがTRPGの楽しさの一つなので、「パーティーの為に死ねよ!」と“プレイヤー発言による強制”は有り得ないのだが、当然「あいつはそーいう奴」というキャラ目線での十字架が重くのしかかるのはいうまでもない。場合によっては「キャラは生き残ったが、PCとしてはお役御免」となりかねないのだ。仲間達が、土壇場で役目を投げ出す人間に命を預けたがる物好きでもなければ。
 特にラダラスはランデックのうっかりで既に二度死んでる(一度は温情の行動キャンセルで助かったが)ので、信頼関係がどうなってるかは……私の与り知らない領域である。

 といった主旨の説明が実際のプレイにおいても行なわれたよ!


ランデック「やっぱ拙かったか!!」
 日頃の行ないの差か、ブレイズの撤退指示には誰も触れない……というか他の面子の耳に入ってなかったっぽい(笑)(DMはビデオ観て初めて知ったよ!)
 まぁ明らかに従っちゃいけない類の指示なので、仮に「ダスクに言われたから」なんて言い訳したら「従う方が悪い」となる流れではあるが(笑)
DM「……というわけでラダラスの番」

 全員、胸を撫で下ろす。

ルカ「ま、結果的になにもなくてよかったな……」
ラダラス「敵の行動が間に挟まらなくてよかったぜ……スチーム・ブレスを当て逃げしてやる!!」
DM「ドラゴンのセーヴィングスローを舐めるなよ! 全部二桁だぜ!!」
ラダラス「マジで!? ……セーヴ目標値は17。ダメージは20」
DM「当然セーヴは成功。半分だけ喰らおう」
ラダラス「よし、さがるぞ!!」
シアン「なんでこんな危険なクリーチャーをノイエ・エイファスが戦力に!?」

 なんかさっきからシアンじゃないみたいにまともなこと言ってるよね!?

 
DM「それではレイジ・ドレイクのターン。激怒! レイジング・ストーム(と言いながら突撃)!! 鎧スタッドレザーだっけ?」
ルカ「きた!! スタッドレザーだね……」
DM「強打5点! 噛付くぜ! ガブリエル!! 20ダメージとつかみ強化」
ルカ「ちょっと勘弁! 咥えられちゃいましたよ!! 対抗ロール……ダイス目1!」
DM「27ダメージ」
ルカ「ちょっと!? 俺即死級だよ!?」
DM「さらに咥え上げた君をブルンブルン振り回します。頑健セーヴ」
 実はこの時点で引っかき攻撃2回分をやり忘れていたりする。
ルカ「死ぬんじゃないかなぁ……よし、24!(成功を確信して)」
DM「じゃあ朦朧化した!」
ルカ「あれ!? 高いのに!? ……いや、これだったらマシな方なのか? 達成値低けりゃ気絶とか……」
シアン「まずは私が正面に立たないと!! 接敵して攻防一体全力で攻撃!! 外れ!」

 
ランデック「どうにかして助けないと!! 横に移動して上級機動戦闘しつつ零距離射撃だ!!」
ブレイズ「撃てーっ!!」
DM「じゃあ……組みつき中は1/2でルカに当たるんで……当たったね」
ランデック「…………あれ? やべぇ!」
ルカ「あ、それ完全に忘れてたわ……」
DM「8ダメージがルカに。イメージ的には敵が君の方向にルカの身体を向けて盾にした感じだな(笑)」
ラダラス「ブレイズまだ戦える?」
ブレイズ「…………厳しい……厳しい!!」
シアン「逃げる手段は……?」
ラダラス「逃げる手段は、無い。戦うか……奥にしかないな。攻撃手段は?」
ブレイズ「まだある」
ラダラス「ディスプレイスメント使うか……頼むぞブレイズ」
ブレイズ「よし、接敵して攻撃! 強打なんて乗せる余裕はない! ……17まで命中(残念そうに)」
DM「当たり」
ブレイズ「当たり!?」
DM「元々防御は高くない上に、激怒+組みつき中による立ちすくみです(笑)」
ルカ「ああ、敏捷度高いんだった」
ブレイズ「7ダメージ!!」
DM「レイジ・ドレイクはルカに攻撃する」
レイジドレイク「どこだぁぁぁぁぁぁ!! どこに隠してるぅぅぅぅぅ!?(竜語)」
ルカ「ああ……なるほど」
シアン「どこに隠している?(竜語わかる人)」
DM「この攻撃でルカは死ぬが、残りの攻撃回数でルカの解体が始まる」
ランデック「えええやべぇ!(苦笑)」
シアン「ダメ元で聞いてみます……隠してるとはなんのことですか!?」
DM「耳に入ってないようだね」
シアン「ダメですか……」
ルカ「小さいの小さいの! 小さいドラゴン! バックパックの中にシュリンク・アイテムしたのが!」
DM「せっかく死体がAP使って教えてくれてるんだから応えて!(笑)」
シアン「さっきのドラゴンですか!?」
DM「そして君達のほうにシュリンクされてないアンブッシュ・ドレイクの死体があるのに今気付き、ギロリと睨む」
シアン「あ…………ヤバいですね……話し合いによる戦闘回避不能……倒すしかないですね……」
ランデック「ま、まて! 俺達が来た時にはもうこんな状態だったんだ!!」
DM「じゃあはったりを(笑)」
ブレイズ「ちょっと待て!?」
ラダラス「今斜め上いっちゃったよ!?(笑) これ以上解体される前にシュリンク・アイテムのこと説明するんじゃないの!?」
ランデック「おし! 19!!」
DM「まぁ言ってることが何の説得力も無い上に信じる気もさらさらないんで、ペナルティ凄いつくね。……で、とりあえずドレイクのリアクションは無い。ルカの解体が続く」
ランデック「やめろぉぉぉぉ!!…………で手出ししないでおこう」
ラダラス「あくまでシュリンク・アイテムのことは隠すのか……(苦笑) まぁ怒らせたダーク・ドラゴンを言葉で止められるワケがないんだろうけど」
ブレイズ「これは逃げるべきなんじゃないか……」
ラダラス「逃げる手段は?」
シアン「無いんじゃないですか?」
ブレイズ「わかんね」

 シアンがフルディフェンスモードであれば、ダイス目20の自動命中以外攻撃を喰らうことなど無かったのだが……。

ブレイズ「とにかく横をすり抜けよう!! 今ならまだその余地がある!! 俺が機会攻撃を消費させるから、その隙に! 一撃くらいなら耐えてみせる!!」
DM「ではディスプレイスメントは……抜けて機会攻撃命中」
ブレイズ「当たっちゃった……(苦笑)」
DM「噛みつき19ダメージ」
ブレイズ「よかった……生きてる」
DM「で、つかみ強化。多分、もう無理ですこの人」
ブレイズ「ダメか……!」

 そしてルカと同じようにズタボロにされ、一瞬で昏倒するブレイズ。

 
ラダラス「こうなったらもう俺も突っ込んですり抜けられるのを祈るしか!」
DM「すると、突然レイジ・ドレイクのいる地点にウェヴが展開する。見れば後方に先程の大男が立っている。エンラージ切れてるから普通サイズだけど、それでも大柄だ」
大男「こっちに来い! 話は後だ!!」
シアン「これはあなた達の罠ではないのですか!?」
大男「じゃあ死ね!!」
シアン「わかりました! ついていきます!(笑)」
ランデック「俺は脱出術で入口の方に逃げるしかない……!!」
シアン「仲間を見捨てるわけには…………!!」
DM「なんか台詞の順番おかしくないか!?(笑)」
シアン「悔しいけれど……さがるしかありません!!」
DM「悔しいけれど……ギャランドゥ。そして昏倒していたブレイズは、レイジ・ドレイクによって喰い殺されて……」
ランデック「いやぁーっ! 目の前でそんなことやらないでーっ!(笑)」
DM「(溜め息)……ランは脱出術成功したんで入口の方向へ移動、と」

 前門のノイエ・エイファス、後門の竜! 続く!


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 のっけからの最悪発言!
 確かにブレイズの発言はあったが、それを聞いて判断をしたのはオレ。
 最悪だと言われても仕方が無い。
 しかしラダラスが死ななくて良かった。
 さすがに後から冷や汗がどっと出たぞ。

 そして華麗に仲間をスナイプ。
 か、カッコ良く決めようとしたのに何故……。
 はったりも、「この状況だと、正直に言うよりもごまかそうとするだろうなぁ」と考えてのこと。
 結果の方はサッパリでしたが。

 オレの蘇生のために鎧を売り払ったルカ。
 鎧を売りさえしなければ、この事態は回避できたのだろうか……。



・ブレイズ
 しまったー! ランと撤退&味方射ちのコンボを発動してしまったー!!
 これは、ニューデンジャラスコンビの結成間近か? いや、ハルバード使っていたからと思えば納得……できる訳ねーっ!!

 結論:シアンがまともだと俺が壊れる(えー

 ルカ共々死亡して笑い事じゃないんだが、思わず取り乱してしまった。反省。



・シアン
 一体うちの領内のどこにこんな凶獣が!?
 ……「どこに隠している」?
 そしてさっきの男の焦り様……なんだか状況が分からなくなった来ましたが……。
 ともかく、二人の仇は必ず……!



・ルカ
 竜の苛烈な攻撃の前に、全く抗う術なし。
 狙われたら最後、あっという間に絶命に至る地獄の猛攻だ……。
 こいつはやばい。皆逃げてくれ……!

 悲鳴を上げるばかりで、「俺にかまわず逃げろ!」などの台詞の一つも残せなかったことが無念だ……。

■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第11回(パーティーレベル6) チャプター10

 ラダラス ウーイァン6
 ランデック スカウト6
 ブレイズ ダスクブレード6
 シアン ナイト5/アリストクラート1
 ルカ フェイヴァード・ソウル6

DM「奥の比較的広い空間までダッシュした。で、そこにはノイエ・エイファスが30人くらい。非戦闘員も含んで」
大男「ふぅ……ヤバいな」
シアン「ヤバい? あれは貴方達の手駒じゃないんですか?」
大男「まぁ……お前達を襲わせて共倒れさせようと思ったんだがな……残念ながらツガイでなぁ……裏口の方からもう一匹来てるんだわ」
ランデック「うわあああ!?」
ラダラス「ハマッてんじゃねーか!?(笑)」
大男「つまりお前らの選択肢は、俺達と協力して奴らのうち片方を倒して脱出する。もしくはここで殺し合った挙げ句に、勝ち残った方は美味しく頂かれる…………どっちがいい?」
ランデック「うははは……辛ぇなぁ……悪党と手を結んでいいのか?(苦笑)」
シアン「竜は敵ですが……」
ラダラス「そうだ。竜は敵ですよ」
 ラダラスはエルフの里を火竜に滅ぼされたリベンジの為、傭兵として腕を磨いているのです。
DM「一番“竜を倒す為なら呉越同舟も辞さない人”が生き残ってくれている(笑)」
大男「ああ。竜が敵なのは俺達も一緒だ」
ラダラス「協力して戦うのはいい。だが勝算はあるのか?」
大男「少なくとも片方だけなら……あんたら二人と俺達の戦力でどうにかなる筈だ。立ち向かった奴が何人生き残れるか……ってぇレベルの話だがな」
シアン「うう〜……(悩)」
大男「正直、挟撃されたらお終いだ。それがわからないアンタじゃないだろ?」
ラダラス「それはわかる」
シアン「貴方達が竜を恨んでいるという気持ちを信じようと思います……」
大男「なにより命も惜しいんだよ」
部下達「隊長! 我々は命など惜しくありません!!」
部下達「そうです! 悪の貴族と手を結ぶなど!!」
シアン「今回の件は目を瞑りましょう……とにかく今は目の前の竜を倒すことに集中します」
部下達「なんだとぉっ!?」
大男「おいおい……嬢ちゃんよ。言っとくが俺の部下にゃアンタを道連れに玉砕したって構わない奴が大勢いるんだぜ?」
シアン「そうですか……」
大男「それを俺の顔を立ててくれてるだけのことなんだ。目を瞑ろうだなんて、上から目線で語るんじゃねぇ。俺達は別に見逃してくれって赦しを乞いてるわけじゃないんだぜ。貴族風吹かしていい状況かどうかを考えな」
シアン「ならば私を倒して竜に殺されるがいいでしょう!(毅然)」
ブレイズ「なにこれなんで!? なんでそうなるの!?(笑)」
ラダラス「あれ!? なんかそーいう流れだっけ!?」
シアン「私は協力するって言っているのに、なぜかあの人達が怒り出したんです!」
ブレイズ「えええええ!?」

 他のプレイヤー苦笑い、DM爆笑。

ブレイズ「もう……全滅か……」

 
シアン「え!? え!? 協力しようとしちゃいけなかったんですか!?」
ブレイズ「えーっ!?」
ラダラス「あれ? …………ごめん、ちょっと俺(シアンのことが)わかんなくなってきちゃったんだけど……」
ランデック「あはははははは!!(笑)」
シアン「え!? え!? 協力しようってことでいいんですねよね!?」
ルカ「でも最後にシアンが言った言葉はそうじゃなかったよね?」
ラダラス「うむ(笑)」
ランデック「最後なんて言ったの?(笑)」
ブレイズ「今日のところは見逃してあげるけど……みたいな態度だったよね?(笑)」
シアン「そうですね」
DM「で、上から目線は止めろって言われたら……」
ブレイズ「じゃあ私を倒せばいい、と(笑)」
DM「上から目線を止めるつもりはない、みたいな(笑)」
シアン「…………あ、たしかにそうですね!」
ブレイズ「上から目線を止めるくらいなら、私は死んだ方がいいみたいな(笑)」
ルカ「もちろんこいつらと共闘するのが死んでも嫌だというなら……」
DM「シナリオの都合に従って意志を曲げろ、とは言わない」
シアン「いえ、(レイジ・ドレイクには)ルカ達の仇もありますから……」
部下達「玉砕しましょう!」
部下達「刺し違えてでもシアンを倒しましょう!」

大男「バカ野郎! 待ってる家族がいるんだろう!?」
ブレイズ「熱いなぁ……」
大男「これまでも楽勝だったろう? だったらまた楽勝で倒しゃいいじゃねぇか。ここで玉砕して終わりよりも、生き残ってもっと大勢の貴族とその狗を倒そうぜ? なぁに、俺に任せときゃ余裕よ! まずは生きて帰って、貴族と竜両方倒したって自慢してやろうぜ!!」
ブレイズ「器が大きいなぁ……」

ラダラス「と、とにかくシアンを黙らせよう。いや、悪かった。こいつには俺から言って聞かせる。気分を害してしまったのは謝罪させてくれ」
大男「まぁあいつと話そうとした俺も悪かった。それと、だ。別にタダでって話じゃねぇよ」
シアン「……なんですか?」
DM「もうシアンは完全に無視して、話のわかりそうなリーダーのラダラスに向かって話し出す」
大男「ここには当然ながら、貴族や商人達から取り返した物資が貯め込んである。それを返そうじゃないか。まぁ俺達も自力で持ちだせるだけ持ちだすつもりだが……荷車も無しじゃ多寡が知れてるからな。山分けしてもまだ余る」
 もちろん傭兵隊もたった二人じゃ持ち出せる量は雀の涙。つまり全てが終わった後、改めて回収部隊を差し向ければ取り戻せますよってことですね。

シアン「……27人も殺されたのを思い出してカチンと来ちゃってます……」
大男「あんたらが手ぶらで帰れないのはこっちもわかってるつもりだ。これで嬢ちゃんの面目も立って協力的になってくれるってんなら、『返すぐらいなら火を放て!』なんてもったいないことをしないで済むんだが?」
ラダラス「もうここは、まず生きて出ることが先だな」
シアン「……わかりました」
 意見が出揃った上でリーダーであるラダラスが決断を下した以上、面と向かってそれに反逆するのは騎士の秩序に反するのである。
大男「話のわかる奴が生き残ってくれてて助かったぜ、エルフのダンナ」
ルカ「ノイエ・エイファスにも話のわかる人いるんだなぁ……」
 生き残りがシアンとルカだったら、玉砕を選んでいた可能性が高かろう(笑)
ブレイズ「うん。もっと狂信的な集団かと」
シアン「なんか完全敗北な心境に……」
DM「シアンはボケるか頭に血が上るかボケるかボケるかしかしないからなぁ……(笑)」

 全員爆笑。

 でまぁ、「竜め!」「よくも俺の家族を!!!」といった積年の怨みをシャウトしながら突撃するノイエ・エイファスの皆さんと共にレイジ・ドレイクへの総力戦を展開しているわけですが、さすがにチャプター10まできてそれを書き出すと洒落にならないので、割愛。
 ちなみにアンブッシュ・ドレイクを倒した時点で撤退しようとせず、そのまま奥に進んでいた場合。
 フルメンバー+ノイエ・エイファスからの支援呪文豊富という状態で片方のレイジ・ドレイクと戦い、撃破して脱出……という共同戦線ルートも有り得た。傭兵隊の態度次第では、潰し合った挙げ句に全滅の可能性も有ったが(笑)


 一方その頃のランデックは入口で。

ランデック「うわ……なんか戦いの音がまた……どうなってんだ……さすがに戻りたくはないぞ……」

 と、中の様子をビクビクしながらうかがった後、少し離れた森の中に遁走。

大男「やれやれ……自分で撒いた種だからな……へこむぜ。策士策に溺れるって奴だ」
DM「と、戦闘要員が僅か数人にまで激減してしまった部下達を見ながら、呟く」
ラダラス「わざわざ森から眷族のアンブッシュ・ドレイクを餌にしておびき寄せたら……か」
大男「ああ。初戦で取り逃がした以上、二度目も楽に行けるつもりはなくてな。あんたらが街を出るタイミングも把握した必殺の布陣のつもりでいたんだんが……二匹来ちまうとはねぇ。裏口から逃げるどころじゃなくなっちまったぜ」
ルカ「なんだこのリーダー。なんちゅー作戦を考えるんだ……(笑)」
大男「ふぅ……無駄話して休んでる暇は無いな。…………ここから先は敵同士だ。次遭う時まで勝負は預けとくぜ」

 
 この表情はDMの妄想で現実とは異なります。セザ〜ル。

シアン「貴方、名前はなんと言うのですか?」
大男「ノルベルトだ」
シアン「ノルベルト……ノイエ・エイファスの中にも貴方のような方がいることは覚えておきます」
ノルベルト「見直す必要はないぜ」
シアン「そこは決めさせてくださいよ……」
ノルベルト「そーいうのを甘いってんだ。貴族は格好ばかり気にしやがって」
シアン「甘いと言われても……これが私の生きると決めた姿勢ですから」
ノルベルト「あんたらは徴税を止めるつもりはない。俺達が戦いを止めるつもりもない。あんたが甘さを見せたところで何の意味も無いんだ」
シアン「……そうですか。そうまで言うなら仕方ありません。私たちも……」
ノルベルト「くだらねぇ甘さを見せてる暇があるなら、足元に気をつけな」
シアン「……な、なにも言い返せません!」
DM「では行ってしまう(笑)」
シアン「ううう……巻込まれて殺された人達のことをもっと追求したかった……」
DM「でまぁ、状況から見てこの領内のノイエ・エイファスは潰滅したのではないかと思われる。少なくとも(後方支援要員はともかく)実戦部隊は数人にまで減った」
ラダラス「釈然としないものはあるが、目的は達成したのか」
シアン「手放しには喜べませんね……」

 やりきれない思いを抱え、僅か二人に減ってしまった傭兵隊であった。…………あれ?


●プレイヤーズコメント

・ランデック
 ルカとブレイズを目の前で瞬殺したドラゴン。
 この戦力差では、オレが戻っても死体が一つ増えるだけだ!
 死体は後で回収するとして、今は様子見をするしかない……。

 敵さんはこういう時にも熱いなぁ。
 そしてシアンの血気盛んなところも相変わらずか。
 騎士道とは、戦うことと見つけたり! ってな。



・ブレイズ
 うむ、俺とルカがいようがいまいが、シアンの行動は変わらないことが分かった(笑)
 薄々気付いてはいたが、やはり切ないな。
 しかし、あの切り替えしは凄いな。シアンのボケは何度目の当たりにしても慣れないからな。ノルベルトもさぞかし驚いたことだろう……。

 とにかく、殲滅が達成できたことだけでも喜ぶべきなのか?



・シアン
 結局言いたいことは言えずじまい……私は何をしているのでしょう。
 ノイエ・エイファス……貴族の敵、竜の敵、そして彼らも人間……。
 私の生きる道は……信じた先にあるものは……。



・ルカ
 これですべてが終わったというのか。
 結局、満足できる働きは出来なかった……どころか、何一つ為してはいないのではないか。
 なにせ我ら自身が討ち、捕らえた敵は一人たりともいないのだ。

 戦いの中に散ることは覚悟はしてきた。
 だが、何一つ成し遂げられないまま逝くことは、無念だ……。