■“竜”キャンペーン 第3回(パーティーレベル5)

 
 前回、ガウスに喧嘩を売るも完敗した上に金品を巻き上げられたパーティー。一度帰還して装備を整えての再出撃である。
 となると、ジャイアント・ホーネットの襲撃も嬉しい(DMが
 戦闘開始当初は一人で
DM「こちらホーネットリーダー。敵艦隊を発見。編隊各機、これより輪形陣の外郭を突き崩すぞ」
ローグ「近づかれる前に撃てるだけ撃っときます……が、外れ」
DM「敵艦の対空砲火は大したことない。ホーネット2は右翼の護衛艦に突撃する」
 みたいな遊びをしてたんだけど(それもどうか)、女ファイター(プレイヤーは女子高生)に取り付くや否や!
DM「毒針で攻撃。命中。すると敵は君に無理矢理太くて硬いモノを刺し入れ、ドクンドクンと体液を注ぎ込んだ。頑健STどうぞ」
ファイター「え、ええー。らめぇとか言った方がいいんですか?」
DM「そりゃもう!」
 以下、ファイターに毒針攻撃が命中する度に「身の毛もよだつ液体が君の身体に染み込んでくる」「無理矢理体内に注ぎ込まれた液体が、君の身体を侵してくる」とか言い続けるのであった。超愉しかった!!

 
 で、なんかスズメバチが大人気で、隙きあらば変な遊びをしているファイターのプレイヤー嬢。
 あれだけ卑猥な攻撃をされたことで身も心も調教されたのかもしれません。

 
 今度こそは、とガウスの住処を再襲撃!
ソーサラー「スコーチングレイ、いきます!!」
DM「じゃあこっちもラミエルばりに倍返ししてあげよう! 熱線(4D6)&致傷光線(2D8+8)!!」
ソーサラー「うわ、ほんとに二本飛んで来た!! シンジ君の如く昏倒!」
ファイター「ど、どうしましょう?」
ドルイド「ラインは開いてるから、突撃すれば攻撃届くよ」
ファイター「じゃあ突っ込みますよ〜? いいですね〜?」
ドルイド「まぁ落とし穴あ」
ファイター「とー!」
ドルイド「るかもしれないが……」
DM「はい、落とし穴。反応ST……落ちたね」(写真の黒ベース部分)
ドルイド「やっぱりかーっ! そりゃ自分が同じ立場なら、そこに掘るわ!」
 穴自体は深くないが、念の為登攀が得意なペットのエイプに回収しに行かせる。
DM「じゃあキミらエルフにはまったく効かなくて使い道が無かったスリープ光線照射」
ドルイド「寝た……これ、落ちた衝撃で起きる?」
DM「もちろん、OK。そういえば昔、ソードワールドで『スリープクラウドで寝た敵は、倒れた衝撃で目が覚める』という裁定を巡って大喧嘩したことあったなぁ……」

全員「おかしい! 前回よりも一方的に負けてるぞ!?」
ドルイド「ていうか前回とやってることが根本的に変わってないぞ!? 我ながら酷い! ええい喰らえ、AP使用でST難易度上げたアースバインド!」
DM「残念。ダイス目が良かった。ST成功!」
ドルイド「なにーっ! これで身動き封じて完勝だと思ってたのに!!」
DM「呪文一つSTされた瞬間、瓦解する作戦かいっ!」
ガウス「せっかく拾った命をまたも捨てに来たのか、愚か者どもめ。改めて問おう。貴様達は何の権利があって我が住処を襲っているのだ? 勝手に押し入り、我が従僕達を虐殺しおって。この強盗が!!」
ドラゴンシャーマン「う、うるさい! 俺の鎧返せ!!」
全員「ダメだーっ! 完全にこっちが悪者だーっ!」
 彼らも自分達が明らかに正解のルートから外れ、いわゆる「戦わなくてもいい敵」に喧嘩を売った挙げ句に自滅し、さらなるドツボにはまってる自覚はありまくりなのでやるせない(笑)
ドルイド「倍プッシュだ!(泣きながら」
ソーサラー「ヘイスト唱えるから一気に畳み掛けよう!」
ローグ「逃げないんだね? じゃあ射ます…………クリティカルヒット!」
全員「うぉぉぉぉぉ!?」
ガウス「くっ、なかなかやるな……よし、ならば取り引きだ。この前貴様達から奪った物は返そうじゃないか。それでお互い手を引くということでどうだ?」
ドルイド「なにぃぃぃ!? まだそっちが有利なのに、そんなんでいいの!?」
ドラゴンシャーマン「この目玉野郎! 命が惜しかったら俺の装備全部返せ!」
全員「あくまで上から目線!?」
 結果、不自然さは明らかだが、ここで下手にごねたら全てを失いかねない……というか失うので、その条件を呑むことにするパーティー。

 
 あっちは外れだ!ということで、途中の分かれ道のもう一方へ進むパーティー。
 すると突如、地面の下から巨大ゾウムシがのそのそと這い出てくる。さらにアンバーハルクの幼体も!
DM「それじゃあまずは意志ST」
ローグ「ST失敗。混乱表……全力で逃げ出します」
ファイター「成功、でいいですか〜?」
ドルイド「むむむ。知識ロールが名前までしかわからない!(つまりプレイヤーは知らないふりという、オトナの対応) とりあえずプロデュースフレイムを投げ付ける!」
DM「アンバーハルクはビックリして慌てて逃げるよ。するとゾウムシ達は君目掛けて一斉に酸を吐きかけてきた。巻込まれた人達もそれぞれ反応ST」
ドルイド「八回かよっ! 溶ける! 個々は小さいけど数多い!」
 しかしこのパーティー、ソーサラーやドラゴンシャーマンのブレスによる範囲攻撃や、ファイターの薙ぎ払いといったオプションを備える為、雑魚多数という編成に対して相性がいい。あっさりと殲滅。
ドルイド「死体、幾等で売れるかなぁ?」(解体しつつ(モンスターの死体が素材として売れる世界です。


DM「さて、分かれ道の右側を進もうとする君達の背後から、なにか声がする。どうやらアンバーハルクのもののようだ。地下世界語喋れる人?」
全員「いないー」
DM「じゃあわからないねぇ。交渉振ってみて。…………んじゃ、数値高かったドルイドは辛うじて『なにか困ってるような声音だ』ということだけわかる」
ドルイド「そりゃ仲間皆殺しにされりゃ困ろう。とりあえず敵意は無いのか……」
 で、この後のやりとりを全部書くと本気でリプレイになって長くなり過ぎるので割愛! キングクリムゾン!
 要約すると、「どうやらヘビのようなトカゲのようなムカデのような生物がこの奥に居るらしい」と、ボディランゲージや絵心皆無なアンバーハルクに地面に絵を描かせたりで推理する。そしてそれ以上はわからなかった。
 再び奥に進もうとすると、ファイターの服の裾で自分の目を隠しつつ(他人が目を見ると混乱してしまうから)ついてくるアンバーハルク。
ファイター「かわいいぃぃぃぃぃ! この子連れてきます! 名前はロクちゃんで!」

 進んだ先にあったのは、依頼主からの前情報で生息を教えられ、戦闘を覚悟していたエターキャップやその飼い蜘蛛達と、巨大ゾウムシの死体。腐臭漂う洞窟の奥へ向かう一行。
全員「こりゃさっきの絵の奴が皆殺してしまった感じかなぁ?」

 
 当たり。道を抜けた先に広がる光景は、まだ死んでからあまり時間が経ってないであろう、今回の目標ディスプレッサービーストと……。
ドルイド「確かに『ヘビのようなトカゲのようなムカデような』だ」
ソーサラー「ちゃんと特徴捉えてたんだねぇ……」
DM「知識ロールの結果、これがビーヒアと呼ばれる魔獣だとわかる。あ、知識失敗してても名前は知ってていいよ。なぜならこいつは竜を目の敵にしている。竜側に属する君達にとっても、話くらいは聞いたことがある」
ドルイド「電撃ブレス吐くのか……」
ソーサラー「この縦一直線は実にヤバいですね」
全員「えー、竜じゃないの?」「竜じゃないのが許されるのはトカゲまでよねぇ」「キャハハキモーイ」
DM「こいつ、知能それなりにあって言葉も通じるから、その会話も聞き漏らさないよ。怒り狂うね(笑)」
全員「か、かかってこい!!」
DM「それじゃあイニシアチヴ」
ドルイド「ここは勝負所とみた!! AP使用! イニシアチヴロールに追加!!」
DM「…………素晴らしい好判断。それによって増えた分で君が先手だ」
ドルイド「よし! マス・レジスト・エナジー発動! 電撃のダメージが10点減るぞ!」
DM「APの使い所といい、その呪文を準備しておいたことといい、実にナイスだ。ブレス、いくよー(7D6)」
 まさにファインプレーで、この防御呪文が無ければ一撃でパーティーがボロボロになり、即時撤収となっていたに違いない。反応STに成功したら損傷軽微、失敗しても精々HP半減で済んだのだった。
DM「それじゃあ突撃してきたファイターは無視して、第二線を張ってるドラゴンシャーマンを狙います」
ドルイド「そうか! 竜を目の敵にしてるんなら、ドラゴンシャーマンはいの一番に狙われる!」
ドラゴンシャーマン「ぐはぁぁぁ! 掴まれた!」(写真右)
 仲間の集中砲火が行われるが、さすがに超大型サイズのモンスター。タフだ。
DM「エンラージパーソンしといてよかったねぇ……。中型のままだったら呑み込まれてお終いだったよ。仕方無いから腕六本で乱れ打ち」
 これもイエスな判断だった。結果として六回攻撃の前に撃沈されるが、呑み込まれていたら戦闘不能どころか死亡確定である。
DM「大型で呑み込めない君は放り投げられた。すると地下を掘り進んできたロクちゃんが、一生懸命地面の中に引き込もうとしている」
全員「ナイスだ!!」
ファイター「ロクちゃんえらい!」
 地面に放り投げられたままだと、次のラウンドで一発踏まれるだけで死亡だった。回復も焼け石に水な状況だっただけに、ナイスフォロー。
ドルイド「次狙われるのはやっぱ……」
DM「そりゃ竜信仰してるドルイドの君だよ」
ドルイド「ですよねー。こりゃー確実に死ねる……」
 が、ドラゴンシャーマンがボコボコにされてる間、着実にダメージを与え続けたファイターの(この戦闘二回目の)クリティカルヒットが遂に息の根を止めるのであった。
DM「ディスプレッサービーストの皮はダメになったけど、こいつの死体も結構な値段で売れるよ」

 意気揚々と解体し、それじゃあ帰るかとなる一行。
DM「帰り出す君達をロクちゃんは送っていたが、途中で仲間のゾウムシの死体が散乱する場所に差しかかると、寂しそうに死体を埋め始める」(その時のBGMが偶然にもギアスで哀しい時に流れる歌
ドラゴンシャーマン「こ、このBGMでそれは……」
ドルイド「向こうが攻撃して来る前に、いきなり炎投げ付けたんだよね……」
ファイター「切ない……」
ローグ「お、俺が真っ先に混乱したりしなければ……(知識ロール成功してた)」
全員「いや、それは関係無いから」

 人間側の価値観ならばモンスターは殆どの場合敵であったが、このキャンペーンは他のキャンペーンが敵として戦っている竜の社会側であった。つまり、モンスターが即座に敵にならないのだ。ローグがいきなり逃げ出した原因も不明だったので、あの時点でアンバーハルクは明確な敵対行動は取ってなかったとも言える。
(種を明かせば、荒らし回るビーヒアから逃げるようにあそこで隠れていた。そして子供なので自分の目がもたらす効果をうっかり忘れていた)
 新しい価値観に不慣れなプレイヤー達への「こーいう世界ですよ」という学習ミッションなので、問答無用で殺しちゃっても詰むわけではないのだが。

 以下はプレイ後、プレイヤーがキャンペーン用BBSに書き込んだ記事より。

 ドルイド@シーノ
「あぁ……あいつの友達、返してあげてなかったな……」
 持ち帰った戦利品の中から、昆虫の死骸を見つけたシーノは呟いた。
 大地の恵み、命の循環としての狩猟を生業にしているシーノだが、 必要のない殺生であの小さな"ロクちゃん"の「相棒」を奪い、持ち去ったことに心が痛む。
 様々な生き物が住むこの森、"殺してよい"生物などいない。
 物言わぬ動物と心通わす自分が、言葉を語る相手を、 いきなり殺そうとするなど、語るに落ちるというものだ。
 竜に従う戦士である自分と、森に生きる者達の一員である自分の両立。
「まだまだ学ぶことは多いな……」


 ローグ@コルレオニス
 どんなに俺に運が無かろうと仲間の為に先陣を切らねばいけない以上、泣き言を言ってられないのは分かってる。とは言えガウスの件では俺の行動の所為で仲間の命を死の危険に晒し、ロクの件では真っ先に錯乱し、あまつさえ奴の仲間の命を奪う事になってしまった。
 もしどこか一つだけでも更に悪い方へ転がっていたら、なんて考えたくもないが…。
 俺もいい加減『エルフと竜の眷属以外=敵』の思い込みを捨てるべきだろうな。
 そのためには他の言葉を覚えておいて損は無い筈だ。……またやることが増えたな、泣きたくなってきた。


 ソーサラー@カーラン
 己の力を高めたいとの目標から、旅に出たものの、魔法を温存して仲間に毒の苦しみを味合わせるのに一役買うとはなんという体たらく。あまつさえ、誇りであるドラゴン譲りのブレスを無益な殺生に使用し、力を誇示するとは……。
 同世代で魔法に秀でていたことで、少々天狗になっていたようだ。
 火竜王を信仰するこの俺が、炎を制御できなくてどうする?
 強い力には責任が伴うことを自覚し、「得た力をどう使うか?」を今後の課題としたい。
 もちろん、自身から湧き出るこの力の限界に挑戦し、成長した上でだ。


 ドラゴンシャーマン@ファルヴァ
「いやはや、まいったねぇ、どうも……」
 村外れにある大木の先端付近、お気に入りの枝の上に寝そべり空を見上げながら、ふと呟いた。
 傍らには相棒……と言うにはまだ付き合いの短いロングスピア。
 ある程度は覚悟していたとはいえ、まさかこうもあっさり窮地に追い込まれるとは。
「世界は広い、って奴ですか……」
 空に手を伸ばす。雲は今にもつかめそうで、でも実際は触れる事は出来なくらい遠くにある。
 共に戦士の試験を終えた仲間達との初仕事は、大手を振って帰る事のできる内容とはいかなかった。
 これから歩もうとする道は、どうやら相当に遠く険しい道で、まだまだ自分達の未熟さに気付かされる事になりそうだ。
「……まぁ、だからこそ面白いわけだが」
 我が理想は遥か天空の翼、全てを包む大いなる風と共に。
 この程度の困難、丸ごと飲み込めずに何が風竜王の祈祷師か。
「知らぬなら学べ、阻むなら乗り越えよ。立ち止まらぬ限り風は吹き続ける」とは誰が言ったものだったかな?よくは思い出せないが、まったくその通りだ。
 相棒を掴み、勢いよく起き上がる。日没にはまだ時間がある。一汗流すには丁度いいだろう。
「とりあえず、あの目玉はいつかぶん殴る、っと」

 ↑多分、何が起きたか知らなければ一番カッコイイこと言ってる(笑)

 そしてDMによる種明かし書き込み。キャラは与り知らぬことですよ、とした上でプレイヤーへ(笑)
 
コボルト(依頼主)「今回はおつかれさん。どうだい、新成人達は」
ガウス「若さゆえとはいえ、実に無鉄砲だったな。私が本当にここで暮らしてる無関係な存在だったら、最初の遭遇の時点で皆殺しだったぞ」
コボルト「ハッハッハッ。そいつは手厳しい」
ガウス「そもそも自分達が他者の生存権を侵している認識が希薄だな」
コボルト「まぁ外の世界に出たことがなかったのだ。仕方がない。これから色々と学んでいくさ」
ガウス「その辺のことは思わず説教してしまったよ。だいぶ頭に血を上らせてるようだったぞ」
コボルト「それでも予想外の乱入者だったビーヒアを仕留めるあたり、ただの無能では無い筈さ」

 ドルイドのプレイヤー
 全部仕込みか!
 妙に寛大に見逃してくれたり、説教くさかったり、 二戦目で「痛み分け」なのに、前回とったアイテム返してくれたり。
 あれもよくよく考えてみると、まだガウスの優位は崩れていない状況で、イーブンですらなかったのにガウスの降伏に等しい条件をのんでたりと。振り返ると不自然な点だらけだったんですよね、納得(笑
 前回がキャラクターに慣れる回、今回は竜の勢力ってのはこんな世界ってお勉強、 という感じだったのかなー