げんしけん
#1


著者 木尾士目
出版社 講談社
掲載誌 アフタヌーン
発行日 2002/12/20
定価 505円
オタク 5.00
パロディ 3.79
シリアス 2.50
ギャグ 3.21
痛さ 2.36
好きさ 4.57
「サークル部室から広がる楽しい大学生活を等身大で描く、アキバ系青春物語!!」
 半端なオタクである主人公が、大学入学を機に一念発起して一人前のオタクに成長していく様を描いた作品。
 でわなく、実際は「現代視覚文化研究会」というオタサークル全体の有り様がメイン。
 オタクなら思わず「あーあーあー」と苦笑いしつつ共感してしまうエピソードが色々と折り込まれております。
 自分は主人公である笹原君のように「今日から一線を超えるぞ!」などと息巻いてディープな世界に足を突っ込んだわけではないので、彼の戸惑いなどを全面的に自分に照らし合わせることは叶わぬものの、やはり初めてエロ同人誌屋に突入して何を買うか必死に悩む様なんかは実に「若かったなぁ……」ってな感慨深さが去来しますな。
 別段空から美少女が降って来たり美少女にモテモテってわけでもない、オタクサークルの日常を描いているだけなのだが、読んでいて多くの人が「こんなサークル活動できたら楽しいだろうなぁ」という気持ちになるんじゃないかと。
 内容がかなり荒唐無稽なので直接比べられるわけではないのだけれど、「究極超人あ〜る」をリアルタイムで楽しんでいた世代って、我々がげんしけんに持つ「憧れ」と似た感情を光画部に持ったのかな?
 誰かに「オタクってどんなもんか」って説明を迫られた時(どんな状況だ)に、とりあえずこれ読んで貰えば良い感じに代弁してくれると思います(笑)
 げんしけん読んでも偏見丸出しの感想しか漏らせない人にはそもそも口で説明しても無駄っすよ!(えー
 理解どころか「大野さんって可愛いね」なんてセリフを言わしめればもう勝ったも同然だ!(それは……
edith
 オタクを理解するのに、よい入門書かもしれません。
 笹原が主役と思わせて、実は咲ちゃんが主役じゃないかと思う今日この頃。
虚無零
 その種の集団に属したことのある方はもちろん、仲間に恵まれなかったオタクにも推薦したい。私がそうだが、羨望と嫉妬が相まって楽しめた。
 サークルを中心にオタクネタのみで成立しているのも見逃せない。もし「オタクの大学生活」という主眼で描かれていたら魅力は半減していただろう。
 腐女子も登場するが主人公に好意を寄せるわけでもなくギャルゲー的メソッドに縛られないこだわりを感じる。
 元ネタのある笑い所は解らなければ調べればよい、それでこそのオタクである。
m-hiro
 大学でオタ活動をしていても、状況に恵まれなかったりして孤独な大学生活を送る人も多いと思うのだけど、この漫画は、そんな人たちが望むような状況を的確に表現してると思う。
「こういう感じだったらいいなぁ」「こういう人たちが居たらいいなぁ」というのが、リアルに描かれています。
「話の通じるオタ先輩が居て、オタに見えない友達もいて、可愛いオタ女子も居る」この状況って、ありそうで、なかなか無いのですよ。
 今、大学などに入って「そういう系」のサークルに入りかねている人。そんな人には、超オススメの漫画!
 笹原君の行動と変貌を目に焼き付けてください。あなたに足りないのは「覚悟」です。もちろん、卒業してしまった社会人の人も文句なしで楽しめます、げんしけんはオタク版の青春漫画ですから。

織澤明史
 素直な感想は「大野さん、ウチにも欲しいなー」。
「あはは、あるある」ネタで話のテンポとりながら等身大のキャラでオタの一般人との付き合い方がスゴイ大事件もなく丁寧に描いてある。
 地味に偉い。いや、ホントに偉い。オタ漫画の中で一番優等生かも。あー、大野さん欲しいなー。
クインテッサ
 オタ関連の様々なファクターの描写と、劇中マンガのやたらめったらな凝り様は見所かと。
 しかしオタク的にこの作品を楽しめる最大のポイントは、笹原の「覚悟」やパロディの数々、ましてや大野さんのコスプレでもなく、オタクにとって不思議と微妙なリアリティのある空間に、咲ちゃん&高坂が存在することではないかと。この二人が居なかったら多分カケラも面白くない作品になってそう。
 そんなわけでこの作品の主役は咲ちゃんだと思うのですよ。

零黒
 オタク描写の正確さ、細かさは文句なし。
「わかる人にはわかるネタ」があらゆる場面に点在し、さりげない台詞や背景にも思わずニヤついてしまう。
 ここまでオタクを描ける作者もヲタに違いないはずなのだが、一般人をオタクの彼女として関係を持たせ、そちら側の視点からオタクを捉える様も非常にリアルで、作品の面白さを支えている。
 オタクとして開きなおれない主人公が秋葉を歩くシーンは、その葛藤の絶妙さと共に同人ショップ等の再現性も見て頂きたい。
にゃろ
 大学のいわゆるオタ系サークルのオタ部分のみを抽出した、そんなサークルの日常を、それでいて決して濃すぎず、過激にギャグに走ることなく、ほのぼのと描いた作品です。
 ……いや、世間一般から見れば十分濃い上にギャグなんでしょうが。それでも一線を越えない絶妙のバランスといいますか……。
 階段を一歩一歩ゆっくりと昇っていくオタ入門生である主人公の姿や、現視研のぬるま湯につかっているような居心地の良いその雰囲気は、同じような道を歩んできた自分にとって、懐かしさと、そして、羨ましさを感じさせてくれました。
 いいですねー、青春って!

東山海里
 青春時代真っ只中に好きな人をクリスマスによんだら会った十分後に「今からコミケいってくるわ、じゃ」といわれたのを思い出しました。ウワン!!
hidaka
 この作品のキーポイントは、それまでのオタ漫画がとかくオタクの持つ独自の世界観というか空気というか、そういう物を思いっきり力を入れて読者に提示してきたのに対し、あくまでライトに、サラリと日常の一部として描いちゃってるトコ。まあコレは青春恋愛漫画出身の作者の作風による所でもあるんですが、こういう題材の作品があのノリで一般誌であるアフタヌーンに連載されているって事実は、オタ世界が世間に認められ始めているんだなーと改めて感じさせられます。
 肝心の漫画内容に関してですが、先にも書いたように“オタク版、日常漫画”です。「あるある!」と「いるいる!」を楽しむ漫画。オタクが夢見る“ユルくも楽しい、リアルだけどファンタジーな日常”。それが『げんしけん』の世界だと僕は認識しております。
 今を生きるオタなら必読ですよ。

MAS-R
 イタリアでは、まんま『Otaku Club』で出版されている本作。たしかにオタクを鋭くえぐっていて、「そうそう、あるよね!」って思ってしまうのだけど、ふと冷静になると、あまり笑っていられない自分のダメ立場に気が付いてしまったりして、ちょっとヘコみます。
 オタクとして、食いつきやすい主題ではあるけれど、やはり木尾士目作品だけあって、読むのにちょっとエネルギーがいるかもしれません。
 そんなわけで、私にとってはちょっと身構えてしまう一冊。と言っても、うちの妹は木尾士目のファンなので、アフタヌーンを買うなり、無理矢理読まされますが!

美月
 この漫画見て「いいなぁ」って思ったらまだ逃げられる。「分かる分かる」って思ったら逃げ場無し。
 世の中に多々あるオタネタ作品の中でも、この作品以上に等身大のオタクを描いてる作品を見たことがない。
 大学、秋葉、即売会を中心に描かれてるせいもあるけど、いるよねこんな人!つーか俺もだ!と笑いと共感と少しの反省をもって一気に読ませてくれて再読性も高いです。
 でもここで俺的には背景の魅力を推しておきたい!
 魅力的なキャラ(大野さんはちょっとしか出ないけど)も捨てがたいけどマガヅン、○井守全仕事、夜勤学園etc……パロディ色いっぱいの背景はニヤニヤを誘いますよ?
檸檬来夢
 現在のオタク漫画の最高峰だとおもわれる。
 元ねたになった大学サークルがあるらしいが、まぁそのへんはどこの学校にも一つくらいある気がするのですがどうでしょう?
 自分でも経験のあることとかもあって、アイタタタってのがあるから、この漫画はリアルです(笑)
 ファンタジーな部分もあるけどね その辺は漫画としてのいい部分だと思う。
 かろうじて常識の範疇にいるから見れてる漫画だと思う。オレ通AtoZみたいなのだと引くし。
 ただ、目的も無い漫画なので、どこに行き着くのかが気になるところです。
 大野さんはちちでかいけど許す。
ワダツミ