進め!!聖学
電脳研究部



著者 平野耕太
出版社 新声社
掲載誌 ファミ通PS
発行日 1999/4/25
定価 950円
オタク 4.27
パロディ 4.36
シリアス 1.64
ギャグ 4.00
痛さ 2.55
好きさ 4.00
「バッ、バイオ戦士DANの攻略本にファミコン風雲児の単行本!?
 おまけに超ハードヤオイ同人誌持ってくるか!? 学校にッ!!
 この娘、ただ者じゃねェ」

 学校でそんなんフル装備した眼鏡っ娘とエンカウントしたら速効で恋に落ちるわい。そう断言する事を一切憚らない人ならばこの漫画はハートにクリティカル。
 プレステ雑誌で連載されていたくせに、プレステの話なんて殆どしないでファミコンネタばっかしていた漫画です。だが、それがいい。自分のように完全ファミコン世代の場合、次々と繰り出される容赦ないレゲーネタの数々に抱腹絶倒せざるを得ない。ただでさえ平野耕太のギャグって破壊力抜群なのに!
 しまいにゃBugってハニられて冒険島だぞ、オイ。
 一般ゲーム雑誌によくまぁこんなハードコアなレゲー漫画を連載していたなぁと思いもしますが、元ネタ知らなくても面白いであろうことは想像に難くない。
 めくるめく平野耕太テイストをタングステン弾芯徹甲弾ばりに貫き通した怪作であり、初めて読んだ彼の漫画がテクノ番長だったワダツミとしてはヘルシングのかっこよさも最高だけど、この絶望的な頭の悪さと神懸ったクレイジーさも忘れちゃならねぇよ、というわけです。いやほら、昔のウォルターってビームとか出したし……(えー
 バカばっかと言いつつもレゲーに対する熱い思いもしかとしたためられており、そこも小粋。
 惜しむらくは、終盤暴走し過ぎて奇跡のバランスが崩壊し、序盤程の切れ味が失われている点。
あおぼうず
 平野耕太節全開によるクソゲー漫画。一話七ページという短い構成の中、よくここまでネタを盛り込めるものだと感心します。
 とりあえず部長が登場してからのネタの濃さは目を見張るモノがあります。主人公を食いつぶすほどに。
 しかしそのネタがディープでコアなファミコンのクソゲーするので、有る程度の知識がないと読んでもサッパリわからないかと思います。少なくともゼビウスのバキュラと言われて何か想像付くぐらいの知識は必要かと。

いちめどー
 これも、「げんしけん」などと同じく濃いオタク、薄いオタク、なり始めを比較してちょっとしたカルチャーギャップを楽しむタイプの作品です。
 ただ、とにかくつっぱしったストーリーのため、普通人の介在する余地が無く、リアル系の「げんしけん」で感じた痛いまでに冷たい視線は感じないので読んでて心地いいくらいです。
 個性的なキャラクターたちの中ではなにはともあれ部長でしょう。
 作中に出てくるオタクのトップを独走するキャラであり、作者を投影してるとしか思えない強烈なキャラクター性は好き嫌い分かれるとこでしょうが、僕はかなり好きです。「進め聖学」を雑誌連載時に読んで、この人のおかげで古いクソゲーに興味を持った人も多いんではないでしょうか。
 さり気なく短編での続編がいくつかあったりするので、これもコミックスへの収録が期待されます。

隠されたトウフ
 レトロゲームとファ○通PSに連載されてた当時のゲームネタで溢れるギャグマンガ。
一応ゲーム好きの主人公がレゲー大魔王の部長がいる電脳研究部に入るという導入ですが、途中から件の部長が大暴れ天童で主人公そっちのけの様相を呈す事に。
 なんていうかゲームに特化した『平野耕太漫画』、という認識が正しいかと。
 レゲーネタが分から無くてもヒラコー好きならノリで楽しめるでしょう。
 今手に入る新装版の追加要素である、ページ下部のすごろくはヒラコー的に必見。
 最後に、「ぜんたーい、ときめけ!」は名ゼリフだと思う。

クインテッサ
 ヘルシングの裏表紙のノリみたいなのを五割増ぐらいして、中身を全部ゲーム(かなりレトロゲー寄り)ネタにした感じ。というとあっさり風味っぽいですが実際は超絶こってり。終始一貫徹頭徹尾、平野耕太独特の気合入ってんだか入ってないんだか判んないバカテンションで微妙に毒吐きつつ好き勝手に突っ走る名作です。
 とりあえず、ファミコン時代からのコアなゲーマーを自負する人や「クソゲーしりとり」とかに心惹かれたりする人にはオススメ。あまりのカオスっぷりに圧倒されること間違いなし。
 その他、「ファミ通PSで連載してたら打ち切られ、ゲーメストでお馴染み新声社から発売、新声社が倒産して絶版になるものの、少年エースでの読みきり掲載を経て角川書店から復刻」という歴史を聞いただけで笑えるような人なら十二分に楽しめるかと(但しスクウェア信者な人以外)。
 寺門部長がドアぶち破って登場するシーンは最高です。

ゴルゴ31
 何で私は昔ファミコンを買わなかったんだろう……と思いますね。いや、初めてのゲーム機がPCエンジンな自分はこの作品のネタについていけないので(笑)
 作品全体から滲み出る平野耕太の濃さだけで面白い作品と分かりますが、これでネタも分かれば好きさも4か5になると思うのであまり私の評価は参考にならないかと……。

にゃろ
 わかるやつだけついて来い!と情け無用ファイアーに読者を選ぶ作品。
 なにせネタの多くが初代ファミコン世代向け。しかもやたらとディープでカオス。わかっちゃうと齢がバレます。
 ほんとにPS情報誌の連載もの?!なんてツッコミはもはやお約束、てんで序の口。
 ひたすら一貫したバカテイストが面白く、その上オタ心のツボを突くネタが連発されるのがさすが。
 作者・平野耕太のオタっぷりが、これでもかっこれでもかっと、がっつりとハートに伝わってきます。

羽澄葵
 確かに一時は私のバイブルでした。ええ、聖伝でした。なんか禁断の果実を食べさせられたようなショックがありました。後半の尻すぼみ感は脇へ置いておいてもオタ漫画の中ではある種領域を拡大した作品として評価したいです。部長が実は結構あんなで美形だったりするのも、センセイは人間でないし、今見れば随分お約束だらけですが最初読んだ頃は大喜びしてました。
 オタクって凄いな、カッコイイな、賢いなとか訳分からない解釈をしていたあの頃……。
 これを読んでしまった為更にオタクになってしまったのです。あーこれさえなければと、今になれば悪魔の果実か……。

hidaka
 近年「HELLSING」ですっかりシリアス作家として認知されてしまった平野耕太のもう一つの顔「オタクギャグ漫画家」の真骨頂。
 シリアス漫画の方で平野耕太ファンになった女の子が確実に眉をひそめるような破壊的かつ下らないギャグの合間に見え隠れするのは、ファミコン世代がPS世代に贈る、忘れちゃならないゲーム魂。
 連載途中から描いてる本人もワケ分かんなくなってるような状態のヒドい漫画ですが、十四話と最終話はゲーマーとして気骨ある発言目白押し。平野耕太は本当にゲームが大好きなんだなぁと思わせる、ゲームに対する愛情溢れた良作です。ゲーム好きは必読。きっと爆笑出来るかと。

 ゴーイングマイウェイなキャラが突っ走る平野耕太作品。
ゲームというたった一つのジャンルなはずなのに、少し濃い人じゃないとわからない元ネタが多々。でもそれが妙に興味をひかれるプレイしてみたくなる。
 本編だけでもかなり詰め込まれてるけど更に話と話の間に入る作者のゲームコラム(?)まで読むと何かゲームやってみようという気にさせられるような、もうゲームはお腹いっぱいとも思わせられるような。

檸檬来夢
 平野耕太がアブナイとおもったのは、この漫画で、この漫画を語るのに一回のレビューではもったいなさ過ぎると思いながらも、一度にまとめるのにもう一度読み返してみる。ああもう、どこから突っ込んでいいのやら。クソゲーを愛してやまないところとか、掲載誌なんざ関係ないとでも言うような傍若無人なありさま。PSの雑誌でSSの話題は無いだろう。女の子は可愛くてまぁ、一部ときメモの二人はのぞくとして、バレンタインのときのチョコを差し出すオッパイ星人シスターズは、この漫画唯一の萌えどころかもしれない。
 手元にある本書は復刻版で、一話ごとに空白ページを埋めるように落書がされている。そう、落書としか言い様が無い、ああもう、なんて平野耕太してるんだ。内容に触れてない!?いやもう、平野耕太とだけいっておけば大丈夫!エース桃組の連載のほうも、休刊になるからって最後は凄かった。新雑誌に移ってもがんばってください。引き継がれるのかはわかりませんが。とにかくこの漫画、漫画を読んで一度おかしい。落書をみて二度おかしい。双六をやって三度おかしいと、なんておいしい本なんでしょう。持ってなかったら是非買え。一度読んだらしばらくおなか一杯になるけどね。

ワダツミ