たかまれ!タカマル
#1



著者 近藤るるる
出版社 エンターブレイン
掲載誌 週刊ファミ通
発行日 2002/12/5
定価 580円
オタク 2.50
パロディ 2.75
シリアス 2.13
ギャグ 2.88
痛さ 1.50
好きさ 3.63
「名門・華音高等学校のちょっとへんてこな部活動…?」
 将来はゲーム雑誌編集者を目指す夢と理想にバーニングファイアーなゲーム大好き少年が、高校の部活動で商業ゲーム雑誌を作るお話。
 帯には「胸キュンシリーズ」と書かれておりますが、一巻読む限りではラブコメよりも際どい&パワフルなギャグ主体のスラップスティックコメディーです。
 業界No.1のゲーム雑誌を作るべく高校生が日夜編集作業に励みつつ、様々なハプニングが巻き起こるという内容は、一般的な部活で全国制覇を目指す学園モノと考えれば活動こそ特殊ながらもある意味基本ラインは外れていない。
 ただ、やはり学生なのによくまぁこんな大変な作業をこなして定期的に雑誌を発行しているものだという感心はあります。同人誌一冊作るだけでも大変な自分からしたら、この行動力には驚くばかり。
 ゲーム雑誌がどの様に作られていくかを厳密にではないにせよ毎回小出しにして話が進む為、メイキングものとしての面白さがありながら、地に足がつくばかりではない荒唐無稽なエピソードも同じくらいあり。
 しかしながら、編集長がいただけない。どうにもいただけないのだ。業界最高のゲーム雑誌作りを目標としている割には、ファミ通を盗作(原稿情報を盗んでるのです)した劣化コピーでしかない事に不満が無さそう。実務に関しても別段凄い力があるように見えるわけでもなく、威張り散らして無茶言ってる印象だけが強い。一方部員も彼に引きずられるだけの現状に対する危機意識は極めて希薄。個々の能力はあるのだろうけれど、良心の呵責や理想が無く言われた事をこなしているだけに映ってしまう。
 よりよいモノを作る為の善良ならざるやり口というのは、嫌いどころかむしろ好きなくらいなのですが、その結果が盗作の域を出てないのでは姑息なだけという感じになってしまいます。主人公側の人間が性欲を満たす目的で赤の他人を盗撮・盗聴している所なんてギャグマンガといえどスルーできんし。ラブコメで幼馴染を覗く、とかとはワケが違う。
 とまぁ言いたい放題ですが、他のレビュアーの皆さんの評価は概ね高いものとなってるんで、結局好き嫌い分かれるであろうアクの強いキャラとネタが趣味に合うか、許容できるかどうかっていうレベルの問題だとは思います。
 作者の別作品のキャラが色々登場するのは好きな趣向。あんなのことを「デュラルみたいだ」には爆笑(笑)
あおぼうず
 学習まんが「ゲームざっしのできるまで」とか「新人編集者奮闘記」といった感じ。
ただし舞台は高校だったりする。高校生が隔週とはいえ雑誌なんてつくれるかよ!というツッコミはおいといて、ほんのりとラブコメしてる話が良いです。個人的にはもっとラブコメメインで話を進めてくれた方が好きですが。
 ところでこの作品にはいままでの近藤るるるの作品のキャラがゲストとして結構出てきます。そのあたりやはり知っていると面白さも増すでしょうが、逆に知らないと何が面白いのかわからないネタなんかもあっ たりして微妙ですな。

いちめどー
 近藤るるるのファミ通連載漫画の最新シリーズ。
 このシリーズの面白い所は、やはりファミ通に関わる人々を描いているところでしょう。
 前作「天からトルテ」と変わり、今回はファミ通をライバル視する同人ゲーム雑誌S・M・Lの編集部の学生たちが主人公となってます。
 一巻ではまだ雑誌編集の毒々しい部分は少なめですが、学生なりの苦労や努力が描かれていて読み応えがあります。
 お気に入りキャラはアイドル研の香椎綾。
 一応ヒロインなのだけども個性的な面子の中ではやや存在感が薄いのが悩みの種です。

ゴルゴ31
 作者の近藤るるるがファミ通の内情に詳しくベテラン作家だけにゲーム雑誌を作る上の要所を押さえてあり安心して読む事ができますね。それにさり気ないパロディ要素も所々にあり、「大●まことのPCランド」ネタ(はてなダイアリーの黒歴史::ゲームに載っていたりする)とかファミコン世代には笑えるネタもある所は面白いです。まあ作者の他の作品のキャラが度々出るのはご愛嬌ってことで。
さぼり
 かわいい絵柄にフェチ分とギリギリなネタが合体した学園コメディ。良い子のゲーム誌に「レイプ」とか書いてるあたりもう只者ではありません。
 ゲーム誌の漫画だけあってゲーム系のネタも入ってますが(まさか大竹まことのゲーム番組の話が出るとは)、目はどうしても某Mコスプレとか幸地さんとかいったフェチな要素に(笑)

にゃろ
 商業ゲーム誌の製作という高校の部活(!)を通して起こるドタバタラブコメもの。ファミ通で連載中の漫画なので、通しではなくとも読んだことのある人は多いはず。
 近藤るるるの魅力的な絵柄や、主人公が仕事にがんばり、仲間と絆を深めていく様は心地よい(部長や下着盗撮部員君はちょっと好きになれそうもないけど……)。
 ただ、業界一のゲーム雑誌を目指して情熱や誇りをもって雑誌を作っているはずなのに、他の雑誌の記事を日常的に盗用していたり、そうしてパクリ雑誌を出し続けていることを誰一人としておかしいと感じていないなど、雑誌製作そのものへの姿勢があまりに辻褄の合わない適当な描写でお茶を濁されているのが非常に残念。

 総生徒数三一一七名の設定は伊達じゃないってくらい各方面の達人的な技をもった生徒のいるクラブがたくさん。
 そんななか部活動で商業誌をつくっているSML編集部。
 一話一話ではなかなか本の製作が進まないけれど、読み進めてだんだんと本が完成に近くなっていくと読んでるこっちも嬉しくなる。
 作者の以前の作品からの登場人物もいるので併せて読むとより楽しいかも。

檸檬来夢
 これはファミ通内に連載されていながら、打倒ファミ通とか言ってるとある高校の雑誌編集する部活の話。とはいえ発行部数は少ない物の、作品内では一応商業誌として出ている。一巻ではハイパーあんなのキャラが出てきたりと読んでいて少し懐かしかった。あんなを評しての「デュラルみたいな人ですね」には、おもわず噴出してしまった。ファミ通編集部にはトルテ達がいるし、るるるワールド全開!と思いきや、そうでもないのが残念。きっと時代劇では黒蘭がやってるに違いない、と妙な妄想をしてみたりした。
 それにしてもこの学校、わけのわからない危ない部活が多い気がするが蓬莱学園の縮小版みたいなもんだろう。作中では話の流れ上、特に必要ないのかもしれないが授業中の風景を見たことがない。学園が舞台の漫画である事を忘れてしまいがちになるのだが、いいのだろうか? 制服姿は沢山見れるのでいいんです。そういうことにしておきましょう。

ワダツミ