吼えろペン
#1


著者 島本和彦
出版社 小学館
掲載誌 サンデーGX
発行日 2001/8/20
定価 533円
オタク 3.00
パロディ 3.14
シリアス 3.43
ギャグ 3.57
痛さ 1.86
好きさ 4.57
「おれが面白いと考えていることはこれだっ!!
 伝説の燃えよペン終了から幾星霜、遂に奴が帰ってきた! 燃える男! 炎の漫画家! 炎尾燃!
 もっと彼の活躍を読みたい、読みたい、読みたいぃぃぃ!と思い続けていただけにこの連載が始まった時は大喜び。
 スパークする漫画家の熱き雄姿は長い年月を経た今もなお健在。というか物凄い勢いでエスカレートしまくり。前作がフィクションなのかノンフィクションなのかギリギリのラインをどちらに偏ることなく爆走していたのに対し、本作は明らかにフィクションに傾きが増している。
 編集やライバル作家が敵だった時代はもう過去のもの。今立ちはだかるは犯罪者だ!
 というわけで大幅に現実味が薄れてこりゃもう完全にギャグマンガだなぁ……といかないのが島本マジックというか、現実にありましたと言われれば「マジかよ!?」と叫びつつも「いや、でももしかしたら……」と思わなくもない! しかし流石にヒットマンに命を狙われるなんて……だが!?
 むしろ原作オーバードライブに切れたファンに襲われたりとか……(えー
 熱血漫画家の強さと弱さを描ききった偉大なる前作の良さを損なうことなく、更なるパワーアップを遂げた本作は漫画家の真実をプロジェクトXばりに熱く描いていると……全ての漫画家がこうであると思っておこう!(笑)
あおぼうず
 熱い漫画家の戦いの物語である前作「燃えよペン」の続編というかリニューアルのようなものですが、前作と比べると殺し屋や銀行強盗など、かなりフィクション性が高まっている話となっています。そんなフィクションの話なのですが、たびたび出る一ページをまるまる使った「叫び」のシーンには、生の島本和彦先生の熱い魂を感じずにはいられません。それは漫画描きとしてのありようだったり、生々しい金の話だったりとさまざまですが、そこに込められた熱さは本物です。
 ということで、熱い漫画が読みたい方は是非手に取ってみることをオススメします。

いちめどー
 燃えるダメ作家・炎尾燃の激しい日常を描いた問題作。
 ぶっちゃけ島本和彦本人の生活や日々考えている事をフィクション交えて描いている自伝みたいなものなのですが……が……恐ろしい事に、どこまでがフィクションか本当にわからない!
 普通っぽく見えるあたりは本当にあった事をモデルにしてるように見えるのですが、普通じゃないところまで「島本和彦なら……」と本当にあった事のように思えてきてしまうのです。
 ちなみに一巻は導入編という事もあり、面白編集者や変人漫画家たち作者に勝るとも劣らない濃い登場人物たちはあまり出てきませんが、燃えペンからのメンツに新キャラが加わるシーンからはじまり、銀行強盗やポケモン風のネタなどギリギリな話が満載です。

寄星蟲
 ええと、フィクションですよね。どこにでもいる熱血漫画家と、そのアシスタント達の尋常ならざる日常を描いた漫画です。
 常に戦いつづける炎尾燃。敵は編集者だけではなく、殺し屋、犯罪者にファン。連載を、己を貫くために時々弱音を見せながら戦う主人公には、笑いながらも感動を覚えずにはいられません。
「全然、違う!!」という大ゴマで描かれた表情は、色々な感情がない交ぜになってなんともいえないものになっていて、この巻で一番の見所かも。

隠されたトウフ
 主人公は燃えよペンと同じく漫画家 炎尾燃であり、いわば燃えろペン二巻とも言えます。
 しかし、燃えペンの島本和彦の体験に基づいく(?)リアルっぽい話からは離れ、フィクション味が増え、また登場するアシスタントのキャラが立っているという所が違う点。
 特に特撮ネタを引用するアシスタント大哲が一巻でも一際目立ちます。
 そんな違う点はありつつも、中には島本和彦魂がしっかりと息づいています。
 燃えペンより若干ながら取っ付きやすいイメージがあるので島本和彦初めに如何でしょう。

ゴルゴ31
「燃えよペン」から約十年経って発表された本作ですが全くその熱さは変わっていません。それも当然「島本和彦」だから。熱さが冷めてしまったらそれは島本和彦ではないからですね。
 ……とまあ「熱い熱い」と言ったもののこの作品はそんな単純なものではないのが素晴らしい所。時折炎尾燃が見せる弱さと漫画業界の裏側を巧みに熱さに混ぜて表現する所は職人の名に相応しい。特に漫画に影響された犯罪者の話は現代の世論をも巧みに混ぜた秀作ですね。

檸檬来夢
 一巻ということで、久々に読み返してみる。
 うむ、面白い。この漫画、炎尾燃が漫画家という立場で色々な事になってしまう状態を描いたもの、だと思っているが、うまく説明できない。
 話自体は突拍子も無い物ばかりだし、だが、そのベースになっているのは作者島本和彦本人であろう事は、想像に難くない。脚色が入りまくっているので現実ではないということは重々承知だ。一巻では新人アシスタントのヒーローが炎プロダクションに来るあたりからはじまっている。一応最初は主役っぽかったはずなのが……。
 一巻で好きなエピソードはぴかりモンの話、もろにピカチュウのパクリでありポケモンなわけだが「原作を変えすぎて、かえって読者からヒンシュクをかっているくらいの『ぴかりモン』だ!!!」の台詞は、まんま島本和彦な気がするがする。
 癖がある漫画だが、是非オススメしたい一冊である。

ワダツミ