G戦場ヘヴンズドア
#1


著者 日本橋ヨヲコ
出版社 小学館
掲載誌 ビックコミックスピリッツ増刊
IKKI
発行日 2002/1/1
定価 819円
オタク 2.00
パロディ 1.18
シリアス 4.45
ギャグ 2.00
痛さ 3.36
好きさ 4.45
 君は漫画が好きですか?
 僕は嫌いです。

 そう言い切って漫画を蔑視する、漫画を好きだった少年が、再び漫画と向き合う青春漫画。
 作者の言葉を借りるなら戦友漫画。
 長谷川鉄男は恐ろしいほどに天才的な才能を秘めていた。それは主人公・堺田町蔵の胸の内で長い間くすぶっていた漫画に対する情熱に投げ込まれた爆弾であった。
 迸る思いは彼を漫画という戦場に駆り立てる。己をここまで熱く魅了した眠れる天才を戦友として。
 魂に響いてくる漫画です。そらもう島本和彦や平野耕太作品の様に激しく。汝、熱いストーリーを欲するならこの書を取るがよいってなもんで、他のレヴュアーの皆さんも思いの丈の表現に苦悩していると入稿時に漏らした方が何人も(笑)
 かように熱い熱いこの作品。しかして全てを拒絶するかのように孤独な道を歩む町蔵が鉄男を通して他人の優しさ・友情に気付かされる過程が非常に心地好い。不器用で言葉少ない鉄男がここまで愛されるのは彼個人の人間性だけではなく、皆が揃って気の良い奴らだからで、町蔵もそりゃ影響受けて自分に向けられる優しさについて考えるよ、と。コギャルがトーンの達人だったシーンが妙に好きなワダツミでした。
 とりあえず一巻読んで惹き込まれて下さいな!
一恵りょうこ
 一巻は「戦場」での闘いが始まるまでのプロローグ部分です。
 この頃の町蔵はこっちが恥ずかしくなるほどに青臭くて、そう言った意味では周りの大人達に近い視点から彼らの成長を見守るような気持ちになって読みました。
 力業というか、最後までグイグイ引っぱられてってねじ伏せられるような、そしてそれが読んでいて気持ちのいいマンガだと思います。
 台詞にも心を揺さぶられるものが多くあって、とても素敵です。

織澤明史
 全三巻、大人買いして一気に読むの推奨。泣ける、泣ける。読んだ人の素直な感想が「言葉にするのがもったいない」ときたもんだ。
 こりゃ凄い事ですよ。でも、クリエイターの人なんかは表現するのが仕事なんで「バカ、言葉にするのが勿体無いなんて、それこそ勿体無いというか、むしろ言葉も何も俺は俺で俺がオマエらにオマエら用に表現してやるよ、俺表現で。させてよ、やらせてよ、いえやー」的にがんばり始めちゃったりします。これ読むと。
 単行本の帯が「まんが道」「編集王」「吼えよペン」っていうのもオタ的にポイント。この三っつにも負けないくらいパワーがあるってだけで凄い。

隠されたトウフ
 出てくるキャラクターが普通程度に漫画の好きな学生達であるため、普通のオタク向けというよりは同人誌とかで漫画を描く側に回った人にオススメの一品。
 漫画を描くに当たっての苦労やモチベーションの保ち方などの点で、自分も共感が得られたのが「好きさ:5」の所以です。
 ただ、1巻はまだまだ導入なので、是非3巻まで揃えて町蔵と鉄男の描く軌跡を見届けて欲しいですね。

寄星蟲
 主人公の二人が、子供から大人になっていく段階を、漫画を絡ませて描かれた青春ストーリーでしょうか。
 痛かったり、ドロドロしたり、ギスギスしたり。それでも彼らは、漫画を創りながら自分とその周りに目を向けていきます。そうやって、ようやくスタートラインに立つまでが一巻で描かれています。
 こういう作品に必須の、魅力のある大人がたくさん登場するのがいいですね。みんな良い表情をしです。特に、私の好きなオヤジキャラが出てくるのがいいです。阿久田鉄人さん、渋いっす!

月咬
 ややドロドロとした「まんが道」というとぶっちゃけ過ぎですか?
 認められる嬉しさと物を作り上げていく喜びがうまく描かれてて、読んでるうちに自分もなにかやりたくなってくる、そんな漫画です。
 印象的なセリフが多いのですが、読み直しても割と会話が意味不明だったりするのが困りモノ(笑)
 阿久田編集長は何が言いたかったんだろう……(悩

ゴルゴ31
「読め。話はそれからだ」まさにそんな作品ですね。オタク作品と言うより青春群像的作品ですけど、要所に散りばめられている町蔵と鉄男達の漫画に対する想い、いやむしろ狂気が世の漫画オタク達の心を掴むこと間違いなしです。
 本当、日本橋ヨヲコは読者を引き付けるのが上手い作家なので一巻だけと言わず、全三巻なので一気に読んでしまうのが吉です。……何か布教活動的になってしまった……(笑)

にゃろ
 熱い。しかもとびっきりに。二人の情熱と葛藤と成長と対峙と……その物語の全てに、心震え、笑い、泣き、ただただ世界にひきこまれる。
 何も言わずに全三巻一気に読んで貰いたい逸品。

東山海里
 なんかすごい量の泣き要素とシリアス要素か詰めこまれてるお話。
 髪の毛がわかめ!うどん!わかめ!って叫びたくなる場所もありますが!!(ナニソレ)

 漫画を作ることに痛いくらい一途な話が続き、どこのページを開いても印象的なシーンがあり、読み終わるころには何かしなければいけないような、そして自分でも何かができそうな気分になる。
 そんな疲れてるときに読めば力が湧いてくる麻薬のような強烈な漫画だ!

檸檬来夢
 こいつらの話は、現実にはあまちゃんな夢物語でしかなだろうと思うのに、何でこんなにも心に響くんだろう。
 物作りをする上での、辛さとか楽しさとか、そういったものをひっくるめ、こいつらの持っている、熱さとか真剣さとかは、本物だからだろう。それが心に響いて、こんなにも痛いんだと、そう思う。

ワダツミ