■TRPG四方山話 「D&Dがよくわかるかどうかはともかく面白い本」
  1. プレイできる当てはないですが、D&Dの世界観に物凄く興味が湧いてきました。入門に丁度良いお勧めの設定書はありますか?
  2. D&Dに興味はもっているものの何も知らない私。TRPGもソードワールドしかしたことないんですけど、D&D入門に適した本ってあります?面子がいないんでTRPGはできないんですが・・・

 実は月刊ペースで鬼のようにサプリメントが翻訳されまくっていたものの、いわゆる「初心者ガイド」とか「入門書」いうと非常に尖がったネタとして読むなら面白いが、実用書としてはとても推奨できない「月曜日は魔法使い」位しかない現状。
 というわけでリクエストとは異なるけど、手始めに読むのにお薦めな本の中から三冊ほど。

  ・D&Dリプレイ 若獅子の戦賦
 TRPG部がプレイしてるD&D3.5版で唯一の公式リプレイ単行本。
 ワダツミのプレイレポートがルール的な解説を必要最低限(中途半端な説明は混乱を招くだけになりかねないから)としているので、具体的にどういったシステムなのかといったことまでは伝わりようがないのに対し、こちらは豊富な脚注によって、用語の一つ一つが解説されている。
 入部以前はD&DどころかTRPGそのものが未経験、といった人が過半数を占める放蕩TRPG部では、昨年新規キャンペーンを開幕する際に「事前にこれは読んでおくとよい」と指示しておいたのも、この本である。
 もちろん書かれてるルール解説をキッチリ理解する必要などなく、雰囲気や流れというのを漠然とでもいいのでわかってもらえれば御の字で、気楽に読み物として楽しんでいい本。
 だがプレイ中に作品内で登場した呪文が登場したりすると「おお、これがあの!」なんてリアクションがあったりしたんで、効果は上々といえよう(笑)

  アイスウィンド・サーガ 暗黒竜の冥宮
 D&Dに存在する数多のキャラクターの中でもっとも有名で、人気が高く、ワダツミも大好きなダークエルフ、ドリッズトが主人公の小説。
 世界で一番設定の量が多いファンタジー世界、フォーゴトン・レルムを舞台にした冒険物語であり、俺の中で二刀流のレンジャーといえばユパ様か、ドリッズトですよ。
 だいぶ昔に翻訳されていたのだが、近年のハリーポッターや指輪物語によるファンタジーブームに呼応する形で再翻訳。その際は子供向けを意識しまくった結果、完全に文体が児童文学風になったことで旧来ファンからの受けは悪かった。作品単体でみた場合は決して悪いものではなかったのだが。
 とにかくそれを受けてなのか、今回はさらに翻訳スタイルが変わり、児童文学的テイストは無くなっている。
 また、続き物ではあるがこれから読んでも特に問題は無い。既刊を知ってればより楽しめるのは確かだけどね〜。

  ホワイトプルームマウンテン
 こちらはD&Dの標準世界設定であるグレイホークを舞台にした冒険活劇。
 タフで渋いレンジャーが魔剣を追って魔の山に挑むってなもんだ。
 これがもう、面白い。自分が今まで読んだD&D小説の中でも一番面白かった。様々なD&D的ギミックが仕込まれ、それらをパワフル&クレバーに突破していくのはニヤニヤワクワク。
 殺人事件の現場に処理班がやってきて、ゼラチネスキューブに溶かさせて掃除していたのとか笑ってしまった(笑)
 古いバージョンのルールを下敷きにしている為(これはアイスウィンドも同様)、色々と現在のプレイ感覚と食い違う部分もあったりするけど、そんなこたぁ些細な問題で、とにかく「面白い冒険小説」と思って読めばいいのだ。
 小説を最初に読むなら、アイスウィンドよりもコッチのがいいかもね!
TRPG四方山話 「マスターとプレイヤーは同じ幻想の夢を見るか?」

 
>何だかのTRPG用の参考シナリオだとドラゴンは知恵比べして宝を貰ったり隙を見て宝を奪ってこなきゃならない絶対存在
>だったの思い出した(笑


 ドラゴン(に限らず勝つことを想定されていない敵)の隙を狙い、出し抜く!
 これは数あるTRPGのお約束の中でもさらに基本であり、「悪い魔法使いに姫がさらわれて」並にベタ過ぎてもう使われなくなっている……という雰囲気すらあるシナリオパターンである。いや、勝手な印象ですが!

 ワダツミがプレイした「このパターン」の系譜シナリオのひとつに「三匹の竜が支配する山砦に潜入し、討伐軍の中にいる内通者の情報を持ち帰る」というものがある。市販の公式シナリオ集に収録されているものですのだ。
 パーティーが傭兵志願者を装って潜入して得た戦力情報はハンパではなく、一地方を脅かしているだけあって数十体以上のモンスターがひしめいていた。ぶっちゃけレベル5しかないので勝ち目無し。ていうか雑魚以外にドラゴンが三匹だからね。そもそも戦って勝つようにできていない。
 そんな中どうにかこうにか地下への入口を見つけ、「時間をかけると『次の出陣』で人間と戦わされてしまう」という雰囲気もあって急いでスネーク開始。しかしトラップは回避できるのだが、どうしても戦闘を避けて通れない状況。メタルギアと違って「敵にバレてもどっかに隠れて何分か待てば諦めてくれる」わけでもない為、隠密行動は徹底しなければいけない。そこで「こんなこともあろうかとサイレンスを用意しておいた」と完全無音によるサーチ&デストロイを開始。効果時間はものの数分だ。急ぐぞ皆!
 結果、時間ギリギリで内通者の情報を掴むことに成功する。だがこの地下フロアーはそう広大ではない。極めて鋭敏な感覚を持つドラゴン相手に、ローグ以外は忍び足技能に1ポイントたりとも振っていないパーティーが気付かれずに済むことは不可能。ていうか「音を消せば完璧」ではなく「あくまで音を消しているだけ」なのだ。単なる歩哨に遭遇するだけで全滅は確定する。ゆえにこれが限界と判断し、急速離脱。その後も色々あってどうにか街へ帰還し、シナリオは終了。めでたしめでたし。

 だがそんなことはなかった。

 あまりにも実入りが少ない。というか殆ど無い。そしてDMは語り出す。
「もっと中を探索していれば、色々な宝を持ち帰れたのに」

 つまりこーいうことである。
「あんなに警戒しなくても、気軽に探し回って大丈夫なシナリオだったんですよ」

 ここでワダツミはギガショックエクスプロージョンです。
 神経尖らせてパーティーがさっさと離脱したのは、自分の判断が優先されたから。
 やはり自分の責任でシナリオが不首尾に終わるのは申し訳ない。例え仲間がそう思っていなくても。
 しかしワダツミは腑に落ちなかった。
「あの状況で気軽に探し回るなんて判断、無理ですって。死にますよ」
 そう。これだけは冷静になって思い返す今でも譲れない願い。こんなのってないよ!
 主人公達が一騎当千で細かいことに頭を悩まさず、ヒロイックなプレイを痛快に楽しむことに主眼を置いてるようなRPGならいざしらず、D&Dでそんな根拠のない楽観プレイはありえん。だが、それがいいのだ。ガチで頭をひねり、突破した時のカタルシスは素晴らしい。
「このシナリオは敵の警戒のルールがそんなに厳しくないから、大丈夫だったんだ」
 とどのつまり、通常のD&Dの感覚ではありえないレベルで敵が見過ごしてくれるので、音を気にする必要すらなく、「上層部に大量存在する敵」とは切り離された空間として(戦いを察知されても通報が行き渡らない)の地下フロアーで好きに戦って問題ないし、ドラゴンも部屋に踏み込みでもしない限り気付かないということらしい。いや、実際のシナリオにどう書いてあるかは知らないけど、自分が受けた説明はそうだった。
 で、なんでそんな緩いのかという最大の理由。多分それが国産シナリオで、ドラゴンが自分のお付きの女性に趣味でメイド服着せて働かせてたりするような、かなりライトノベルチックなものだったから。

 
 つまりまぁ、D&Dというゲームシステムの基本的な共通認識から逸脱した設定をされたシナリオにD&Dのつもりで挑戦したら、ビビリが過ぎて失敗したということである。これが最初から「勢いとノリで楽しむシステム」だったら、お約束を期待して大胆不敵に行動したであろう。
(ちなみにここでいう「共通認識」とは、同じDMを相手に色々な市販の翻訳シナリオをプレイしたことで得た経験則も大きく関係している)
 もちろん世の中のプレイヤーの多くがこのシナリオで失敗したなんて思ってないし、「自分はこうやって大成功しましたよ」とワダツミに言いたい人もそりゃもう大勢いるであろう。当然、自分のプレイングがD&Dとして最適解であったなんて主張する気も無い。
 ここに明記するけれど、この記事の主旨が「DMの問題あるマスタリングでシナリオ失敗したんだよ。ムカツクな」ではないことだけはわかって貰いたい。そう感じてしまう部分があるのは百も承知だけど、それでも違うと言わせて欲しい。
 あくまでプレイヤーとマスターの間でゲームに対する認識がズレていたことで発生したトラブルの一例として示しただけである。だってこの時、納得いかないからって場の空気を悪くするほど「そりゃないですよ」と食い下がった自分の方が、よっぽど痛いんだから。

 改めて言おう。
 TRPGにおいてマスターとプレイヤーの認識が食い違い、それがシナリオに影響を与えることなんて日常茶飯事である。無い方が珍しい。それが楽しさに繋がることもあるし、今回のようにちょろっと問題になってしまうケースもあるってだけなのだ。

 余談ながら、D&D3.5版のドラゴンは睡眠を必要としないし、広範囲に非視覚的感知を展開していて透明になっていようが見破る為、古式ゆかしい「眠っているドラゴンの財宝をちょろまかす」という伝統的なプレイは、DMが敢えてそれを望まないかぎり不可能となっている(笑)
■TRPG四方山話 「RPGはじめて物語」

 
>TRPG大好きな大佐は普通のRPGも好き?
>日本ファルコムのZWEIUが滅茶苦茶面白い。ヒロインの吸血鬼の姫さんが可愛いよ!


 たうぜん大好きです! 時間が掛かるんで数はこなせてないけど、常になんかしらやってます!
 というわけで今日はRPGのお話! いや、いつもそうだけど!
 TRPGとRPGという言葉の違いからエスカレートしていくぜ!?

 クルクルバビンチョ! パペッピポ! ヒヤヒヤドキッチョのモ〜グタン!(違

 現代……というか日本におけるRPGとはイコール「コンピュータゲームのRPG」を指し、卓上ゲームの方は「テーブルトークRPG」と言わないと通じない。CRPGとTRPGで対になったりはしないのだ。そしてたまにRPGゲームとか書かれてたりするが、それはどうでもいい(笑)
 しかし元来RPG=ロールプレイングゲームという言葉は唯一無二の意味を持つものだったのだ。

 すなわち世界最初のRPG−ダンジョンズ&ドラゴンズ。

 最初のマクロスにおいてバリアブル・ファイターはバルキリー以外のナニモノでもなかったように、RPGはD&D以外のナニモノでもなかった。
 後に様々なRPGがこの世に誕生することになり、RPGは(喜ばしいことに)固有名詞としての意味を失うことになるが、それでもなおRPGとは我々の言うテーブルトークRPGだった。
 さらにはウィザードリィやウルティマといったD&Dのコンピュータ版とも言える伝説のビッグタイトルがゲーマーを魅了することになっても、やはりそれはコンピュータRPGであり、RPGではなかった。

 
 そして日本。
 言わずと知れたドラゴンクエストが、世の中にRPGというゲームジャンルを轟かした。
 もちろんそれ以前にも、パソコンゲームにおいて前述のウィザードリィやウルティマの他にもザ・ブラックオニキスに代表される様々なタイトルが存在していたが、RPGという単語が市民権を得たのはファミコンという国民的ハードのドラゴンクエストが大ヒットしたゆえにであった。間違っても頭脳戦艦ガルではない。
 この時点でコンピュータRPG=RPGという図式が決定したんだね。
 余談ながら当時の四大RPGといえばドラゴンクエスト、ファイナルファンタジー、ウィザードリィ、女神転生。今見ても間違いなく日本のコンピュータRPGを牽引したと言えるビッグシリーズ達である。

 というわけでRPGそのものの誕生を解説するのかと思わせておきながら、実はRPGという単語の変遷だったりする今回の四方山話。
 なんだかんだでこういった成り立ちを知ってる人間同士ですら卓上ゲームのほうを「TRPG」って抵抗無く呼ぶ場合が殆どなので、零戦を「ゼロセンじゃねぇ! レイセンって言え!」なんつう啓蒙をしたいわけではない(笑)
 ……いやむしろ「TRPG」って呼ばないで「テーブルトーク」ってずーっと呼び続けてるな。知らない人に対しては「テーブルトークアールピージー」って言ってるけど。
 小学生の頃、初めてその名を口にしてクラスメートを誘った時は「テーブルトークってゲームあるんだけど、やらない?」だった(笑)
 で、さらに省略が進むと「トーク」で通じるようになり、TRPG部のベテラン層はそう呼んでいる。
 あー。中学時代、うちの幼馴染さん達は女子のグループ内で「TTG」と呼んでたりしたなぁ。

 皆さんは日頃どんな(上記以外の)略称を使ってたりしますかな?
■TRPG四方山話 「は、はじめてだから……」

 
 嫌だよ! ああ嫌だとも! そりゃ嫌だとも!
 というわけで放蕩TRPG部も創部1000日目を6日後に控え、ワダツミだけが妙にソワソワしているが特になんの予定も無いんだぜ!!
 で、プロのマスタリングによるTRPG初体験という甘美なるトラップで未経験者を採り込む所業。ワダツミもやりました! イェーフ!
 まだまだ放蕩TRPG部が出来て間もなく、進行しているキャンペーンは一つだけ。ワダツミもウィザードとして「こんなこともあろうかと」と幾多のピンチを救い、巧みな戦術によって指揮する勝利の立役者として大車輪の活躍をしていた頃(想い出は美化されます)。

 
 もっとやりたいんだコンチキショーとサイト上で部員を公募し、二つほど追加で新規キャンペーンを立ち上げたわけですよ。で、その内の一つがDMの急なトラブルであわや中止か、となり。だがせっかく予定を確保したのにもったいない!と他の方に代打を依頼したわけです。
 それがD&Dの翻訳スタッフにして後に公式リプレイのDMを務めることになるD16さん。我ながら勝ちにいくオーダー過ぎる。
 当然ながら見事なマスタリングによってプレイは大成功し、次回以降への確かな弾みとなったわけさ。
 TRPGに限らず物事における出会い、第一印象は極めて重要なことはいまさら説明するまでもないわけですね。

 
 それがこんなだったらもう最悪ですよ! 瞬時にTRPGなんてファック過ぎるぜってなるよ!
 だが自分もやった! それは認める! 中学生くらいの頃色々やった!
 いやさすがにコンベンションではやってないけど! 仲間内のプレイだったら展開先読みしたり顔とか、ルールミスで喧嘩腰とか!
 …………いや、なんか中一くらいの頃、TRPGサークルの公募があったんで初回の体験プレイに参加したら、後日「うちのサークルには合わないと思います。けどもう一度だけ様子を見たいと思います」って手紙が来たことあるからやっぱ痛い! ちなみに自己嫌悪と羞恥で二度目の参加はしなかった!

 とまぁ自分の痛さばかり書いてても俺が切ないので、別の話。

 これも中一の時。バレンタインデーに開催されたコンベンションに仲間と連れ立って参加したワダツミ。なんか女性スタッフからチョコが配られた記憶があるが、その頃はまだ「うーん、チョコ苦手だからな」くらいの認識で特に物悲しさは感じていなかった!
 で、各自思い思いの卓に散り、ワダツミが参加したソードワールドには中に小学校高学年が一人。それまでは大抵自分が最年少だったんで、珍しかった。

 冒険のスタート地点となる町はアレクラスト大陸最大の工業都市エレミア。
ワダツミ「ヘヴィクレインクィンクロスボウ買いたいんですけど」
 はい、そこ! 笑ってよし!!
 説明すると、恐ろしくダメージがデカいクロスボウ。一発外すとリロードにえらい時間がかかるが、ブロードソードが打撃力16とか言ってる世界で破格の打撃力50すら可能という尋常じゃない威力を誇る。当然そんなかさばる武器を持ち運ぶなどイメージ的に正気の沙汰ではないのだけど、重量のルールが厳密ではないソードワールドなので「強いから使う!」という中学生マインドの前には容赦なく使われてしまうのだ!
 しかしまぁ一応マスターに「買えるかどうか(=使っていいかどうか)」の確認を取るあたり可愛げがあったのだろう。だがそこに容赦ない一言が!
小学生「そんなの買えるわけないだろ……街の規模とか考えてから発言して欲しいよまったく……」
 冒険のスタート地点となる町はアレクラスト大陸最大の工業都市エレミア(大事なので二度言いました
 あらゆる武器防具の品質を統一するべく国内の鍛冶屋に対して徹底した統制が行われており、飛び抜けた逸品は無いがカタログスペックを保証するという意味では絶対の安心感がある、という設定の都市である。
ワダツミ「えあ!? い、いや売ってますよね? エレミアですよね?」
GM「あー、うん。売ってるね(苦笑)」
 多分この苦笑いは小学生のアグレッシヴプレイだけではなく「あー、そんなの欲しがっちゃって」という意味も含まれている(笑)

 話は進み、時間はお昼。各テーブルでは食事に出るグループもあれば、弁当を食べる人もあり。おや、誰かがカップヌードルカレーを食べてるじゃないの。
ワダツミ「う〜ん、いい匂いがしてきますねぇ(笑)」
一同「そうだねぇ〜(笑)」
小学生「(舌打ち)…………意地汚い人だな」
 凍りつくテーブル。乾いた笑いと共に「聞かなかったこと」にして再開するプレイ。
 ワダツミもなぜ自分がこうまで悪意を向けられているのかさっぱり解らず、内心怒りに震えつつも「相手は小学生……小学生……」とスルー。
 ちなみに他の人に対してもアグレッシヴなのかというとそうでもなく、明らかに俺だけが嫌いなようなのだ(笑)
 他が全員高校生以上で、自分が年齢近いからなのか……それともヘヴィクレィンクロスボウなんて痛々しい武器を買おうとした挙げ句、己の理知的な突っ込みをマスターが却下して俺がまんまと手に入れてしまったことが不満だったのか。
 当時考えてもさっぱり自覚症状がないし、記憶が風化してる今なんてなおさらである。自分のプレイングもきっと他の年上の人達からしたら痛々しかったろうし、それはお互い様だろうなぁと思える分、成長しているとは思いたいね!
■TRPG四方山話 「貴様ではこの戦闘に勝てぬ! 勝てぬわけがあるのだ!」

 

 例によって拍手コメントから話の掴みを拾うワダツミ!

> クレインクインクロスボウといえば、昔PCが揃って装着してるパーティを相手に、ライオン戦法を仕掛けた事があった。
>雄ライオンが遠くからのたくら接近して、PCが弓を構えた途端、雌ライオン軍団が一斉に物陰から奇襲。
>うっかりソーサラー喰い殺しちゃって非難囂々だった(苦笑)


 それはむしろオープンフィールドで一足飛びに間合いに詰め寄られるまで敵の接近を気付けない時点で、負けてる気がする(笑)

>おほほほ、君たちはあまり良くないプレイヤーだったが、レンジャー総計が1レベル×1だけな君たちがいけないのだよ!
>……サブスキル軽視されがちだったからなあ。危険感知? ちゃんと猛獣が非常に近くに接近していると言いましたよ?


 という流れから今回の話に繋がるぜ! 繋がるさ! 繋がるとも!

 戦いとは戦略的に敗北している時点で、戦術レベルからの覆しは極めて困難である。
 今回の話における「戦略」とはキャラメイクから始まるパーティーの「地力」となる部分ね。「戦術」は資金を投入しての装備選択や呪文の準備から始まる、実際の戦闘における立ち回り。
(まぁ普段遊んでる時はこの「事前準備」の段階を「戦略」としてるんだけど、それはまた別のお話)

 拍手コメントの例では、野外戦闘のプロフェッショナルであるレンジャーを軽視したパーティーだったゆえに、厳しい状況に立たされたわけだ。もちろん、プレイヤーの戦術ミスもあるのだけど。
(ここでいうレンジャーはソードワールドRPGのレンジャー技能です)

 他の例を示すとしたらこうなるだろうか。

 ダメージ呪文よりもパーティーの強化を重視したい為、力術(ダメージ呪文の系統)を切って変成術の専門家にしたウィザードがいるパーティーが、範囲攻撃の手段が無いと勝ち目が無い蟲のスウォームに手も足も出ずに敗北した。
(そしてこっちはD&Dのウィザードです。ちょっと紛らわしくてごめんね。我慢してね)
 この場合の「専門家」とは単に覚える呪文を偏らせてるのではなく、マジで使用不能とすることで他の呪文の使用回数を増やしている為、ファイアボールやライトニングボルトをいまさら覚えることも難しい。つまり戦略的に敗北しているゆえの結果である。

 これを「プレイヤーの油断・怠慢」とするかどうかの匙加減は凄く難しい!!
 前者の例なら「サブスキルを切り捨てた分、正面戦闘力は高い」ことになり、後者なら「仲間を強化することに関してはお任せあれ」で、状況に敗北したのはメリットに対するデメリットでしかないのだから。

 でも難しいんだよね!(笑)
 だってマスターはプレイヤーの弱点を狙い撃ちにして楽しむことが目的じゃないから。
 補いようのない弱点を突かれて敗北したってプレイヤーも納得しないだろう。
 だがしかし。
 やはり一面における有利さを享受している以上、一面における不利さも被って貰いたいわけよ。
 レンジャー技能軽視してるんだったら、野外戦における弱さは身に染みて欲しい。ダメージ呪文軽視したんなら、数が多い敵には手を焼いて欲しい。等価交換である。
 これが補える弱点……というか明確に怠慢な「一般装備品を軽視してロープの一つも持ってません」とかなら容赦なく「持ってないのが悪い。この崖は登れないね。出直してこい」と突き放すわけだし、防御力を重視してフルプレートでガチガチに固めてるんなら、「山あり谷ありが冒険ってものだよスティーヴ」と不整地や落とし穴で物凄く難儀してもらうだろう。
 そして例に挙げた二つは、とりあえず一度の敗北を経れば挽回の余地はある。
 レンジャー技能が無くて悲惨な目に遭ったのなら「今後のために補助系も育てよう」となってもいいし「まぁこんな状況はそう無いだろうし」舐めてポジティヴにいったっていい。ウィザードの専門家を既にしちゃってる場合は、クレリックに範囲攻撃呪文を用意して貰うしかない。常時準備しておかなくても、スクロールでだっていいから。さすがにウィザードの同レベル呪文と比べたら見劣りするが、無いより全然マシだ。
 つまりなにが言いたいかというと、一度痛い目に遭っても教訓を得られない冒険者が長生きできないのは、とても自然なことである。
 もちろんこれはワダツミの個人的なスタンス。プレイヤーを困らせないで楽しみたいから、弱点はそっとしておくって考え方を否定する気はまったく無い。

 ちなみにワダツミが普段こういった「欠けてるものがあるゆえに対処が困難」なシチュをシナリオの重要な部分に用意してある場合は、そのシナリオ序盤や一個前のシナリオの時点で軽く同じような状況で困らせることが多い。ボスが夜襲をかけてくるシナリオなら、その前に雑魚による夜襲を経験させたり。本格的な水中戦を予定してるので、とりあえず浅瀬で戦ってもらったりね。


 最後はワダツミの経験談。というか最早余談。言いたいことはもう言った!

 
 そのキャンペーンでワダツミはランスチャージによる一撃必殺を目的とした重装騎士を使用していた。
(特技の全てをランスチャージ関係に突っ込んだ構築をしている為、普通の斬り合いは弱い)
 プレイ回数は六回目となり、それまでにワダツミがそのランスの餌食としてきた敵は…………オーク一匹くらいであろうか?(えー
 実はこれまでのシナリオにおいて、ランスチャージが許される状況が全然無かったのよ!(笑)
 基本的にダンジョンに潜るシナリオばかりで、狭い通路も多く、遭遇のシチュエーションも「ドアを開けたら敵目の前」がすべて。ランスチャージに必要な間合をまったくとることが出来なかったのだ。
 覚悟はしていた。していたとも。ダンジョンアタックにおいては重装騎士がその力を存分に発揮できないシチュエーションが多々あろうことは。敵だって大型のモンスターがバンバン出るんだから、同じサイズの騎士が機能不全に陥りまくることは無いだろうとも計算しつつ。
(付け加えるなら、ランスチャージの成立に必要とされる助走距離は僅か2マスである)
 しかしさすがにここまで執拗にチャージ不可能シナリオを連続されると「虐めですか?」と泣いていたのも事実。毎回「今回もチャージできんかった……」と仲間はもとよりDMにもこぼしていたり。
 些かメリットとデメリットのバランスを欠いていたマスタリングだったのではないだろうか、とは思ってたりします。
 リアルだったら「下水道に潜って欲しいんだが」みたいな依頼は断固として辞退するべきなのだが、プレイで断ると予定が狂って「他のシナリオ用意してないよ……」ってなっちゃうからそーいうわけもいかない切なさ炸裂なのだった。


(追記
 

>うーむ。『10m単位で直線で馬が疾走出来て屋外以外』と言うのはそう思いつきませんなぁ。
>そのシチュエーションだと敵もそれに対応してないと確殺されそうですし。やはりそれがメインと言
>うのは厳しいのでは(苦笑) by Ryu


 本文中でもルール上必要な助走距離については書いておりましたが、やはり一般的なイメージがあると想像しずらいのも事実。
 というわけで実際にD&Dでランスチャージの成立に必要な最短の間合いに、フィギュアを配置してみました。
 これで完全なダメージのランスチャージが成立します。別に近過ぎるからダメージ減るとかありません。遠ければ増えることもありません。
 不自然でしょう? おかしいでしょう? 無理がありますよね? 正直凄く簡単そうだよね?
 しかしルール上まったく問題が無いのですのだ。不整地だった場合でも跳躍すれば結構な確率で成功。
 ちなみに当時は(今思えば)ルール裁定のミスで、さらにもう一歩近付いた状態からでも認められていました。でも無理だったという(えー
 そんなわけで主に使用していたのはランスではなくセカンドウェポンのロングソードさ! 徒歩用フィギュアも大活用!

 現実的に「10メートル以上離れてないと使えません」ならさすがにランスチャージキャラは作らないと思う(笑)