ラブやん
#1


著者 田丸浩史
出版社 講談社
掲載誌 アフタヌーン
シーズン増刊号
発行日 2002/6/21
定価 514円
オタク 3.40
パロディ 2.80
シリアス 1.60
ギャグ 4.50
痛さ 4.20
好きさ 3.90
 ロリ・オタ・プーの三拍子そろった大森カズフサ(25歳)。
 いかにもティピカルな現代的駄目男のもとへ、愛の天使ラブやん見参!
 片想いの相手は小学生、この恋を成就させるのは聖なる任務が犯罪か!?

 犯罪だと思います。これがカードキャプターさくらに出て来た生徒と付き合ってる先生みたいなナイスガイ然とした人ならともかくとして、カズフサは風貌からその嗜好に至るまであからさまにデンジャラスガイですから!
 というわけでいきなり主人公を大否定することから始まる本レヴュー。だってしょうがない。マジで洒落にならない奴なのだ。登場シーンがエロゲーでセルフバーニングに勤しんでるところだぜ!?
 そりゃ愛の天使だろうと逃げ出したくもなる。正直、トイレよりも見られたく(見たくも)ない状況だ!
 そこへ来て畳み掛けるように「好きな相手は小学五年生」と本気トーク。カズフサの絶望的なビジュアル&メンタリティを前にしては「愛に年の差は」なんて予防線、90式はブリキ缶だぜってなもんですよ。
 こんなショッキングな導入はエルフェンリートに匹敵するのではないかと主張する次第。どっちも心が痛いよ!(ベクトルが大分違うが
 終始ハイテンションでギリギリのラインを爆走して時折オーバーするギャグが連発される為、どこまでやらかしちまうんだというスリルまで感じることが可能。本来ならのび太に対するドラえもんの如くブレーキを踏まなきゃいけないラブやんもかなりバカなので、ストップがかかるのは常に断崖絶壁一歩手前。時には自分でアクセル踏んでるし。もうどうにも止まらない〜とリンダが唄い出してしまうよ?
 そんな中、ワイルド過ぎるコックなジャモジさんのエピソードは一つだけ浮いてる感じがしたなぁ。秘めたるパワーはやはり強大なものの、オタク的な方向で痛い人っていうより、普通に変な人だから(笑)
 そして眼鏡っ娘萌え。というか基本的に田丸氏の描く女の子って物凄く好みな絵柄なんだけど、この人すぐに筋肉ネタとかに走るから女の子の出番って少ないんだよね(笑)
 女の子がやたら可愛いからこそ、痛いキャラの与えるインパクトが増大しているって寸法さ、スティーヴ。つうか委員長が素で萌え過ぎる。ぎぶみー。
 眼鏡喫茶委員長の回のオチはカズフサたちと一緒になって落胆。
 さぁキミもカズフサとシンクロする部分を見つけてへこもうぜ!?
織澤明史
 毎回「ダメな奴はやっぱりダメ」という再確認をする漫画。
 このオチの超黄金パターンぶりやブラックさに田丸先生のお人柄がにじみ出てて涙が出ます。
 主人公はオタクっていうより「のび太系ダメ人間をもっと痛々しく」っていうキャラなんでオタネタ漫画っていうよりギャグ漫画で楽しんだ方が正解。
 オタの人もロリの人もプーの人も共感できる主人公に作品の懐の深さを感じさせます。

寄星蟲
 黒いどころじゃありません。どんなにダメな人間でも、少なくとも長所って一つ位あるじゃないですか。でも、この主人公には無い。ダメダメな成分を抽出してヒトという形を与えたらこんな感じかな……という主人公。彼に彼女を作ってあげようと健気な努力を重ねる天使には、心の底から同情したい。きっと彼に恋人が出来るより、サグラダ・ファミリアの方が先に完成するよ。
 正直、読んで笑い転げるというよりは思わず引いてしまいました。私のように心臓の弱い方は、比較的緩いオタ漫画で身体を慣らしてから読むことをお勧めします。

ゴルゴ31
 あとがきマンガにも描かれているように最初は主人公:カズフサがデブキャラという設定でしたが担当に止められたという逸話が描かれています。それは止めて正解でしたね。だって今のままでも十分すぎる程痛いから。もしロリ・オタ・プーの上にデブだったら痛さは5で済みませんでしたよ(笑)。
 しかし、「めがね喫茶委員長」を始め、カズフサのオタク魂が勢いよく炸裂するのは見ていて楽しいし笑えます。それに幼なじみキャラ等の微妙なモテ要素があるように見えながらもカズフサが徹底的にダメ人間に徹するのがまた良いですね。

さぼり
 初回見た時「読み切りだからって無茶するなぁ」と思ってたらまさか連載になるとは。
 連載開始と同時にカズフサがビルドアップして強味ができてしまい、以降はロックやマッチョが横行するいつもの田丸テイストでネタの割にあまりイタさは感じませんが、三話目のヒデヒコがイタいどころの騒ぎではないので(笑)+二点。
 ギャグに関してはイタいネタもイタくないネタもひっくるめて猛烈にツボです。ジャモジさんの回最高。

零黒
 ここまで好感をもてないオタ主人公も如何なものか。
 とはいえ近親感をもってしまうのも悲しい事実。
 容姿性格共にダメ人生一直線の主人公のもとに脈絡もなく愛のキューピッドがやってくるという、前世紀でもレアなベタ設定。
 しかしこれは田丸テイストの現代マンガ。
 主人公のあまりな思考に天使も堕ちるし読者も堕ちる。
 ヲタ趣味趣向を描いたマンガというよりは、更正の見込みもないダメ人間おっかけ作品……?
 好みははっきり分かれそう……とは言え、他の田丸作品を読んだことがないのでした。

にゃろ
 今まで取り上げてきたコミックの中で、一番の真性オタク向け漫画。オタクの自覚がある人が読めばきっとはまる。でも素人にはお薦めできない。
 実際、オタクとかあまり知らない人に読ませたらどうなるんでしょうね?
「げんしけん」なら正の方面への理解を得られる可能性もあるけど、「ラブやん」だと負の方向への理解が急加速しそうで怖い……。求む体験談(笑)

東山海里
「これは読まないでイイヨ(笑)」と今までいわれていた漫画。ワダツミ氏に脅された(違)のでこの期にとよみましたがっ。
 ナルホド読まないでイイヨといわれていた意味が一番最初からっ!!?
 カズフサ君が知り合いに顔が似すぎていたために(性格は違うけど)勝手に脳内で重ねてしまい、いろいろな意味も含めて恐ろしいマンガでした、ふぅ。メガネ。

「痛いキャラ使ったギャグ漫画がやりたい」と作者自ら巻末で言ってるとおりとにかく痛い!
 でもボケ側の痛さと同じくらいに、突っ込みが強烈かつテンポよく入るせいで痛くて目をそむけたくなる作品にはなってなく、気持ちよく笑い飛ばして読んでいけます。
 きっとオタではない一般人に読んでもらっても意外に受け入れてくれるかもしれません!
 でもオタさんは冷静に読んでいくとカズフサと自分の共通項なんて見つけちゃった日には凹むかもしれませんヨ?要注意です。
 ……ホント凹むんです。

檸檬来夢
 田丸漫画といえば、ギリギリのやばいネタが多いのが特徴ですがこれはギリギリ超えてる感じがします。ほんと、現実にいたら絶対逮捕されてるって。
 オタクというか、ふぇち、萌えの路線で痛いところを突いてくるので爆笑半分、失笑半分ってところです。
 あー、うちにもらぶやん来ないかなぁ。

ワダツミ